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SS集/1081
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開始行:
#navi(SS集)
#br
* 作品 [#gaf69052]
** 概要 [#i3a26c93]
|~作者 |変拍子 |
|~作品名 |雪と有希の有機な勇気 |
|~カテゴリー|長門SS（一般）|
|~保管日 |2010-01-09 (土) 12:58:14 |
** 登場キャラ [#i20b7c5b]
//////////
|~キョン |不登場 |
|~キョンの妹|不登場 |
|~ハルヒ |不登場 |
|~みくる |不登場 |
|~古泉一樹 |不登場 |
|~鶴屋さん |不登場 |
|~朝倉涼子 |不登場 |
|~喜緑江美里|不登場|
|~周防九曜 |不登場 |
|~思念体 |不登場 |
|~天蓋領域 |不登場 |
|~阪中 |不登場|
|~谷口 |不登場|
|~ミヨキチ |不登場 |
|~佐々木 |不登場 |
|~橘京子 |不登場 |
** SS [#od6309bf]
//////////
#br
#setlinebreak(on)
ほうっと、白い息が行き場を無くしたように漏れる。
この日、私や彼の世界は薄く、淡く雪に包まれていた。
十二月十七日午後十七時二十五分。
私は今、北高正門前に立っている。
目的はない。
ただ来たかったから、というだけである。
ふいに、おかしな焦燥感によって襲われ、意味もなくもう一...
す。
横隔膜の運動によって、私の口から這い出てきた二酸化炭素...
り、それからすぐに空気中へと霧散していく。
それはまるで、これからの私の意識を薄く、暗示しているよ...
「………………」
私は人になりたかったのだろうか。
もう一度、原点へと立ち返ってみる。
答えは一つだと、分かりきっているのに。
この無駄な思索も人になるために必要なこと、と強引に理由...
ただ楽しかった。
涼宮ハルヒと朝比奈みくると古泉一樹と、彼と、同じ時間を...
かった。
それは単なるエラーなのかもしれない。感情を持たない、私...
は有り得ないから。
だけど、私は認めたかった。
自分自身に嘘をつきたくはなかった。
だから『楽しい』と感じた。それだけである。
あの日、彼と涼宮ハルヒが文芸部室に雪崩込んできてから、...
私は私の異時間同位体と同期をして、何時何分に何が起こる...
知っていた。
けれども、それが何だと言うのだろう。
ただ知っているだけである。
私自身は経験していない。
これから起きることを知識として、データとして保有してあ...
百聞は一見にしかずとはこのことだ、と納得する。多少の誤...
約八ヶ月間。私は時を進め、動かしながら生きてきた。
あの大きな部屋に、たった一人で閉じこもることもなく。
しかし、世界は私にとって広すぎた。
神は私にとって大きすぎた。
神の力は私にとって、悲しすぎた。
だから、私が正しく誤用しようと思った。
この広大な、悲しい世界を変えてしまおうと思った。
私と彼……そう、私が存在を消してしまった彼女も加えて、た...
にしてしまおう。
あのキンモクセイの香りを嗅いだ時に、そう決意した。
私が変わったことを、彼に知ってもらいたくて。
この私に不都合な世界を変えたくて。
けれども、確かな勇気が私の中には無かった。
この計画を実行してしまえば、情報統合思念体は消失してし...
つまり、有り体に言えば親を殺してしまうということだ。
こんなちっぽけな願いのために、親殺し。
それにもしも、実行寸前に気付かれてしまえば、私は回収さ...
だから怖かった。
何も出来ずに、彼と離れてしまうことが一番怖かった。
再三、息を吸い、吐く。
恐怖と焦りの為か、私の唇は少し震えていた。
ギュッと、自分の腕で自分と、そして思いを抱きしめる。
「……人間賛歌は勇気の賛歌……人の素晴らしさは勇気の素晴らし...
いつか読んだ本の言葉を思い出す。
私も人になれば、勇気を持てるだろうか。
いや、私に際して言えば、まず勇気を持つことが先なのだろ...
勇気を持って、実行する。
それが出来れば私は人に成れる。
彼と同じ、この世界に生きる『人』に成れる。
「…………よし」
初めて、明確で前向きな意志を持った言葉を言った気がする。
それが勇気なのかは、知らない。
ただ、変化の印だということは分かる。
雪はもう止みかけている。
私の心は動き出している。
たったそれだけの事実で十分だった。
もう一度、ここにこよう。
そう誓いを立てて、私は自宅へと向かう。
足取りは軽く、強かった。
//////////
#setlinebreak(default)
#br
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終了行:
#navi(SS集)
#br
* 作品 [#gaf69052]
** 概要 [#i3a26c93]
|~作者 |変拍子 |
|~作品名 |雪と有希の有機な勇気 |
|~カテゴリー|長門SS（一般）|
|~保管日 |2010-01-09 (土) 12:58:14 |
** 登場キャラ [#i20b7c5b]
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|~キョン |不登場 |
|~キョンの妹|不登場 |
|~ハルヒ |不登場 |
|~みくる |不登場 |
|~古泉一樹 |不登場 |
|~鶴屋さん |不登場 |
|~朝倉涼子 |不登場 |
|~喜緑江美里|不登場|
|~周防九曜 |不登場 |
|~思念体 |不登場 |
|~天蓋領域 |不登場 |
|~阪中 |不登場|
|~谷口 |不登場|
|~ミヨキチ |不登場 |
|~佐々木 |不登場 |
|~橘京子 |不登場 |
** SS [#od6309bf]
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#br
#setlinebreak(on)
ほうっと、白い息が行き場を無くしたように漏れる。
この日、私や彼の世界は薄く、淡く雪に包まれていた。
十二月十七日午後十七時二十五分。
私は今、北高正門前に立っている。
目的はない。
ただ来たかったから、というだけである。
ふいに、おかしな焦燥感によって襲われ、意味もなくもう一...
す。
横隔膜の運動によって、私の口から這い出てきた二酸化炭素...
り、それからすぐに空気中へと霧散していく。
それはまるで、これからの私の意識を薄く、暗示しているよ...
「………………」
私は人になりたかったのだろうか。
もう一度、原点へと立ち返ってみる。
答えは一つだと、分かりきっているのに。
この無駄な思索も人になるために必要なこと、と強引に理由...
ただ楽しかった。
涼宮ハルヒと朝比奈みくると古泉一樹と、彼と、同じ時間を...
かった。
それは単なるエラーなのかもしれない。感情を持たない、私...
は有り得ないから。
だけど、私は認めたかった。
自分自身に嘘をつきたくはなかった。
だから『楽しい』と感じた。それだけである。
あの日、彼と涼宮ハルヒが文芸部室に雪崩込んできてから、...
私は私の異時間同位体と同期をして、何時何分に何が起こる...
知っていた。
けれども、それが何だと言うのだろう。
ただ知っているだけである。
私自身は経験していない。
これから起きることを知識として、データとして保有してあ...
百聞は一見にしかずとはこのことだ、と納得する。多少の誤...
約八ヶ月間。私は時を進め、動かしながら生きてきた。
あの大きな部屋に、たった一人で閉じこもることもなく。
しかし、世界は私にとって広すぎた。
神は私にとって大きすぎた。
神の力は私にとって、悲しすぎた。
だから、私が正しく誤用しようと思った。
この広大な、悲しい世界を変えてしまおうと思った。
私と彼……そう、私が存在を消してしまった彼女も加えて、た...
にしてしまおう。
あのキンモクセイの香りを嗅いだ時に、そう決意した。
私が変わったことを、彼に知ってもらいたくて。
この私に不都合な世界を変えたくて。
けれども、確かな勇気が私の中には無かった。
この計画を実行してしまえば、情報統合思念体は消失してし...
つまり、有り体に言えば親を殺してしまうということだ。
こんなちっぽけな願いのために、親殺し。
それにもしも、実行寸前に気付かれてしまえば、私は回収さ...
だから怖かった。
何も出来ずに、彼と離れてしまうことが一番怖かった。
再三、息を吸い、吐く。
恐怖と焦りの為か、私の唇は少し震えていた。
ギュッと、自分の腕で自分と、そして思いを抱きしめる。
「……人間賛歌は勇気の賛歌……人の素晴らしさは勇気の素晴らし...
いつか読んだ本の言葉を思い出す。
私も人になれば、勇気を持てるだろうか。
いや、私に際して言えば、まず勇気を持つことが先なのだろ...
勇気を持って、実行する。
それが出来れば私は人に成れる。
彼と同じ、この世界に生きる『人』に成れる。
「…………よし」
初めて、明確で前向きな意志を持った言葉を言った気がする。
それが勇気なのかは、知らない。
ただ、変化の印だということは分かる。
雪はもう止みかけている。
私の心は動き出している。
たったそれだけの事実で十分だった。
もう一度、ここにこよう。
そう誓いを立てて、私は自宅へと向かう。
足取りは軽く、強かった。
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