たまにCSSが抜けた状態で表示されてしまうようです。そのような時は、何度かリロードすると正しく表示できるようになります。
SS集/524
をテンプレートにして作成
トップ
新規
一覧
単語検索
ヘルプ
開始行:
#navi(SS集)
#br
* 作品 [#a625f573]
** 概要 [#y6d30ca9]
|~作者 |七原 |
|~作品名 |closed sanctuary cross to...01 |
|~カテゴリー|その他|
|~保管日 |2007-02-14 (水) 00:47:13 |
** 登場キャラ [#t013ff4f]
//////////
|~キョン |不登場 |
|~キョンの妹|不登場 |
|~ハルヒ |不登場 |
|~みくる |不登場 |
|~古泉一樹 |不登場 |
|~鶴屋さん |不登場 |
|~朝倉涼子 |不登場 |
|~喜緑江美里|不登場|
|~周防九曜 |不登場 |
|~思念体 |不登場 |
|~天蓋領域 |不登場 |
|~阪中 |不登場|
|~谷口 |不登場|
|~ミヨキチ |不登場 |
|~佐々木 |不登場 |
|~橘京子 |不登場 |
** SS [#j362afe3]
//////////
#br
#setlinebreak(on)
わたしは彼に習ったとおり、ひとり、彼に借りた携帯電話を...
電話という手段には慣れないけれども、これも、人を探すた...
手がかりを、探すため。
手がかりを……。
#br
不意に、部室の扉を叩くノックの音が聞こえた。
#br
わたしはただ視線を持ち上げ、扉を見る。
誰だろう。わたしの知る『彼』はノックをして扉を開けるこ...
彼は、たった一人の文芸部員なのだから。
「……どなたかいらっしゃるんですか?」
扉が、ゆっくりと外側から開かれる。
そこに立っていたのは、一人の女子生徒だった。上履きの色...
「あら……」
「長門有希」
「ああ、転校生の方でしたね」
「そう」
二年生で有る彼女がどうして一年の転校生を知っているのか...
この学校は、そんなに大きな学校ではない。
「……あなたは?」
「喜緑江美里と言います。生徒会の書記なんです」
「……そう」
生徒会。確か、学生達の運営する、学生生活が滞りなく行わ...
けれどそんな人物が何故、文芸部室に入って来たのだろう。...
「あ、いえ、人が居たので……、わたし、さっきまで隣に居たん...
と言って彼女が指差したのは、コンピュータ研究部の部室。...
なるほど、彼女は唯一の部員である彼が不在なのに、この部...
「……」
「長門さんは、文芸部に入部希望なんですか?」
「……」
わたしは、彼女の質問への回答を持たなかった。
文芸部、それは、わたしの知る世界でわたしが所属していた...
では、わたしはここではどうする?
ここでのわたしは、転校生。
ここには、三年後に文芸部室で待っていてくれと言った記憶...
後者はともかく前者は、その痕跡を残す人物に出会うことは...
「違うんですか?」
「……分からない」
多分、その回答で間違って居ないと思う。
わたしがこの文芸部に入る理由は存在しないはずだけれども...
そう、もう一度。
「あら、そうなんですか……。ちょっと残念ですね」
「残念?」
「ええ、あなたが文芸部に入るのかな、と思ったものですから」
ということは彼女が、わたしの『分からない』という言葉を...
「……」
「あの子、一人で頑張っていますからね。……機関誌、ちゃんと...
「……機関誌?」
「ええ、機関誌です。この学校の文芸部には、年に一回機関誌...
「……そう」
機関誌……、あまり、耳に覚えが無い言葉。
わたしも本は読むけれども、書く方のことはよく分からない。
読んでばかりのわたしには、文章で物を伝えるという技術を...
「一人じゃ、大変そうかなと思って……。と言っても、わたしが...
喜緑江美里なる人物は、そう言ってから、軽やかに笑みを浮...
「……」
彼女は、わたしに何が言いたいのだろう。
文芸部、文芸部員……、わたしに、勧めたいのだろうか?
「ああ、すみません、お邪魔してしまいましたね。……それでは...
喜緑江美里はそう言い残すと、文芸部室から出て行った。
音も無く、というほどではないけれども、あまり足音を立て...
「……」
不快な人物ではないと思うが、人物像の掴み辛い人物だとは...
彼女は一体、わたしに何を言いたかったのだろうか。
彼女は……、わたしが何をしているか、知っているのだろうか...
わたしは……、わたしは、探しものの途中。
記憶と知識を元に、わたしがわたしであることを知る人々を...
#br
……何のために?
#br
わたしが、わたしで……、そう、それは、わたしに必要なこと。
わたしがわたしであるために、必要なこと。
だからわたしは、探す。
手がかりを……。
#br
わたしは椅子から立ち上がり、文芸部室の中を歩く。
見慣れた場所と同じ場所だけれど、そこに有るものが違うか...
本は……、有る、けれども。その内容は、わたしが持ち込んだ...
SF、ミステリ、純文学……、わたしが読んだことが有る本もあ...
……やはり彼は、わたしの知る『彼』とは違う。『彼』はあま...
これが、もし。
もし、わたしの知る『彼』と、同じ本を読み、語り合うこと...
違う、彼は『彼』じゃない。
ここにいる彼に、わたしの望む『彼』の姿を投影することは...
名前と外見、幾つかの情報が同じで有っても、二人は、同一...
そう、同一では……。
「わたしは……」
わたしが探しているのは、わたしの知る『彼』。ここにいる...
それだけの……、はず。
「……これは?」
本棚の横、小さな棚の中に、無造作に藁半紙が置かれていた。
どういうわけか、わたしの手は引き寄せられるようにしてそ...
「入部届け……」
見慣れていると言うほどでは無いけれども、わたしにも、こ...
文芸部員となるために書いた、入部届け。
約束を果たすための、第一歩。
そう、『彼』との……。
……本当に、それだけ?
「……」
何だろう、この心に引っかかるような感覚は。
この、言いようの無い衝動は……、これも、元の世界へ帰るた...
わたしは……、少し考えてから、入部届けを一枚だけ手に取り...
#br
#br
#br
……つかみかけたと思った手がかりが、するりと掌から抜けて...
彼が有機生命体たちが形成する稚拙な情報網の中から見つけ...
この国に3千人居るかどうかという苗字に、珍しくは無いけ...
そもそも、元々のわたしの能力が有れば、こんなに人探しで...
結局、今日は何も掴めないまま終わってしまった。
そう、何も……。
#br
期限は、何時までだろうか。
わたしは……、本当に、探しているものを、見つけることが出...
#br
わたしは……、
#br
#br
//////////
#setlinebreak(default)
#br
----
終了行:
#navi(SS集)
#br
* 作品 [#a625f573]
** 概要 [#y6d30ca9]
|~作者 |七原 |
|~作品名 |closed sanctuary cross to...01 |
|~カテゴリー|その他|
|~保管日 |2007-02-14 (水) 00:47:13 |
** 登場キャラ [#t013ff4f]
//////////
|~キョン |不登場 |
|~キョンの妹|不登場 |
|~ハルヒ |不登場 |
|~みくる |不登場 |
|~古泉一樹 |不登場 |
|~鶴屋さん |不登場 |
|~朝倉涼子 |不登場 |
|~喜緑江美里|不登場|
|~周防九曜 |不登場 |
|~思念体 |不登場 |
|~天蓋領域 |不登場 |
|~阪中 |不登場|
|~谷口 |不登場|
|~ミヨキチ |不登場 |
|~佐々木 |不登場 |
|~橘京子 |不登場 |
** SS [#j362afe3]
//////////
#br
#setlinebreak(on)
わたしは彼に習ったとおり、ひとり、彼に借りた携帯電話を...
電話という手段には慣れないけれども、これも、人を探すた...
手がかりを、探すため。
手がかりを……。
#br
不意に、部室の扉を叩くノックの音が聞こえた。
#br
わたしはただ視線を持ち上げ、扉を見る。
誰だろう。わたしの知る『彼』はノックをして扉を開けるこ...
彼は、たった一人の文芸部員なのだから。
「……どなたかいらっしゃるんですか?」
扉が、ゆっくりと外側から開かれる。
そこに立っていたのは、一人の女子生徒だった。上履きの色...
「あら……」
「長門有希」
「ああ、転校生の方でしたね」
「そう」
二年生で有る彼女がどうして一年の転校生を知っているのか...
この学校は、そんなに大きな学校ではない。
「……あなたは?」
「喜緑江美里と言います。生徒会の書記なんです」
「……そう」
生徒会。確か、学生達の運営する、学生生活が滞りなく行わ...
けれどそんな人物が何故、文芸部室に入って来たのだろう。...
「あ、いえ、人が居たので……、わたし、さっきまで隣に居たん...
と言って彼女が指差したのは、コンピュータ研究部の部室。...
なるほど、彼女は唯一の部員である彼が不在なのに、この部...
「……」
「長門さんは、文芸部に入部希望なんですか?」
「……」
わたしは、彼女の質問への回答を持たなかった。
文芸部、それは、わたしの知る世界でわたしが所属していた...
では、わたしはここではどうする?
ここでのわたしは、転校生。
ここには、三年後に文芸部室で待っていてくれと言った記憶...
後者はともかく前者は、その痕跡を残す人物に出会うことは...
「違うんですか?」
「……分からない」
多分、その回答で間違って居ないと思う。
わたしがこの文芸部に入る理由は存在しないはずだけれども...
そう、もう一度。
「あら、そうなんですか……。ちょっと残念ですね」
「残念?」
「ええ、あなたが文芸部に入るのかな、と思ったものですから」
ということは彼女が、わたしの『分からない』という言葉を...
「……」
「あの子、一人で頑張っていますからね。……機関誌、ちゃんと...
「……機関誌?」
「ええ、機関誌です。この学校の文芸部には、年に一回機関誌...
「……そう」
機関誌……、あまり、耳に覚えが無い言葉。
わたしも本は読むけれども、書く方のことはよく分からない。
読んでばかりのわたしには、文章で物を伝えるという技術を...
「一人じゃ、大変そうかなと思って……。と言っても、わたしが...
喜緑江美里なる人物は、そう言ってから、軽やかに笑みを浮...
「……」
彼女は、わたしに何が言いたいのだろう。
文芸部、文芸部員……、わたしに、勧めたいのだろうか?
「ああ、すみません、お邪魔してしまいましたね。……それでは...
喜緑江美里はそう言い残すと、文芸部室から出て行った。
音も無く、というほどではないけれども、あまり足音を立て...
「……」
不快な人物ではないと思うが、人物像の掴み辛い人物だとは...
彼女は一体、わたしに何を言いたかったのだろうか。
彼女は……、わたしが何をしているか、知っているのだろうか...
わたしは……、わたしは、探しものの途中。
記憶と知識を元に、わたしがわたしであることを知る人々を...
#br
……何のために?
#br
わたしが、わたしで……、そう、それは、わたしに必要なこと。
わたしがわたしであるために、必要なこと。
だからわたしは、探す。
手がかりを……。
#br
わたしは椅子から立ち上がり、文芸部室の中を歩く。
見慣れた場所と同じ場所だけれど、そこに有るものが違うか...
本は……、有る、けれども。その内容は、わたしが持ち込んだ...
SF、ミステリ、純文学……、わたしが読んだことが有る本もあ...
……やはり彼は、わたしの知る『彼』とは違う。『彼』はあま...
これが、もし。
もし、わたしの知る『彼』と、同じ本を読み、語り合うこと...
違う、彼は『彼』じゃない。
ここにいる彼に、わたしの望む『彼』の姿を投影することは...
名前と外見、幾つかの情報が同じで有っても、二人は、同一...
そう、同一では……。
「わたしは……」
わたしが探しているのは、わたしの知る『彼』。ここにいる...
それだけの……、はず。
「……これは?」
本棚の横、小さな棚の中に、無造作に藁半紙が置かれていた。
どういうわけか、わたしの手は引き寄せられるようにしてそ...
「入部届け……」
見慣れていると言うほどでは無いけれども、わたしにも、こ...
文芸部員となるために書いた、入部届け。
約束を果たすための、第一歩。
そう、『彼』との……。
……本当に、それだけ?
「……」
何だろう、この心に引っかかるような感覚は。
この、言いようの無い衝動は……、これも、元の世界へ帰るた...
わたしは……、少し考えてから、入部届けを一枚だけ手に取り...
#br
#br
#br
……つかみかけたと思った手がかりが、するりと掌から抜けて...
彼が有機生命体たちが形成する稚拙な情報網の中から見つけ...
この国に3千人居るかどうかという苗字に、珍しくは無いけ...
そもそも、元々のわたしの能力が有れば、こんなに人探しで...
結局、今日は何も掴めないまま終わってしまった。
そう、何も……。
#br
期限は、何時までだろうか。
わたしは……、本当に、探しているものを、見つけることが出...
#br
わたしは……、
#br
#br
//////////
#setlinebreak(default)
#br
----
ページ名: