作品

概要

作者YuNA
作品名いつかきっと…
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2008-10-10 (金) 01:24:43

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

今日も授業という名の睡眠時間を終え文芸部室へ向かった。
いつも通りドアをノックする事を忘れない。
しかし、いつもの朝比奈さんの返事はなかった。
部屋には一人、窓辺の椅子で寡黙に読書に耽る少女。

 

「よう、長門」
「………」

 

長門は返事も、顔を上げることもせず、一定のペースで本をめくっている。
とりあえず長門と自分の分のお茶を淹れ、自分の席に着く。

 

お茶を淹れた時に長門の反応がなかったな。
そういえば最近、長門が俺に対して急に冷たくなったような気がする。
なんというか、長門の行動に少し違和感がある。
また何かあったわけではないといいが。
まぁしかし、長門が淡々としているのはいつものことだしな、くらいなことしか考えていなかったそのときの俺が今となってはすごく恨めしい。

 

そして、痺れを切らした俺はほんの軽い気持ちで話しかけたのだった。
長門が何を思っていたかなど考えもせずに。

 

「みんな遅いな」
「…」
「何か聞いてないか、長門?」
「……」
「長門?」
「……あなたと話したくない。私という個体はあなたを拒んでいる」

 

???
今のはつまり俺が嫌だって意味だよな。
その言葉は俺にダメージを与えるには充分過ぎた。

 

長門は確かに俺を避けようとしていた
思い過ごしなどであるわけが無かった。
そんなのはよく考えれば簡単にわかること。
でも、そうではないと言い聞かせていた。長門が形に表さないのに甘えて。
そしてそれをいきなり具現された時俺は猛烈な不安に襲われた。

 

しかし俺はどうすることもできずにいるだけだった。
気付いたらみんな集まって、
ハルヒはまた訳のわからないことを言っていたし、朝比奈さんの微笑みは俺を癒してくれた。
古泉もまたいつものニヤケ面で俺とボードゲーム。
いつもと何ら変わらない日常を過ごしているはずだった。
しかし俺の心は落着かなかった。
ただ長門の事が気になって仕方なかった。
同じ部屋にいるというのに、その距離はとてつもなく遠く感じられた。

 

その日の夜、俺は長門のマンションに向かった。
ここに来ることは躊躇われたが、覚悟を決め708号室のボタンを押す。
よく考えれば嫌われた人の家まで行くっておかしい行動なんだけどな。
その時にはそれすら考えられなかった。

 

「長門、俺だ。」
少し間を置いて自動ドアが開く。とりあえず拒まれなかったことに少し安堵を覚えつつ、
エントランスを抜け部屋へと向かう。
エレベーターを出るとドアを開けて待っていた長門が見えた。
とりあえず入れてもらったが玄関で止められたことが少し気になる
だが、そんな事どうでもよかった。

 

「長門」
「…」
目すらあわせようとしない長門。
「お前は俺が嫌だと言った」
「……」
俯く長門の表情はうかがえない。
「でも俺には理由がわからない。せめてそれだけ謝らせてくれ」
「……」
「頼む長門、俺はお前に嫌われるのが」
「もう…私に関わらないで!」
言葉を途中で遮られた。普段の長門であれば絶対に見せない昂ぶった表情。
ここで初めて俺を見つめた長門の潤んだ瞳、上気した顔。
「…な…ぜ?」
声が震えている。
「わたしはあなたの好意を裏切った。そうすればあなたは私から離れてゆくと思ったから。…それなのに、なぜそんなことを言えるの?」
「私をすっと許さないで。あなたと一緒になることは許されない…なら」

 

あぁ、今まで俺はこいつの何を見ていたんだ?なんにも気付いてやれなかった
ただ自分の事しか考えていなかった。そんな自分が本当に情けない。

 

「なに言ってんだ、誰がそんなこときめた!?」

 

「あなたは涼宮ハルヒの鍵となる存在」
「ハルヒがなんだっていうんだよ。お前の親玉の意向だってそうだ。そんなこと何も構う事はない。お前の気持ちはどうなる?一番大切なのはお前の気持ちだ」

 

「私はあなたと少しでも長く一緒にいたい。だから…」

 

「だからお前は自分の気持ちを諦めなくちゃいけない?消されることを恐れて、脅されて、一生幸せになることは許されない?そんなことがあっていいわけねぇんだよ。情報統合思念体とか言ったか?お前一人の幸せもわからずに何が自立進化だ。そんなの気にする必要なんてない。お前が俺を必要とするなら俺はお前と一緒にいる、ただそれだけだ。」

 

「…そんなことをすれば私は」

 

「お前が消されたらどうやっても俺はお前を取り戻す。いや俺だけじゃない。ハルヒだって、朝比奈さんだって、古泉だって、みんなそうしようとするさ。お前は俺たちにとってそれだけ大事な存在なんだ。」

 

「しかし、あなたが私を選べば涼宮ハルヒは」

 

「だったらお前はハルヒを見縊ってる。あいつの何も分かっちゃいねぇ。例え俺が誰を選ぼうとハルヒはそれを認めないようなやつじゃない」

 

「…でも…」
長門の頬を涙が伝う。

 

長門が避けてたのは俺なんかではなかった。
自身の気持ちから逃げ出したかったのだ。
そして怯えていた。
俺に否定されることを。
だから俺から距離を置いて忘れようとした。
だがな、それは違うぞ。

 

「怖いからって最初から逃げたら何も生まれない。わかるよな」
「わかっていても…怖い。あなたの優しさが怖い。甘えて、いつかそれを失うのが怖い」

 

俺はお前の言う優しさなんて持ってないんだ。でもな…

 

「望むことをしなかった奴が幸せにはなれない。最後まで諦めなかった奴が掴む事ができる。幸せっていうのはきっと、そんなもんだ」
「私に…それが許されるだろうか?」
「当前だ。お前が望むようにすればいい」

 

「わたしは…私はあなたとずっと一緒にいたい」

 

長門の口から一番聞きたかった言葉がこぼれる。

 

瞬間、俺は長門を抱きしめた。強く、きつく、絶対に放さないように。
それを受け入れ、俺に体を預けてくる長門。

 

どのくらいの間そうしていただろうか。
「長門。こんな俺を選んでくれて本当、ありがとな」
言うと同時に俺はそっと 唇を重ねた。
一瞬瞳が驚きに見張られるが、徐々に目を閉じて応える長門。
二人はそのまま心地よい沈黙に包まれて行った。

 
 

  全てが終わる日は必ず来る。
  でもその時にきっと
  幸せだったと思えるように
  一緒にいれてよかったと思えるように
  その時までずっと
  俺は お前を 愛してる。

 
  • Fin.-
 


トップ   編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:04:28 (2714d)