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#navi(SS集)
#br
* 作品 [#sc104f71]
** 概要 [#l97ff597]
|~作者 |嫁は朝倉眉 |
|~作品名 |長門有希の報復 |
|~カテゴリー|長門SS(一般)|
|~保管日 |2008-02-24 (日) 23:16:21 |
** 登場キャラ [#ea6b11b2]
//////////
|~キョン |登場 |
|~キョンの妹|不登場 |
|~ハルヒ |登場 |
|~みくる |登場 |
|~古泉一樹 |不登場 |
|~鶴屋さん |不登場 |
|~朝倉涼子 |不登場 |
|~喜緑江美里|不登場|
|~周防九曜 |不登場 |
|~思念体 |不登場 |
|~天蓋領域 |不登場 |
|~阪中 |不登場|
|~谷口 |不登場|
|~ミヨキチ |不登場 |
|~佐々木 |不登場 |
|~橘京子 |不登場 |
** SS [#kefebd3a]
//////////
#br
#setlinebreak(on)
世の中に当番というものがあるということの理不尽を、どう...
すなわち、俺がクジ運悪くこうやって当番にあたり、しかも...
ま、せっかくこうやって校舎の中でも普段通る頻度の少ない...
6組はとなりのクラスだ。だが、俺たちのクラスの方がひと...
その6組の前を、果たして横切ってみることになったわけだ。
当然、気になるのは長門だ。やっぱり誰とも話をせず、ひと...
当たり前といえば当たり前だが、長門はそこにいた。しかし...
なにせ、本を読んでいない。それどころか、クラスの女子と...
考えながら突っ立っていたのは、およそコンマ4秒ほどのこと...
ま、せっかく話に興じているんだ。邪魔をしては悪い。俺は...
それが「歩を進める」どころか、自陣にいきなり飛車でも指...
#br
#br
#br
#br
数日後のことだ。
放課後を知らせるチャイムが鳴るなり、俺のネクタイを涼宮...
「それじゃ遅いわ、あたし掃除当番なんだから。いま、ここで...
何をだよ。
「あんた、隠してることがあるでしょ。このあたしに隠せおお...
自分を釈迦無二世尊か何かと勘違いしているに違いない、唯...
「言うんなら、いまのうちなんだからね?正直に言えば神様だ...
仏様の次は神様か。その神様はキリスト教じゃないだろうな...
「やめておきなさい、ルパンになんてなれやしないんだから」
なる気など更々無いぞ。
「ごまかそうったってだめよ」
言い出したのはお前だ。
「あくまでシラを通そうっていうのね。いいわ、あんたが言わ...
は行の一番上の文字、つまり「は」なんだが、それが口から...
長門は、SOS団の大切な仲間だ。とりわけ、困ったときに頼り...
「うるさい!」
都合が悪くなったらそれかよ。
「噂になってるから、あたしなりに調べてみたのよ。そしたら...
谷口から聞いたんだろ。そんなの信じるのか?
「ちゃんとこの目で見た、って言ってたわよ。あいつ、アホだ...
確かにあいつがそういう場面を見たには違いないがハルヒ、...
「有希だって『前につきあったことある』っていうようなこと...
……長門が?
信じられん。嘘を言わないことに関しては、谷口よりも数段...
特に、俺については、だ。その確信は、ある。
ハルヒは俺が考えているのを見ているのも、黙っているのも...
「……まぁいいわ。あんたと有希の間に何があったか知らないけ...
お前、他人の恋愛に口を出すつもりはない、って言ってなか...
「有希は『他人』なんてつまらない存在なんかじゃないわ。あ...
俺は外してくれるんだな?
「バカなこと言ってんじゃないわよ……とにかく、ちゃんとして...
俺の鼻先を突き刺しそうだった指を自分の腰に戻すと、ハル...
みんな、掃除はゆっくりやってくれ。隅々まで、きれいにな...
#br
#br
#br
#br
部室に向かう道すがら、混乱した頭を少しでも整理すべく、...
ハルヒは、長門が俺と「前につきあったことある」っていう...
しかし、俺の頭の隅にはどうしても、「そうに違いない」と...
……もし本当に長門が、「そう言った」んだったとしたら?
あいつがこの世界を弄くり回しちまったのは、エラーがたま...
本当になんとかなったのか?ひょっとして、その修正でもっ...
いや、他にも誰かが仕組んだ可能性もある。朝倉は長門と同...
あるいは、風読みリボンのあいつが、何か妙なことを望んだ...
どこをどう歩いていくら考えたところで、考えなんてまとま...
つまり、俺は今、6組の前にいる。
長門は……いない、か。あいつはいつも、俺が部室に行く頃に...
教室には、まだ何人かがいた。掃除当番なんだろう、こんな...
覗き込んだのが目に留まったらしく、女子のひとりと目が合...
「有希ちゃんなら、もう行ってるけど?」
そう言えばこいつは、こないだ俺が社会科準備室から帰って...
「え?あぁ、元カレ…とか、のこと?涼宮さんにも聞かれたわね」
やっぱりか。悪いが、詳しく教えてくれないか。
「キミが来たときにね、誰だったか、有希ちゃんに『だぁれ?...
仲良くしてるんじゃない、巻き込まれてるだけだ。
「あら、うれしそうに見えてるけど、違うの?」
否。断じて、否。
「ふぅん…」
そんなに不思議そうな目で見てくれるな。
「とにかく、その場はそうで、ね。そしたら有希ちゃん、部活...
えらく普通の返事じゃないか。それがどうして「元カレ」な...
「なんとなく、返事に間があったのよ。それを別の子が面白が...
そうだろう。その通りじゃないか。実際、あいつと付き合っ...
「うそぉ、そんなはずないでしょ?だって……」
猫がネズミを見つけたときのような目をするやつは、意外と...
「有希ちゃんはね、その後に『今は』って、言ったわよ?」
俺は弁明に奮闘せざるを得なかった。
長門のことは――あいつがどういうつもりだったか分からんか...
#br
#br
#br
#br
さて、俺はますます、訳が分からなくなっていた。
証言によれば、長門は「彼と交際はしていない、今は」と言...
今も昔も、長門とそういう関係になったことはない。どこぞ...
……本当に?
表現Iだろうが総合だろうが、何にせよ出題者は長門だ。答案...
部室のドアをノックすると、ふわふわした心地よい声が出迎...
「はーい」
朝比奈さんが、わざわざ俺のために扉を開けにまで来て下さ...
「あ、やっぱりキョンくん……」
しかし朝比奈さんの顔には、ありありと困惑の色が浮かんで...
「ううん、そうじゃないんですけど……その……」
無茶な格好でなければ、今度は何ですか。
朝比奈さんの向こう、部室の中には確かにハルヒの気配がす...
心配顔の朝比奈さんをそっと横にどけると、俺は部室の中の...
そこにあったのは、腕組みをして長門を見下ろしている、ハ...
世間じゃ誰々が空気が読めるだの読めないだの、やいのやい...
ハルヒは長門の頭にクチバシでも突き立てそうに口を尖らせ...
「有希……お願い」
長門はそのまま本を読んでいた。いや、読んでいたんじゃな...
沈黙は、長くは続かなかった。
「私は、彼に危害を加えられたことはない」
ハルヒのただでさえ大きな目が、さらに開いた。どこまで大...
「ホントに、そうなのね?」
「そう」
「押し倒された、っていうのは?」
「私の身体の物理的なバランスにおいて不安定な状態が、彼の...
「うーん……つまり、キョンが押し倒した、ってことはないのね...
「起き上がるのが困難な状況下で、物理的に支えてもらったこ...
「谷口が見たのはその時のこと?」
「そう」
「ふーん……」
ハルヒはしばらく長門の瞳に自分を映りこませていたが、不...
「わかったわ、有希が嘘なんて言うはず、ないもんね」
こいつ、長門の言うことならあっさり信用しやがった。俺の...
「あらキョン、いたの?人徳よ、人徳。積み上げた徳の成せる...
何が人徳だ、お前に言われたかないね。三徳包丁みたいな目...
「そんなことより、」
そうだろうとは思ったが、やっぱり聞いちゃいない。
「ねぇ有希、ひとつだけ教えて。それじゃあ、なんでわざわざ...
長門は1ミリほど首を傾けた。
「違う。わたしが彼女たちに言ったのは『彼と交際はしていな...
ストーブがついてるとはいえ、よく冷える毎日だ。風が窓ガ...
「あなたとわたしが今までに異性関係という意味で交際をした...
だからな長門――と言おうとして、俺はそれを止めた。何だろ...
その何か、を、俺は直感した。俺は前にも、長門のこんな顔...
――面白がってる、ってことなんだからな。
#br
#br
#br
#br
とんでもなく悪い予感で気分が悪くなりそうな俺を尻目に、...
「あっ、そういうことなんだ!」
今度は何だ、何がどういうことなんだ。
「何よ、あんたまだわかんないの?キョンってさ、
K=空気
Y=読めない
O=男
N=ナンバーワン
の略?ひょっとして」
先にも言ったが、俺はどっちかって言うと空気の読めるタイ...
涼宮ハルヒという生物に、何か苦言を呈するだけ無駄だって...
「あ、そう。わかんないならいいわ。あたしも他人の恋愛に首...
ハルヒはカバンを担ぎ上げると、これから悪ふざけを思いっ...
「古泉君が、なんか面白いものを見つけたって言うから、行く...
どうせ、「機関」の仕込みイベントなんだろう。ある意味安...
「そうそう、キョン!」
ほとんど体も廊下に出てしまおうとしていたハルヒは、ドア...
「有希はとてもじゃないけどやりそうにないから、あたしが代...
なんだよ一体、という台詞を俺が声にする間も与えず、奴は...
その音を合図にしたように、長門は分厚い本にしおりを挟む...
「まだ」
どうした、と口に出してから、俺はもうひとつ大事なことを...
さっきの長門の様子は、明らかにいつもと違った。会話にあ...
場合によっちゃ、非常事態かもしれない。あんまり考えたく...
「していない。この時空平面はこれまでの過去時空と歪みなく...
コンマ5ミリほど顔をこわばらせて、長門は俺を見た。瞳の...
「今まで通りって?」
あくまでいつも通り、平坦に聞き返す長門に、安心したよう...
「情報統合思念体からわたしが受けている任務は、涼宮ハルヒ...
ハルヒ……か。やっぱり、お前がわざわざ妙な話振りをしてほ...
「この数日間に彼女が環境情報に与えた影響は、皆無。ただ」
ただ……どうした?
「ただ、わたしが与えられた影響はある」
まぁ、そりゃな、放課後だけとは言え、顔を毎日毎日つき合...
「涼宮ハルヒがあなたに対して不満を抱いた場合の事後処理に...
漢字が多くてなんだかよくわからんが、つまり、あれだろ?...
「そう。これを、わたしのエラーデータの処理に応用するプロ...
つまり、お前なりにエラーの蓄積を防ごうとしてた、ってこ...
長門は俺の目にわかるようなほんの少しだけ、首を縦に振っ...
そう言ったのを聞いて、長門は両側の眉根を1ミリほど、真...
「……いずれにせよ、6組の級友への情報伝達に齟齬が発生して...
目をそらすと、長門はカバンを持たずにドアへ向かった。
「彼女はまだ、教室にいた?」
振り向かずに、目の端だけで俺を捕らえている。どうだかな...
「そう」
ほとんど体も廊下に出てしまいかけてから、長門はドアノブ...
「訂正は早いほうがいい」
そうだな。
「彼女がいた場合、以前の発言を取り消した上で訂正する」
ん。
「『彼と交際はしたことはない』」
うんうん。
「『……まだ』と」
おいちょっと待て、それじゃ、また――
ドアが戸口に音もなく吸い込まれると、長門の静かな足音が...
「さて……あたしも着替えなきゃ、ですね」
居心地が悪かったですぅ、とバックグラウンドに聞こえて来...
「あの……キョンくん、ひとつ聞いてもいいですか?」
険悪な場面はとうに終わったというのに、朝比奈さんの愛ら...
「そうじゃなくて……その……」
もじもじしている人が人なだけに、破壊力抜群である。こん...
「その……あのねキョンくん、あたし、よくわからないから、間...
仕返し……だって?
確かに、長門はハルヒの行動を解析したと言っていた。ハル...
朝比奈さんは、さっき長門がやったのと同じように、しかし...
「ちょっと気になったんですけど、この前のこと、長門さんに...
この前……ですか?
「うん、あの……あたしが1週間、『みちる』になってたときの」
その間のって、……ああ、長門にちゃんと謝るようにって、朝...
「そんなんじゃなくて……えーと、長門さんとどこかに行くとか...
豊かな胸の前で両手をグーにして合わせ、一生懸命に考える...
俺がそんなことを考えている間にも、朝比奈さんは一生懸命...
「あのね……ひょっとして、長門さんにとって『キョンくんと図...
……そうだ。
改変世界での、「あの長門」と俺の出会った場所。
ハルヒと閉鎖空間に閉じ込められた時、パソコンに表示され...
「それがどうなのかなんて、ぜんぜん分かんないけど……あたし...
えへっ、などと言いながら、ちみっと舌を出しついでにウィ...
朝比奈さんにそんなことを言わせる奴は大罪人ですよ。俺が...
目の前の天使はちょっと口先をとがらせたが、すぐまた優し...
「でも女の子って、いろんなこと、ちょっと期待しちゃうもん...
だから、仕返ししたくなるほど、あいつをがっかりさせちま...
音にならない言葉を唇にそっと広げると、朝比奈さんの口は...
長門も……やっぱ、そうなんですかね。
朝比奈さんは珍しく、上級生らしい目で俺を見た。
「いくら長門さんが宇宙人のナントカだって、女の子には変わ...
手を振る朝比奈さんに頭を下げ、俺は長門のカバンを拾い上...
#br
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結局、その日の「古泉の面白いこと」というのも取るに足ら...
それでもハルヒの機嫌が悪そうに見えなかったのは、ちょっ...
ニヤニヤの意味が分かったのは、その次の土曜だった。
探索、いつもの駅前に集合……とは言っても、長門しかいない...
「急用で欠席」
3人ともか?
「そう」
連絡、あったのか。
「涼宮ハルヒから」
ハルヒのやつ、朝比奈さんや古泉に「来るな」と言ったに違...
「何かって?」
そうだな、妙なことっていうか、いつも言わないような何か...
そう聞くと、長門は真っ直ぐに俺を見た。
「彼女は『貸したげる』と言っていた」
何を?と聞いても、そのまま微動だにしない。これはあれか...
「先日試行したエラー処理プログラムは失敗と判断」
どうしたんだ。
「処理の結果、別のエラーが増大した」
お前のエラーとかっていうことの概念がイマイチはっきり分...
長門の反応を見ようとしていたが、ケータイの着メロに邪魔...
「あっキョン、あたしは急用ができたから行けなくなったけど...
一方的に話すのはいつものことだが、声がでかいんだよお前...
「あたしに世話焼かせるんじゃないわよ!」
それだけをやけに機嫌よく言うと、また一方的に切りやがっ...
ま、いいさ。こないだの部室の時といい、お前たち女子の間...
長門はしばらく、黙って俺の顔を見ていた。こういう時の長...
口に出してはいなかったのだが、長門はタイミングよく「そ...
じゃ、行くか。
「どこに?」
決まってるだろ?
「……了解」
長門は先に歩き出すと、3歩先で振り向いた。そして俺の目...
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#navi(SS集)
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* 作品 [#sc104f71]
** 概要 [#l97ff597]
|~作者 |嫁は朝倉眉 |
|~作品名 |長門有希の報復 |
|~カテゴリー|長門SS(一般)|
|~保管日 |2008-02-24 (日) 23:16:21 |
** 登場キャラ [#ea6b11b2]
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|~キョン |登場 |
|~キョンの妹|不登場 |
|~ハルヒ |登場 |
|~みくる |登場 |
|~古泉一樹 |不登場 |
|~鶴屋さん |不登場 |
|~朝倉涼子 |不登場 |
|~喜緑江美里|不登場|
|~周防九曜 |不登場 |
|~思念体 |不登場 |
|~天蓋領域 |不登場 |
|~阪中 |不登場|
|~谷口 |不登場|
|~ミヨキチ |不登場 |
|~佐々木 |不登場 |
|~橘京子 |不登場 |
** SS [#kefebd3a]
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世の中に当番というものがあるということの理不尽を、どう...
すなわち、俺がクジ運悪くこうやって当番にあたり、しかも...
ま、せっかくこうやって校舎の中でも普段通る頻度の少ない...
6組はとなりのクラスだ。だが、俺たちのクラスの方がひと...
その6組の前を、果たして横切ってみることになったわけだ。
当然、気になるのは長門だ。やっぱり誰とも話をせず、ひと...
当たり前といえば当たり前だが、長門はそこにいた。しかし...
なにせ、本を読んでいない。それどころか、クラスの女子と...
考えながら突っ立っていたのは、およそコンマ4秒ほどのこと...
ま、せっかく話に興じているんだ。邪魔をしては悪い。俺は...
それが「歩を進める」どころか、自陣にいきなり飛車でも指...
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数日後のことだ。
放課後を知らせるチャイムが鳴るなり、俺のネクタイを涼宮...
「それじゃ遅いわ、あたし掃除当番なんだから。いま、ここで...
何をだよ。
「あんた、隠してることがあるでしょ。このあたしに隠せおお...
自分を釈迦無二世尊か何かと勘違いしているに違いない、唯...
「言うんなら、いまのうちなんだからね?正直に言えば神様だ...
仏様の次は神様か。その神様はキリスト教じゃないだろうな...
「やめておきなさい、ルパンになんてなれやしないんだから」
なる気など更々無いぞ。
「ごまかそうったってだめよ」
言い出したのはお前だ。
「あくまでシラを通そうっていうのね。いいわ、あんたが言わ...
は行の一番上の文字、つまり「は」なんだが、それが口から...
長門は、SOS団の大切な仲間だ。とりわけ、困ったときに頼り...
「うるさい!」
都合が悪くなったらそれかよ。
「噂になってるから、あたしなりに調べてみたのよ。そしたら...
谷口から聞いたんだろ。そんなの信じるのか?
「ちゃんとこの目で見た、って言ってたわよ。あいつ、アホだ...
確かにあいつがそういう場面を見たには違いないがハルヒ、...
「有希だって『前につきあったことある』っていうようなこと...
……長門が?
信じられん。嘘を言わないことに関しては、谷口よりも数段...
特に、俺については、だ。その確信は、ある。
ハルヒは俺が考えているのを見ているのも、黙っているのも...
「……まぁいいわ。あんたと有希の間に何があったか知らないけ...
お前、他人の恋愛に口を出すつもりはない、って言ってなか...
「有希は『他人』なんてつまらない存在なんかじゃないわ。あ...
俺は外してくれるんだな?
「バカなこと言ってんじゃないわよ……とにかく、ちゃんとして...
俺の鼻先を突き刺しそうだった指を自分の腰に戻すと、ハル...
みんな、掃除はゆっくりやってくれ。隅々まで、きれいにな...
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部室に向かう道すがら、混乱した頭を少しでも整理すべく、...
ハルヒは、長門が俺と「前につきあったことある」っていう...
しかし、俺の頭の隅にはどうしても、「そうに違いない」と...
……もし本当に長門が、「そう言った」んだったとしたら?
あいつがこの世界を弄くり回しちまったのは、エラーがたま...
本当になんとかなったのか?ひょっとして、その修正でもっ...
いや、他にも誰かが仕組んだ可能性もある。朝倉は長門と同...
あるいは、風読みリボンのあいつが、何か妙なことを望んだ...
どこをどう歩いていくら考えたところで、考えなんてまとま...
つまり、俺は今、6組の前にいる。
長門は……いない、か。あいつはいつも、俺が部室に行く頃に...
教室には、まだ何人かがいた。掃除当番なんだろう、こんな...
覗き込んだのが目に留まったらしく、女子のひとりと目が合...
「有希ちゃんなら、もう行ってるけど?」
そう言えばこいつは、こないだ俺が社会科準備室から帰って...
「え?あぁ、元カレ…とか、のこと?涼宮さんにも聞かれたわね」
やっぱりか。悪いが、詳しく教えてくれないか。
「キミが来たときにね、誰だったか、有希ちゃんに『だぁれ?...
仲良くしてるんじゃない、巻き込まれてるだけだ。
「あら、うれしそうに見えてるけど、違うの?」
否。断じて、否。
「ふぅん…」
そんなに不思議そうな目で見てくれるな。
「とにかく、その場はそうで、ね。そしたら有希ちゃん、部活...
えらく普通の返事じゃないか。それがどうして「元カレ」な...
「なんとなく、返事に間があったのよ。それを別の子が面白が...
そうだろう。その通りじゃないか。実際、あいつと付き合っ...
「うそぉ、そんなはずないでしょ?だって……」
猫がネズミを見つけたときのような目をするやつは、意外と...
「有希ちゃんはね、その後に『今は』って、言ったわよ?」
俺は弁明に奮闘せざるを得なかった。
長門のことは――あいつがどういうつもりだったか分からんか...
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さて、俺はますます、訳が分からなくなっていた。
証言によれば、長門は「彼と交際はしていない、今は」と言...
今も昔も、長門とそういう関係になったことはない。どこぞ...
……本当に?
表現Iだろうが総合だろうが、何にせよ出題者は長門だ。答案...
部室のドアをノックすると、ふわふわした心地よい声が出迎...
「はーい」
朝比奈さんが、わざわざ俺のために扉を開けにまで来て下さ...
「あ、やっぱりキョンくん……」
しかし朝比奈さんの顔には、ありありと困惑の色が浮かんで...
「ううん、そうじゃないんですけど……その……」
無茶な格好でなければ、今度は何ですか。
朝比奈さんの向こう、部室の中には確かにハルヒの気配がす...
心配顔の朝比奈さんをそっと横にどけると、俺は部室の中の...
そこにあったのは、腕組みをして長門を見下ろしている、ハ...
世間じゃ誰々が空気が読めるだの読めないだの、やいのやい...
ハルヒは長門の頭にクチバシでも突き立てそうに口を尖らせ...
「有希……お願い」
長門はそのまま本を読んでいた。いや、読んでいたんじゃな...
沈黙は、長くは続かなかった。
「私は、彼に危害を加えられたことはない」
ハルヒのただでさえ大きな目が、さらに開いた。どこまで大...
「ホントに、そうなのね?」
「そう」
「押し倒された、っていうのは?」
「私の身体の物理的なバランスにおいて不安定な状態が、彼の...
「うーん……つまり、キョンが押し倒した、ってことはないのね...
「起き上がるのが困難な状況下で、物理的に支えてもらったこ...
「谷口が見たのはその時のこと?」
「そう」
「ふーん……」
ハルヒはしばらく長門の瞳に自分を映りこませていたが、不...
「わかったわ、有希が嘘なんて言うはず、ないもんね」
こいつ、長門の言うことならあっさり信用しやがった。俺の...
「あらキョン、いたの?人徳よ、人徳。積み上げた徳の成せる...
何が人徳だ、お前に言われたかないね。三徳包丁みたいな目...
「そんなことより、」
そうだろうとは思ったが、やっぱり聞いちゃいない。
「ねぇ有希、ひとつだけ教えて。それじゃあ、なんでわざわざ...
長門は1ミリほど首を傾けた。
「違う。わたしが彼女たちに言ったのは『彼と交際はしていな...
ストーブがついてるとはいえ、よく冷える毎日だ。風が窓ガ...
「あなたとわたしが今までに異性関係という意味で交際をした...
だからな長門――と言おうとして、俺はそれを止めた。何だろ...
その何か、を、俺は直感した。俺は前にも、長門のこんな顔...
――面白がってる、ってことなんだからな。
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とんでもなく悪い予感で気分が悪くなりそうな俺を尻目に、...
「あっ、そういうことなんだ!」
今度は何だ、何がどういうことなんだ。
「何よ、あんたまだわかんないの?キョンってさ、
K=空気
Y=読めない
O=男
N=ナンバーワン
の略?ひょっとして」
先にも言ったが、俺はどっちかって言うと空気の読めるタイ...
涼宮ハルヒという生物に、何か苦言を呈するだけ無駄だって...
「あ、そう。わかんないならいいわ。あたしも他人の恋愛に首...
ハルヒはカバンを担ぎ上げると、これから悪ふざけを思いっ...
「古泉君が、なんか面白いものを見つけたって言うから、行く...
どうせ、「機関」の仕込みイベントなんだろう。ある意味安...
「そうそう、キョン!」
ほとんど体も廊下に出てしまおうとしていたハルヒは、ドア...
「有希はとてもじゃないけどやりそうにないから、あたしが代...
なんだよ一体、という台詞を俺が声にする間も与えず、奴は...
その音を合図にしたように、長門は分厚い本にしおりを挟む...
「まだ」
どうした、と口に出してから、俺はもうひとつ大事なことを...
さっきの長門の様子は、明らかにいつもと違った。会話にあ...
場合によっちゃ、非常事態かもしれない。あんまり考えたく...
「していない。この時空平面はこれまでの過去時空と歪みなく...
コンマ5ミリほど顔をこわばらせて、長門は俺を見た。瞳の...
「今まで通りって?」
あくまでいつも通り、平坦に聞き返す長門に、安心したよう...
「情報統合思念体からわたしが受けている任務は、涼宮ハルヒ...
ハルヒ……か。やっぱり、お前がわざわざ妙な話振りをしてほ...
「この数日間に彼女が環境情報に与えた影響は、皆無。ただ」
ただ……どうした?
「ただ、わたしが与えられた影響はある」
まぁ、そりゃな、放課後だけとは言え、顔を毎日毎日つき合...
「涼宮ハルヒがあなたに対して不満を抱いた場合の事後処理に...
漢字が多くてなんだかよくわからんが、つまり、あれだろ?...
「そう。これを、わたしのエラーデータの処理に応用するプロ...
つまり、お前なりにエラーの蓄積を防ごうとしてた、ってこ...
長門は俺の目にわかるようなほんの少しだけ、首を縦に振っ...
そう言ったのを聞いて、長門は両側の眉根を1ミリほど、真...
「……いずれにせよ、6組の級友への情報伝達に齟齬が発生して...
目をそらすと、長門はカバンを持たずにドアへ向かった。
「彼女はまだ、教室にいた?」
振り向かずに、目の端だけで俺を捕らえている。どうだかな...
「そう」
ほとんど体も廊下に出てしまいかけてから、長門はドアノブ...
「訂正は早いほうがいい」
そうだな。
「彼女がいた場合、以前の発言を取り消した上で訂正する」
ん。
「『彼と交際はしたことはない』」
うんうん。
「『……まだ』と」
おいちょっと待て、それじゃ、また――
ドアが戸口に音もなく吸い込まれると、長門の静かな足音が...
「さて……あたしも着替えなきゃ、ですね」
居心地が悪かったですぅ、とバックグラウンドに聞こえて来...
「あの……キョンくん、ひとつ聞いてもいいですか?」
険悪な場面はとうに終わったというのに、朝比奈さんの愛ら...
「そうじゃなくて……その……」
もじもじしている人が人なだけに、破壊力抜群である。こん...
「その……あのねキョンくん、あたし、よくわからないから、間...
仕返し……だって?
確かに、長門はハルヒの行動を解析したと言っていた。ハル...
朝比奈さんは、さっき長門がやったのと同じように、しかし...
「ちょっと気になったんですけど、この前のこと、長門さんに...
この前……ですか?
「うん、あの……あたしが1週間、『みちる』になってたときの」
その間のって、……ああ、長門にちゃんと謝るようにって、朝...
「そんなんじゃなくて……えーと、長門さんとどこかに行くとか...
豊かな胸の前で両手をグーにして合わせ、一生懸命に考える...
俺がそんなことを考えている間にも、朝比奈さんは一生懸命...
「あのね……ひょっとして、長門さんにとって『キョンくんと図...
……そうだ。
改変世界での、「あの長門」と俺の出会った場所。
ハルヒと閉鎖空間に閉じ込められた時、パソコンに表示され...
「それがどうなのかなんて、ぜんぜん分かんないけど……あたし...
えへっ、などと言いながら、ちみっと舌を出しついでにウィ...
朝比奈さんにそんなことを言わせる奴は大罪人ですよ。俺が...
目の前の天使はちょっと口先をとがらせたが、すぐまた優し...
「でも女の子って、いろんなこと、ちょっと期待しちゃうもん...
だから、仕返ししたくなるほど、あいつをがっかりさせちま...
音にならない言葉を唇にそっと広げると、朝比奈さんの口は...
長門も……やっぱ、そうなんですかね。
朝比奈さんは珍しく、上級生らしい目で俺を見た。
「いくら長門さんが宇宙人のナントカだって、女の子には変わ...
手を振る朝比奈さんに頭を下げ、俺は長門のカバンを拾い上...
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結局、その日の「古泉の面白いこと」というのも取るに足ら...
それでもハルヒの機嫌が悪そうに見えなかったのは、ちょっ...
ニヤニヤの意味が分かったのは、その次の土曜だった。
探索、いつもの駅前に集合……とは言っても、長門しかいない...
「急用で欠席」
3人ともか?
「そう」
連絡、あったのか。
「涼宮ハルヒから」
ハルヒのやつ、朝比奈さんや古泉に「来るな」と言ったに違...
「何かって?」
そうだな、妙なことっていうか、いつも言わないような何か...
そう聞くと、長門は真っ直ぐに俺を見た。
「彼女は『貸したげる』と言っていた」
何を?と聞いても、そのまま微動だにしない。これはあれか...
「先日試行したエラー処理プログラムは失敗と判断」
どうしたんだ。
「処理の結果、別のエラーが増大した」
お前のエラーとかっていうことの概念がイマイチはっきり分...
長門の反応を見ようとしていたが、ケータイの着メロに邪魔...
「あっキョン、あたしは急用ができたから行けなくなったけど...
一方的に話すのはいつものことだが、声がでかいんだよお前...
「あたしに世話焼かせるんじゃないわよ!」
それだけをやけに機嫌よく言うと、また一方的に切りやがっ...
ま、いいさ。こないだの部室の時といい、お前たち女子の間...
長門はしばらく、黙って俺の顔を見ていた。こういう時の長...
口に出してはいなかったのだが、長門はタイミングよく「そ...
じゃ、行くか。
「どこに?」
決まってるだろ?
「……了解」
長門は先に歩き出すと、3歩先で振り向いた。そして俺の目...
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