たまにCSSが抜けた状態で表示されてしまうようです。そのような時は、何度かリロードすると正しく表示できるようになります。
SS集/825
をテンプレートにして作成
トップ
新規
一覧
単語検索
ヘルプ
開始行:
#navi(SS集)
#br
* 作品 [#zf1dd316]
** 概要 [#p76ed6e1]
|~作者 |葉 |
|~作品名 |散歩 |
|~カテゴリー|長門SS(一般)|
|~保管日 |2007-10-15 (月) 22:48:00 |
** 登場キャラ [#g845c05d]
//////////
|~キョン |不登場 |
|~キョンの妹|不登場 |
|~ハルヒ |不登場 |
|~みくる |不登場 |
|~古泉一樹 |不登場 |
|~鶴屋さん |不登場 |
|~朝倉涼子 |不登場 |
|~喜緑江美里|不登場|
|~周防九曜 |不登場 |
|~思念体 |不登場 |
|~天蓋領域 |不登場 |
|~阪中 |不登場|
|~谷口 |不登場|
|~ミヨキチ |不登場 |
|~佐々木 |不登場 |
|~橘京子 |不登場 |
** SS [#o20f62a2]
//////////
#br
#setlinebreak(on)
或る冬の真夜中。
ふと、目が覚めた。
温い布団から身を起こし、身支度を始める。
寝巻きから冬服の制服を着てカーディガンを羽織、更にその上...
手袋も忘れない。
全ては暗闇の中で、済ます。
コートのポケットへ鍵と少量の小銭を忍ばせ、自宅を後にした。
真夜中の散歩、特に意味は無い。
夜空に満天の星々。
空気が何処までも冷え澄み渡り、何時もよりも良く見渡せる。
余りの冷気に耳と鼻が痛み出し、顔全体が強張る。
フードを目深に被り、両手を顔に暫く当てる。
暫くそうしていて、少しは良くなったので歩く。
紅葉の秋は当の昔に過ぎ去り、枯木の並木道を独りで歩く。
寒々しく何時もより透明度が高く、眼に見える光景も耳に聞え...
その代わり香りも臭いも冷気に押さえられ殆ど無いも同然、触...
冬には冬なりの良い所があり、悪い事もあると、ぼんやりと思...
一昔前の私は、そんな似通った所があった。
でも私は冬そのものでは無かった、事実それでは自身を保てな...
多くの人と偶然と必然性を持って、今の私が在る。
諸手に余る程、両肩が軋み背から落ちそうな位の使命があるが。
それでも私は、救われている。
私は冬では無かった、では何者か。
人である、この星の純粋な人ではないにしろ、人である。
普遍的ではないにしろ、それを望み目指す者。
そうで在りたいと願う者。
名は長門有希。
はた、と思う。
何を今更、フードを目深に被り続け両の手をコートのポケット...
真夜中の冬、並木道。
凍える道中、彼方に見える仄かな明かり。
何の変哲も無い、コンビニ。
店前に辿り着く。
たむろする冬着の少年少女達、ふて腐れている。
彼等彼女等にも悩み苦しみはあるのだろう、ありふれた良くあ...
それだけ思い、店の中へ。
フードを後ろへ下ろし、店内を物色する。
雑誌、アイス、菓子、雑多品、飲食料コーナーへと順繰りに周...
店員はいない、奥の方でモニターでも眺めているのだろう。
今いる中は暖かい、外は寒いだろう。
飲食料コーナーへ向かい、缶コーヒーホットを手にひとつ取る。
コタツにアイスとふたつ思い浮かべ、またレジから遠退き小箱...
レジに向かうと、眠そうで無精髭の目立つ男の人が出てきた。
品物を置く。
相手が品を手に取りバーコードを読み取る、会計。
ポケットから五百円玉を取り出し、置く。
代わりに少量の釣りと、小さめのレジ袋を受け取る。
出際にフードを目深に被り、店前を伺う。
彼等彼女等は既に何処かに去り、手前駐車場に配送トラック。
運転手のにいさんに、心配そうでそれでいて怪訝そうな視線で...
会釈して私も去る。
普遍的。
先の同い年位の男女も、あの配送も極めて普通。
あの人達の事は今の私には殆ど何も解らないけども、そんな印...
何の為に生まれてきたのか、未だ判然とせず周りは厳しい多く...
生まれてきた意味を横に置き、生き抜くために辛い仕事に従事...
勝手に思い浮かべてみる、私の自由。
歩く、歩く、真冬の夜道を。
では私は何なのだろうか、使命はある。
それではその使命を除けば、私は何なのだろうか。
果たしてあの日常を取り巻く、出来事が過ぎ去れば私は。
どうなるであろうか。
手下げた袋からカンコーヒーを取り出し、プルトップを開け一...
暖かく甘ったるい、元のコーヒーの味が少々。
力を殆ど使わない私は、通り一遍の未来ではなく数多のこれか...
だから遠回り始め、無駄な事が多々あるだろうし自ら招くだろ...
それが苦悩や葛藤や限り無く絶望的な事と思いに、ぶつかり沈...
その場で打算し解決し乗り越える、または未然に自身と周辺を...
またはその姿勢と努力。
それが、そういう生き方が普通で普遍的なのだろうか。
そもそも、それが解らない。
多分、これから先も考える事になるのだろう。
何故ならそれが私の主題だからだ。
普通、普遍、大多数、その他大勢。
若干、苛々してきた。
その事に少しばかり安堵する。
余り意識する事でも無い気がする、馴染めれば良い様な気がし...
歩く、歩く、時たま飲む。
気付く、此処は何処。
辺りを見渡せば見知らぬ住宅街、一戸建てが立ち並ぶ家々。
迷った時は通ってきた道を引き返すのが一番の方法だけども、...
柄にも無い事を考えて所為か、前後不覚。
静かだが何処か跳ね返す様な雰囲気、暖かみは無く寒さ凍え冷...
雪が降り、半端ながらも白く輝く銀世界。
騒がしく姦しくなければ、殆どの音を吸収し平穏なる雰囲気を...
不安が芽生える、私に絡みつく。
先の思いが蘇る。
今の日常が過ぎ去れば私は、どうなるのであろう。
観察し報告し、仲間を守護する役目を終えた、その時の私。
高校、大学、社会、と様々な経過はあるものの。
役目を終えた私は、私であり続ける事が出来るのか。
仲間達はいても、親から使命を終えたと告げられた。
その後の私は、一体。
どうか消さないで欲しい、そして消えるのならば。
普通に過ぎ去る年月と共に、年老いて死にたい。
生き抜きたい。
夜空を見上げる、相も変わらず輝く無数の星。
流れ星、瞬いた。
願いは唱えない、前を見る。
今現在、何処にいるか判らないけども。
山々に雑木林の類を裂けて、建物に道を沿って歩けば。
何時かは道尋ねられる人にも出会えるだろう、地図も見つかる...
歩こう、歩き出す。
願い成就されるされないに関わらず、途中経過を楽しめれば良...
寿命、死、終わり、これが全てではない。
それは一点に過ぎない、面で捉えて行きたい、欲を言えば空間...
更に思うならば、それらを余り意識する事無く。
淡々と静々と歩く、不気味と思えなくもない、夜の中。
建物の群の中から飛び出さない様に、道に沿いながら。
何もかもが、おかしい。変わっている。
あの出来事から以前の私は、これ程までに自分に対する問題を...
先が見えないから、脅えているのだろうか慄いているのだろう...
思案する思考する、大した時間も量でも無いけれども。
代償行為だろうか、それか自分に対してそれだけ真剣に向き合...
どちらにせよ、煮詰まり言葉に埋もれ身動き出来なくなる様は...
理屈無しに。
気付く時は気付き。
感じる時は感じる。
魔法など使わずとも、自ずと自然に。
歩き続けて体が火照り始めたのか。
柄にも無い突拍子な事ばかり考えた所為、照れか羞恥か。
コーヒーを飲む、冷めている。
そこそこの量を飲み干す。
喉は潤った、まだ歩けそう。
目の前に一粒の雪が舞い、落ちる。水の結晶。
夜空を見上げる、星々は映らず一面の雲。
そこから雪が降って来る、降って来る。
微妙で複雑な感慨、感情が、僅かに競り上がる。
何時の間にかフードが脱げ、頭と顔があらわになっても見続け...
歩は止まっていた。
私の名の由来、大事な事、決して他者に踏み躙られてはならな...
この世の、この星の、決まった季節と条件が織り成す奇跡。
私自身の事を表現し、そこに類希なる望みと願いを込めた。
限り有るであろう私にどうか奇蹟を、その為なら出来る事全て…...
想いから覚める、時々似たような事を考えている時がある。
自分自身の事なのに、ふと考えるだけで解らなくなる。
深みに深みに、沈めば沈む程、私が私を見失う。
前へ向き直り、フードも被らずに歩き出す。
雪は変わらず振り続ける、身に積もる冷たい幽かな重み。
頭、両肩、それより下は疎らに。
へばり付く、白い雪。
もう何処をどう気を付けて歩けば良いという問題は、この際ど...
冬、風、処、夜空、流星、闇雲、雪。
私は降り積もり敷き詰められた雪の、行く末を末路を知ってい...
如何なる環境と場所と状況でも、薄汚く踏み躙られ汚れ穢れ…。
その内、溶けて水になり。
その内、蒸発して粒子になり元の場所へ戻る。
余り良い事ではない、ではないにしろ。
雪が降る様、その結果の一時の銀世界。
誰かに覚えて貰い、誰かの良き結果に繋がるのなら。
それで良い、綺麗なまま終われなくても。
慰めだろうか、未来に悲惨な自分を予感してしまった、私自身...
結局、思考思案は出口の無い、究極の迷路なのだ。
得る事はあるかもしれない、でも溺れればそれまで。
今日の真夜中考えた事は、これからの出来事で答を導き出そう。
気付くと、目の前に地図の立て看板。
歩調を僅かに上げて、近寄り見てみる。
現在位置の赤点から、直ぐ傍に私の住まいが標されている。
看板から眼を離し、高層マンションを見上げる。
肩透かしの様な気分、それと他愛も無い喪失感。
コンビニの袋はしっかりと持っていた、だが。
空き缶はどうやら何処かに落とし、置き去りにしてしまったら...
一瞬迷う、戻るか戻らないべきか。
今迄来た道を見る、暗くて黒く先が見えない道。
自分の住居を見る、あそこに戻ればもう帰れる。
空き缶の分は。
後日、取り返そう。
一度の汚れを引き換えに、沢山の汚れをキレイにすれば良い。
あと、もう少し落ち着いた所で、今度は飲もう。
帰っても良い所に帰り、一切の明かりの無い家の玄関で雪を払...
自宅の冷蔵庫に買ってきたアイスを入れ保存する。
ビニール袋は屑カゴの袋に使えるので、台所の箪笥の何時もの...
寝室に行く。
上着であるダッフルコートをハンガーに掛け、カーディガンと...
最後に布団の上に脱ぎ散らした寝巻きを手に取る。
着替え終わって冷たい布団に頭の先まで入って、腕組し脚を交...
明日の朝の光景を、真白な世界を思い浮かべながら。
明日の奇妙な学園生活を、思い浮かべながら。
明日の帰宅後、あの居間でコタツに入りアイスを食べながら一...
再び眠る。
//////////
#setlinebreak(default)
#br
----
終了行:
#navi(SS集)
#br
* 作品 [#zf1dd316]
** 概要 [#p76ed6e1]
|~作者 |葉 |
|~作品名 |散歩 |
|~カテゴリー|長門SS(一般)|
|~保管日 |2007-10-15 (月) 22:48:00 |
** 登場キャラ [#g845c05d]
//////////
|~キョン |不登場 |
|~キョンの妹|不登場 |
|~ハルヒ |不登場 |
|~みくる |不登場 |
|~古泉一樹 |不登場 |
|~鶴屋さん |不登場 |
|~朝倉涼子 |不登場 |
|~喜緑江美里|不登場|
|~周防九曜 |不登場 |
|~思念体 |不登場 |
|~天蓋領域 |不登場 |
|~阪中 |不登場|
|~谷口 |不登場|
|~ミヨキチ |不登場 |
|~佐々木 |不登場 |
|~橘京子 |不登場 |
** SS [#o20f62a2]
//////////
#br
#setlinebreak(on)
或る冬の真夜中。
ふと、目が覚めた。
温い布団から身を起こし、身支度を始める。
寝巻きから冬服の制服を着てカーディガンを羽織、更にその上...
手袋も忘れない。
全ては暗闇の中で、済ます。
コートのポケットへ鍵と少量の小銭を忍ばせ、自宅を後にした。
真夜中の散歩、特に意味は無い。
夜空に満天の星々。
空気が何処までも冷え澄み渡り、何時もよりも良く見渡せる。
余りの冷気に耳と鼻が痛み出し、顔全体が強張る。
フードを目深に被り、両手を顔に暫く当てる。
暫くそうしていて、少しは良くなったので歩く。
紅葉の秋は当の昔に過ぎ去り、枯木の並木道を独りで歩く。
寒々しく何時もより透明度が高く、眼に見える光景も耳に聞え...
その代わり香りも臭いも冷気に押さえられ殆ど無いも同然、触...
冬には冬なりの良い所があり、悪い事もあると、ぼんやりと思...
一昔前の私は、そんな似通った所があった。
でも私は冬そのものでは無かった、事実それでは自身を保てな...
多くの人と偶然と必然性を持って、今の私が在る。
諸手に余る程、両肩が軋み背から落ちそうな位の使命があるが。
それでも私は、救われている。
私は冬では無かった、では何者か。
人である、この星の純粋な人ではないにしろ、人である。
普遍的ではないにしろ、それを望み目指す者。
そうで在りたいと願う者。
名は長門有希。
はた、と思う。
何を今更、フードを目深に被り続け両の手をコートのポケット...
真夜中の冬、並木道。
凍える道中、彼方に見える仄かな明かり。
何の変哲も無い、コンビニ。
店前に辿り着く。
たむろする冬着の少年少女達、ふて腐れている。
彼等彼女等にも悩み苦しみはあるのだろう、ありふれた良くあ...
それだけ思い、店の中へ。
フードを後ろへ下ろし、店内を物色する。
雑誌、アイス、菓子、雑多品、飲食料コーナーへと順繰りに周...
店員はいない、奥の方でモニターでも眺めているのだろう。
今いる中は暖かい、外は寒いだろう。
飲食料コーナーへ向かい、缶コーヒーホットを手にひとつ取る。
コタツにアイスとふたつ思い浮かべ、またレジから遠退き小箱...
レジに向かうと、眠そうで無精髭の目立つ男の人が出てきた。
品物を置く。
相手が品を手に取りバーコードを読み取る、会計。
ポケットから五百円玉を取り出し、置く。
代わりに少量の釣りと、小さめのレジ袋を受け取る。
出際にフードを目深に被り、店前を伺う。
彼等彼女等は既に何処かに去り、手前駐車場に配送トラック。
運転手のにいさんに、心配そうでそれでいて怪訝そうな視線で...
会釈して私も去る。
普遍的。
先の同い年位の男女も、あの配送も極めて普通。
あの人達の事は今の私には殆ど何も解らないけども、そんな印...
何の為に生まれてきたのか、未だ判然とせず周りは厳しい多く...
生まれてきた意味を横に置き、生き抜くために辛い仕事に従事...
勝手に思い浮かべてみる、私の自由。
歩く、歩く、真冬の夜道を。
では私は何なのだろうか、使命はある。
それではその使命を除けば、私は何なのだろうか。
果たしてあの日常を取り巻く、出来事が過ぎ去れば私は。
どうなるであろうか。
手下げた袋からカンコーヒーを取り出し、プルトップを開け一...
暖かく甘ったるい、元のコーヒーの味が少々。
力を殆ど使わない私は、通り一遍の未来ではなく数多のこれか...
だから遠回り始め、無駄な事が多々あるだろうし自ら招くだろ...
それが苦悩や葛藤や限り無く絶望的な事と思いに、ぶつかり沈...
その場で打算し解決し乗り越える、または未然に自身と周辺を...
またはその姿勢と努力。
それが、そういう生き方が普通で普遍的なのだろうか。
そもそも、それが解らない。
多分、これから先も考える事になるのだろう。
何故ならそれが私の主題だからだ。
普通、普遍、大多数、その他大勢。
若干、苛々してきた。
その事に少しばかり安堵する。
余り意識する事でも無い気がする、馴染めれば良い様な気がし...
歩く、歩く、時たま飲む。
気付く、此処は何処。
辺りを見渡せば見知らぬ住宅街、一戸建てが立ち並ぶ家々。
迷った時は通ってきた道を引き返すのが一番の方法だけども、...
柄にも無い事を考えて所為か、前後不覚。
静かだが何処か跳ね返す様な雰囲気、暖かみは無く寒さ凍え冷...
雪が降り、半端ながらも白く輝く銀世界。
騒がしく姦しくなければ、殆どの音を吸収し平穏なる雰囲気を...
不安が芽生える、私に絡みつく。
先の思いが蘇る。
今の日常が過ぎ去れば私は、どうなるのであろう。
観察し報告し、仲間を守護する役目を終えた、その時の私。
高校、大学、社会、と様々な経過はあるものの。
役目を終えた私は、私であり続ける事が出来るのか。
仲間達はいても、親から使命を終えたと告げられた。
その後の私は、一体。
どうか消さないで欲しい、そして消えるのならば。
普通に過ぎ去る年月と共に、年老いて死にたい。
生き抜きたい。
夜空を見上げる、相も変わらず輝く無数の星。
流れ星、瞬いた。
願いは唱えない、前を見る。
今現在、何処にいるか判らないけども。
山々に雑木林の類を裂けて、建物に道を沿って歩けば。
何時かは道尋ねられる人にも出会えるだろう、地図も見つかる...
歩こう、歩き出す。
願い成就されるされないに関わらず、途中経過を楽しめれば良...
寿命、死、終わり、これが全てではない。
それは一点に過ぎない、面で捉えて行きたい、欲を言えば空間...
更に思うならば、それらを余り意識する事無く。
淡々と静々と歩く、不気味と思えなくもない、夜の中。
建物の群の中から飛び出さない様に、道に沿いながら。
何もかもが、おかしい。変わっている。
あの出来事から以前の私は、これ程までに自分に対する問題を...
先が見えないから、脅えているのだろうか慄いているのだろう...
思案する思考する、大した時間も量でも無いけれども。
代償行為だろうか、それか自分に対してそれだけ真剣に向き合...
どちらにせよ、煮詰まり言葉に埋もれ身動き出来なくなる様は...
理屈無しに。
気付く時は気付き。
感じる時は感じる。
魔法など使わずとも、自ずと自然に。
歩き続けて体が火照り始めたのか。
柄にも無い突拍子な事ばかり考えた所為、照れか羞恥か。
コーヒーを飲む、冷めている。
そこそこの量を飲み干す。
喉は潤った、まだ歩けそう。
目の前に一粒の雪が舞い、落ちる。水の結晶。
夜空を見上げる、星々は映らず一面の雲。
そこから雪が降って来る、降って来る。
微妙で複雑な感慨、感情が、僅かに競り上がる。
何時の間にかフードが脱げ、頭と顔があらわになっても見続け...
歩は止まっていた。
私の名の由来、大事な事、決して他者に踏み躙られてはならな...
この世の、この星の、決まった季節と条件が織り成す奇跡。
私自身の事を表現し、そこに類希なる望みと願いを込めた。
限り有るであろう私にどうか奇蹟を、その為なら出来る事全て…...
想いから覚める、時々似たような事を考えている時がある。
自分自身の事なのに、ふと考えるだけで解らなくなる。
深みに深みに、沈めば沈む程、私が私を見失う。
前へ向き直り、フードも被らずに歩き出す。
雪は変わらず振り続ける、身に積もる冷たい幽かな重み。
頭、両肩、それより下は疎らに。
へばり付く、白い雪。
もう何処をどう気を付けて歩けば良いという問題は、この際ど...
冬、風、処、夜空、流星、闇雲、雪。
私は降り積もり敷き詰められた雪の、行く末を末路を知ってい...
如何なる環境と場所と状況でも、薄汚く踏み躙られ汚れ穢れ…。
その内、溶けて水になり。
その内、蒸発して粒子になり元の場所へ戻る。
余り良い事ではない、ではないにしろ。
雪が降る様、その結果の一時の銀世界。
誰かに覚えて貰い、誰かの良き結果に繋がるのなら。
それで良い、綺麗なまま終われなくても。
慰めだろうか、未来に悲惨な自分を予感してしまった、私自身...
結局、思考思案は出口の無い、究極の迷路なのだ。
得る事はあるかもしれない、でも溺れればそれまで。
今日の真夜中考えた事は、これからの出来事で答を導き出そう。
気付くと、目の前に地図の立て看板。
歩調を僅かに上げて、近寄り見てみる。
現在位置の赤点から、直ぐ傍に私の住まいが標されている。
看板から眼を離し、高層マンションを見上げる。
肩透かしの様な気分、それと他愛も無い喪失感。
コンビニの袋はしっかりと持っていた、だが。
空き缶はどうやら何処かに落とし、置き去りにしてしまったら...
一瞬迷う、戻るか戻らないべきか。
今迄来た道を見る、暗くて黒く先が見えない道。
自分の住居を見る、あそこに戻ればもう帰れる。
空き缶の分は。
後日、取り返そう。
一度の汚れを引き換えに、沢山の汚れをキレイにすれば良い。
あと、もう少し落ち着いた所で、今度は飲もう。
帰っても良い所に帰り、一切の明かりの無い家の玄関で雪を払...
自宅の冷蔵庫に買ってきたアイスを入れ保存する。
ビニール袋は屑カゴの袋に使えるので、台所の箪笥の何時もの...
寝室に行く。
上着であるダッフルコートをハンガーに掛け、カーディガンと...
最後に布団の上に脱ぎ散らした寝巻きを手に取る。
着替え終わって冷たい布団に頭の先まで入って、腕組し脚を交...
明日の朝の光景を、真白な世界を思い浮かべながら。
明日の奇妙な学園生活を、思い浮かべながら。
明日の帰宅後、あの居間でコタツに入りアイスを食べながら一...
再び眠る。
//////////
#setlinebreak(default)
#br
----
ページ名: