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#navi(SS集)

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* 作品 [#j7c7366b]

** 概要 [#e664d1db]

|~作者      |おぐちゃん  |
|~作品名    |長門さん七五三ですよ |
|~カテゴリー|長門SS(一般)|
|~保管日    |2006-09-22 (金) 00:08:37   |

** 登場キャラ [#s8a85b2f]

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|~キョン    |不登場    |
|~キョンの妹|不登場  |
|~ハルヒ    |不登場  |
|~みくる    |不登場  |
|~古泉一樹  |不登場 |
|~鶴屋さん  |不登場 |
|~朝倉涼子  |不登場 |
|~喜緑江美里|不登場|
|~周防九曜  |不登場   |
|~思念体    |不登場  |
|~天蓋領域  |不登場  |
|~阪中      |不登場|
|~谷口      |不登場|
|~ミヨキチ  |不登場    |
|~佐々木    |不登場  |
|~橘京子    |不登場   |

** SS [#acb8e127]

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#setlinebreak(on)

 とある土曜日。我らがSOS団員は、何故か俺の家に集結していた。
 何でこうなったのか俺も覚えていない。多分ちょっとした話の弾みだろう。
 そして今、ハルヒたちは我が家のアルバムに見入っているのだった。
「へえ、これは七五三? 懐かしいわねー」
 ハルヒが妹の写真を見て言う。これは妹が七歳のときの写真だな。
「…………」
 と、この写真にやけに熱い視線を注いでる奴がいた。
「……これは、どういった行事」
 長門は写真を見つめたまま、真顔で聞いた。
「えっと……子供の成長を祈って神様にお参りする行事、でいいのかな?」
「僕もそう記憶してますが」
 長門は神妙な顔で写真を見つめている。
「有希。ひょっとして、七五三やったことないの?」
「ない」
 ま、統合情報思念体がこいつを七五三に連れてくはずはないよな。よく考えれば長門は今年で三歳だから、七五三未経験でもおかしくはないが。
「みくるちゃんは?」
 ハルヒは反対側にいる朝比奈さんに問いかけた。
「あ、やりましたよ。この辺でやってる七五三とはちょっと違いますけど」
 朝比奈さんは即答した。どうやら未来にも七五三はあるんだろう。ちょっと変わってはいても。
「ふうん……」
 ハルヒはアヒル口になって、何かを考えているようだった。
 結局その後、俺たちはとりとめもない話に何となく盛り上がり、日暮れ前に解散したのだった。
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 そして翌週の火曜日。掃除を済ませた俺は、いつものようにまっすぐ部室に顔を出した。
「どうも、こんにちは」
 扉の前でにっこりと笑うSOS団副団長。平安貴族チックな格好が実に似合っている。
 ……これくらいでいちいち驚いていちゃ、SOS団員その一は務まらない。
「なんだその格好は」
「神主です」
 古泉は手にしたおはらい棒をちゃっちゃっと振って見せた。……よく見ると、アンテナ差し棒の先に紙を貼り付けただけの代物だ。
 さらに部室の扉には、「SOS大明神」という張り紙がしてあった。
「神主に大明神って。宗教法人でも立ち上げたのか?」
 呆然としていたら、扉が開いてハルヒが顔を出した。
「古泉君、もう入っていいわよ。あ、遅かったじゃないキョン」
 扉の内側には、赤い鳥居が鎮座ましましている。
「ハルヒ。ちょっと目がおかしくなったみたいだ。今日は帰る」
「あんたの頭がおかしいのは前からでしょ。とにかく入んなさい」
 ハルヒは俺の腕をとって、異空間と化した部室に俺を引き込んだ。
「あ、キョン君こんにちはー」
 巫女服を着込んだ朝比奈さんが、にっこりと天使の笑顔を浮かべる。一方、長門はいつもの席でじっと座り込んで、鶴屋さんに化粧をしてもらっていた。
「キョン君こんちはっ! どうさ、有希っち似合ってるにょろ?」
「はい」
 俺は考えもせず即答した。長門はいつもの北高セーラーではなく、赤い花柄の振り袖を着込んでいる。顔には上品な化粧がされ、髪の毛には花のかんざし。
 ……で、いったい何のつもりだこれは。
「決まってるじゃない。七五三よ」
「誰の」
「有希の」
 長門の七五三ねぇ。ハルヒは知らないが長門は三歳だ。七五三を祝ってあげるのはいいかもしれん。
 しかし七五三は十一月の行事だ。俺の気が確かなら、今はまだ九月だぞ。
「そんなのいーのよ。思い立ったが吉日ってやつ」
 いや、吉日ってのは神様が決めるもんだろ。二ヶ月も先取りするのは失礼じゃないか?
「それがね、有希の七五三を祝おうとして近所の神社に電話したけど、軒並み断られたの。
 十六歳になって七五三はない、だって。ケツの穴の小さい連中だわ」
 年頃の女の子がケツの穴とか言うな。それにでかいケツの穴は古泉だけで十分だろ。
「だからね、あたし達で神社を作ることにしたワケよ。有希のためにね」
 それがSOS大明神か。よく見ると、部室の一番奥には神棚が置かれていた。年の暮れになると日曜大工の店に並ぶアレだ。
「安物だけど、心がこもってればいいのよ。ご神体も入れたし」
 神棚には、小さな丸い鏡が置かれていた。あれはハルヒのコンパクトか?
「そ。つまり神様はあたしってことになるのかな」
 あながち間違っちゃいないあたりが恐ろしい。で、古泉が神主で朝比奈さんが巫女さんか。
 でも、この鳥居とか神主の衣装はどうしたんだ?
「あ、それは演劇部から借りてきました。安倍晴明の衣装と、舞台装置ですよ」
 古泉が屈託なく言う。……安倍晴明っておまえ、陰陽師だろ。神主とは正反対だろうが。
「見た目それっぽきゃいいのよ! それに千歳飴も用意したから、これで準備OK!」
 そう言ってハルヒが取り出したのはヴェルダースオリジナル。なぜなら彼女もまた特別な存在だからです。
 まあ長門の七五三を祝うってのなら、俺も異論はない。けど俺は何すりゃいいんだ。
「あんたは有希のパパ役よ。んで、あたしは神様兼ママ役ね」
 なるほど。七五三ってのは親子連れで行くもんだしな。──しかしそれはつまり。
「俺とおまえは夫婦、って配役なのか?」
 俺がそう言うと、ハルヒは三秒沈黙した後、十二秒かけて顔を赤らめた。
「うっさいわね! つべこべ言わないの!!」
 ハルヒは向こうを向いたままで、俺の延髄に見事な蹴りを入れた。
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 鳥居の前に、長門を挟んで俺とハルヒが並ぶ。鳥居の向こう、神棚の前には神主と巫女が待っていた。
「…………」
 手に暖かいものが触れた。長門が、マニキュアを塗った指で俺の手をそっと握ってくる。
「こらキョン! にやけてんじゃないわよ!!」
 ハルヒはそう言って長門の手を取ると、そのままずんずんと鳥居をくぐっていった。
 神棚の前に立つ俺たちの頭上で、陰陽師もとい神主がおはらい棒を振る。
 そして巫女さんが、長門にヴェルダースオリジナル改め千歳飴を渡した。
「……えと。これで終わりなのかしら?」
 ハルヒ、お前が自信なさげでどうする。
「いや、写真撮らないと駄目さっ! ほらみんなこっち向いて!」
 鶴屋さんがデジカメを振り回す。
 親子三人に神主と巫女というカオスな一団は、にっこり3笑って一枚の写真に収まった。
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 結局七五三はあっさりと終わった。その後は、ヴェルダースオリジナルをおやつにしたお茶会が始まった。
 長門はいつもの調子で、黙々とキャンディーを頬ばり、お茶をくいくいと飲んでいる。
 ハルヒと鶴屋さんも負けじと飴玉争奪戦に参加したので、キャンディーはあっという間に消え失せた。
 その後、俺たちは手分けして部室を片づけた。演劇部に衣装と舞台装置を返して終了。
「じゃ、今日はこれで終わり!」
 ハルヒの一言で、俺たちは解散した。
「ところでみくるちゃん、男子生徒からすごい注目されてたの気づいた?」
「あはは、そう言えばみんなめがっさ見てたにょろ」
「いけるわね……いい儲けになるかも……」
 ハルヒの思考はあらぬ方向に飛躍しているようだ。そんなハルヒを見ていたら、袖口をくいっと引っ張られた。
「…………」
 どうした長門。
「……わたしは三歳。……七歳になったら、また祝ってくれる?」
 長門は俺を見上げながら、ぽつりと言った。
 四年後か。俺たちは高校を卒業してるだろうし、今みたいな馬鹿をやってる歳じゃ無いかもしれない。
 けどな、長門。
「心配するなよ。そのときはちゃんと祝ってやる」
「…………やくそく」
 長門はそう言うと、俺の手をきゅっと握った。
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