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開始行:
#navi(SS集)
#br
* 作品 [#l6668f89]
** 概要 [#a26b3f89]
|~作者 |輪舞の人 |
|~作品名 |機械知性体たちの輪舞曲 第7話 ...
|~カテゴリー|長門SS(一般)|
|~保管日 |2007-01-21 (日) 14:54:48 |
** 登場キャラ [#m792a892]
//////////
|~キョン |不登場 |
|~キョンの妹|不登場 |
|~ハルヒ |不登場 |
|~みくる |不登場 |
|~古泉一樹 |不登場 |
|~鶴屋さん |不登場 |
|~朝倉涼子 |登場 |
|~喜緑江美里|不登場|
|~周防九曜 |不登場 |
|~思念体 |不登場 |
|~天蓋領域 |不登場 |
|~阪中 |不登場|
|~谷口 |不登場|
|~ミヨキチ |不登場 |
|~佐々木 |不登場 |
|~橘京子 |不登場 |
** SS [#ked192c3]
//////////
#br
#setlinebreak(on)
#br
彼女が種を蒔き、彼が育み、わたしが収穫する。
でもその実はどこへ?
#br
―ある情報端末のつぶやき―
#br
娘たちの輪舞曲(ロンド)は続く。
あまりに滑稽。あまりに不器用。あまりに無残。
聴くに堪えぬ未熟な技量。
しかしその哀しいまでの純粋さには、耳を傾けるに足る価値...
#br
―深宇宙のどこかで―
#br
#br
情報統合思念体が主導する、比較的規模の大きい情報制御に...
わたしたちの活動地域に限定された印象操作。生体年齢の偽...
これまでの生活で、わたしたちの接触した人間たちはそれぞ...
#br
あくまで生体年齢に対してだけ限定された措置だった。
三年前からわたしたちは成長はしていない。怪しむ人間は怪...
その際のコミュニケートは各個体が得る経験値として認めら...
待機時間は、現地での調整が主な目的だったのだから当然と...
もっともわたしにはそれこそが最大の問題であり、だからこ...
#br
いや、今はそれはいい。
#br
現在まで、わたしたちの生体年齢に変更は施されていない。
今後どうなるのかは不明。個体の独自の成長が認められれば...
統合思念体の思惑は、末端のわたしにはよくわからないもの...
#br
『現時刻をもって個体コード「S-01B」、「S-02B」の個体偽装...
#br
個体コードの「S-01B」はわたし。「S-02B」は彼女。朝倉涼...
この通達をもって正式にわたしたちの任務は開始される。
「S-03B」、喜緑江美里は予定通りに一年先行して北高に入学...
任務の詳細は相変わらず知らされていないが、いずれ会うこ...
#br
とにかくわたしの初登校。失敗は許されない。
わたしは桜の舞い散る坂を上り、校門をくぐる。
ここにわたしにとって重要な意味をもつ、全ての人々が集結...
彼もここにいる。まだわたしを知らない彼。
#br
そして朝倉涼子も。
#br
#br
「長門有希」
#br
その後、虚偽の出身中学の名前を続けて着席する。
他の皆は唖然としてわたしを見ている。予想された事態。周...
入学式の後、各クラスに分かれて最初のホームルーム。氏名...
交友関係? 社会的に認められるためにともだちは必要。
彼女は何度となくそう教えて……いや、今はそれはいい。
とにかく、今の自分に可能な限りの自己紹介を実現した。パ...
想像してみる。
#br
「出身は深宇宙のどこか。いや、現在のあなたたちに言語で説...
#br
……言えるはずがない。
#br
――言ってみればいいじゃない。
#br
論外。第一にこれは最優先機密情報であり、第二に無用の混...
#br
「あー、長門よ」
意識が教壇に戻る。担当の教諭が何とも言えない表情でわた...
すでにこの事態は規定事項のはずだが、重度の高い情報とし...
破棄した当時の自分に異議を申し立てたい。この状況のどこ...
……いずれにせよ、規定事項を覆すのは容易ではない。記憶が...
おそらく彼であれば、今のこのわたしの思考を「やけくそ」...
「他に何かないか。普段していることとか、夢とか希望とか」
他の生徒も、じっとわたしを見つめている。期待されている...
わたしは過去の情報を検討する。普段している事、というよ...
#br
「本を読む」
#br
着席。静まりかえった教室は、しかし元には戻らなかった。
本格的なコミュニケーションというものがこれほど困難な道...
「……まぁ、とにかくだ。彼女は読書が好きなようだ。緊張もし...
担当教諭が、明らかな同様の気配を浮かべつつ周囲に勧告し...
……これなら、存在が未確認ではあるが、広域帯宇宙存在端末...
つまり、逃げたい。
「いや、先生はおとなしい子が好きだぞ。長門も周りとよく話...
教師の命令には従う事。これも彼女が教えて……いや、今はそ...
とにかく最後はしっかりとした対応をして、信用を勝ち取る...
そして、言った。
「わかった」
はっきりと肯定の意思を伝える。わたしにも、できた。恐れ...
ひとりでもできるのだ。
しかし教師の顔は完全に固定化された。
コールタールで塗りこめられたような、いや、凍りついたと...
再び沈黙する教室。
わたしは自然と視線が下に向く自分を感じる。
#br
こうして当初の目的である「目立たない文学少女」というパ...
#br
なんということ。
#br
#br
初日は学校のシステムについてのレクチャーが続く。部活の...
その後、解散。わたしに話しかけてくる生徒は皆無。すでに...
わたしは帰り支度をすると人間たちの輪から抜け出し、廊下...
背中に聞こえる笑い声に、わたしは自身の寂しさを感じる。
……寂しい?
何だろう……この感覚は。
#br
この後どうするべきか検討する。まずはわたしの仲間との接...
第二学年には喜緑江美里がいる。だが、今ここにいるかは不...
そのうちに会えるとは思うのだが。
#br
――彼女には会わないの?
#br
……いや。会う必要がある。朝倉涼子には。
わたしはまだ彼女の真意をしっかりと問いただしていない。
あの時に受けた衝撃はやはり大きかった。
わたしはまともな質問もすることができずに、引き下がって...
はっきりとした形で、反応消失とあの態度の理由を訊いてみ...
もし本当に「わたしの面倒をみるのが嫌になった」というの...
とてもそんな理由だけだとは思えないのだが。
#br
しかしあのタイミングで、あの言葉はあまりにも不自然。そ...
今、三年という時間を置いてから改めて考えた時、そのとき...
#br
――勇気がなかったからでしょ。
……そう勇気が……? 勇気? 何?
――いくじなし。馬鹿みたい。
……これは、ノイズ。わたしの言葉ではない。違う。
――愛してる、なんて言われて、戸惑って、どぎまぎして。そ...
#br
意識野に何者かの声が響く。誰のものだろう。喜緑江美里か。
しかしこれは思考リンクのものではない。そもそも確立を確...
承認した記録も。思考リンクにかなり近いものだったが、違...
言葉の意味も不明。誰が、誰に対して愛しているなんて……愛?
#br
――とても可愛い。ふてくされて、その勢いで消してしまうな...
――あんな大切な言葉を。
#br
発信源の特定。どこからの発信かをつきとめる必要がある。
わたしは周囲を警戒。廊下を早歩きで移動しつつ、全警戒防...
思考汚染の可能性も考えられるが、侵入経路が不明。
すでにわたしは情報統合思念体に対し、わたしの権限で可能...
その後、各種思考リンクを完全切断。スタンドアローンモー...
任務の開始と共に、何らかの勢力の攻撃が開始されたのかも...
#br
いったい何が起こって……そう考えてから、気づく。
「こんなことは、規定事項には記録されていない」のだ。
#br
同期したわたしには、七月七日までの記録はすべて把握して...
優先度の低い記録は破棄していたが、このような危機として...
#br
――びっくりしちゃったね。でもこれから……ああ、時間がきた。
……意思の疎通ができる? 無為な言葉ではない。明確な意思...
――今はここまで。そのうちにまた会える。
#br
消失する。形跡は残されていない。記録にも残らない。
#br
わたしは廊下に立ったまま、周囲の警戒を続ける。
自分のクラスからはかなり移動してしまっていたようだ。
ここはどこだろう。学校内の地図を検索。その時。
#br
「こんにちは、長門さん」
不意に後ろから声がかかる。
「久しぶりね。道に迷った?」
その声には、今までの彼女とは明らかに違う成分が含まれて...
#br
三年ぶりに聞く、朝倉涼子の声。
#br
#br
―第7話 終―
#br
#br
SS集/464へ続く
#br
#br
//////////
#setlinebreak(default)
#br
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終了行:
#navi(SS集)
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* 作品 [#l6668f89]
** 概要 [#a26b3f89]
|~作者 |輪舞の人 |
|~作品名 |機械知性体たちの輪舞曲 第7話 ...
|~カテゴリー|長門SS(一般)|
|~保管日 |2007-01-21 (日) 14:54:48 |
** 登場キャラ [#m792a892]
//////////
|~キョン |不登場 |
|~キョンの妹|不登場 |
|~ハルヒ |不登場 |
|~みくる |不登場 |
|~古泉一樹 |不登場 |
|~鶴屋さん |不登場 |
|~朝倉涼子 |登場 |
|~喜緑江美里|不登場|
|~周防九曜 |不登場 |
|~思念体 |不登場 |
|~天蓋領域 |不登場 |
|~阪中 |不登場|
|~谷口 |不登場|
|~ミヨキチ |不登場 |
|~佐々木 |不登場 |
|~橘京子 |不登場 |
** SS [#ked192c3]
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#br
#setlinebreak(on)
#br
彼女が種を蒔き、彼が育み、わたしが収穫する。
でもその実はどこへ?
#br
―ある情報端末のつぶやき―
#br
娘たちの輪舞曲(ロンド)は続く。
あまりに滑稽。あまりに不器用。あまりに無残。
聴くに堪えぬ未熟な技量。
しかしその哀しいまでの純粋さには、耳を傾けるに足る価値...
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―深宇宙のどこかで―
#br
#br
情報統合思念体が主導する、比較的規模の大きい情報制御に...
わたしたちの活動地域に限定された印象操作。生体年齢の偽...
これまでの生活で、わたしたちの接触した人間たちはそれぞ...
#br
あくまで生体年齢に対してだけ限定された措置だった。
三年前からわたしたちは成長はしていない。怪しむ人間は怪...
その際のコミュニケートは各個体が得る経験値として認めら...
待機時間は、現地での調整が主な目的だったのだから当然と...
もっともわたしにはそれこそが最大の問題であり、だからこ...
#br
いや、今はそれはいい。
#br
現在まで、わたしたちの生体年齢に変更は施されていない。
今後どうなるのかは不明。個体の独自の成長が認められれば...
統合思念体の思惑は、末端のわたしにはよくわからないもの...
#br
『現時刻をもって個体コード「S-01B」、「S-02B」の個体偽装...
#br
個体コードの「S-01B」はわたし。「S-02B」は彼女。朝倉涼...
この通達をもって正式にわたしたちの任務は開始される。
「S-03B」、喜緑江美里は予定通りに一年先行して北高に入学...
任務の詳細は相変わらず知らされていないが、いずれ会うこ...
#br
とにかくわたしの初登校。失敗は許されない。
わたしは桜の舞い散る坂を上り、校門をくぐる。
ここにわたしにとって重要な意味をもつ、全ての人々が集結...
彼もここにいる。まだわたしを知らない彼。
#br
そして朝倉涼子も。
#br
#br
「長門有希」
#br
その後、虚偽の出身中学の名前を続けて着席する。
他の皆は唖然としてわたしを見ている。予想された事態。周...
入学式の後、各クラスに分かれて最初のホームルーム。氏名...
交友関係? 社会的に認められるためにともだちは必要。
彼女は何度となくそう教えて……いや、今はそれはいい。
とにかく、今の自分に可能な限りの自己紹介を実現した。パ...
想像してみる。
#br
「出身は深宇宙のどこか。いや、現在のあなたたちに言語で説...
#br
……言えるはずがない。
#br
――言ってみればいいじゃない。
#br
論外。第一にこれは最優先機密情報であり、第二に無用の混...
#br
「あー、長門よ」
意識が教壇に戻る。担当の教諭が何とも言えない表情でわた...
すでにこの事態は規定事項のはずだが、重度の高い情報とし...
破棄した当時の自分に異議を申し立てたい。この状況のどこ...
……いずれにせよ、規定事項を覆すのは容易ではない。記憶が...
おそらく彼であれば、今のこのわたしの思考を「やけくそ」...
「他に何かないか。普段していることとか、夢とか希望とか」
他の生徒も、じっとわたしを見つめている。期待されている...
わたしは過去の情報を検討する。普段している事、というよ...
#br
「本を読む」
#br
着席。静まりかえった教室は、しかし元には戻らなかった。
本格的なコミュニケーションというものがこれほど困難な道...
「……まぁ、とにかくだ。彼女は読書が好きなようだ。緊張もし...
担当教諭が、明らかな同様の気配を浮かべつつ周囲に勧告し...
……これなら、存在が未確認ではあるが、広域帯宇宙存在端末...
つまり、逃げたい。
「いや、先生はおとなしい子が好きだぞ。長門も周りとよく話...
教師の命令には従う事。これも彼女が教えて……いや、今はそ...
とにかく最後はしっかりとした対応をして、信用を勝ち取る...
そして、言った。
「わかった」
はっきりと肯定の意思を伝える。わたしにも、できた。恐れ...
ひとりでもできるのだ。
しかし教師の顔は完全に固定化された。
コールタールで塗りこめられたような、いや、凍りついたと...
再び沈黙する教室。
わたしは自然と視線が下に向く自分を感じる。
#br
こうして当初の目的である「目立たない文学少女」というパ...
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なんということ。
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初日は学校のシステムについてのレクチャーが続く。部活の...
その後、解散。わたしに話しかけてくる生徒は皆無。すでに...
わたしは帰り支度をすると人間たちの輪から抜け出し、廊下...
背中に聞こえる笑い声に、わたしは自身の寂しさを感じる。
……寂しい?
何だろう……この感覚は。
#br
この後どうするべきか検討する。まずはわたしの仲間との接...
第二学年には喜緑江美里がいる。だが、今ここにいるかは不...
そのうちに会えるとは思うのだが。
#br
――彼女には会わないの?
#br
……いや。会う必要がある。朝倉涼子には。
わたしはまだ彼女の真意をしっかりと問いただしていない。
あの時に受けた衝撃はやはり大きかった。
わたしはまともな質問もすることができずに、引き下がって...
はっきりとした形で、反応消失とあの態度の理由を訊いてみ...
もし本当に「わたしの面倒をみるのが嫌になった」というの...
とてもそんな理由だけだとは思えないのだが。
#br
しかしあのタイミングで、あの言葉はあまりにも不自然。そ...
今、三年という時間を置いてから改めて考えた時、そのとき...
#br
――勇気がなかったからでしょ。
……そう勇気が……? 勇気? 何?
――いくじなし。馬鹿みたい。
……これは、ノイズ。わたしの言葉ではない。違う。
――愛してる、なんて言われて、戸惑って、どぎまぎして。そ...
#br
意識野に何者かの声が響く。誰のものだろう。喜緑江美里か。
しかしこれは思考リンクのものではない。そもそも確立を確...
承認した記録も。思考リンクにかなり近いものだったが、違...
言葉の意味も不明。誰が、誰に対して愛しているなんて……愛?
#br
――とても可愛い。ふてくされて、その勢いで消してしまうな...
――あんな大切な言葉を。
#br
発信源の特定。どこからの発信かをつきとめる必要がある。
わたしは周囲を警戒。廊下を早歩きで移動しつつ、全警戒防...
思考汚染の可能性も考えられるが、侵入経路が不明。
すでにわたしは情報統合思念体に対し、わたしの権限で可能...
その後、各種思考リンクを完全切断。スタンドアローンモー...
任務の開始と共に、何らかの勢力の攻撃が開始されたのかも...
#br
いったい何が起こって……そう考えてから、気づく。
「こんなことは、規定事項には記録されていない」のだ。
#br
同期したわたしには、七月七日までの記録はすべて把握して...
優先度の低い記録は破棄していたが、このような危機として...
#br
――びっくりしちゃったね。でもこれから……ああ、時間がきた。
……意思の疎通ができる? 無為な言葉ではない。明確な意思...
――今はここまで。そのうちにまた会える。
#br
消失する。形跡は残されていない。記録にも残らない。
#br
わたしは廊下に立ったまま、周囲の警戒を続ける。
自分のクラスからはかなり移動してしまっていたようだ。
ここはどこだろう。学校内の地図を検索。その時。
#br
「こんにちは、長門さん」
不意に後ろから声がかかる。
「久しぶりね。道に迷った?」
その声には、今までの彼女とは明らかに違う成分が含まれて...
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三年ぶりに聞く、朝倉涼子の声。
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―第7話 終―
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SS集/464へ続く
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