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#navi(SS集)
#br
* 作品 [#b475acc3]
** 概要 [#ob59f047]
|~作者 |十六夜 |
|~作品名 |人魚姫 長門 |
|~カテゴリー|長門SS(一般)|
|~保管日 |2006-08-17 (木) 00:51:08 |
** 登場キャラ [#sd45acc9]
//////////
|~キョン |登場 |
|~キョンの妹|不登場 |
|~ハルヒ |登場 |
|~みくる |登場 |
|~古泉一樹 |登場 |
|~鶴屋さん |不登場 |
|~朝倉涼子 |登場 |
|~喜緑江美里|登場|
|~周防九曜 |不登場 |
|~思念体 |登場 |
|~天蓋領域 |不登場 |
|~阪中 |不登場|
|~谷口 |登場|
|~ミヨキチ |不登場 |
|~佐々木 |不登場 |
|~橘京子 |不登場 |
** SS [#n3947106]
//////////
#br
#setlinebreak(on)
#1 動き始めた運命
#br
あるきれいな海に人魚達が住む楽園がありました。
そこには争いも、憎しみも、この世の「悪」と称されるものは...
そして、この国の王、主流派にとても可愛らしい一人娘がいま...
名前を長門 ゆきといいます。皆からはゆき姫と呼ばれています。
ゆき姫は読書が好きでヒマさえあれば四六時中、本を読んでい...
ちなみに父親との仲は今ひとつです。
まぁ、ゆき姫の写真を集めたのを見てハァハァ興奮したり、下...
一般的に見ていい父親ではありませんから仕方ありませんね。
#br
ある時、友達である朝倉 涼子と喜緑 江美里が家で本ばかり読...
外に出て遊ぼうと誘いに来ました。この二人はゆき姫の大切な...
「…わかった」
快く承諾しました。涼子がゆき姫の手を引っ張ります。
「じゃあ、さっそく行きましょう」
「今日はどこにしますか?」
江美里が尋ねます。
「…船が見たい」
「そうね、たまには海面の近くまで行ってみましょうか。それ...
主「あっ、ゆき、出かけるのー? 気をつけてね〜」
ゆき姫はそんな主流派の心配を無視して、三人で出かけました。
…これがゆき姫の一生を左右する物語の始まりとはだれも知りま...
#br
#br
#2 はなればなれ
#br
三人が仲良く並んで泳いでいると、二匹のマーマンが現れまし...
この辺りでは有名な谷口と国木田です。谷口はナンパ好きで知...
「おっ、近所の人魚の中でもベスト3は確実に入る朝倉じゃね...
「やめといたほうがいいよ、谷口。前もナンパして失敗したじ...
「うるせー、この前はたまたま調子が悪かっただけだ。今日こ...
谷口は三人に近づきます。
「よー、朝倉。今日も眉毛が個性的だな」
谷口は褒めたつもりですが、いきなり魚雷を踏みました。
涼子は、他の人魚よりちょっぴり太い眉毛をとても気にしてか...
「死になさい」
涼子は、どこからともなく取り出したナイフで谷口をおいかけ...
「ちょっ、タンマ、タンマ!」
とその時です。いきなり、強い海流が五人を巻き込みました。
「きゃあー!!」
「うぉっ!!」
皆、バラバラになってしまい、もちろんゆき姫も一人遠くに飛...
ゆき姫が気づいた頃には、ここがドコかもわからない場所に一...
「…みんな、どこ?」
ゆき姫はとりあえず、海面まで向かってみるコトにしました。
#br
#br
#3 歯車のパーツ
#br
海面に上がってみると、そこはひどい嵐で、雨は吹きしきり、
風で波がうねり、雷は鳴り響いていました。
ゆき姫が視界の悪い中、辺りを見渡すと一隻の船が難破してい...
人がおぼれているかもしれないので、心優しいゆき姫は、
「助けに行く」
と勇ましく船へと向かいました。
ゆき姫が着いた頃には船はバラバラで見る影もありませんでし...
ところが、一人の男が意識を無くした状態で木の板にしがみつ...
ゆき姫はこの人を助けようと、小さな体で担いで海岸まで泳ぎ...
しばらくすると嵐は収まり、海岸が見えてきてゆき姫も一安心...
しかし、海岸の波うち際でしばらく様子を見ても一向に目が覚...
「この状況では…」
こういう時、ゆき姫はどうしたら良いか知っています。この前...
人口呼吸です。
#br
#br
#4 どんな形でも初めてのキスはファーストキス
#br
一方その頃、ゆき姫の父親、主流派は…
主「はっ、私のゆきに何かイヤな予感がする。まるで、私から...
この後、変な妄想をして、友人である急進派、穏健派に迷惑を...
まぁ、主流派なんてどうでもいいですね。
#br
さて、海岸ではゆき姫の人命救助とはいえ、ファーストキッス...
(ちゅっ)
ゆき姫は本に書いてあったコトを思い出し続けました。
(ふぅー、ふぅー)
男性はまだ目を覚ましません。ゆき姫はあせり、必死になって...
(ぷぅー、ぷぅー)
2,3分でしょうか。ゆき姫が顔を真っ赤になって続けている...
動きました。どうやら、間に合ったようです。男はごほっ、ご...
目を覚ましそうです。ここで後ろから声が聞こえました。
「ゆきー、どこ〜!」
「ゆきちゃーん、どこですか〜!」
涼子と江美里がゆき姫を探しに来たようです。ゆき姫はここま...
二人の所へと向かいました。
「あっ、ゆき、無事でよかったわ」
「問題ない、心配をかけたことは誤る。ごめんなさい」
「いいのよ、ゆきちゃんが無事なら。でもまさか海岸まで来て...
「おぼれていた人を助けていた…」
「えっ、人間!? 姿は見られなかった?」
「心配無い」
そうです。人魚族には掟があり、人間に正体を見られるのは禁...
人魚の存在が知られると、人魚の国を荒らされる危険性がある...
#br
#br
#5 淡く弱く、しかし忘れられない感触
#br
「ゆきも見つかったし、戻りましょ」
「そうね。きっと主流派お父様も心配してるわ」
「…わかった」
ゆき姫はそう言うと、助けた人間のほうを人目見て、起き上が...
(よかった)
そして、三人一緒に人魚の国へと戻りました。
#br
「…、…ココはどこだ? 俺は確か嵐で船が難破して…」
男が立ち上がり辺りを見渡します。誰もいません。
ふとクチビルに手をやると、ほのかにやさしい感触が残ってい...
また、誰かが必死で何かをやってくれていたこともぼんやり残...
「誰かが人口呼吸でもやってくれたのか? でも辺りには誰もい...
「…王子〜、王子〜! いました!! 王子です!!」
兵士風の男性が何人か詰め寄ってきました。
そう、このゆき姫が助けた男はこの国のキョン王子だったので...
「古泉隊長! キョン王子は無事です!」
「おや、無事でしたか。よかったです」
背の高い一人の男性がキョン王子に顔を近づけました。
「あぁ、なんとかな。…古泉。顔が近い、息がかかる」
「これは失礼。でもよく助かりましたね」
「まったくだ。辺りにはいなかったが誰かが人口呼吸をしてく...
「えっ…、じ ん こ う こ き ゅ うですか?」
「たぶんな」
なぜか、古泉がショックを受けてます。
(しくじりましたね。もう少し早く来ていれば、キョン王子の...
「どうした、古泉? ともかく城に戻って、助けてくれた人を探...
「え、えぇ、そうですね(おしかったですねぇ)」
#br
#br
#6 心の中にある存在、その大きさ
#br
ゆき姫がキョン王子を助けて一週間が経ちました。
そのあいだ、ゆき姫はあの男の事をなぜか忘れる時はありませ...
「……ふぅ」
本を読む気にもならず、ぼーっと過ごす日が続きました。そん...
ダメ親父である主流派は心配していました。
主「どうしたんどろう、ゆき…。この前あげた下着が気に入らな...
急「お前娘に下着送るとか大概にしろよ」
穏「なにか他のプレゼントをしてみたらどうです?」
主「そうだな。…よし! この貝殻を使った下着をプレゼントし...
急「ゆきちゃんに殴られてこい」
こんなダメ親父はほっといて、ゆき姫は涼子と江美里に相談し...
#br
「なるほどね…、それは[恋]ね。ゆきももうそんな年頃なのね」
「…[恋]?」
「そうよ。あの男を忘れられないなんてそうに違わないわ」
「でも、ゆきちゃん。あなたはどうしたいの?」
「えっ…」
江美里の問いかけにゆき姫はしばらく考えました。
「…もう一度会いたい」
ゆき姫は決心しました。ゆき姫の中で、キョン王子の存在はコ...
「でもねぇ、その尻尾じゃあ人間には近づけないわね…」
「大丈夫。海の魔女に依頼する」
そうです。国のはずれに朝比奈 ミクルというどじっ子ですが凄...
#br
#br
#7 ゆき姫の決心
#br
三人は魔女ミクルの家へと訪ねました。この魔女ミクルは童顔...
涼子がノックして扉を開けます
「こんにちはー!」アイカワラズイイカラダ。ウラヤマシイ…
「あら、朝倉さんに喜緑さん、それにゆき姫様。どうしたんで...
「実はお願いがあってきたのですが…」ワタシモアレグライアッタライイノニ。
江美里がこれまでの事を話しました。
「なるほどぉ、そういうことですかぁ。わかりました、協力し...
「…ありがとう」
ミクル魔女は「えーと、えーと」と言いながら、何かを探して...
「あっ、ありました。これです、これで尻尾が人間の足になる...
くださいね。自分の事を話すことは禁則事項です、この場合で...
助けたのが自分である事を話す事が禁則事項に触れます」
「えっ、それじゃあ、ゆきは助けた事を言えないの? なんでそ...
明らかに怪しい設定に涼子はつっこみをいれます。
「え〜、禁則事項です。これに触れると泡となって消えてしま...
ミクル魔女はとびきりの笑顔でごまかしていますが、作者の仕...
「それでもいい。彼に会えるなら…」
ゆき姫は喜びを隠したような顔をしています。
「ところで料金は…」
「パパに請求して。あとこの手紙も渡して…」
「わかりました。では頑張ってくださいね(はーと)」
#br
穏「主流派ー、請求書とお手紙ですよー」
主「ゆきからか…、請求書は経理に渡してくれ。手紙なんてどう...
(ガサガサ)
わたし、長門 ゆきは人間の世界で暮らします。いままでお...
主「………………………………………………(ばたっ)」
急「あっ、死んだ」
#br
#br
#8 ゆき姫の思い と キョン王子の思い
#br
ゆき姫はミクル魔女の薬を飲みついに人間の足を手に入れまし...
「これが、人間のすがた…」
ゆき姫はとりあえず町へ出て、助けた男の情報を集める事にし...
いろんな人に話しを聞いてみると、
「キョン王子がおぼれているのを誰かに助けられた」「キョン...
という情報が得られました。ここで、ゆき姫は自分がこの国の...
キョンということを初めて知りました。
ここからのゆき姫の行動はとても早いものでした。
ちょうど、メイドを募集していたお城にうまく入りこみ、王子...
ゆき姫は自分の正体を明かせないものの、好きな人の近くにい...
#br
一方、キョン王子ですが、ヒマを見つけては海岸に足をよく運...
そう、キョン王子もまた、助けてもらった人のことを忘れられ...
すでに近くにいるとも知らないで、今日も今日とて海岸に恩人...
「ふぅ、なんでまたココに来てしまうんだろうな。いくら恩人...
他人に探してもらっても問題ないのに…、なんでだろうね」
キョン王子はこの思いがまだなんであるかは、まだわかってい...
「そういや、新しく入ったメイド、名前は長門 ゆきだったかな...
でも、顔を見てもお辞儀しかしないし、助けてくれた人とはき...
そう、ゆき姫は薬の仕様で、本当の事は話せないのでただお辞...
#br
#br
#9 ゆき姫の知らぬ間に
#br
そんな日がしばらく二週間ほど続き、キョン王子は今日も海岸...
「俺も飽きないな…」
砂浜をとぼとぼ歩いていると、向こうから活発そうな一人の娘...
「もしや、あの人か?」
キョン王子が歩いてくる娘に声をかけました。
「あー、すまないが、俺はここでおぼれていたところを助けら...
娘は考えました。
(確か、この男はこの国の王子。うまく取り込めば玉の輿を狙...
「えぇ、知ってるわ。助けたのはこの私よ!!」
娘は思いっきりウソをつきました。
「ホントか!? いやぜひお礼をしたい。実は俺はこの国の王子...
だまされる王子も王子ですが、この国の将来は大丈夫なんでし...
「それで、あなたの名前は?」
「涼宮 ハルヒよ。ハルヒでいいわ」
このハルヒの策で、事実は捻じ曲がり、王子は偶然浜を通りか...
勘違いしてしまいました。やれやれですね。
#br
もちろんこの事を知ったゆき姫は正気ではいられませんでした。
しかし、ゆき姫は王子を救った出来事がばれてしまうと泡にな...
ハルヒの思いのままに事は進んでしまいました。
ハルヒはキョンの親を手口八丁で取り込み、いつのまにかキョ...
結婚まで話がでています。
#br
#br
#10 一途な思い(この話は飛ばしても可、むしろ推奨)
#br
しかし、この案に果敢にも一人反対するものがいました。
「反対です!!」
そう、我らがゆき姫…ではなく古泉です。
「キョン王子にはもっと良い方がいるはずです。たとえば、僕...
いつのまにか、権力も城の中でずいぶん高くなっているハルヒ...
「だまりなさい、古泉君!! それ以上言うと牢屋に閉じ込める...
「僕はそれでもかまいません! それほど、僕はキョン王子の事...
あっち趣味の古泉はもう止まりません。ハルヒもいい加減、む...
「つれていきなさい」
二人の兵隊によって古泉は牢屋へと連れて行かれました。あわ...
同情した人はぜひ助けに行ってください。もれなく古泉ルート...
そして、すぐエンディングです。エンディングの内容は行って...
#br
#br
#11 言えない言葉
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「はぁ、なんでこんな事に…」
キョン王子は頭を抱えています。それもそのはず、確かに助け...
がありました。しかし、最近どうもハルヒが自分を助けたとは...
困ったキョン王子は、一番身近なメイドである、ゆき姫に相談...
…助けてくれた本人とは知らずに。
「何かいい方法はないかな、長門?」
ゆき姫はハルヒがウソをついていて、自分が助けた事を言いた...
しかし、今のゆき姫にその言葉を言える力はありません。
キョン王子の近くにいながら、なんとも言えない気持ちになり...
「…何も」
キョン王子はため息を吐き、首を左右に振りました。そんな姿...
「そうか、すまなかったな、変なコト相談して。イヤ、最近お...
してな。…「実は私が助けました」ってコトはないか?」
しかし、今のゆき姫には次が精一杯の言葉でした。
「…違う」
表情の表には出ていませんが、この嘘しかつけない状況にゆき...
悲しみでいっぱいになりました。
「そうだよな、お前となら別に結婚してもかまわないかと…」
「えっ…」
ゆき姫はハッとキョン王子の方を向きました。
「イヤ、なんでもない。ただの妄言だ」
「そう…」
ふたたび、ゆき姫の視線は下へと向かいました。
キョン王子とゆき姫との会話はここで終わりました。
#br
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#12 キョン王子の受難
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あれから数日後。
結婚式は二人が出会った場所とされる場所、海岸で行われる事...
ハルヒの提案で船の上で式をあげ、そのまま豪華新婚旅行に行...
すでに、この国の人々が野次馬としてさわぎ、お城の重役達が...
「いよいよ、この日が来たか…」
キョン王子は自分が助けれらた海岸を見て、肩を落とし憂鬱な...
「なにやってるのよ、キョン! 命の恩人であるこの私と結婚で...
ありがたいと思いなさい!」
王子にもすでに呼び捨てのハルヒです。
「どうもその「命の恩人」ってやつが怪しいのだが」
ハルヒはぎくっとします。しかし、幾度も乗り越えたこの勢い...
「だから、私は助けたって言ってるじゃない! 何、一国の王子...
キョン王子もいつもこの勢いに負けてしまいます。女に尻をし...
「イヤ、そういうわけじゃないんだが」
「なら、いいじゃない! さっ、準備してきなさい」
「わかったよ…」
船は沖へと向けて出航し、キョン王子は船の一室に入りました。
そこには、王子の身だしなみのためのメイド、ゆき姫が寂しげ...
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#13 最後のキス そして 消えるゆき姫
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キョン王子の身なりを整え、いつでも式に出られる格好となり...
「なぁ、長門。こんな時に言うのもなんだが、俺はお前のコト...
ふいを突かれたゆき姫は、頭の中が真っ白になりました。
「最後に一回だけキスしてくれないか?」
「…あなたが望むなら」
ゆき姫はこれが最後の思い出だと感じながら了解をしたのでし...
すでにゆき姫の中では、結婚式が終わる頃にはキョン王子の前...
そして二人の唇が今、重なります。
ゆき姫にとっては数秒の事が何時間も感じ、キョン王子の前か...
褐色の瞳からは涙も流れてきました。
二人の唇が離れます。ゆき姫はこれで最後…
と思いもう一度だけ軽く自分からキョン王子にキスをして離れ...
ところが、キョン王子は唇をさわり、なにかを思い出している...
「…やっぱり、やっぱりあの日助けてくれたのは長門、お前じゃ...
否定しても俺にはわかる、あの唇の感触は忘れるものか!」
ゆき姫は呆然と立ち尽くします。
#br
(…ばれた、ばれた、ばれた。私は消える、泡となって消えてし...
#br
ゆき姫は自分が泡となって消えるのを見られなくなったため、...
「長門! どこにいくんだ!?」
キョン王子が引き止めようにもゆき姫は振り払い、甲板へと走...
#br
(どうせ泡となって消えてしまうなら、生まれ故郷の海のなか...
#br
ゆき姫は追いかけてきたキョン王子を一目振り返り、
「…ありがとう」
そして、弱く、ゆるく、ゆれる波へと飛び込みました。
「長門ぉぉーー!!」
キョン王子は、手を伸ばしましたが後少し届きませんでした。
ゆき姫は海に飛び込み、体は泡につつまれました。
#br
(私もこのように…)
#br
ここでゆき姫の意識は切れました。
#br
#br
#14 海の中でお茶とかはつっこまないでください
#br
その頃、涼子と江美里はミクル魔女の家にお邪魔していました。
「あーあ、ゆきのやつうまくやってるかしら」
「そうね…、心配ね」
「大丈夫ですって、ゆき姫様ならうまくやってますよ」
ミクル魔女は二人にお茶を渡します。
「でも助けたのが、ゆきだって事ばれたら泡になっちゃうんで...
涼子はミクル魔女がいれてくたお茶をすすります。
「いえ、そうではありません。ゆき姫自身の口で言ったら泡に...
初めに言ったでしょう?「自分の事を話すことは禁則事項」っ...
「じゃあ、男が自分でゆきに助けられた事を見破ったらセーフ...
「そういうことです(ハート)」
#br
#br
#15 最後ではないキス
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(…なぜ、私は泡にならないの? まだ体は存在する。なぜ?)
そう、ゆき姫自身の口からは言っていないため、泡にはならな...
その点、ゆき姫は誤解をしていました。
「長門ぉぉぉおおーーー!!」
キョン王子も後に続いて、飛び込んできました。ゆき姫は意味...
キョン王子へと体を向けました。キョン王子はそんなゆき姫を...
この時点でゆき姫は、自分がなぜ消えないかということはどう...
そして、ゆき姫自身も自分の手をキョン王子の体へとやりまし...
「もう離すものかよっ! そして、もうドコにも行くなよっ!」
ゆき姫を抱きしめる力は一層強まりましたが、ゆき姫にとって...
「…わかった」
ゆき姫はさっき最後と決めていたキスをもう一度、キョン王子...
#br
この一連の出来事をハルヒは見ており、
「ちぇっ、ここまでね。まぁ、いいわ、十分贅沢できたし、撤...
と去り際に一言残し、緊急時用の小さなボートに一人乗り去っ...
#br
この後、ハルヒが逃げたためキョン王子をだましていたことが...
各国の来客を招いていた国の偉いさん達は、結婚式が潰れるこ...
キョン王子を助けた本物の人が現れ、しかもその人が王子との...
なんとか一命を取りとめたようです。
#br
そして、当のキョン王子とゆき姫は…
これは皆さんのご想像にお任せします。
もちろん、幸せな生活を送っていることには違いはありません...
#br
#br
人魚姫 長門 …終わり
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#setlinebreak(default)
#br
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終了行:
#navi(SS集)
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* 作品 [#b475acc3]
** 概要 [#ob59f047]
|~作者 |十六夜 |
|~作品名 |人魚姫 長門 |
|~カテゴリー|長門SS(一般)|
|~保管日 |2006-08-17 (木) 00:51:08 |
** 登場キャラ [#sd45acc9]
//////////
|~キョン |登場 |
|~キョンの妹|不登場 |
|~ハルヒ |登場 |
|~みくる |登場 |
|~古泉一樹 |登場 |
|~鶴屋さん |不登場 |
|~朝倉涼子 |登場 |
|~喜緑江美里|登場|
|~周防九曜 |不登場 |
|~思念体 |登場 |
|~天蓋領域 |不登場 |
|~阪中 |不登場|
|~谷口 |登場|
|~ミヨキチ |不登場 |
|~佐々木 |不登場 |
|~橘京子 |不登場 |
** SS [#n3947106]
//////////
#br
#setlinebreak(on)
#1 動き始めた運命
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あるきれいな海に人魚達が住む楽園がありました。
そこには争いも、憎しみも、この世の「悪」と称されるものは...
そして、この国の王、主流派にとても可愛らしい一人娘がいま...
名前を長門 ゆきといいます。皆からはゆき姫と呼ばれています。
ゆき姫は読書が好きでヒマさえあれば四六時中、本を読んでい...
ちなみに父親との仲は今ひとつです。
まぁ、ゆき姫の写真を集めたのを見てハァハァ興奮したり、下...
一般的に見ていい父親ではありませんから仕方ありませんね。
#br
ある時、友達である朝倉 涼子と喜緑 江美里が家で本ばかり読...
外に出て遊ぼうと誘いに来ました。この二人はゆき姫の大切な...
「…わかった」
快く承諾しました。涼子がゆき姫の手を引っ張ります。
「じゃあ、さっそく行きましょう」
「今日はどこにしますか?」
江美里が尋ねます。
「…船が見たい」
「そうね、たまには海面の近くまで行ってみましょうか。それ...
主「あっ、ゆき、出かけるのー? 気をつけてね〜」
ゆき姫はそんな主流派の心配を無視して、三人で出かけました。
…これがゆき姫の一生を左右する物語の始まりとはだれも知りま...
#br
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#2 はなればなれ
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三人が仲良く並んで泳いでいると、二匹のマーマンが現れまし...
この辺りでは有名な谷口と国木田です。谷口はナンパ好きで知...
「おっ、近所の人魚の中でもベスト3は確実に入る朝倉じゃね...
「やめといたほうがいいよ、谷口。前もナンパして失敗したじ...
「うるせー、この前はたまたま調子が悪かっただけだ。今日こ...
谷口は三人に近づきます。
「よー、朝倉。今日も眉毛が個性的だな」
谷口は褒めたつもりですが、いきなり魚雷を踏みました。
涼子は、他の人魚よりちょっぴり太い眉毛をとても気にしてか...
「死になさい」
涼子は、どこからともなく取り出したナイフで谷口をおいかけ...
「ちょっ、タンマ、タンマ!」
とその時です。いきなり、強い海流が五人を巻き込みました。
「きゃあー!!」
「うぉっ!!」
皆、バラバラになってしまい、もちろんゆき姫も一人遠くに飛...
ゆき姫が気づいた頃には、ここがドコかもわからない場所に一...
「…みんな、どこ?」
ゆき姫はとりあえず、海面まで向かってみるコトにしました。
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#3 歯車のパーツ
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海面に上がってみると、そこはひどい嵐で、雨は吹きしきり、
風で波がうねり、雷は鳴り響いていました。
ゆき姫が視界の悪い中、辺りを見渡すと一隻の船が難破してい...
人がおぼれているかもしれないので、心優しいゆき姫は、
「助けに行く」
と勇ましく船へと向かいました。
ゆき姫が着いた頃には船はバラバラで見る影もありませんでし...
ところが、一人の男が意識を無くした状態で木の板にしがみつ...
ゆき姫はこの人を助けようと、小さな体で担いで海岸まで泳ぎ...
しばらくすると嵐は収まり、海岸が見えてきてゆき姫も一安心...
しかし、海岸の波うち際でしばらく様子を見ても一向に目が覚...
「この状況では…」
こういう時、ゆき姫はどうしたら良いか知っています。この前...
人口呼吸です。
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#4 どんな形でも初めてのキスはファーストキス
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一方その頃、ゆき姫の父親、主流派は…
主「はっ、私のゆきに何かイヤな予感がする。まるで、私から...
この後、変な妄想をして、友人である急進派、穏健派に迷惑を...
まぁ、主流派なんてどうでもいいですね。
#br
さて、海岸ではゆき姫の人命救助とはいえ、ファーストキッス...
(ちゅっ)
ゆき姫は本に書いてあったコトを思い出し続けました。
(ふぅー、ふぅー)
男性はまだ目を覚ましません。ゆき姫はあせり、必死になって...
(ぷぅー、ぷぅー)
2,3分でしょうか。ゆき姫が顔を真っ赤になって続けている...
動きました。どうやら、間に合ったようです。男はごほっ、ご...
目を覚ましそうです。ここで後ろから声が聞こえました。
「ゆきー、どこ〜!」
「ゆきちゃーん、どこですか〜!」
涼子と江美里がゆき姫を探しに来たようです。ゆき姫はここま...
二人の所へと向かいました。
「あっ、ゆき、無事でよかったわ」
「問題ない、心配をかけたことは誤る。ごめんなさい」
「いいのよ、ゆきちゃんが無事なら。でもまさか海岸まで来て...
「おぼれていた人を助けていた…」
「えっ、人間!? 姿は見られなかった?」
「心配無い」
そうです。人魚族には掟があり、人間に正体を見られるのは禁...
人魚の存在が知られると、人魚の国を荒らされる危険性がある...
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#5 淡く弱く、しかし忘れられない感触
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「ゆきも見つかったし、戻りましょ」
「そうね。きっと主流派お父様も心配してるわ」
「…わかった」
ゆき姫はそう言うと、助けた人間のほうを人目見て、起き上が...
(よかった)
そして、三人一緒に人魚の国へと戻りました。
#br
「…、…ココはどこだ? 俺は確か嵐で船が難破して…」
男が立ち上がり辺りを見渡します。誰もいません。
ふとクチビルに手をやると、ほのかにやさしい感触が残ってい...
また、誰かが必死で何かをやってくれていたこともぼんやり残...
「誰かが人口呼吸でもやってくれたのか? でも辺りには誰もい...
「…王子〜、王子〜! いました!! 王子です!!」
兵士風の男性が何人か詰め寄ってきました。
そう、このゆき姫が助けた男はこの国のキョン王子だったので...
「古泉隊長! キョン王子は無事です!」
「おや、無事でしたか。よかったです」
背の高い一人の男性がキョン王子に顔を近づけました。
「あぁ、なんとかな。…古泉。顔が近い、息がかかる」
「これは失礼。でもよく助かりましたね」
「まったくだ。辺りにはいなかったが誰かが人口呼吸をしてく...
「えっ…、じ ん こ う こ き ゅ うですか?」
「たぶんな」
なぜか、古泉がショックを受けてます。
(しくじりましたね。もう少し早く来ていれば、キョン王子の...
「どうした、古泉? ともかく城に戻って、助けてくれた人を探...
「え、えぇ、そうですね(おしかったですねぇ)」
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#6 心の中にある存在、その大きさ
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ゆき姫がキョン王子を助けて一週間が経ちました。
そのあいだ、ゆき姫はあの男の事をなぜか忘れる時はありませ...
「……ふぅ」
本を読む気にもならず、ぼーっと過ごす日が続きました。そん...
ダメ親父である主流派は心配していました。
主「どうしたんどろう、ゆき…。この前あげた下着が気に入らな...
急「お前娘に下着送るとか大概にしろよ」
穏「なにか他のプレゼントをしてみたらどうです?」
主「そうだな。…よし! この貝殻を使った下着をプレゼントし...
急「ゆきちゃんに殴られてこい」
こんなダメ親父はほっといて、ゆき姫は涼子と江美里に相談し...
#br
「なるほどね…、それは[恋]ね。ゆきももうそんな年頃なのね」
「…[恋]?」
「そうよ。あの男を忘れられないなんてそうに違わないわ」
「でも、ゆきちゃん。あなたはどうしたいの?」
「えっ…」
江美里の問いかけにゆき姫はしばらく考えました。
「…もう一度会いたい」
ゆき姫は決心しました。ゆき姫の中で、キョン王子の存在はコ...
「でもねぇ、その尻尾じゃあ人間には近づけないわね…」
「大丈夫。海の魔女に依頼する」
そうです。国のはずれに朝比奈 ミクルというどじっ子ですが凄...
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#7 ゆき姫の決心
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三人は魔女ミクルの家へと訪ねました。この魔女ミクルは童顔...
涼子がノックして扉を開けます
「こんにちはー!」アイカワラズイイカラダ。ウラヤマシイ…
「あら、朝倉さんに喜緑さん、それにゆき姫様。どうしたんで...
「実はお願いがあってきたのですが…」ワタシモアレグライアッタライイノニ。
江美里がこれまでの事を話しました。
「なるほどぉ、そういうことですかぁ。わかりました、協力し...
「…ありがとう」
ミクル魔女は「えーと、えーと」と言いながら、何かを探して...
「あっ、ありました。これです、これで尻尾が人間の足になる...
くださいね。自分の事を話すことは禁則事項です、この場合で...
助けたのが自分である事を話す事が禁則事項に触れます」
「えっ、それじゃあ、ゆきは助けた事を言えないの? なんでそ...
明らかに怪しい設定に涼子はつっこみをいれます。
「え〜、禁則事項です。これに触れると泡となって消えてしま...
ミクル魔女はとびきりの笑顔でごまかしていますが、作者の仕...
「それでもいい。彼に会えるなら…」
ゆき姫は喜びを隠したような顔をしています。
「ところで料金は…」
「パパに請求して。あとこの手紙も渡して…」
「わかりました。では頑張ってくださいね(はーと)」
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穏「主流派ー、請求書とお手紙ですよー」
主「ゆきからか…、請求書は経理に渡してくれ。手紙なんてどう...
(ガサガサ)
わたし、長門 ゆきは人間の世界で暮らします。いままでお...
主「………………………………………………(ばたっ)」
急「あっ、死んだ」
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#8 ゆき姫の思い と キョン王子の思い
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ゆき姫はミクル魔女の薬を飲みついに人間の足を手に入れまし...
「これが、人間のすがた…」
ゆき姫はとりあえず町へ出て、助けた男の情報を集める事にし...
いろんな人に話しを聞いてみると、
「キョン王子がおぼれているのを誰かに助けられた」「キョン...
という情報が得られました。ここで、ゆき姫は自分がこの国の...
キョンということを初めて知りました。
ここからのゆき姫の行動はとても早いものでした。
ちょうど、メイドを募集していたお城にうまく入りこみ、王子...
ゆき姫は自分の正体を明かせないものの、好きな人の近くにい...
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一方、キョン王子ですが、ヒマを見つけては海岸に足をよく運...
そう、キョン王子もまた、助けてもらった人のことを忘れられ...
すでに近くにいるとも知らないで、今日も今日とて海岸に恩人...
「ふぅ、なんでまたココに来てしまうんだろうな。いくら恩人...
他人に探してもらっても問題ないのに…、なんでだろうね」
キョン王子はこの思いがまだなんであるかは、まだわかってい...
「そういや、新しく入ったメイド、名前は長門 ゆきだったかな...
でも、顔を見てもお辞儀しかしないし、助けてくれた人とはき...
そう、ゆき姫は薬の仕様で、本当の事は話せないのでただお辞...
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#9 ゆき姫の知らぬ間に
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そんな日がしばらく二週間ほど続き、キョン王子は今日も海岸...
「俺も飽きないな…」
砂浜をとぼとぼ歩いていると、向こうから活発そうな一人の娘...
「もしや、あの人か?」
キョン王子が歩いてくる娘に声をかけました。
「あー、すまないが、俺はここでおぼれていたところを助けら...
娘は考えました。
(確か、この男はこの国の王子。うまく取り込めば玉の輿を狙...
「えぇ、知ってるわ。助けたのはこの私よ!!」
娘は思いっきりウソをつきました。
「ホントか!? いやぜひお礼をしたい。実は俺はこの国の王子...
だまされる王子も王子ですが、この国の将来は大丈夫なんでし...
「それで、あなたの名前は?」
「涼宮 ハルヒよ。ハルヒでいいわ」
このハルヒの策で、事実は捻じ曲がり、王子は偶然浜を通りか...
勘違いしてしまいました。やれやれですね。
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もちろんこの事を知ったゆき姫は正気ではいられませんでした。
しかし、ゆき姫は王子を救った出来事がばれてしまうと泡にな...
ハルヒの思いのままに事は進んでしまいました。
ハルヒはキョンの親を手口八丁で取り込み、いつのまにかキョ...
結婚まで話がでています。
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#10 一途な思い(この話は飛ばしても可、むしろ推奨)
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しかし、この案に果敢にも一人反対するものがいました。
「反対です!!」
そう、我らがゆき姫…ではなく古泉です。
「キョン王子にはもっと良い方がいるはずです。たとえば、僕...
いつのまにか、権力も城の中でずいぶん高くなっているハルヒ...
「だまりなさい、古泉君!! それ以上言うと牢屋に閉じ込める...
「僕はそれでもかまいません! それほど、僕はキョン王子の事...
あっち趣味の古泉はもう止まりません。ハルヒもいい加減、む...
「つれていきなさい」
二人の兵隊によって古泉は牢屋へと連れて行かれました。あわ...
同情した人はぜひ助けに行ってください。もれなく古泉ルート...
そして、すぐエンディングです。エンディングの内容は行って...
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#11 言えない言葉
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「はぁ、なんでこんな事に…」
キョン王子は頭を抱えています。それもそのはず、確かに助け...
がありました。しかし、最近どうもハルヒが自分を助けたとは...
困ったキョン王子は、一番身近なメイドである、ゆき姫に相談...
…助けてくれた本人とは知らずに。
「何かいい方法はないかな、長門?」
ゆき姫はハルヒがウソをついていて、自分が助けた事を言いた...
しかし、今のゆき姫にその言葉を言える力はありません。
キョン王子の近くにいながら、なんとも言えない気持ちになり...
「…何も」
キョン王子はため息を吐き、首を左右に振りました。そんな姿...
「そうか、すまなかったな、変なコト相談して。イヤ、最近お...
してな。…「実は私が助けました」ってコトはないか?」
しかし、今のゆき姫には次が精一杯の言葉でした。
「…違う」
表情の表には出ていませんが、この嘘しかつけない状況にゆき...
悲しみでいっぱいになりました。
「そうだよな、お前となら別に結婚してもかまわないかと…」
「えっ…」
ゆき姫はハッとキョン王子の方を向きました。
「イヤ、なんでもない。ただの妄言だ」
「そう…」
ふたたび、ゆき姫の視線は下へと向かいました。
キョン王子とゆき姫との会話はここで終わりました。
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#12 キョン王子の受難
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あれから数日後。
結婚式は二人が出会った場所とされる場所、海岸で行われる事...
ハルヒの提案で船の上で式をあげ、そのまま豪華新婚旅行に行...
すでに、この国の人々が野次馬としてさわぎ、お城の重役達が...
「いよいよ、この日が来たか…」
キョン王子は自分が助けれらた海岸を見て、肩を落とし憂鬱な...
「なにやってるのよ、キョン! 命の恩人であるこの私と結婚で...
ありがたいと思いなさい!」
王子にもすでに呼び捨てのハルヒです。
「どうもその「命の恩人」ってやつが怪しいのだが」
ハルヒはぎくっとします。しかし、幾度も乗り越えたこの勢い...
「だから、私は助けたって言ってるじゃない! 何、一国の王子...
キョン王子もいつもこの勢いに負けてしまいます。女に尻をし...
「イヤ、そういうわけじゃないんだが」
「なら、いいじゃない! さっ、準備してきなさい」
「わかったよ…」
船は沖へと向けて出航し、キョン王子は船の一室に入りました。
そこには、王子の身だしなみのためのメイド、ゆき姫が寂しげ...
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#13 最後のキス そして 消えるゆき姫
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キョン王子の身なりを整え、いつでも式に出られる格好となり...
「なぁ、長門。こんな時に言うのもなんだが、俺はお前のコト...
ふいを突かれたゆき姫は、頭の中が真っ白になりました。
「最後に一回だけキスしてくれないか?」
「…あなたが望むなら」
ゆき姫はこれが最後の思い出だと感じながら了解をしたのでし...
すでにゆき姫の中では、結婚式が終わる頃にはキョン王子の前...
そして二人の唇が今、重なります。
ゆき姫にとっては数秒の事が何時間も感じ、キョン王子の前か...
褐色の瞳からは涙も流れてきました。
二人の唇が離れます。ゆき姫はこれで最後…
と思いもう一度だけ軽く自分からキョン王子にキスをして離れ...
ところが、キョン王子は唇をさわり、なにかを思い出している...
「…やっぱり、やっぱりあの日助けてくれたのは長門、お前じゃ...
否定しても俺にはわかる、あの唇の感触は忘れるものか!」
ゆき姫は呆然と立ち尽くします。
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(…ばれた、ばれた、ばれた。私は消える、泡となって消えてし...
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ゆき姫は自分が泡となって消えるのを見られなくなったため、...
「長門! どこにいくんだ!?」
キョン王子が引き止めようにもゆき姫は振り払い、甲板へと走...
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(どうせ泡となって消えてしまうなら、生まれ故郷の海のなか...
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ゆき姫は追いかけてきたキョン王子を一目振り返り、
「…ありがとう」
そして、弱く、ゆるく、ゆれる波へと飛び込みました。
「長門ぉぉーー!!」
キョン王子は、手を伸ばしましたが後少し届きませんでした。
ゆき姫は海に飛び込み、体は泡につつまれました。
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(私もこのように…)
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ここでゆき姫の意識は切れました。
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#14 海の中でお茶とかはつっこまないでください
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その頃、涼子と江美里はミクル魔女の家にお邪魔していました。
「あーあ、ゆきのやつうまくやってるかしら」
「そうね…、心配ね」
「大丈夫ですって、ゆき姫様ならうまくやってますよ」
ミクル魔女は二人にお茶を渡します。
「でも助けたのが、ゆきだって事ばれたら泡になっちゃうんで...
涼子はミクル魔女がいれてくたお茶をすすります。
「いえ、そうではありません。ゆき姫自身の口で言ったら泡に...
初めに言ったでしょう?「自分の事を話すことは禁則事項」っ...
「じゃあ、男が自分でゆきに助けられた事を見破ったらセーフ...
「そういうことです(ハート)」
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#15 最後ではないキス
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(…なぜ、私は泡にならないの? まだ体は存在する。なぜ?)
そう、ゆき姫自身の口からは言っていないため、泡にはならな...
その点、ゆき姫は誤解をしていました。
「長門ぉぉぉおおーーー!!」
キョン王子も後に続いて、飛び込んできました。ゆき姫は意味...
キョン王子へと体を向けました。キョン王子はそんなゆき姫を...
この時点でゆき姫は、自分がなぜ消えないかということはどう...
そして、ゆき姫自身も自分の手をキョン王子の体へとやりまし...
「もう離すものかよっ! そして、もうドコにも行くなよっ!」
ゆき姫を抱きしめる力は一層強まりましたが、ゆき姫にとって...
「…わかった」
ゆき姫はさっき最後と決めていたキスをもう一度、キョン王子...
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この一連の出来事をハルヒは見ており、
「ちぇっ、ここまでね。まぁ、いいわ、十分贅沢できたし、撤...
と去り際に一言残し、緊急時用の小さなボートに一人乗り去っ...
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この後、ハルヒが逃げたためキョン王子をだましていたことが...
各国の来客を招いていた国の偉いさん達は、結婚式が潰れるこ...
キョン王子を助けた本物の人が現れ、しかもその人が王子との...
なんとか一命を取りとめたようです。
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そして、当のキョン王子とゆき姫は…
これは皆さんのご想像にお任せします。
もちろん、幸せな生活を送っていることには違いはありません...
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人魚姫 長門 …終わり
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