作品

概要

作者主流派万歳=十六夜
作品名主流派と古泉 〜男の夢(らしい)〜
カテゴリー思念体SS
保管日2008-09-28 (日) 20:43:29

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

 ふーむ。ここ最近、彼と長門さんの仲が頓に良くなりましたね。
ちなみに『ここ最近』とはあの長門さんがこの世界を改変した以降の事です。
まあもっとも、この僕、
つまりこの世界の古泉一樹にはそのような出来事があったという
記憶や経験は無く、彼からご教授されただけの知識でしかありません。
この『事件』……そう、事件と言ってしまっても過言ではないでしょう。
TFEIである彼女がまさかあのような事をしでかすとは
機関にとっても、僕にとっても予想外の事でした。
しかしながら、今後の大まかな流れは上層部にひとまず預けておき、
目の前にある問題について今は思索することにしましょう。

 

 冒頭の通り、彼と長門さんの仲が良い方向に変わりました。
しいて言うならば彼のほうが長門さんに対して気にかける事が多くなった気がしますし、
彼女にしても彼に対して好意的な態度……をとっているみたいです。
彼のように100パーセント、長門さんの表情が理解できませんので断定はできませんが。
これは別に悪い事ではありません。
 ただ問題が二つ。
第一に彼と長門さんを見るSOS団団長であられる涼宮さんのご機嫌パラメータが
少々、いえ、かなりナナメで推移している点。
第二に彼が長門さんに完全なる信頼を置くようになり、
この僕の依存度の順位が低くなっている点。
第一の点については雪山での館の一件以降、割合落ち着いたのですが
第二の点については未だに僕を悩ます頭痛の種になっているわけです。
ここらで一つ、彼のココロをがっちり掴むような策を考えなくてはいけません。

 
 

と朝の登校時。一人で歩きつつ思い起こしたものの、困ったものです。
僕無しではいられないほどの信頼を得るためにはどうしたものでしょう。

 

?「そんなお悩みを持つ青少年にいい話がある」
古泉「ほう、それはいかなる話ですか?
   その前にまず、あなたは何者ですか?」
主「これは申し遅れた。古泉一樹君、私は情報統合思念体主流派。
  諸君ら『機関』でいうTFEIの親玉の一人であり、君も良く知る長門有希の父親でもある」
古「これは思いもよらぬ登場人物ですが……一体、この僕に如何なる用でしょう?」
主「協力して欲しい事がある。
  これは古泉君、今の君の状況を打開する手助けにもなるだろう」
古「あなた達の第一の目的は涼宮さんの観察。となると彼女に関する事だと思われますが」
主「それは違うな。『機関』の集まりは有能なヒト達だと思っていたが、
  その認識は間違いだったな。協力して欲しい事とは有希ちゃん関係に決まっている」
古「有希ちゃん? それは長門さんの事でしょうか。
  あなた達、情報統合思念体にとって重要たる事は涼宮さんのはず」
主「他の連中は知らんがこの私、
  主流派にとっては有希ちゃんが何者より優先されるのだっ!!」
古「ふーむ。それは事実だとすると、確かに私たち『機関』の認識は間違っていますね。
  今度、上にそう伝えておきましょう。ただ。信用されるかは保証しかねます」
主「そんな頭が固い奴には有希ちゃんのブロマイドでも見せてやれ。
  一瞬にしてふやけたクラゲになるはずだ」
古「本当にあなたは銀河を束ねるという情報統合思念体なんですか?」
主「む、疑うか。だが初対面という点からいた仕方が無い。
  しかし、私の命ともいうべきこれを見てもらえれば納得できるはずだ」
古「……アルバム?」
主「そうっ!! これは私が有希ちゃんを四六時中、盗さt……ゲフン。
  ちゃんと許可をもらって撮った写真が詰まったアルバムだ。それはVol.15498だな」
古「ストーカーとしての証拠を示されても困ります」
主「断じて否! これは愛の結晶だっ!!
  なんならこの惑星に隕石を落として証明してみてもいいが?」
古「それは遠慮願いましょう。わかりました、あなたを信用致します。
  それでは話を元の路線に戻りますが、
  私に協力してほしい事とは一体どういったものですか?」
主「では本題に入らせて頂くとしよう。
  君にはだな『ゴニョゴニョゴニョゴヨリータ』を有希ちゃんに渡して欲しいのだよ」
古「それは別にかまいませんが『モフモフモフフンモッフ』はあなたから渡せばいいのでは?」
主「そうしたいのは山々なんだが、私の言う事、する事には有希ちゃんは全く無関心でなあ。
  とにかくこれを渡してそこに有希ちゃんが行くように仕向けてくれないだろうか。
  キョンとかいう少年も一緒に、と言えば間違いなく成功するはずだ」
古「確かに。そしてそこで待ち構える僕は長門さんと別々になった彼と一対一」
主「そういうことだ。そこから出た君達はもう親友、イヤ、心友になったも同然だ」
古「悪く……ありませんね。それで決行はいつに?」
主「明日にでも」
古「さすが銀河を束ねる存在であるお方ですね。明日は休日ですが
  いい具合にSOS団の探索もありませんし、今日の放課後にでも渡しておきます」
主「抜かりなく頼む。それでは私はこれにて失礼する」……スゥ
古「消えた?! ……しかし長門さんのお父様である彼は、
  何の目的で長門さんをあんな所に来させるよう仕向けるのでしょう?
  ……まあ、いいでしょう。僕では僕でやるべき事ができましたからね。
  ふふっ。明日は良い日になりそうです」

 
 

〜〜〜翌日

 

 SOS団の不思議探索がある一日は人生においてのある経験値を
プラスさせる日もあれば、非日常における非日常によって×2の日も存在し、
下手をすれば2乗の日なんてものあったりする。
ありがたいか、ありがたくないか、で言えば後者に属し、
一般人からの道から外れる値であるその経験地だが、
まったく変化しないのもまた興ざめで……。

 

 んなわけあるか。

 

 そんな一生レベルをあげたくない類のステータスが変わらない
不思議探索お休みな休日は学力の経験値を得るためにあるのだろうが
素直に机に向かう俺ではなく、ゆっくり家でゴロゴロするに限る一日を過ごしていた。

 

 太陽の勾配がゆるくなってきたのを感じ時間も丁度いい頃合、
ベッドから起き上がった俺はカバンを手に取りその中に着替えとバスタオル、
ハンドタオル、旅行用の小さなボトルに入ったシャンプーとリンスを突っ込んだ。
というのも昨夜、長門からのあるお誘いがあったからである。
 ここで長門の家にお泊りだとか思った奴は早とちりしすぎであり、
そもそもそんな羨ましい目にこの俺が合うわけがない事を言っておく。

 

 このあるお誘いというのは長門に銭湯に誘われたのだ。

 

 なんでも今日の帰り道、古泉から銭湯の無料チケットを二枚もらったらしい。
知り合いから頂いたが無料チケットの期限に自分(古泉)の予定が合わないとかで
日頃世話になっている長門にあげた、という経緯でその恩恵が俺にも回ってきたのだ。
 この回想が終わる時には長門との待ち合わせ場所に近づいていた。

 

「よお、長門。相変わらず早いな。お前より先に待ち合わせ場所に着こうと思ったら
何分前に到着すればいいんだ?」
 そこには平日みたく制服姿の手さげカバンを持った長門が待っていた。
「気にしなくていい。あなたは約束時間より十二分四十秒早く着いた」
「確かに不思議探索の時よりは早いが男たるもの気になってしまうものなのさ」
 長門はコンマ3秒ほど考え込んだ仕草をし、
「わかった。今度はあなたより数秒遅れてくる」
 そういうもんじゃないんだけどな、とは口の中でとめておき目的地である銭湯に
向かって俺たち二人は歩きはじめた。
「しかし長門も俺なんかを誘わず、ハルヒや朝比奈さんを誘えばよかったのに
 どうして俺なんだ?」
「…………。古泉一樹があなたを誘うように勧めた。
 ……わたしと一緒に入るのはいや?」
「いやいや、そういう意味じゃないんだ。お前と一緒ならどこでも行けるさ」
 だからその上目遣いで俺を見るのは止めてくれ、長門。
「と、ところでその手さげカバンに入っているのはマイ洗面器か?
 シャンプーとかは俺も持ってきているが洗面器まで持ってくるのはそうとうな通だぞ」
「銭湯と呼称される公衆浴場はわたしも初めて。
 これまで得た知識に沿って持ち物を選定した」
 確かにこのご時勢で銭湯に行ったことが無い奴がいても別におかしい事ではない。
家に風呂が普及した今では、温泉ならともかくわざわざ銭湯に行く奴は少ないだろう。
俺も数年前に行ったきりずいぶんご無沙汰である。
「もうそろそろか。こんな所に銭湯があったなんて知らなかったな」
 視界には長い煙突が立つ一昔前にタイムスリップしたノスタルジックな建物があり、
これまた懐かしい匂いがある『のれん』がかけられた。
「そういえば銭湯には男の夢があると、親父が言っていたがあったな」
「男の夢?」
 のれんをくぐった俺と長門は木の鍵がついた下駄箱に履物を入れる。
「今は銭湯なんてものは数少ないから言う奴はいないが、
 昔は『銭湯の番頭になる』ことが男の夢、ロマンだったらしいぞ」
「なぜ?」
 なぜ? と言われても困る。
正直、長門にこの話題を振ってしまったのは間違いだった。
「あーっとだな、それはまた今度話そう。さあ中に入ろうか」
 引き戸を開け、番台へ古泉にもらった無料券を置く手が……一つとまる。
長門の手である。

 

主「はぁーはっはっはっ!! 有希ちゃん、よく来てくれた!!
  古来から伝わる男の夢・銭湯の番台に座るためだけに作った銭湯にようこそ。
  さあ有希ちゃん。さっそくお風呂に入る準備をしないと。
  その過程が私の目に偶然、入ってしまってもここで番頭してる限り不可抗力だからね。
  決してわざと目がそっちに行くことはないから安心して」

 

「情報連結解除」

 

主「あっーーーーーー!!」サラサラサラ……

 

 長門。今、俺の目と耳に残る記憶はなんだったのかな?
「あなたは何も気にしなくていい」
 長門がそう言うならそれに従い、気を取り直してさっさと風呂につかるとしよう。
俺は男湯の方へと足を進めると、タオルだけを腰に巻いた一人の男が
足を組みコチラを視線にやってきた。

 

古泉「おやこれはこれは奇遇ですね。まさしく『心友』ならではの運命でしょう。
   これは男同士、生まれたままの姿で語り合うしかないですね。
   隠す物がなければ話も隠しあいなく進み理解も深まること請合いで、
   友情を深める手段はコレと拳で語り合うことの双璧。
   あなたさえよければ後者もしますか?
   さあて。お互いのココロをからめることにしましょう」

 

「古泉一樹はイリオモテ島に転送」

 

古「アッーーーーーー!!」サラサラサラ……

 

 長門。今、俺の目と耳に残る不快な記憶と殺意はなんだったのかな?
「あなたは何も気にしなくていい」
 長門がそう言うならそれに従い、気を取り直して……って、
「長門。……ここは男湯の脱衣所だ。お前はアッチだろ」
「わたしの知識によると年のいかない女子は男湯でも入れる。
 わたしは今、四歳。十分許容範囲であると思われる」
 いや、その考え方は正しいが間違っているぞ、長門。
「待て。他の客もいるだろうし……」
「大丈夫。今はこの男湯にいるのはあなたとわたし、二人だけ」
「待て待て。新しい客が来るかも……」
「後、三時間十七分はこない」
「待て待て待て。いくらなんでも二人一緒に入るっていうのは……」
「あなたは先ほど、『お前と一緒ならどこでも行けるさ』と言った」
「待て待て待て待て。それは時と場合によって意味合いが……」
「あれはうそ?」
「待て待て待て待て待て。嘘なわけないだろう。でもこれはだな……」

 

「……わたしと一緒に入るのはいや?」

 

以上をもって、俺はこの上目使いの長門に陥落した。

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:04:27 (2731d)