作品

概要

作者ながといっく
作品名長門さんのツンデレ
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2008-12-28 (日) 03:37:40

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ登場
みくる登場
古泉一樹登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

 わたしは長門有希。
 この銀河を統括する情報統合思念体によって作られた、対有機生命体コンタクト用・ヒューマノイドインターフェースである。

 

 わたしの使命は涼宮ハルヒを観察し、その情報を統合思念体に報告すること。
 当然、涼宮ハルヒ周辺の人物も観察の対象となる。

 

 だが、未来時空からの調査員である朝比奈みくる、涼宮ハルヒに特異能力を与えられた人間の一人である古泉一樹、及び彼らの所属する未来人組織、超能力者組織(通称"機関")については、調査範囲が広範に渡るため、他のインターフェースが共同で行っている。

 

 したがって、わたしの観測対象は、おのずと二名の有機生命体に絞られることになる。
 一人はもちろん、涼宮ハルヒ。
 もう一人は、パーソナルネーム****。通称"キョン"と呼ばれる男性。
 本名を呼ばれることは非常に少なく、大抵の場合は通称で呼ばれる。
 彼は特殊な属性を持たない通常の地球人男性。しかし、涼宮ハルヒ周辺の人物の中では、最も大きなイレギュラー要素。
 涼宮ハルヒに選ばれたからには、何かしら理由があるはず。
 だが、その理由は未だ不明である。

 

 観察を円滑に進めるためには、ある程度観察対象に接近しなければならない。
 有機生命体は未知の他者を無意識的に警戒するからである。しかし、観察対象と親密になり過ぎてはいけない。
 観察者が観察対象に影響を与えてしまっては、観察の意味がなくなる。
 観察には適切な距離があるのだ。いわゆる「つかずはなれず」の距離が最適とされている。

 

 そこで、わたしは観察対象の彼…と涼宮ハルヒに対して、接近し過ぎず、かつ離れずといった距離を保つようにしている。
 涼宮ハルヒに対しては簡単だ。
 無口で無表情、動きの少ない人物を演じていれば良い。わたしは元来そのようなタイプなので問題はない。

 

 問題は彼だ。異性間のコミュニケーションは同性間のそれに比べ複雑である。
 わたしは様々な文献から得た、多種多様な方法をシミュレートし、普段は素っ気なく接し、極々たまに甘える程度の関係が最適であると判断した。
 俗に言う「ツンデレ」である。

 

『長門さんのツンデレ』

 

 今日は涼宮ハルヒが主催する「不思議探索」に参加する。
 宇宙人や未来人、超能力者を探すのが目的だそうだが、実はすぐ近くに揃っていることを彼女は知らない。

 

 いつものように彼のおごりの喫茶店がスタート地点であり、いつものように涼宮ハルヒがくじ引きを始めた。
 午前はわたしと古泉一樹、彼と涼宮ハルヒと朝比奈みくるの組み合わせだった。
 特に古泉一樹とどこかへ行きたくもないので、適当に街を一周して帰ってきた。
 古泉一樹が私に向かって何かしら話していたようだが、全て無視した。

 

 午後の組み合わせは彼と二人になった。
 涼宮ハルヒは「デートじゃないんだからね」などと言いつつ、朝比奈みくると古泉一樹を連れて大股で去って行った。

 

 涼宮ハルヒが彼に好意を持っていることはもはや周知の事実。
 なぜ、最初から彼とのペアを作らないのだろう。
 彼女の普段の性格と行動から推察すれば、そうする可能性が最も高いというのに。
 しかし、そのおかげで彼と同じ組になれるのだから、わたしにとっては…

 

「よう長門、また同じ組だな」
 考え込んでいると彼に話しかけられた。嬉しい。
 しかし、観察対象との過度の接近はご法度である。
 わたしは少し突き放した態度を取る。
「……別に。よりによってあなたと一緒になるとは運が悪いと思っている」
「そうかい」
 彼は苦笑する。
 わたしがきつい態度を取ると彼はいつもこの顔をする。
 なぜ怒らないのだろうか。

 

「さて、どこに行く?」
「……どこでもいい」
「行きたいところとか無いのか?」
「……別にない」
 嘘。本当は図書館に行きたい。
 彼が初めて連れて行ってくれた、わたしのとっての思い出の場所。
 彼が作ってくれた貸出カードは今も大切に持っている。

 

「また図書館でも行くか?」
 心でも読まれたのだろうか。いや、おそらく偶然だろう。
 わたしが読書ばかりしているから図書館が最適と考えているに違いない。
「あなたが行きたいのなら、着いていってもいい」
「行きたくないのか?」
 そんなことはない。すごく行きたい。
 でも、今更そんなこと言えるわけがない。
「どちらでもよい」
「じゃあ、今日は違うところにするか」
「え…?」
 思わず声に出してしまった。
 彼を怒らせてしまっただろうか。どうしよう。
 図書館に連れて行ってもらえなくなってしまう。どうしよう
 わたしが自らの言動に後悔していると、
「冗談だ。さ、行こうぜ図書館」
 そう言って彼はわたしの髪をわしゃわしゃと撫でた。

 ……どうやらからかわれたらしい。
 顔面の表面温度の上昇を確認。温度調整機能は働かない。またエラーだ。
 思念体は一体何をやっているのだろう。インターフェースの動作不良は思念体の責任である。
 今、敵性勢力に襲われでもしたらどうするのだ。

 

「子供扱いしないでほしい。
 ……早く歩いて。図書館が閉まってしまう」
 わたしは自らの異常動作を誤魔化すように、彼の手を振り払って早足で進んだ。
「まだ2時だぞ。そんなに急がなくても閉まらねーよ」
 そんなことはわかっている。
 しかし、今のわたしの真っ赤な顔を見られるわけにはいかない。
 わたしは無口で無表情の冷静な文学少女で通っているのだ。

 
 

「それと、図書館はそっちじゃないぞ」

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:04:30 (1806d)