オリジナル小説を書籍風レイアウトのPDFにする
 Word以外は完全にフリーの環境で『書籍風にレイアウトを整えたPDF』を作製する方法の解説。

 この手順どおりで出来るのは『文庫本サイズ』のものです。慣れたら用紙サイズとか段組とかいろいろいじってみると良いです。A4なら上下二段組が読みやすそうですが、とりあえず今は文庫サイズでやることにしてください。
使うソフト(使用順)
◆Microsoft Word
ベーシックな設定しかいじらないので、バージョンは特に問わない。例として2003の画面で説明を進める。
◆クセロPDF
 国産でフリーのPDFライタ。使用にはユーザ登録(無料)が必要。

  【http://xelo.jp/xelopdf/
  【http://www.vector.co.jp/soft/winnt/writing/se339554.html
◆Adobe Reader
 PDFファイルを閲覧するための公式ソフト。フリーで配布されている。

  【http://www.adobe.com/jp/products/acrobat/readstep2.html
◆RightFile
 クセロPDFでは、『左綴じ』の文書しか作成できない。 この状態で Adobe Reader で『見開きモード』で閲覧すると、『縦書き』のため表示順序が入れ替わって読みにくくなる。左綴じのPDFファイルを右綴じに変換するために、この RightFile を使う。

  【http://www.vector.co.jp/soft/win95/writing/se324457.html
※以上を、各々使用可能な状態にインストール等しておくこと。
どうでもいいコラム
◆『縦書きPDF』 - 日本語特性のため、海外製ソフトではなかなか作れない
 PDF、というファイル形式は、Adobe 社が提唱したもの。そのため、その作製にあたって Adobe 社から出ているソフトを使うことが最も理想的であるのは云うまでもない。純正ソフトを使えば、はっきり云って何でも出来る。が、当然の如く有料。今考えたいのは、『無料で』ということ。サードパーティ製であることには目を瞑り、フリーソフトを利用することを考える。

 その前提で。

 縦書き、という書式は、日本語特有のもの。主要外国語圏には、その概念は存在しない。
 さて、フリーソフトでのPDFライタというものは、海外産のものも複数存在する。使用法によっては設定項目の多様さなど、今回使用する『クセロPDF』より役に立つこともあるが、海外産のもののウィークポイントは、『縦書き』未対応、ということ。より正確にいうなら、未対応というより、『縦書きという概念自体が存在しない』ため、そもそも対応未対応を問うこと自体野暮であるわけ。
 『クセロPDF』は、国産ソフトであるから、縦書きにも対応している。使用時にブラウザで広告が表示されることと、『右綴じ』が出来ないこと以外には、目立った欠点はない。フリーソフトであることを考えると、かなり高機能であることは間違いない。
◆『右綴じ』『左綴じ』の問題 - 縦書き対応≠右綴じ対応
 Adobe Reader には、『見開きモード』という閲覧モードが存在する。これは、画面上に二ページを並べ、書籍の見開きページのように表示・閲覧するモード。

 これは、『横書き』の文書に最適化されている。横書きとはつまり、左綴じの文書。縦書きのPDFが出来たまでは良いが、このままでは読みにくいことになるのは想像に難くない。見開きにしたとき、画面の中央から読み始め、左に進み、右ページの頭に飛び、画面の中央に戻るということになる。横書き文書なら正しい紙の並び方でも、縦書き文書では困ったことになる。
 PDFのビューワによっては、並び順を設定できることもある。が、なるべくなら閲覧者の手を煩わせずに読んでもらいたいと思うのは、私だけでは無い筈。どこのだれが開いても、こちらの意図通りに素直に並んでくれる。そうするためには、PDF文書を『右綴じ』で保存しなおす必要がある。

 そこで登場するのが、今回使用する『RightFile』。既存のPDFを、ドラッグ&ドロップで瞬時に『右綴じ』へと変更してくれる、ありがたいソフト。

 こうして、クセロPDF と RightFile の合わせ業により、目的である『縦書き右綴じPDF』は完成する。
作成する
 では作成。必要なソフトの全てを、先にインストールしておくことが前提。
Microsoft Word 編 - 設定から入力まで
Microsoft Word を開く
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[ファイル(F)] > [印刷(P)]
 1.[プリンタ名(N)] を [クセロPDF] にし、
 2.[キャンセル] (実際は [閉じる] に変わる)

[ファイル(F)] > [ページ設定(U)]
[文字数と行数] タブで、
 1.[文字方向] を [縦書き]
 2.[文字数と行数の指定] を [文字数と行数を指定する] に設定、
 3.[フォント設定]を開く

[フォント] タブで、
 1.[日本語用のフォント] 、 [英数字用のフォント] をそれぞれ [MS 明朝] 、 [Century] とし、
 2.[スタイル] と [サイズ] をそれぞれ[標準] 、 [9] に設定、
 3.[OK]

[用紙] タブで、 [用紙サイズ] の各欄を図の様に設定

[余白] タブで、
 1.[印刷の向き] を [縦] にしたあと、
 2.[余白] の各欄を図のように設定

[その他] タブで、
 1.[ヘッダーとフッター] の [奇数/偶数ページ別指定] にチェック、
 2.[ヘッダー] の値を [8 mm] に設定

[文字数と行数] タブに戻り、
 1.[文字数] および [行数] をそれぞれ [40] と [18] に設定し、
 2.[OK]

 このような状態。
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 書いたSSをコピーし、
 [編集(E)] > [形式を選択して貼り付け(S)] から、
 [テキスト] を選択して [OK]

 はりつきました。
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 任意でテキストの整形をしてください。本文のフォントは最初に設定したのでそのままでOK。
 タイトル部分のフォントを変えたり、半角英数を全角に直したり。『SOS団』などは、全角表記にしないと横倒しになりますからね。

 ちなみにタイトル文字は、原作風に行くなら[HG創英角ゴシックUB]などがオススメです。
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 原作風に、タイトル下に画像を入れたりしても良いです。下の画像で使っているものは、自分でそれっぽくリテイクしたものです。
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 ヘッダを挿入します。

 [表示(V)] > [ヘッダーとフッター(H)] と進みます。

 まず [奇数ページのヘッダー] から設定。
 カーソルを [奇数ページのヘッダー] に合わせた状態で、 [ヘッダーとフッター] ツールバーの [ページ番号の挿入] をクリック。

 これでページ番号が、自動的に全ての奇数ページに挿入されました。
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 ページ番号に続けて、任意の文字列を打ち込みます。
 オススメは、『[ページ番号]+[全角スペース一個]+[作品タイトル]』。

 打ち込んだら、それらの文字列を選択して、フォントサイズを [6] と手動で入力し、 [Enter] キー。
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 同様に、カーソルを [偶数ページのヘッダー] に合わせ、 [ページ番号の挿入] 、
 それを選択してフォントサイズを [6] にし、今度は [右揃え] にします。
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 終わったら、ツールバーの [閉じる] でヘッダー編集を終了させます。
 すべてのページに、ヘッダが表示されていることを確認してください。
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Microsoft Word 編 - PDF出力
[ファイル(F)] > [印刷(P)]、
[プリンタ名] が [クセロPDF] であることを確認し、 [プロパティ]

[レイアウト/用紙]タブで、
 1.[用紙サイズ] を [Custom Paper] にし、
 2.続けて表示される入力欄に、図の通りの数値を入力、


 3.[品質] の各欄を任意に設定

[フォント] タブ、 [全てのフォントを埋め込む] にチェック

 [文書情報] タブの各欄を任意に入力、 [OK]

 もとの画面に戻って、また [OK]

 保存先と保存名を聞いてくるので、好きなように入力して進めます。
 このとき、いきなりブラウザが立ち上がって広告が出るけど、スパイウェアなどではないので安心して閉じましょう。

 しばらく待つと、PDFファイルが出力されます。

Adobe Reader 編 - 『左綴じ』のダメさの確認
 これで縦書きPDFは作成されましたが、まだ『左綴じ』のままです。実際に見て、どれほどダメか見てみることにします。

 出来たPDFを開きます。
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 画面右下のボタンで、 [見開きページ] にします。

 画面中央下のボタンで、ページを送ることができます。ちょっと進んでみると……

※画像クリックで拡大
 ……ページの順序が変なことがわかります。そのまま読もうとすると、実質、ページ数が、1→3→2→5→4……ってなってしまいます。横書き文書なら、この並び方で正しいんですが、縦書きではこのままではわけがわかりませんね。

 現状と理想を並べてみます。

 というわけで、左綴じでなく右綴じにする作業が次。
RightFile 編 - 『左綴じ』を『右綴じ』へ
 [RightFile.exe] を起動させると、小さなウィンドウが出てきます。

 ここに、先ほどのPDFをドラッグします。

 『終了』と出てきたら完了です。

 元のPDFと同じ場所に、『[元のファイル名]+.pdf』というファイル名で出力されます。

 これが完成品です。全工程終了。配布するなり一人ほくそ笑むなりしてください。
Adobe Reader 編 - 念のため最終確認
 完成品PDFを開いて、画面右下のボタンで [見開きページ] にします。
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 画面中央下のボタンでページを送ります。左綴じのときとは違って、正しい順序で綺麗に続けて表示されます。
※画像クリックで拡大
 お疲れ様でした。
おわりに
 画像をつかいまくりで長いモノになってしまいましたが、無事できたでしょうか。ちなみに、有料のPDFライタであれば、WordからPDFに変換する際の設定で『右綴じ』が選択できるものが多いと思います。RightFileを使う工程をまるっと省けます。Adobe社純正品でしたらどれでも確実にできます。Elementsは5000円程度で買えるので、入門としてはオススメです。私も使ってます。

 PDFへのフォントの埋め込みに関しては、フォントの著作権とか実は結構考えなきゃならんことが多いのですが、自分で見てほくそ笑む分には何ら問題はありません。それに、MS明朝などのメジャーなフォントでしたら、誰でも持っているでしょうからそこまで気を使わなくても大丈夫だとは思います。一応自己責任で。

 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

 冒頭でもかきましたが、これは文庫サイズ用の設定の説明です。A4で文芸誌風にするなら、用紙サイズやレイアウト、フォントサイズ等をいじる必要があります。上下二段組にするのがいい具合だと思います。ページ設定で段数を指定できるので、そういうところも試行錯誤でいじってみると楽しいです。

 ソフトはなんでも、使い倒してなんぼです。いろいろ細かくいじってみると、こんなことができるのかと発見が沢山あります。設定を間違えてパソコンがぶっ壊れることは滅多にありませんから、どんな設定でもとりあえずいじってみるとおもしろいですよ。