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#navi(SS集)

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* 作品 [#g322264d]

** 概要 [#vf880fe0]

|~作者      |YuNA  |
|~作品名    |無表情のその裏で |
|~カテゴリー|長門SS(一般)|
|~保管日    |2010-07-28 (水) 04:41:28   |

** 登場キャラ [#wcddca6b]

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|~キョン    |登場    |
|~キョンの妹|不登場  |
|~ハルヒ    |不登場  |
|~みくる    |不登場  |
|~古泉一樹  |不登場 |
|~鶴屋さん  |不登場 |
|~朝倉涼子  |不登場 |
|~喜緑江美里|不登場|
|~周防九曜  |不登場   |
|~思念体    |不登場  |
|~天蓋領域  |不登場  |
|~阪中      |不登場|
|~谷口      |不登場|
|~ミヨキチ  |不登場    |
|~佐々木    |不登場  |
|~橘京子    |不登場   |

** SS [#g9390f3c]

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#setlinebreak(on)

「なあ、長門」
彼の声がいつもより少し近い。今は二人きりだから。
「どこか行きたいとことか、あるか?」
晴れた日曜日。その昼下がり。二人並んで歩いている。
「図書館」
午前中は彼とは一緒ではなかった。
彼の奢りの昼食の後。
本当は午後も違うグループになるはずだったのだけど。
「今日も図書館か?」
情報操作、してしまった。
別に毎回こうしてるわけではないけれど彼が知ったらきっと良くは思わないから、これは内緒。
「………だめ?」
疑問を示すために少し首を傾げると、彼の顔もつられて少し情けなくなった。
「あ、いや。そういうわけじゃないんだが」
もう足はその方向へ向かっているのに。
だから彼と目を合わせて頷くと、なんとなく伝わったようだった。
会話としてはきっと十分でないそれは、彼とだけのちょっとした合図みたいで。
いつか見た本のワンシーンが思い浮かぶ。
ほんの少し、その描写の意味が、人の感情が解かったような、そんな気がした。
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その後は二人、沈黙が続いた。
でも、足音のリズムや彼との距離や、そのすべてが不快なものではなくて。
今日ぐらいもう少し遠い場所を選んでもよかったのではないかと思いながら。
気付いたらもう図書館の前だった。
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中に入ると彼はすぐに本を選んで席を2つ取ってくれた。
最初は本を読んでいるようだったけれど、私が本を選んで帰ってきたときにはさっき読んでいた本が枕代わりになっていた。
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疲れているのだろうか?私が隣に座っても気付かない。
彼の寝顔。無防備な、それ。
きっと他のみんなには見せないであろう表情。
私だけの特権。
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………………
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私だけ―――?
例えば彼が涼宮ハルヒといた場合。朝比奈みくるといた場合。
他のどのパターンを考えてみても、彼がこんな行動を取るのは私と二人のときのみだった。
きっと私以外の人の前で寝てしまうようなことはしないだろう。
何かが引っかかる。
…この感覚は、なに?
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―――エラー。
#br
自分が感じていることがわからない。
ただ、どうしてだろう。
もう一度彼の顔を見てみる。
その表情を見たら。
少し困らせてしまいたい、と思ってしまった。
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集合時間が近づいて電話が鳴りだす数分前。
私は席を立つ。
そしてなるべく目立たないところを選んで適当な本を選ぶ。
きっと彼が私を見つけるには時間がかかるだろう。
彼が慌てている光景が目に浮かぶ。
ただ、そうしている間読んでいた本の内容はほとんど頭に入ってこなかった。
予想通り彼が私のところへたどり着くまでには大分時間がかかった。
#br
結局、集合場所に着くのは大分遅くなってしまい、彼は怒鳴られていた。
それでも彼は私のせいにしたりはしなくて。
彼が怒られているのはいつものことなのに、自分か原因だとなると何か違った。
今日の私はどこかおかしい。
なぜかその後、彼と目を合わせられなかった。
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#br
#br
解散宣言の後、みんなが散り散りになってから彼を追った。
長い影と少し丸まったその背中は見えているのに。
なぜかとても落ち着かなくて。
彼との距離はなかなか縮まらなかった。
#br
そして私の手がようやく彼に届く。袖を握る。その顔を見る。
思考が錯乱する。
なぜ彼を引き止めたのだろう?
自分でもわからない。
それより早く何か言わなければ。
でも、何を言えばいい?…これもわからない。
伝えなくてはならないことはある。
ただ、言葉が見つからない。
#br
然るべき言葉が見つからなくて、今日の私は本当にどうかしているなどと思いながら
「………ごめんなさい」
変なところでは冷静なくせに、全然頭が回らなくて。
やっと出てきたのは使い慣れないそんな言葉だった。
#br
彼は驚いたのか、少しの間そのままの表情で。
でも、それはすぐに笑顔へと変わった。
その微笑の意味はよく理解できないけれど、不快ではない。
暖かい、と形容すればいいのだろうか。
図書館でカードを作ってくれたときのような。
まぶしそうにも見えるその表情。
#br
そして、私の髪に彼の手がふわりと置かれる。
この感覚はなんなのだろう。
#br
―――エラー。
#br
本当は表現したくなかっただけかもしれない。
そうしたら、それが逃げていってしまう気がして。
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ただ――彼自身にとってこの行動は好ましくなかっただろうとも思う。
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だって。
そんな風にされたら。
私はきっと、またあなたを困らせてしまうから。
#br
-Fin.-
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#setlinebreak(default)

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