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#navi(SS集)
#br
* 作品 [#b6f29876]
** 概要 [#pd8186a7]
|~作者 |仮帯 |
|~作品名 |たとえば、こんな長門有希(長門×キョン) |
|~カテゴリー|長門SS(一般)|
|~保管日 |2007-02-28 (水) 20:27:07 |
** 登場キャラ [#uc273404]
//////////
|~キョン |不登場 |
|~キョンの妹|不登場 |
|~ハルヒ |不登場 |
|~みくる |不登場 |
|~古泉一樹 |不登場 |
|~鶴屋さん |不登場 |
|~朝倉涼子 |不登場 |
|~喜緑江美里|不登場|
|~周防九曜 |不登場 |
|~思念体 |不登場 |
|~天蓋領域 |不登場 |
|~阪中 |不登場|
|~谷口 |不登場|
|~ミヨキチ |不登場 |
|~佐々木 |不登場 |
|~橘京子 |不登場 |
** SS [#ze4b3f83]
//////////
#br
#setlinebreak(on)
あのバレンタインから3日目の日のことである。
この日は、俺としては……まあ自分で言うのもなんだが珍しく...
まあ、SOS団絡みであることは間違いないんだが。
長門有希と市立図書館に行く約束をさせられてしまったので...
しかし、それは例の如くのハルヒによる気紛れの産物ではな...
どうやら、朝比奈さんは、みくるさんやらみちるさんやら朝...
いや、断っておくが、朝比奈さんが責任を感じる謂れは天地...
その埋め合わせを長門にすることは、俺にしたってやぶさか...
が、前述の図書館に長門を置いてきぼりにした際に俺を諌め...
長門が、朝比奈さんの急な提案に、
「了解した」
と簡潔ながら明確な意思を声に乗せて頷いたのも、朝比奈さ...
まあ、朝比奈さんと長門の間に、まだまだぎこちないにせよ...
それに、長門の我儘を聞くとすればホワイトデーがあること...
そんな1ヶ月先のことを考えるくらい、俺は妙に気が逸って...
習慣づいた動作の如く何も考えずに、やって来た文芸部室の...
そこで、さびれた部室すら趣あるものに一変させる下着付き...
朝比奈さんの生着替えである。
最近、メイド姿に着替えるのも定着した来たこともあって、...
現実の時間に置き換えれば1秒もしないうちに、朝比奈さん...
――と、すんでのところで俺を廊下の外へと押し出す手があっ...
言うまでもないが、長門によるものだ。いつの間にやら俺の...
こうした行動には、いつもまさしく他人事として静観を決め...
俺は長門に視線を落とし、戦慄する。
多分、俺にしかわからない。
だが、確実に長門は無表情に、怒っていた。
俺の視線に気付いたのか、長門は真っ直ぐに俺を見上げて来...
心臓がいきなりアクセルを思いっきり踏んでしまった四輪駆...
このまま見つめ合っていても埒が明かないので、ごくりと喉...
「おい、何を怒っているんだ?」
「怒っていない」
長門は0.01秒の超人的反射速度で、無機質な声を以て即...
そりゃ確かに素人目から見れば、顔色ひとつ変えていないよ...
しかし、それで俺が引き下がると思うなよ。怒っているだろ...
「朝比奈みくるが着替えている可能性を考慮しなかった貴方の...
こいつから礼儀云々で叱られるとは思いもよらなかったな。
とどのつまり、俺が朝比奈さんの着替えを覗いたことに怒っ...
このことに気付き、俺は鍵を閉めない朝比奈さんにも注意し...
長門が、女性らしい反応を示している。着替えを見られた同...
ひょっとして当事者が、朝比奈さんと俺だからだろうか……な...
「ふたりして部室にも入らないで何してんのよ?」
この日、一番その動向を注意していたはずの人物の、奇妙に...
俺は俄然現実味を帯びて来た嫌な予感に頭を痛めつつ、長門...
確かめるまでも無い人物がそこにいた。
ハルヒが何故か腰に手をつけて詰問するような目つきをこち...
「朝比奈さんが着替えているんだよ」
「なら、どうして有希まで外に出てるわけ?」
なおざりな俺の返答に、ハルヒは眉根に皺を寄せて追究して...
そーいや何でだ。俺を外に締め出すだけなら、長門まで部室...
「外出するところだったから。だから、今日の活動は欠席」
長門がそう淡々と答えて気付いたが、長門の手はきっちり鞄...
「ふうん、何か用事あるの?」
長門の私用というのに興味をくすぐられたような顔つきにな...
「約束……一緒に市立図書館に行くという約束をしていた」
この証拠を突き出すような長門の物言いを前に……『一緒に』...
目の錯覚だと思いたいが、ハルヒのこめかみに青筋が立った...
せっかく今日はハルヒに注意を払っていたのに、嫌な予感が...
俺の心配も、ハルヒの反応も何処吹く風という泰然自若ぶり...
「ほお、デートですか」
こら、古泉。素知らぬ顔でのほほんと追い討ちをかけるな、...
そのうえ、
「そう」
なんて長門まで頷くもんだから、俺としては後に引く訳にも...
「へえ、SOS団の活動よりデートを優先するんだ、あっそう...
ハルヒは目を細めて、俺に照準を定めて空々しい科白を連ね...
おい、何で俺だけなんだ。長門も共犯だろうが。
そんな俺の無言の訴えが通じたのか、ハルヒは腕組みをして...
「キョンに誑かされた訳じゃないのよね」
俺を何だと思っているんだろうな、この女は。
ハルヒの確認に、長門が黙然と首肯すると、
「有希が図書館に用事があると思っているのならいいわ」
腰を折って長門の瞳を食い入るように凝視していたハルヒは...
思いがけず無駄を割いて早々と妥協したハルヒに、俺は些か...
「有希だって独りじゃ淋しいでしょ」
継いで述べられたハルヒのこのコメントに、俺は内心賛同し...
長門を独りにしてこの前の二の舞になっては、せっかくセッ...
長門に関しては、ハルヒは不思議に物分かりが良くて助かる。
俺の耳を引き千切る勢いで引っ張って、
「有希は初心(うぶ)なコなんだから雰囲気に流されるような...
――なんて的外れなことを耳打ちしてくれたがな。
お前の中で、俺は節操のある男なのか、ない男なのか、ハッ...
ついでに言えば、ハルヒの長門観というのも伺ってみたいも...
俺個人としては、長門よかハルヒのほうが危なっかしくてよ...
#br
#br
かくして俺は何とか長門と図書館に向かう許可を団長殿から...
俺は惰眠を貪り、おそらく(なんせ寝ていたもんだから確証...
とは言っても、長門を放ったらかしにして居眠りしていたこ...
帰り道、そのことで詫びると、前をとつとつと歩いていた長...
振り返った長門は占い師の水晶玉のような双眸で俺を見据え...
「貴方が安眠できるのは、絶対ではないが、ひとつの安心材料」
「……俺が平気で眠っているのを見ると、お前も安心できるって...
長門流の回りくどい表現を噛み砕いて俺は尋ねた。
長門はしっかり大地に根を張って屹立する大樹のような風情...
「そう」
だが、はっきりと肯定の意を表明してくれた長門の顔を直視...
そのときだった。
天変地異の前触れかと思わざるを得ないような事態が、俺の...
「故に、貴方に感謝を」
そんなことをのたまわって、長門が俺の背中に両腕を回した―...
当然、俺は絶句。というよりも石化。
完全に思考停止した俺から、刹那の抱擁を経て身を離した長...
「書物の情報を解析した結果、感謝の表示、安堵の共有を目的...
そこまで言って長門は、俺の様子がおかしいことに気付き、...
「何?」
いや、長門よ。別にいいんだが、こっちにも心の準備という...
「いや、何でもない」
――てなことを正直に述懐するわけにもいかないから、こんな...
「しかし、こういう真似はむやみやたらとするなよ、いらぬ誤...
長門が想定外の知識を地球の文献から得ることを真剣に悩み...
ハルヒの長門評は存外にも正しいのかもしれない。こうした...
俺の注意に対して、長門はこれまた普段と変わらない感情の...
「問題ない」
さも当然のことのように滔滔と言葉を紡ぐ。
「私が同期の代替行動に出たいと思う相手は、貴方だけだから」
……同期……何度か長門の口から聞いたことのある単語だ。時系...
瞬間、閃いてしまった。長門の今の発言の意味を。つまりだ...
きっと今の俺は、呆けた面を曝しているんだろうなあ。俺の...
長門が、雲ひとつない陶然たる夜空の如く奥深い瞳で、俺の...
#br
#br
#br
#br
〜後日談(長門&鶴屋さん)〜
私は現在、偶然遭遇した朝比奈みくるの友人にしてSOS団...
別に拒否する理由はないので、人間仕様で返答を行う。
まず涼宮ハルヒの発案で、画用紙をはさみで切り、ホチキス...
次に、オーブンを180度に温めておき――。
ここで、朝比奈みくるの友人が苦笑した。
彼女が言うには、作り方を訊いているのではなくて、そのと...
意思疎通で齟齬があったことを確認。
速やかに、最初から説明をやり直す。
材料を買って来ることになっていた涼宮ハルヒと朝比奈みく...
それと、もうひとつの要因として。
朝比奈みくるが、涼宮ハルヒの持参して来た、映画撮影時に...
朝比奈みくるの友人が、ここまでの説明を聞いて「みくるっ...
私も、涼宮ハルヒが用意したエプロンを着用した。
……柄は、胸部に黄色いひよこをモデルにした絵柄がプリント...
涼宮ハルヒの提案で、ケーキの型を画用紙で工作することに...
――んふふ……文字に置き換えるなら、この表現が妥当かと思わ...
「成程ねえ、みくるはハート型なんだね。それはそうと有希っ...
五芒星、と私が即答したのを受けて、質問者は目を細めて呟...
「どっちにしたって、手間がかかる形だってことに変わりはな...
向こうの真意を測りかねて私が首を傾げると、本人のほうか...
……そういえば、私が星型を作ったのを見て涼宮ハルヒは勘繰...
朝比奈みくるの友人への説明と並行して、私は暫し、この件...
#br
#br
この思索を中断したのは、朝比奈みくるが商品名「あなたの...
「みくるってば期待どおりのドジっ娘(こ)を発揮してくれる...
恐慌状態に陥って「大丈夫ですか?」「ごめんなさい」を連...
それで、朝比奈みくるもようやく安心できた模様。私に過剰...
そんな朝比奈みくるの手を引っ張り、涼宮ハルヒが新たな提...
このとき、朝比奈みくるが、さも恐ろしそうに再び顔を強張...
現在私の向かいに立っている人物は、それとは対照的に腹部...
同じ内容の質問を涼宮ハルヒが朝比奈みくるにしていた。
朝比奈みくるは尋ねられた途端に、顔面を紅潮させ「直接な...
いつの間にか、涼宮ハルヒだけではなく、朝比奈みくるも緊...
朝比奈みくるの友人は私の顔を観察するように見ていた。
「有希っこは直接でも構わなかったみたいだねっ、勿体ないね...
何が勿体ないのか私には不可解だが、あのとき「直接」とい...
「じゃあ、例えばキョン君でもOKだったかいっ? 直接、ほ...
……構わない。拒む理由はない。ただ、彼がそうした行為に出...
「そうだろねっ、きっとハルにゃんが黙っていないもんねっ。...
……私自身の気持ち……私固有の気持ち……私の気持ちとは……?
「キョン君の性格や立場を言い訳にしてるトコ見ると、満更で...
……私の望み……?
私はあくまで観察者として“ここ”にいることを許されていた。
だが、今の私は任務だけで、“ここ”にいるのではない。私の...
“ここ”にいること以外に、私は何かを望んでいるのだろうか?
#br
#br
「良し良し、ハルにゃんはみくるに『義理』と書かせて、みく...
休憩時間なので時間は限られていることもあって、概して手...
朝比奈みくるの友人は、私の肩を軽く叩いた手をそのまま振...
「そーそー、これ言っておかなきゃね、みくるがいつも面倒か...
そう言い残し、私の返答を待たずに朝比奈みくるの友人は颯...
彼女の別れ際の科白に混じっていた『助ける』と『好き』――...
そう、ここにいるだけでは駄目なのだ。私はそれ以上のこと...
助けよう。好きだから。
朝比奈みくるの友人から得た、このヒントを踏まえ、私はた...
我思う、故に我在り――それが私が“ここ”に存在することの証...
私は変化している。それは涼宮ハルヒとの接触が発端。そし...
『彼』が見ている世界を、きっと。
朝比奈みくるも。
古泉一樹も。
そして、涼宮ハルヒも。
見ている。
それが――私が望んだ、私の居場所。
“ここ”に存在している限り、私は迷いながら変わっていく。...
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* 作品 [#b6f29876]
** 概要 [#pd8186a7]
|~作者 |仮帯 |
|~作品名 |たとえば、こんな長門有希(長門×キョン) |
|~カテゴリー|長門SS(一般)|
|~保管日 |2007-02-28 (水) 20:27:07 |
** 登場キャラ [#uc273404]
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|~キョン |不登場 |
|~キョンの妹|不登場 |
|~ハルヒ |不登場 |
|~みくる |不登場 |
|~古泉一樹 |不登場 |
|~鶴屋さん |不登場 |
|~朝倉涼子 |不登場 |
|~喜緑江美里|不登場|
|~周防九曜 |不登場 |
|~思念体 |不登場 |
|~天蓋領域 |不登場 |
|~阪中 |不登場|
|~谷口 |不登場|
|~ミヨキチ |不登場 |
|~佐々木 |不登場 |
|~橘京子 |不登場 |
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あのバレンタインから3日目の日のことである。
この日は、俺としては……まあ自分で言うのもなんだが珍しく...
まあ、SOS団絡みであることは間違いないんだが。
長門有希と市立図書館に行く約束をさせられてしまったので...
しかし、それは例の如くのハルヒによる気紛れの産物ではな...
どうやら、朝比奈さんは、みくるさんやらみちるさんやら朝...
いや、断っておくが、朝比奈さんが責任を感じる謂れは天地...
その埋め合わせを長門にすることは、俺にしたってやぶさか...
が、前述の図書館に長門を置いてきぼりにした際に俺を諌め...
長門が、朝比奈さんの急な提案に、
「了解した」
と簡潔ながら明確な意思を声に乗せて頷いたのも、朝比奈さ...
まあ、朝比奈さんと長門の間に、まだまだぎこちないにせよ...
それに、長門の我儘を聞くとすればホワイトデーがあること...
そんな1ヶ月先のことを考えるくらい、俺は妙に気が逸って...
習慣づいた動作の如く何も考えずに、やって来た文芸部室の...
そこで、さびれた部室すら趣あるものに一変させる下着付き...
朝比奈さんの生着替えである。
最近、メイド姿に着替えるのも定着した来たこともあって、...
現実の時間に置き換えれば1秒もしないうちに、朝比奈さん...
――と、すんでのところで俺を廊下の外へと押し出す手があっ...
言うまでもないが、長門によるものだ。いつの間にやら俺の...
こうした行動には、いつもまさしく他人事として静観を決め...
俺は長門に視線を落とし、戦慄する。
多分、俺にしかわからない。
だが、確実に長門は無表情に、怒っていた。
俺の視線に気付いたのか、長門は真っ直ぐに俺を見上げて来...
心臓がいきなりアクセルを思いっきり踏んでしまった四輪駆...
このまま見つめ合っていても埒が明かないので、ごくりと喉...
「おい、何を怒っているんだ?」
「怒っていない」
長門は0.01秒の超人的反射速度で、無機質な声を以て即...
そりゃ確かに素人目から見れば、顔色ひとつ変えていないよ...
しかし、それで俺が引き下がると思うなよ。怒っているだろ...
「朝比奈みくるが着替えている可能性を考慮しなかった貴方の...
こいつから礼儀云々で叱られるとは思いもよらなかったな。
とどのつまり、俺が朝比奈さんの着替えを覗いたことに怒っ...
このことに気付き、俺は鍵を閉めない朝比奈さんにも注意し...
長門が、女性らしい反応を示している。着替えを見られた同...
ひょっとして当事者が、朝比奈さんと俺だからだろうか……な...
「ふたりして部室にも入らないで何してんのよ?」
この日、一番その動向を注意していたはずの人物の、奇妙に...
俺は俄然現実味を帯びて来た嫌な予感に頭を痛めつつ、長門...
確かめるまでも無い人物がそこにいた。
ハルヒが何故か腰に手をつけて詰問するような目つきをこち...
「朝比奈さんが着替えているんだよ」
「なら、どうして有希まで外に出てるわけ?」
なおざりな俺の返答に、ハルヒは眉根に皺を寄せて追究して...
そーいや何でだ。俺を外に締め出すだけなら、長門まで部室...
「外出するところだったから。だから、今日の活動は欠席」
長門がそう淡々と答えて気付いたが、長門の手はきっちり鞄...
「ふうん、何か用事あるの?」
長門の私用というのに興味をくすぐられたような顔つきにな...
「約束……一緒に市立図書館に行くという約束をしていた」
この証拠を突き出すような長門の物言いを前に……『一緒に』...
目の錯覚だと思いたいが、ハルヒのこめかみに青筋が立った...
せっかく今日はハルヒに注意を払っていたのに、嫌な予感が...
俺の心配も、ハルヒの反応も何処吹く風という泰然自若ぶり...
「ほお、デートですか」
こら、古泉。素知らぬ顔でのほほんと追い討ちをかけるな、...
そのうえ、
「そう」
なんて長門まで頷くもんだから、俺としては後に引く訳にも...
「へえ、SOS団の活動よりデートを優先するんだ、あっそう...
ハルヒは目を細めて、俺に照準を定めて空々しい科白を連ね...
おい、何で俺だけなんだ。長門も共犯だろうが。
そんな俺の無言の訴えが通じたのか、ハルヒは腕組みをして...
「キョンに誑かされた訳じゃないのよね」
俺を何だと思っているんだろうな、この女は。
ハルヒの確認に、長門が黙然と首肯すると、
「有希が図書館に用事があると思っているのならいいわ」
腰を折って長門の瞳を食い入るように凝視していたハルヒは...
思いがけず無駄を割いて早々と妥協したハルヒに、俺は些か...
「有希だって独りじゃ淋しいでしょ」
継いで述べられたハルヒのこのコメントに、俺は内心賛同し...
長門を独りにしてこの前の二の舞になっては、せっかくセッ...
長門に関しては、ハルヒは不思議に物分かりが良くて助かる。
俺の耳を引き千切る勢いで引っ張って、
「有希は初心(うぶ)なコなんだから雰囲気に流されるような...
――なんて的外れなことを耳打ちしてくれたがな。
お前の中で、俺は節操のある男なのか、ない男なのか、ハッ...
ついでに言えば、ハルヒの長門観というのも伺ってみたいも...
俺個人としては、長門よかハルヒのほうが危なっかしくてよ...
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かくして俺は何とか長門と図書館に向かう許可を団長殿から...
俺は惰眠を貪り、おそらく(なんせ寝ていたもんだから確証...
とは言っても、長門を放ったらかしにして居眠りしていたこ...
帰り道、そのことで詫びると、前をとつとつと歩いていた長...
振り返った長門は占い師の水晶玉のような双眸で俺を見据え...
「貴方が安眠できるのは、絶対ではないが、ひとつの安心材料」
「……俺が平気で眠っているのを見ると、お前も安心できるって...
長門流の回りくどい表現を噛み砕いて俺は尋ねた。
長門はしっかり大地に根を張って屹立する大樹のような風情...
「そう」
だが、はっきりと肯定の意を表明してくれた長門の顔を直視...
そのときだった。
天変地異の前触れかと思わざるを得ないような事態が、俺の...
「故に、貴方に感謝を」
そんなことをのたまわって、長門が俺の背中に両腕を回した―...
当然、俺は絶句。というよりも石化。
完全に思考停止した俺から、刹那の抱擁を経て身を離した長...
「書物の情報を解析した結果、感謝の表示、安堵の共有を目的...
そこまで言って長門は、俺の様子がおかしいことに気付き、...
「何?」
いや、長門よ。別にいいんだが、こっちにも心の準備という...
「いや、何でもない」
――てなことを正直に述懐するわけにもいかないから、こんな...
「しかし、こういう真似はむやみやたらとするなよ、いらぬ誤...
長門が想定外の知識を地球の文献から得ることを真剣に悩み...
ハルヒの長門評は存外にも正しいのかもしれない。こうした...
俺の注意に対して、長門はこれまた普段と変わらない感情の...
「問題ない」
さも当然のことのように滔滔と言葉を紡ぐ。
「私が同期の代替行動に出たいと思う相手は、貴方だけだから」
……同期……何度か長門の口から聞いたことのある単語だ。時系...
瞬間、閃いてしまった。長門の今の発言の意味を。つまりだ...
きっと今の俺は、呆けた面を曝しているんだろうなあ。俺の...
長門が、雲ひとつない陶然たる夜空の如く奥深い瞳で、俺の...
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〜後日談(長門&鶴屋さん)〜
私は現在、偶然遭遇した朝比奈みくるの友人にしてSOS団...
別に拒否する理由はないので、人間仕様で返答を行う。
まず涼宮ハルヒの発案で、画用紙をはさみで切り、ホチキス...
次に、オーブンを180度に温めておき――。
ここで、朝比奈みくるの友人が苦笑した。
彼女が言うには、作り方を訊いているのではなくて、そのと...
意思疎通で齟齬があったことを確認。
速やかに、最初から説明をやり直す。
材料を買って来ることになっていた涼宮ハルヒと朝比奈みく...
それと、もうひとつの要因として。
朝比奈みくるが、涼宮ハルヒの持参して来た、映画撮影時に...
朝比奈みくるの友人が、ここまでの説明を聞いて「みくるっ...
私も、涼宮ハルヒが用意したエプロンを着用した。
……柄は、胸部に黄色いひよこをモデルにした絵柄がプリント...
涼宮ハルヒの提案で、ケーキの型を画用紙で工作することに...
――んふふ……文字に置き換えるなら、この表現が妥当かと思わ...
「成程ねえ、みくるはハート型なんだね。それはそうと有希っ...
五芒星、と私が即答したのを受けて、質問者は目を細めて呟...
「どっちにしたって、手間がかかる形だってことに変わりはな...
向こうの真意を測りかねて私が首を傾げると、本人のほうか...
……そういえば、私が星型を作ったのを見て涼宮ハルヒは勘繰...
朝比奈みくるの友人への説明と並行して、私は暫し、この件...
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この思索を中断したのは、朝比奈みくるが商品名「あなたの...
「みくるってば期待どおりのドジっ娘(こ)を発揮してくれる...
恐慌状態に陥って「大丈夫ですか?」「ごめんなさい」を連...
それで、朝比奈みくるもようやく安心できた模様。私に過剰...
そんな朝比奈みくるの手を引っ張り、涼宮ハルヒが新たな提...
このとき、朝比奈みくるが、さも恐ろしそうに再び顔を強張...
現在私の向かいに立っている人物は、それとは対照的に腹部...
同じ内容の質問を涼宮ハルヒが朝比奈みくるにしていた。
朝比奈みくるは尋ねられた途端に、顔面を紅潮させ「直接な...
いつの間にか、涼宮ハルヒだけではなく、朝比奈みくるも緊...
朝比奈みくるの友人は私の顔を観察するように見ていた。
「有希っこは直接でも構わなかったみたいだねっ、勿体ないね...
何が勿体ないのか私には不可解だが、あのとき「直接」とい...
「じゃあ、例えばキョン君でもOKだったかいっ? 直接、ほ...
……構わない。拒む理由はない。ただ、彼がそうした行為に出...
「そうだろねっ、きっとハルにゃんが黙っていないもんねっ。...
……私自身の気持ち……私固有の気持ち……私の気持ちとは……?
「キョン君の性格や立場を言い訳にしてるトコ見ると、満更で...
……私の望み……?
私はあくまで観察者として“ここ”にいることを許されていた。
だが、今の私は任務だけで、“ここ”にいるのではない。私の...
“ここ”にいること以外に、私は何かを望んでいるのだろうか?
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「良し良し、ハルにゃんはみくるに『義理』と書かせて、みく...
休憩時間なので時間は限られていることもあって、概して手...
朝比奈みくるの友人は、私の肩を軽く叩いた手をそのまま振...
「そーそー、これ言っておかなきゃね、みくるがいつも面倒か...
そう言い残し、私の返答を待たずに朝比奈みくるの友人は颯...
彼女の別れ際の科白に混じっていた『助ける』と『好き』――...
そう、ここにいるだけでは駄目なのだ。私はそれ以上のこと...
助けよう。好きだから。
朝比奈みくるの友人から得た、このヒントを踏まえ、私はた...
我思う、故に我在り――それが私が“ここ”に存在することの証...
私は変化している。それは涼宮ハルヒとの接触が発端。そし...
『彼』が見ている世界を、きっと。
朝比奈みくるも。
古泉一樹も。
そして、涼宮ハルヒも。
見ている。
それが――私が望んだ、私の居場所。
“ここ”に存在している限り、私は迷いながら変わっていく。...
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