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#navi(SS集)
#br
* 作品 [#wfb0860d]
** 概要 [#l1ab3add]
|~作者 |輪舞の人 |
|~作品名 |機械知性体たちの輪舞曲 第9話 ...
|~カテゴリー|長門SS(一般)|
|~保管日 |2007-01-25 (木) 21:15:00 |
** 登場キャラ [#bc5510a3]
//////////
|~キョン |登場 |
|~キョンの妹|不登場 |
|~ハルヒ |登場 |
|~みくる |不登場 |
|~古泉一樹 |不登場 |
|~鶴屋さん |不登場 |
|~朝倉涼子 |不登場 |
|~喜緑江美里|不登場|
|~周防九曜 |不登場 |
|~思念体 |不登場 |
|~天蓋領域 |不登場 |
|~阪中 |不登場|
|~谷口 |不登場|
|~ミヨキチ |不登場 |
|~佐々木 |不登場 |
|~橘京子 |不登場 |
** SS [#g75b3703]
//////////
#br
#setlinebreak(on)
#br
台本はすでにできあがっています。
その通りに演じれば問題はないはず。
ああ。でも助演女優が台本に不満を持っているようです。そ...
アドリブに自信があるのなら話は別なんですが。
困りましたね。
#br
―ある情報端末の視点―
#br
#br
文芸部の部室はひどく閑散としたものだった。
それも当然の話で、すでに所属部員は誰もいない。最後の三...
すでに職員室に入部届けは提出していた。
わたしの「個性的」と評価されてしまった物静かさは、読書...
ただし暫定的に残されているが、五人集まることがなければ...
五人。わたしは記憶を辿る。だいじょうぶ。すぐにその人数...
教師の想定する文芸部員ではないけれど、でも、これからわ...
七月七日のあの人の言葉は、鮮明に記録されているのだから。
#br
部員としての活動。といっても、何か特別な行動をするわけ...
ただ放課後に部室に向かい、大もとの計画通りに「窓辺に座...
何か他に行動を起こすべきだと考えるが、どうしたらいいの...
規定事項。この呪縛がわたしを封じ込める。
あれ以来、時間の上書き現象は確認されてはいなかった。
#br
四月中の状況に大きな変化はなかった。淡々と涼宮ハルヒの...
朝倉涼子の活動も、わたしの中のある疑念さえ無ければ、任...
四月が終わりに近づくにつれ、焦りというものを自覚し始め...
わたしに生じた不安定要素のひとつ。焦燥。
#br
時間が、ない。
#br
この時、わたしがもっとも関心を払う事象はふたつ。
ひとつは五月二十五日。朝倉涼子の事。
ひとつは五月二十七日。涼宮ハルヒと彼が、閉鎖空間に封じ...
後者はすでに事態がうまく収束することが確定している。こ...
しかし前者はそういうわけにはいかない。回避したい事項。
ひたすら検討を続けるものの、有効な打開策を講じることは...
ただ時間だけが経過する。
#br
四月三十日。金曜日。
明日からこの日本では「ゴールデン・ウィーク」と呼ばれる...
彼は妹とふたり、自宅から離れて親族の元へと旅行に出かけ...
涼宮ハルヒの動静の監視があるため、彼とは少しの間、距離...
不安というわけではなかったが、落ち着かない。 最近、こ...
#br
五月五日。水曜日。
ゴールデン・ウィークは終了。学校の再開。
特に何もない。学校にて彼の無事の存在を確認する。
早く彼に会えればよい、と思う。
#br
五月六日。木曜日。
この日、涼宮ハルヒの髪型の変更を確認。
昨日、これまでの毎日の髪型の変化を彼に指摘された事によ...
全てわたしの記憶の中にあるとおりに、事態は推移している。
#br
五月七日。金曜日。
涼宮ハルヒの異性交遊関係についての談義。
彼と涼宮ハルヒとの関係構築は少しずつ進んでいることが確...
意味のない焦り。これは何に対しての焦燥なのだろう。解析...
#br
五月十日、月曜日。
この日が来た。彼女が自分の環境を大きく変える発案をした...
#br
昼休み。わたしは規定通りに文芸部の部室で本を読む。
やがて占拠できそうな部室を捜し求めて、文芸部の部室にあ...
最重要観測対象。涼宮ハルヒ。
#br
「おっじゃましまーす」
すでに知っているあの声が、文芸部のドアを勢いよく開けた。
「……って誰もいないんだけどね。あら」
予想を覆された涼宮ハルヒの声。そう。わたしがいる。たっ...
「ここ、文芸部の部室でしょ」
「そう」
彼女は一歩後ろに下がると視線を上に向ける。
廊下のドアの上にある看板の確認をしているはずだった。も...
「もう、部員、いないんじゃなかったっけ」
「いる」
膝の上の本のページを一枚、めくる。
「わたしがいる」
「ふーん」
何のためらいもなく部室に入ってくる。しばらく部屋の中を...
「何、読んでるの」
「ハイペリオン」
巡礼者たちの物語。かなり深いテーマを持つように思われる。
「それ、おもしろいの」
「かなり」
「そっか。それよりさ、あんたの名前、何ていうの」
わたしはパーソナルネーム……いや。もう違う。
わたしの名前。名前を、告げる。
でもその事には大きく関心を示した様子もなく、彼女は少し...
何の評価をしているのかはすぐにわかる。とてもユニークな...
「あんた、いいキャラクター持ってるわね」
「そう」
「それよ。その無口さがいいの。あとその眼鏡も高ポイントを...
どういう基準なのか、とにかくわたしは彼女の要求する性能...
宇宙人は他にもそばにいる。例えば朝倉涼子。わたしよりも...
彼女では、いけなかったのだろうか。
それは涼宮ハルヒ本人にも、わからないことなのかも知れな...
「それで、ねぇ。実は相談があるんだけど」
こっそり耳打ちするような、でも相談というより提案事項。
それに対して、わたしが拒否する理由はなにもなかった。
その提案を、ひとり、ずっと待っていたのだから。
#br
「また会おう、長門。しっかり文芸部の部室で待っててくれよ...
約束。わたしは待っていた。あなたの言葉通りに。
三年近くの時を経て。
#br
#br
放課後。わたしはいつもの定位置で本を読む。
旧館の部室棟。文芸部の窓辺。
本のページを手繰る。もう少し。
遠くから階段を駆け上がる音。もう少し。
廊下に響く足音。それは扉の前まで。
そして――
「ここ」
扉が引かれる気配。涼宮ハルヒの声。
「これからこの部屋が我々の部室よ!」
彼女の高らかな宣言。
その後、しばらくふたりの議論は続く。彼が押し切られるの...
また新たに表現のできない感覚が、この時に発生する。
このふたりの直接の会話を聞いていると「ユニークさ」では...
ほんのわずかだが、けっして不快なものではない、何か。
気がつくと会話は終わり、彼がわたしを見つめていた。
冷静に。ちゃんと言わなければ。これは規定事項なのだから。
何事もないように顔を上げ、少しずれた眼鏡の位置を直す。
#br
#br
「長門有希」
#br
――今、わたしの名前を初めてあなたに告げよう。
#br
あなたとの約束をたった今、果たした。あなたはまだそのこ...
ほんの数瞬、彼を見つめる。本当の時間はわずかなもののは...
でも、この時の体感時間はきっともっと長いもの。
#br
――やっと逢えた。もう、ひとりではない。
#br
#br
それは、朝倉涼子の消滅まであと2週間に迫った日の事。
わたしは決意を固める。
#br
あなたを守りたい。
例え、それが彼女を消し去ってしまうのだとしても。
#br
#br
―第9話 終―
#br
#br
SS集/472へ続く
#br
#br
//////////
#setlinebreak(default)
#br
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終了行:
#navi(SS集)
#br
* 作品 [#wfb0860d]
** 概要 [#l1ab3add]
|~作者 |輪舞の人 |
|~作品名 |機械知性体たちの輪舞曲 第9話 ...
|~カテゴリー|長門SS(一般)|
|~保管日 |2007-01-25 (木) 21:15:00 |
** 登場キャラ [#bc5510a3]
//////////
|~キョン |登場 |
|~キョンの妹|不登場 |
|~ハルヒ |登場 |
|~みくる |不登場 |
|~古泉一樹 |不登場 |
|~鶴屋さん |不登場 |
|~朝倉涼子 |不登場 |
|~喜緑江美里|不登場|
|~周防九曜 |不登場 |
|~思念体 |不登場 |
|~天蓋領域 |不登場 |
|~阪中 |不登場|
|~谷口 |不登場|
|~ミヨキチ |不登場 |
|~佐々木 |不登場 |
|~橘京子 |不登場 |
** SS [#g75b3703]
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#br
#setlinebreak(on)
#br
台本はすでにできあがっています。
その通りに演じれば問題はないはず。
ああ。でも助演女優が台本に不満を持っているようです。そ...
アドリブに自信があるのなら話は別なんですが。
困りましたね。
#br
―ある情報端末の視点―
#br
#br
文芸部の部室はひどく閑散としたものだった。
それも当然の話で、すでに所属部員は誰もいない。最後の三...
すでに職員室に入部届けは提出していた。
わたしの「個性的」と評価されてしまった物静かさは、読書...
ただし暫定的に残されているが、五人集まることがなければ...
五人。わたしは記憶を辿る。だいじょうぶ。すぐにその人数...
教師の想定する文芸部員ではないけれど、でも、これからわ...
七月七日のあの人の言葉は、鮮明に記録されているのだから。
#br
部員としての活動。といっても、何か特別な行動をするわけ...
ただ放課後に部室に向かい、大もとの計画通りに「窓辺に座...
何か他に行動を起こすべきだと考えるが、どうしたらいいの...
規定事項。この呪縛がわたしを封じ込める。
あれ以来、時間の上書き現象は確認されてはいなかった。
#br
四月中の状況に大きな変化はなかった。淡々と涼宮ハルヒの...
朝倉涼子の活動も、わたしの中のある疑念さえ無ければ、任...
四月が終わりに近づくにつれ、焦りというものを自覚し始め...
わたしに生じた不安定要素のひとつ。焦燥。
#br
時間が、ない。
#br
この時、わたしがもっとも関心を払う事象はふたつ。
ひとつは五月二十五日。朝倉涼子の事。
ひとつは五月二十七日。涼宮ハルヒと彼が、閉鎖空間に封じ...
後者はすでに事態がうまく収束することが確定している。こ...
しかし前者はそういうわけにはいかない。回避したい事項。
ひたすら検討を続けるものの、有効な打開策を講じることは...
ただ時間だけが経過する。
#br
四月三十日。金曜日。
明日からこの日本では「ゴールデン・ウィーク」と呼ばれる...
彼は妹とふたり、自宅から離れて親族の元へと旅行に出かけ...
涼宮ハルヒの動静の監視があるため、彼とは少しの間、距離...
不安というわけではなかったが、落ち着かない。 最近、こ...
#br
五月五日。水曜日。
ゴールデン・ウィークは終了。学校の再開。
特に何もない。学校にて彼の無事の存在を確認する。
早く彼に会えればよい、と思う。
#br
五月六日。木曜日。
この日、涼宮ハルヒの髪型の変更を確認。
昨日、これまでの毎日の髪型の変化を彼に指摘された事によ...
全てわたしの記憶の中にあるとおりに、事態は推移している。
#br
五月七日。金曜日。
涼宮ハルヒの異性交遊関係についての談義。
彼と涼宮ハルヒとの関係構築は少しずつ進んでいることが確...
意味のない焦り。これは何に対しての焦燥なのだろう。解析...
#br
五月十日、月曜日。
この日が来た。彼女が自分の環境を大きく変える発案をした...
#br
昼休み。わたしは規定通りに文芸部の部室で本を読む。
やがて占拠できそうな部室を捜し求めて、文芸部の部室にあ...
最重要観測対象。涼宮ハルヒ。
#br
「おっじゃましまーす」
すでに知っているあの声が、文芸部のドアを勢いよく開けた。
「……って誰もいないんだけどね。あら」
予想を覆された涼宮ハルヒの声。そう。わたしがいる。たっ...
「ここ、文芸部の部室でしょ」
「そう」
彼女は一歩後ろに下がると視線を上に向ける。
廊下のドアの上にある看板の確認をしているはずだった。も...
「もう、部員、いないんじゃなかったっけ」
「いる」
膝の上の本のページを一枚、めくる。
「わたしがいる」
「ふーん」
何のためらいもなく部室に入ってくる。しばらく部屋の中を...
「何、読んでるの」
「ハイペリオン」
巡礼者たちの物語。かなり深いテーマを持つように思われる。
「それ、おもしろいの」
「かなり」
「そっか。それよりさ、あんたの名前、何ていうの」
わたしはパーソナルネーム……いや。もう違う。
わたしの名前。名前を、告げる。
でもその事には大きく関心を示した様子もなく、彼女は少し...
何の評価をしているのかはすぐにわかる。とてもユニークな...
「あんた、いいキャラクター持ってるわね」
「そう」
「それよ。その無口さがいいの。あとその眼鏡も高ポイントを...
どういう基準なのか、とにかくわたしは彼女の要求する性能...
宇宙人は他にもそばにいる。例えば朝倉涼子。わたしよりも...
彼女では、いけなかったのだろうか。
それは涼宮ハルヒ本人にも、わからないことなのかも知れな...
「それで、ねぇ。実は相談があるんだけど」
こっそり耳打ちするような、でも相談というより提案事項。
それに対して、わたしが拒否する理由はなにもなかった。
その提案を、ひとり、ずっと待っていたのだから。
#br
「また会おう、長門。しっかり文芸部の部室で待っててくれよ...
約束。わたしは待っていた。あなたの言葉通りに。
三年近くの時を経て。
#br
#br
放課後。わたしはいつもの定位置で本を読む。
旧館の部室棟。文芸部の窓辺。
本のページを手繰る。もう少し。
遠くから階段を駆け上がる音。もう少し。
廊下に響く足音。それは扉の前まで。
そして――
「ここ」
扉が引かれる気配。涼宮ハルヒの声。
「これからこの部屋が我々の部室よ!」
彼女の高らかな宣言。
その後、しばらくふたりの議論は続く。彼が押し切られるの...
また新たに表現のできない感覚が、この時に発生する。
このふたりの直接の会話を聞いていると「ユニークさ」では...
ほんのわずかだが、けっして不快なものではない、何か。
気がつくと会話は終わり、彼がわたしを見つめていた。
冷静に。ちゃんと言わなければ。これは規定事項なのだから。
何事もないように顔を上げ、少しずれた眼鏡の位置を直す。
#br
#br
「長門有希」
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――今、わたしの名前を初めてあなたに告げよう。
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あなたとの約束をたった今、果たした。あなたはまだそのこ...
ほんの数瞬、彼を見つめる。本当の時間はわずかなもののは...
でも、この時の体感時間はきっともっと長いもの。
#br
――やっと逢えた。もう、ひとりではない。
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#br
それは、朝倉涼子の消滅まであと2週間に迫った日の事。
わたしは決意を固める。
#br
あなたを守りたい。
例え、それが彼女を消し去ってしまうのだとしても。
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―第9話 終―
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SS集/472へ続く
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