#navi(SS集)

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* 作品 [#d6c16792]

** 概要 [#xc63e106]

|~作者      |G.F  |
|~作品名    |県立北高養護教諭長門有希〜「10年目のSOS団」〜 |
|~カテゴリー|長門SS(一般)|
|~保管日    |2008-04-13 (日) 09:36:01   |
|~キョン    |登場    |
|~キョンの妹|不登場  |
|~ハルヒ    |登場  |
|~みくる    |不登場  |
|~古泉一樹  |登場 |
|~鶴屋さん  |不登場 |
|~朝倉涼子  |登場 |
|~喜緑江美里|不登場|
|~周防九曜  |不登場   |
|~思念体    |不登場  |
|~天蓋領域  |不登場  |
|~阪中      |不登場|
|~谷口      |不登場|
|~ミヨキチ  |不登場    |
|~佐々木    |不登場  |
|~橘京子    |不登場   |

** SS [#z6eeab41]

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#setlinebreak(on)

「うー」
ハルヒがさっきから不機嫌そうに唸っている。
「…コーヒー…飲んで」
私はコーヒーをカップに入れて差し出した。
「どうしてあたしじゃないのよ!」
聞いてみると…どうやらハルヒはクラス担任の人事が不満だったらしい。
彼が今年度、1年5組を担任することになったのはいいのだが…問題は副担任というわけだ。
「そりゃ確かにあたしの担当科目は体育よ!授業では女子としか接しないよ。だからって…」
「担任」および「副担任」としての彼との一年間の「ロマンス」を勝手に想像していたのはいいんだけど…こっちの身にもなってほしい。
なんと言っても私は養護教諭なのだから。
つまり朝や夕方の職員会議には顔は出すものの「担任」や「副担任」という言葉には縁がない身なのだから。
「キョンは1年目は2年生担当で鶴屋さんのクラスの副担任、2年目は3年生担当でキョンが担任で喜緑さんが副担任だったでしょ」
確かに…そうでした。
ちなみにそのハルヒは…というと…1年目は担当クラスなし、2年目は2年生担当で鶴屋さんが担任でハルヒが副担任だった。
今年はいくらハルヒでも籤運がついていなかったのか…2年連続で2年生担当、それもよりによって江美里さんが副担任のクラスの担任だ。
「鶴屋さんや喜緑さんあたりならまだあたしも納得するよ。何と言っても先輩と後輩という関係でもあるしさ…」
ハルヒに言わせると「問題は3年目」つまり今年度ということらしい。
「うー…何でよりによってキョンのクラスの副担任、あたしじゃなくて涼子なのぉ…」
そこへ…ドアをがらりと開けて上機嫌そうに現れた人物が…。
「有希、聞いて聞いてぇ…私、キョン君の担任クラスの副担任になったのぉ」
それを聞いてハルヒがますます不機嫌そうな顔つきになる。
そう、それは当の涼子だった。
彼のクラスの副担任になれたことがよほど嬉しいようだ。
…うー…それを聞かされるこっちの身にもなってくれ…と言いたい。
ほら…ハルヒも…あんたのほうを恨めしそうに…睨み付けているでしょ?
だが当の涼子は馬耳東風といった感じでハルヒを気にもかけてない様子だ。
「お前もまさか三年目の担当クラス、1年9組とは思わなかっただろ?」
「そうですね…何かの縁だとしか思えないですよ…おっと、失礼」
彼と古泉君がそう話しながら保健室に入ってきた。
「おい朝倉」
彼が凍りついたようになる。
「お前…いつからポニーテールにしてるんだ」
「え?」
彼に言われて気がついた。
涼子は今朝、学校に来たときはストレートだったはずなのに…いつの間にかポニーテールになっている。
「あ…これ?すぐそこの職員用トイレで…」
そういわれてみれば…と、私は思わずうなずいた。
確かにトイレの手洗い場には鏡があるのだから身形を整えるには事欠かないのだ。
「涼子!いくら副担任だからといってもキョンを誘惑するのはやめてよね」
涼子に彼の好きなポニーテールにされたとあってはさすがにハルヒも我慢が出来ないらしい。
「はぁ?誘惑?何のことかしら?」
第一、目が明らかに勝ち誇ったような目つきだ。
「…彼がその髪型が好きなのは…あなたも知っているはず」
もっとも涼子としてはそのつもりはないのかもしれないけど…私とハルヒがポニーテールにすることが出来ない長さの髪の毛なので「嫌がらせ」だといわれても仕方ないでしょ?と思う。
「はぁ?何言ってるのよ。偶然よ、偶然」
…いまさらとぼけても遅すぎます。
「おい、ハルヒ」
「何よ」
「念のためにまた言っとくが…うちのクラスの保健担当、お前だからな」
何でも…彼に言わせると…現代国語は言うまでもなく彼、数学は涼子、英語リーダーは古泉君、保健はハルヒ、現代社会は鶴屋さん、化学は江美里さん、書道はみくるさん…と、要は私以外の「ほとんど全員オンパレード状態」とのことらしい。
「あの日まで…あと…1ヶ月くらいだな…」
そんな中…彼がカレンダーを見て、ふと呟いた。
「…そう…あと1ヶ月くらいであの日から丸10年」
私も彼が何を言おうとしていたのか…すぐにわかった。
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ちなみに私たち5人は三年前、母校、北高に教師として帰ってきた。
彼の担当科目は国語。クラスによっては現代国語を担当することもあるし古典(古文・漢文)を担当することもある。
ハルヒの担当科目は保健体育。クラスによっては保健を担当することもあるし体育を担当することもある。
涼子の担当科目は数学。
古泉君の担当科目は英語。
そして私、長門有希は養護、つまり保健室。
職員室だと集合しづらいからかどうかは解らないが…保健室がかつての文芸部室・SOS団団室的な存在になってしまっている。
もっともハルヒに言わせると「文芸部室が保健室になっただけの話じゃない」ってことになるようだが…。
驚いたことには私たちのみならず鶴屋さん、江美里さん、みくるさんの三人まで教師になっていた。
鶴屋さんは自称「本業は日本史」だが学年によっては現代社会のときもあるし政治経済のときもあるし地理のときもある。
歴史地理の免許と公民の免許を両方持っているのだ。
江美里さんは理科だが化学しか教えていない。
そしてみくるさんは書道の非常勤講師。
だから学校には来る日と来ない日がある。来たときのための机は職員室ではなくて図書室の司書室にあるらしい。
あの人は未来と現在を行ったりきたりだからスケジュールのやりくりが大変だろうな…と思う。
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さて…一週間後。
入学式の翌日、つまり初のクラスミーティングがあった日のこと。
「いや…参った、参った」
彼が保健室で私の特製エスプレッソを飲みながら苦笑している。
「うちのクラスに東中学から入ってきた女子がいるんだけどさ…」
どうやら彼の苦笑いは今カップに入っている砂糖なしエスプレッソのせいばかりではなさそうだ。
「どうしたの?」
その東中学出身のハルヒが聞く。
「そいつが…10年前のハルヒと同じような自己紹介をしやがったんだよ」
「10年前のあたしと同じような自己紹介をした…っていうと…?」
ハルヒは私と顔を見合わせてきょとんとした表情で聞く。
「『ただの人間には興味ありません。この中に陰陽師、密教僧、道士、祓魔師(エクソシスト)がいたら私のところへ来なさい』だって。SF風味のハルヒちゃんに対してその子のはホラー風味なんだけど…いったい何考えてるんだろうね」
涼子が思い出し笑いしながら言った。
「ブッッ…ゲホッゲホッ…」
よほどおかしかったらしく、ハルヒがコーヒーを吹いた上、更にむせる羽目になってしまった。
「おいおい…コーヒーを口に含んだまま笑うからだよ」
彼が背中を叩いてやっている。
「…ゲホッゲホッ」
その様子に…私までもがコーヒーでむせてしまったのは…言うまでもない。
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