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#navi(SS集)
#br
* 作品 [#ud8b66f5]
** 概要 [#r9224d57]
|~作者 |輪舞の人 |
|~作品名 |機械知性体たちの輪舞曲 エピローグ ...
|~カテゴリー|長門SS(一般)|
|~保管日 |2007-06-11 (月) 01:33:38 |
** 登場キャラ [#jeb54981]
//////////
|~キョン |不登場 |
|~キョンの妹|不登場 |
|~ハルヒ |不登場 |
|~みくる |不登場 |
|~古泉一樹 |不登場 |
|~鶴屋さん |不登場 |
|~朝倉涼子 |登場 |
|~喜緑江美里|登場|
|~周防九曜 |不登場 |
|~思念体 |登場 |
|~天蓋領域 |不登場 |
|~阪中 |不登場|
|~谷口 |不登場|
|~ミヨキチ |不登場 |
|~佐々木 |不登場 |
|~橘京子 |不登場 |
** SS [#g1534bf7]
//////////
#br
#setlinebreak(on)
#br
終りのない曲はない。
#br
―深宇宙のどこかで―
#br
#br
雪景色の公園で、長い黒髪をなびかせた少女が夜空を見上げ...
凍えるような風が吹きつけ、白い吐息が流れる。
二月一日。夜九時五十分。
彼女はひとり、ここでずっと待ち続けていた。
#br
少女は、しかし人間ではなかった。
それは宇宙に存在する情報生命体が作り出したアンドロイド。
対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェー...
地球人のある組織からはTFEI端末と呼ばれる、異形の存在だ...
外見から一瞥してもそれが人ではない、などとわかる者はい...
それほどに自然で、何より美しい容貌の少女だった。
#br
彼女が新たに創造された時間平面「百十七万五千二百四十三...
正確には彼女は過去へと遡行して来たのではない。
三年後の五月二十五日の夕刻。その時から自身の全情報を別...
つまり、彼女が時間を越えるたびに、まったくの新しい世界...
#br
もう何度こんな事を繰り返しているのだろう、彼女はそう思...
彼女、朝倉涼子は、実際にはその回数を数えることをすでに...
アンドロイドのような存在である彼女は、記録の保全などい...
もう疲れていたのだ。作られた存在、人形のはずの彼女も。
#br
いつか、自分自身が壊れてしまうのかもしれない。ずっとそ...
時間平面を越境し、新たな世界が作られる。その回数が百万...
それでもあきらめるわけにはいかない。
いつか”彼女”が、自分が送り続けた情報、それを得てある存...
#br
それはいつになるのだろう。朝倉涼子は考えていた。
前回の行動は順調に推移していた。これまでにない反応、手...
しかし結局のところ、規定事項は変動しなかった。
三年後の五月二十五日の夕刻。あの時に至ってしまってはす...
機会があるとすれば七月七日。
今から五ヶ月後のあの日に賭けるしかない。
#br
強制的に”彼女”の、長門有希の未来への同期を実力で阻止す...
しかしそれは無理なのだろうと朝倉涼子は考える。
そう。あの喜緑江美里がいるから。
プログラム通りに生成される喜緑江美里は、常に監視と護衛...
朝倉涼子が不穏な動きを見せれば、ただちに介入し、必要が...
#br
わかってもらえれば苦労はしない。朝倉涼子はため息をつい...
ため息をつくというその行為を、しかしそれにどんな意味が...
ただの反応プログラム。作られた彼女には、正確にその意味...
ただ、このように反応するように作られているだけ。経験か...
#br
彼女は感情など理解していない。
ましてや、愛などという高等な概念などわかるはずもなかっ...
#br
だが、それでも彼女は知っている。
自分が何をするべきかを。
#br
――さあ、もう一度始めよう。
#br
朝倉涼子は大きく両手を広げ、空から降りてくる存在を迎え...
雪。彼女の名前。
その儚くも美しい輝きと共に、再び彼女に巡り逢う。
天から舞い降りる。その名前の通りに。
#br
再び、無駄に終わるのかも知れない。
また”彼女”から敵意と疑心を抱かれ、消し去られてしまうの...
だが、朝倉涼子にはそれしか行動できなかった。
これは彼女を生み出した情報統合思念体にも理解のできない...
それでも朝倉涼子は奏で続ける。
#br
とても愚かで、不器用で、滑稽な。
彼女たち機械知性体たちが続ける、哀しいまでの永遠の輪舞...
#br
あなたは笑うだろうか。
#br
それとも。
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―機械知性体たちの輪舞曲 完―
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CENTER:ゆき?
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CENTER:そう。それがわたしのなまえ。
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CENTER:あなたがわたしにくれたもの。それを教えてあげる。
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足音が聞こえる。
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まるで、子供が走ってくるような。
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雪を踏みしめて、懸命に走ってくる音がする。
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……誰?
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朝倉涼子は振り返る。
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煙るような雪景色の中、その影は彼女の元に近づいて来てい...
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朝倉涼子の視界に、その影がはっきりと輪郭を現した。
その顔はくしゃくしゃに歪んで、頬はあふれる涙で濡れてし...
まっすぐに、迷いもなく彼女の元へ走ってきていた。
朝倉涼子はその現実がはっきりと認識できていない。
#br
まさか。
そんな事が、起こり得るはずがないのに。
#br
彼女はまっすぐに朝倉涼子の胸元に――飛び込んできた。
全身を投げ出すようにして。
そして大声で。
彼女ははっきりと朝倉涼子の名前を叫んでいた。
#br
信じられない。
#br
どうして、こんな事が。
なぜ……あなたにそんな事ができたの? どうして。
朝倉涼子は混乱していた。胸の中で、何かが響く感覚だけが...
この状況に対して、情報統合思念体は一切の沈黙を守ってい...
急進派も。何も。誰も。
新しく計画され、この狂ってしまったような体に生成されて...
誰も、彼女に何もしてくれなかった。
それなのに。
#br
今になって、こんな。
#br
朝倉涼子の胸の中で、彼女はまだ泣き続けていた。
誰にもはばかる事なく、ただひたすらに、力いっぱいの声を...
彼女にとって、少女がこんな声を出せるなど、想像もできな...
#br
唇が震えている。
自分がコントロールできない。何もできない。
朝倉涼子は眼球が熱くなるのを感じる。
ただ泣き続けている少女の頭を、そっと撫でてみる。
それはプログラムのものではない。異常な行動ととられるも...
暖かい。少女の髪の匂いがする。
#br
無意識に胸元にある髪に自分の唇を触れさせた瞬間、朝倉涼...
#br
#br
その時初めて朝倉涼子は、自分が少女と同じ顔で泣いている...
……わたしは、とうとう壊れてしまったのだろうか。
#br
#br
「……そうじゃない」
周囲に舞う結晶と同じ名前の少女は、ようやく口を開き、自...
「あなたは、壊れてなんかいない」
「……どうして?」
「あなたは自分で言った事の意味をわからないでいる。知った...
少女は柔らかな……心の底から生み出された、暖かく、切なく...
それは、朝倉涼子が初めて見る笑顔だった。
「あなたは誰からも愛されてなかったと思ってる」
「………有希?」
「だから、今から言うことを聞いて」
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「わたしが、朝倉涼子を愛する」
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≪収穫者からの報告≫
#br
……状況の報告、ですか?
わたしの、これまでに得たものすべてを用いて……「言葉」と...
これは、孤独に彷徨う作られた機械のような存在たちが、自...
わたしには到達できないものなのかもしれませんが。あのふ...
#br
少し、羨ましいとは思います。とても。
……はい? ええ。わたしもだいぶ変わりました。
でも、わたしはあそこには行けなかった。ちょっと残念です...
彼女だから、行けたのです。
#br
……どうして彼女が、時空を超えてまでして会いに行けたのか?
それは――答えは決まっていると思います。
なぜなら。
#br
#br
赤鬼は、大切な大切な、青鬼になってしまったあの人を、
どんなに遠くに離れていても、どんなに辛い事があっても、
きっと探し出そうとするに違いないのですから。
#br
#br
ようやく、ふたりの物語が終わり、そして始まるのでしょう。
――ここより永遠に。
#br
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―機械知性体たちの輪舞曲を語る喜緑江美里―
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#navi(SS集)
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* 作品 [#ud8b66f5]
** 概要 [#r9224d57]
|~作者 |輪舞の人 |
|~作品名 |機械知性体たちの輪舞曲 エピローグ ...
|~カテゴリー|長門SS(一般)|
|~保管日 |2007-06-11 (月) 01:33:38 |
** 登場キャラ [#jeb54981]
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|~キョン |不登場 |
|~キョンの妹|不登場 |
|~ハルヒ |不登場 |
|~みくる |不登場 |
|~古泉一樹 |不登場 |
|~鶴屋さん |不登場 |
|~朝倉涼子 |登場 |
|~喜緑江美里|登場|
|~周防九曜 |不登場 |
|~思念体 |登場 |
|~天蓋領域 |不登場 |
|~阪中 |不登場|
|~谷口 |不登場|
|~ミヨキチ |不登場 |
|~佐々木 |不登場 |
|~橘京子 |不登場 |
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終りのない曲はない。
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―深宇宙のどこかで―
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雪景色の公園で、長い黒髪をなびかせた少女が夜空を見上げ...
凍えるような風が吹きつけ、白い吐息が流れる。
二月一日。夜九時五十分。
彼女はひとり、ここでずっと待ち続けていた。
#br
少女は、しかし人間ではなかった。
それは宇宙に存在する情報生命体が作り出したアンドロイド。
対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェー...
地球人のある組織からはTFEI端末と呼ばれる、異形の存在だ...
外見から一瞥してもそれが人ではない、などとわかる者はい...
それほどに自然で、何より美しい容貌の少女だった。
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彼女が新たに創造された時間平面「百十七万五千二百四十三...
正確には彼女は過去へと遡行して来たのではない。
三年後の五月二十五日の夕刻。その時から自身の全情報を別...
つまり、彼女が時間を越えるたびに、まったくの新しい世界...
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もう何度こんな事を繰り返しているのだろう、彼女はそう思...
彼女、朝倉涼子は、実際にはその回数を数えることをすでに...
アンドロイドのような存在である彼女は、記録の保全などい...
もう疲れていたのだ。作られた存在、人形のはずの彼女も。
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いつか、自分自身が壊れてしまうのかもしれない。ずっとそ...
時間平面を越境し、新たな世界が作られる。その回数が百万...
それでもあきらめるわけにはいかない。
いつか”彼女”が、自分が送り続けた情報、それを得てある存...
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それはいつになるのだろう。朝倉涼子は考えていた。
前回の行動は順調に推移していた。これまでにない反応、手...
しかし結局のところ、規定事項は変動しなかった。
三年後の五月二十五日の夕刻。あの時に至ってしまってはす...
機会があるとすれば七月七日。
今から五ヶ月後のあの日に賭けるしかない。
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強制的に”彼女”の、長門有希の未来への同期を実力で阻止す...
しかしそれは無理なのだろうと朝倉涼子は考える。
そう。あの喜緑江美里がいるから。
プログラム通りに生成される喜緑江美里は、常に監視と護衛...
朝倉涼子が不穏な動きを見せれば、ただちに介入し、必要が...
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わかってもらえれば苦労はしない。朝倉涼子はため息をつい...
ため息をつくというその行為を、しかしそれにどんな意味が...
ただの反応プログラム。作られた彼女には、正確にその意味...
ただ、このように反応するように作られているだけ。経験か...
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彼女は感情など理解していない。
ましてや、愛などという高等な概念などわかるはずもなかっ...
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だが、それでも彼女は知っている。
自分が何をするべきかを。
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――さあ、もう一度始めよう。
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朝倉涼子は大きく両手を広げ、空から降りてくる存在を迎え...
雪。彼女の名前。
その儚くも美しい輝きと共に、再び彼女に巡り逢う。
天から舞い降りる。その名前の通りに。
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再び、無駄に終わるのかも知れない。
また”彼女”から敵意と疑心を抱かれ、消し去られてしまうの...
だが、朝倉涼子にはそれしか行動できなかった。
これは彼女を生み出した情報統合思念体にも理解のできない...
それでも朝倉涼子は奏で続ける。
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とても愚かで、不器用で、滑稽な。
彼女たち機械知性体たちが続ける、哀しいまでの永遠の輪舞...
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あなたは笑うだろうか。
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それとも。
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―機械知性体たちの輪舞曲 完―
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まるで、子供が走ってくるような。
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雪を踏みしめて、懸命に走ってくる音がする。
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朝倉涼子は振り返る。
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朝倉涼子の視界に、その影がはっきりと輪郭を現した。
その顔はくしゃくしゃに歪んで、頬はあふれる涙で濡れてし...
まっすぐに、迷いもなく彼女の元へ走ってきていた。
朝倉涼子はその現実がはっきりと認識できていない。
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まさか。
そんな事が、起こり得るはずがないのに。
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彼女はまっすぐに朝倉涼子の胸元に――飛び込んできた。
全身を投げ出すようにして。
そして大声で。
彼女ははっきりと朝倉涼子の名前を叫んでいた。
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信じられない。
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どうして、こんな事が。
なぜ……あなたにそんな事ができたの? どうして。
朝倉涼子は混乱していた。胸の中で、何かが響く感覚だけが...
この状況に対して、情報統合思念体は一切の沈黙を守ってい...
急進派も。何も。誰も。
新しく計画され、この狂ってしまったような体に生成されて...
誰も、彼女に何もしてくれなかった。
それなのに。
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今になって、こんな。
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朝倉涼子の胸の中で、彼女はまだ泣き続けていた。
誰にもはばかる事なく、ただひたすらに、力いっぱいの声を...
彼女にとって、少女がこんな声を出せるなど、想像もできな...
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唇が震えている。
自分がコントロールできない。何もできない。
朝倉涼子は眼球が熱くなるのを感じる。
ただ泣き続けている少女の頭を、そっと撫でてみる。
それはプログラムのものではない。異常な行動ととられるも...
暖かい。少女の髪の匂いがする。
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無意識に胸元にある髪に自分の唇を触れさせた瞬間、朝倉涼...
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その時初めて朝倉涼子は、自分が少女と同じ顔で泣いている...
……わたしは、とうとう壊れてしまったのだろうか。
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「……そうじゃない」
周囲に舞う結晶と同じ名前の少女は、ようやく口を開き、自...
「あなたは、壊れてなんかいない」
「……どうして?」
「あなたは自分で言った事の意味をわからないでいる。知った...
少女は柔らかな……心の底から生み出された、暖かく、切なく...
それは、朝倉涼子が初めて見る笑顔だった。
「あなたは誰からも愛されてなかったと思ってる」
「………有希?」
「だから、今から言うことを聞いて」
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「わたしが、朝倉涼子を愛する」
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≪収穫者からの報告≫
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……状況の報告、ですか?
わたしの、これまでに得たものすべてを用いて……「言葉」と...
これは、孤独に彷徨う作られた機械のような存在たちが、自...
わたしには到達できないものなのかもしれませんが。あのふ...
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少し、羨ましいとは思います。とても。
……はい? ええ。わたしもだいぶ変わりました。
でも、わたしはあそこには行けなかった。ちょっと残念です...
彼女だから、行けたのです。
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……どうして彼女が、時空を超えてまでして会いに行けたのか?
それは――答えは決まっていると思います。
なぜなら。
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赤鬼は、大切な大切な、青鬼になってしまったあの人を、
どんなに遠くに離れていても、どんなに辛い事があっても、
きっと探し出そうとするに違いないのですから。
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ようやく、ふたりの物語が終わり、そして始まるのでしょう。
――ここより永遠に。
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―機械知性体たちの輪舞曲を語る喜緑江美里―
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