#navi(SS集)

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* 作品 [#z4fdb4ec]

** 概要 [#q64abd47]

|~作者      |輪舞の人  |
|~作品名    |電子情報網を介在しない意思伝達についての考察 |
|~カテゴリー|長門SS(一般)|
|~保管日    |2007-01-21 (日) 11:37:34   |

** 登場キャラ [#l946e1f2]

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|~キョン    |登場    |
|~キョンの妹|不登場  |
|~ハルヒ    |不登場  |
|~みくる    |不登場  |
|~古泉一樹  |不登場 |
|~鶴屋さん  |不登場 |
|~朝倉涼子  |不登場 |
|~喜緑江美里|不登場|
|~周防九曜  |不登場   |
|~思念体    |不登場  |
|~天蓋領域  |不登場  |
|~阪中      |不登場|
|~谷口      |不登場|
|~ミヨキチ  |不登場    |
|~佐々木    |不登場  |
|~橘京子    |不登場   |

** SS [#h6c6c8dd]

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#setlinebreak(on)

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とても簡単。誰でもしてる。
でも今のわたしにはとても無理。
それはなに?
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―ある情報端末の謎かけ―
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コンピュータ研の準部員の地位を得たわたしは、数回の訪問を経た後に、研究会の所属長より、ノートタイプのパソコンの提供を受ける事となった。
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「君には、もっとこちらの活動に興味を持って欲しいんだ」 
彼はそう言ってわたしに直接手渡す。
わたしをコンピュータ研の正式な部員として迎えたい、という話は何度か出ていたが、わたしは自分の任務もある為に謝絶を続けている。そんな自分の態度を軟化させる為の、さらなる働きかけと推察された。 
特にそれを断る理由もない為に、譲渡を受ける事に同意する。
ただ、譲渡の際に、涼宮ハルヒにはくれぐれも内緒にしておいてくれと、再三に渡り懇願された。この頃のわたしは、そういった気持ちは理解できるようになっていたので、軽くうなずいてみせた。
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マンションに帰宅後、説明書通りにパソコンを接続。
ものの数分で接続を終了。電源を入れる。
部室でのコンピュータ研との対戦以来、わたしはこの原始的な電脳端末の使用に少なからぬ興味を抱いている。うれしい気持ちは否めない。自分だけの、端末。
…端末のわたしが端末を得る。少し、奇妙な感覚。
デフォルトでインストールされている、不要なアプリケーションソフトを選択的に消去。
その後、ネット接続の手続きを経て、メール機能の確認を行う。
これまで携帯電話を使用した事はあるが、パソコンによるメール機能の行使はまったくの初めて。
メール。つまり電子郵便。音声による言語情報の伝達ではない。
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まずは送ってみようと操作を開始する。
手始めに… 誰へ?
瞬間的に両手がフリーズ。
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5分が経過。
−たぶん、送りたいのはあの人。
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10分が経過。
−そうだ。わたしが送りたいのはあの人。
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30分が経過。窓ガラスの向こうが暗くなってゆく。
自失から意識を戻す。逡巡している場合ではない。
送信する相手は決まった。いや、決めていた。他にいない、はず。
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問題は内容。
…いったい何を書けば。
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さらに60分が経過。
…とにかく、入力を開始する。
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―こんにちは
今何時だと。訂正。
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―こんばんわ。お元気ですか。
この時刻に対象の体調の確認をしてどうする。意味不明。訂正。
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―こんばんわ。長門有希です。今度、新しく部屋にパソコンを置くことになりました。
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…絶句する。すでに一行目にして、すさまじい違和感。 誰の書いたものだ、これは。
文章におかしなところはない。おかしくはない、のだが。
違和感がありありと浮き彫りになる。わたし自身、さまざまな本を読むために、文章構成能力にはある程度の自負がある。しかし。
「こんばんわ」などと一度でも彼に対して言ったことがあるか。
いや、ない。
それどころか「おはよう」も「さようなら」も、日常の挨拶そのものをしたことが、ない。
これまでも何度か文字表記による意思の伝達を図ったことはあるが、全て事務的な要請ばかりではなかったか。
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完全にフリーズ。
沈黙。時計の針の音がなぜか大きく響き渡る。
時計の針が深夜の2時を回ったところで、わたしはノートパソコンの電源を落とし、画面を閉じた。
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「いらないのかい?」
わたしは翌日、コンピ研の部長にパソコンを返却した。
「何か、問題があったのかい? 分からないところがあるなら…」
「このパソコンに問題はない」
わたしの声はたぶん、低かった。
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「問題があるとすれば、それはわたし」
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部室に到着してみると、そこにいたのは彼だけだった。
「珍しいな。おまえの方が遅いなんて」
彼は1人でお茶を飲んでゆったりとくつろいでいた。
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わたしは、ある、決意をする。
「…どうした、長門」
立ち尽くしたままのわたしに、彼が眉をひそめたその時。
自分のありたけの力を投入して…
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―終―
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