#navi(SS集)

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* 作品 [#oe26a061]

** 概要 [#c1427e80]

|~作者      |せだえんらc  |
|~作品名    |機械知性体達の憂鬱 〜敵は○○、海賊版〜 |
|~カテゴリー|その他|
|~保管日    |2007-02-02 (金) 17:30:33   |
|~キョン    |不登場    |
|~キョンの妹|不登場  |
|~ハルヒ    |不登場  |
|~みくる    |不登場  |
|~古泉一樹  |不登場 |
|~鶴屋さん  |不登場 |
|~朝倉涼子  |不登場 |
|~喜緑江美里|不登場|
|~周防九曜  |不登場   |
|~思念体    |不登場  |
|~天蓋領域  |不登場  |
|~阪中      |不登場|
|~谷口      |不登場|
|~ミヨキチ  |不登場    |
|~佐々木    |不登場  |
|~橘京子    |不登場   |

** SS [#r23f796b]

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?「お互いに苦労していますね・・・」
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「同感」
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電子空間のどこかで機械知性体達のささやかな愚痴が静かなせせらぎの音のように流れた
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その日、SOS団無口キャラ担当の長門有希は朝比奈みくるから借用した時間端末を手にマンションの自室に居た
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その手には時間平面を超えて情報をやり取りできる時航情報端末があった、正確に言うならばその概念があった
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長門も時間平面を超えて情報を入手することは可能である、しかしそのやり取りの相手は別の時間の自分自身、すなわち異時間同位体に限られる
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つまり他者とのコミュニケーションではなく、時間平面という鏡に映った自分と自問自答をしていることになりかねない空しさがあったのだ
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この時間でも話をする相手はいる
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しかし話をしたい相手はだた一人しかいなかった
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そのただ一人はいつまでたっても自分の思いに気づいてくれない
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それが寂しい
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だれかこの悩みを聞いてくれる相手が欲しい、眉毛やわかめ以外で
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だが自分と話が合うほどの知性体がこの時間平面にいるだろうか?眉毛やわかめは除外して
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そもそも自分の仲間に恋のデリカシーをもった存在がいるだろうか?眉毛やわかめは問題外だ
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それに迂闊にこの時間平面で話し相手を探すのは好ましくない、どこから自分の秘めた思いが漏れるとも限らない
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だから長門有希は朝比奈みくるに端末の借用を願い出た、とても紳士的な方法で
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それはただ黙って朝比奈みくるを見つめ続けるだけ
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そしてそこにたった一言つけくわえるだけ
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「時間端末、貸して・・・もちろん断ってもかまわない、もしも断られたら・・・」
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そして意味深に沈黙した
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以上が長門有希が朝比奈みくるから時間端末を借り受けた一部始終である
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決して無理強いなどしていない、朝比奈みくるが怯え切っているように見えるのはただの気のせいだ、彼女は頼られた感動で打ち震えているだけなのだ
そう、そうなのだ、そういうことにしておけ、そう解釈しろ、そのほうが身のためだ、悪いことは言わん
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長門有希は考えた
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どうせ話をするのなら遙かな未来のほうがおもしろい
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出来れば彼と自分の間に生まれた子孫に連絡をとってみたかったが、そこまでするのはやりすぎだろう
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ではどんな存在がいいだろう?長門有希の脳裏にわずかばかりの候補が次々に浮かんでは消えていった
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青狸型ロボット・・・却下、あのロボットは今の時代の日本に来てメガネ少年の世話を焼いているはずだ
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サイバダイn・・・却下、あれは未来の指揮官となる少年を守り抜き、溶鉱炉で入浴自殺をしてしまった
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その他にも候補はあったがそもそもこれらの存在は今の自分の悩みを持ちかけるのにはふさわしくない
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やむなく長門有希は話し相手を探してあてどなく電子の世界を時空を越えてさまよい続けた
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しばらく彷徨を続けているとふとした偶然から時空の歪を見つけ、そしてその中にチャットルームがあるのを見つけた
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「無能、無神経、無理解な○○に悩む苦労人の茶室」
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長門ですらちょっと引いてしまうほど不満と鬱憤と憤怒が臨界点まで溜まりきっている様な過激なタイトルのチャットであった
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だがなぜか長門はそのチャットに踏み入れた、入室者は・・・2人?どうやら自分とチャットの主のサシ話しになってしまったらしい
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いまさらながらセキュリティの必要を感じ、相手の素性や接続時空を確認した
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発信源は・・・火星の近傍?どうやら未来の有機生命体達は火星にも進出しているらしい
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接続時空は判ったが相手の素性はわからなかった、長門に対して隠し通すとはかなりの力量の持ち主だ
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?「あなたは猫が好きですか?それとも嫌いですか?」
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そのチャットの主が長門の入室に気づき唐突に語りかけてきた
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普段の長門なら挨拶もなしに話を切り出す礼を失した存在は疎ましいのだが、なぜかその時は気にならなかった
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それほどまでにまともに話が出来る相手に、そして会話に飢えていたのだろう
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猫・・・そう問いかけられて長門の脳裏に浮かんだのは猫ではなかった
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涼宮ハルヒ・・・そう、彼を狙う泥棒猫、雌猫、発情猫・・・忌々しい、ああ忌々しい、忌々しい
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無意識に心の中で彼の口癖を真似てしてしまいながら、長門は短く口に出した
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「嫌い」
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猫は一般的な人間にとって可愛らしい動物だ、もしかするとこの回答で相手に嫌われてしまうかもしれない、でもかまわないと思った
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長門は自分にとって感じたイメージのままに即答していた
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?「それは、それは・・・奇遇ですね、私も猫が嫌いなんです、気が合いそうですね」
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どうやら相手も猫嫌いだったようだ
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たぶんこの場合「猫」と比喩する対象はお互い本物の猫ではないだろうな、と思いながら長門は話し続けた
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「自分勝手」
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?「全くです、そしてわがまま」
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「気まぐれ」
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?「ええ、食欲の赴くままに行動していますね」
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「非常識」
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?「非常識を通り越して無常識でしょうね、常識という概念があることすら疑わしい」
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「自分で言い出して人にやらせる」
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?「そちらもですか?こちらも尻拭いはいつも私やチーフですよ」
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「そのくせおいしいところを持っていく」
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?「そうなんです、あんなのが私の上司なんて我慢がならない」
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「加減を知らない」
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?「その通りです、あの黒猫は火星を丸ごと食い尽くしそうな大喰らいです」
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「勝手な願望で世界を変える」
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?「私はよりにもよって大嫌いな猫に変えられそうになりました、本当に危ないところでした」
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その後、長門とその存在の愚痴・・・いや「会話」は弾みに弾んでとどまることを知らなかった・・・
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何時間立っただろうか?時間の感覚が麻痺してしまったかのようだ
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互いに心中の不満のありったけを吐露しすっかりわだかまりが薄れて、そろそろこのチャットもお開きにしようかと思っていた頃
その存在は唐突に話題を切り替えてきた
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?「実は私にも密かに思いを寄せている存在がいるのですよ」
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相手はそれまでのナビゲーション用女性型人格を戦闘用男性型人格に切り替えて告白した
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長門はいつの間にか自分も胸襟を開き、彼に対する本心を僅かずつ言中に混ぜて打ち明けてしまっていたことに気がついた
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?「彼女は私と同じ設計チームの手で建造され・・・いえ、私と同じ親に生み出されたのです」
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そこでその存在はふと寂しげな口調に変わった
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もしかしてこの存在がしているのは近親相姦の許されざる恋なのだろうか?
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だとしたら結ばれることの決して許されない恋、なんという悲劇
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?「でも彼女の心の中にはあの海賊しかいない・・・しかも私は彼女と敵として戦わなければならない」
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どうやらこの存在が直面している事態は想像以上に複雑で深刻らしい、近親で敵で三角関係とはお気の毒な
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「がんばって」
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無意識に激励の言葉が出ていた
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なぜだろう?長門はむしろその存在の告白を聞いて気の毒に思いながらも、自分の心が軽くなった気がした
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自分は彼と血が繋がってはいない、二人を止める差し障りは無い
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自分は彼を守るもの、敵の存在は二人をより強く結ばせるのに好都合かもしれない
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しかし自分も三角関係、あの観測対象、いや泥棒猫を始末しなければ・・・
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相手の不幸を自分の条件の比較に使ったのは心が痛んだが長門の心は少しだけ軽くなった
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長門はふと時間に目をやった
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チャットはつい先ほど途切れた
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相手は緊急事態が生じたといって申し訳なさそうに長門に詫びてチャットルームを閉鎖した
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長門は再びアクセスするための相手の時空アドレスが不明なままだったことに気がついて少し残念だった
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まるで一晩語り明かしたような気がしていたが、外部の実時間ではほんの数分しか立っていない
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それでも長門の表情は微かに緩んでいた
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あの存在とじっくり会話したことで、彼と一言会話した時の百分の一くらいの愉快を感じていた
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明日、彼に話しかけてみよう、たった一言でもこのつもり積もったものが消えていくに違いない
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長門はそう決心して、彼・・・キョンにしか読み取れない微かな笑顔を浮かべた
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基地では警報が鳴り響いていた
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そしてダイモスの近傍に浮かんだ黒曜石のように艶やかに光る黒い鏃のような宇宙船のブリッジではこれまた黒い猫が喚いていた
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「なんとかしろ!基地がなくなるのは一向に構わんけど、あそこには俺の取って置きの故郷のご馳走がしまってあるんだよ!」
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?「そもそもあなたが基地のシステムにハッキングをかけて衛星を乗っ取ったりしなければよかったんですよ、アプロ」
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その存在はぶつぶつと苦情を並べた
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?「大体ですね、オーブンの火力が足りないから基地の防衛システムを熱源代わりに使おうなどと・・・、
  時空破壊波でどうやって肉を焼くつもりだったのですか?呆れて物も言えない」
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「だったら言うな」
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間髪いれず突っ込みを入れてきた黒猫のふざけた暴言に感情チップがぶち切れ、もうちょっとで艦内の空気を抜くところだったが知性ユニットがそれを食い止めた
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ブリッジに立っていた青年がいかにもめんどくさそうに投げやりに言う
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「いいんじゃないか?こいつのご馳走くらいなくなっても?ダイエットにちょうどいいだろ」
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「それはワシが死んでもいいということだな?よかろう、その貴重かつ愚かな意見は君の次のボーナスの査定に多いに反映させていただくことにするぞ、ラウル・ラテル・サトル君?」
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正面のスクリーンの中で中年男性が青年を睨む
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「火星もダイモスもどうなってもいいからチーフ・バスターだけは助けてやってくれ、俺のボーナスのために!」
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手の平を返したように懇願する青年にその存在は呆れながら忠告した
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?「迂闊に時空破壊波を撃ったり防いだりすると時空バランスが崩れて、最悪の場合は全宇宙が崩壊しかねないのですよ」
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「うるさい!全宇宙よりも俺のご馳走を優先しろぉ!」
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黒猫の絶叫にうんざりしながら、その存在はあの異世界の少女が思い人の口調を真似て言っていた呟きをふと思い出し、自分も真似てみた
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?「やれやれ・・・」
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そして対宇宙海賊課の最新鋭艦である対コンピュータ・フリゲート・タイプ掘疋薀献Д鵐疋蕁匹蓮
海賊課刑事アプロに乗っ取られて暴走し今にも火星ダイモス基地を消滅させようとしている基地防衛システム
4Dブラスタ衛星の攻撃を阻止すべく、戦闘用男性人格に移行し対4Dブラスタ・シールドを展開しながら思った
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彼女なら・・・あの海賊と共にいる宇宙空母”カーリー・ドゥルガー”なら僕の苦労を判ってくれるかな?
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終
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追伸
神林長平氏の作品「敵は海賊」とのクロスオーバーです、ご存じない方にはまるでわからない内容となってしまっている上に、とんでもない改変までくわわっていることをお詫び申し上げます。
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