作品

概要

作者Thinks
作品名長門有希の星空
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2008-08-31 (日) 23:38:45

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ登場
みくる登場
古泉一樹登場
鶴屋さん登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

 〜長門有希の星空〜    −ある夏休みのこと−
                      --- The Starry sky of Yuki Nagato ---

 
 短直に言おう。今年の夏は暑かった。
 あまりにもくそ暑いので、スーパーの卵が全部有精卵だったら、翌日にはひよこの大群になっているだろうなあ。
 なんてな妄想をしながら自分にツッコミをいれながらその行為に溜息をつきながら、前と同じく夏休み中ハルヒに付き合わされていた。
 今年の夏はそれが毎日になった。前は休みもあったんだが。加えて、行く先々で何故か乗り物をとっかえひっかえするものだから、交通費もバカにならない。
 そんな夏休みにはいくつかの思い出と大量のトラウマをいただいたわけだが。
 
 その期限をあと一週間後に迎えるその日。俺らは何故か部室に集合していた。

 そりゃハルヒ様のご命令に決まってるでしょうよ。
 
  


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「このままではまた、大規模な局地的時間ループが発生する可能性がある」
 
 ハルヒが何処かから見つけてきたチラシによって全然関係ない街にある神社の縁日に来させられ、ハルヒが朝比奈さんを金魚すくいの水槽に突き落としそうになっているのを見ているのか見ていないのか、
まあ落ちなかったから見ていたのだろうが、せっかくの髪飾りをお面で隠されてしまっている浴衣を羽織った長門がぼそっと言ってのけた。
「またか」
 身に覚えのある俺は即座にそう答えた。
「そう。涼宮ハルヒの行動に、ある兆候が見られる」
 ハルヒのヤツは特にいつもと変わらんと思うんだがなあ。って、実はもう百万回ほど回ってるってのは無しだぜ?
「大丈夫。まだループに入ってはいない。しかし、前回のようなループがまた発生すれば、この環境に大規模な変動を起こす可能性が大きい」
 どうせまた数百年から一万年後なんだろ?その時は俺生きてないからどうでもいいっちゃいいんだけども。
「止めるべき」
 右手に握っているソフトクリームのコーンが砕けたりしないだろうか。それくらいの勢いを感じる。そりゃま、一万五千…何回だっけ。のループを思えばストレスも溜まろうというものだが。
 
 異常といえば異常、正常といえば正常と思える点は、実はある。
 毎日毎日行った事のない場所も行った事がある場所でも関係なく連れ回されまくっているということ。で、行く先々で乗り物をやたら変える。
 ここもそうだ。距離的にはそれほど離れていないとは言え、全く知らない街の縁日に来ている。で、電車にバス、レンタサイクルなどなど。適当な乗り物に乗って走り回るのだ。
 …これにもしかしたら意味があるのかもしれないが、あればあったでめんどくさい事になりそうな気がする。

「有希ー。向こうに射的しに行きましょ、射的ーっ!あ、古泉君もいらっしゃい、キョンはみくるちゃんと一緒に後で来なさーい!どーせ射的なんか出来ないでしょ!?」 
 これまた浴衣姿の、ってまあ全員そうなんだが、ハルヒが両手にいくつかの戦利品を抱えて更なる獲物を見つけたとの報告と狙撃兵の接収に来た。最後の台詞は余計だ。
 
 二人とも引きずる勢いでハルヒたちが人ごみに消えた所で朝比奈さんにそれとなく「またループなんですか」と訊いてみたところ、
「へ、またなんですかぁ?ま、まだあたし、なにも聞いてませんけど、ふひゃぁぁっ!?」
 足元を全力疾走してきたガキに掬われて転びそうになった。手を掴んで引き戻してみる。やっぱ危なっかしい人だ。
 そこで、さりげなく肩を支えて大丈夫ですか?ってなことをやってしまった、のが古泉である。ってかおまえ、今行ったばっかじゃねえか。
 朝比奈さんはされるがまま俺と古泉の間に立っているから頭越しに俺の方を向き、 
「さすがですね、ナイスフォローです」
 背景に花が咲きそうな笑顔を繰り出した。頭の上にも一本植えとけ。おまえの褒め言葉なんかどーでもいいぞ。ハルヒのお守りはどうした。
「長門さんにお願いしてきました。それより。話はもう聞いているようですね?」
 ああ、聞いた。
「機関のデータでは全く把握は出来なかったのですが。別に例の神人の出没頻度も高くなってはいませんし」
 しかし長門が言うのだからなあ。
「そうですねぇ」
 俺らの顔を交互に見上げていた朝比奈さんが呟く。
 夏休みループも一回か二回くらいならまぁ、リッチな夏休みってことでいいだろう。
 しかし記憶もほぼリセットされるからループしてる実感も無い上にキーイベントをクリアしなければ無限ループなわけで、はっきり言ってこりゃ無意味だ。
「無意味っていうか、ですねぇ」
 朝比奈さんが真剣な面持ちで続けた。
「あれは時間がループの輪っかで捻れてて無限で…えっとお〜」
「局地的捻体環状時間帯ですね」
 何を言ってるのか解りません。説明しろそれ、古泉。
「メビウスの帯、というものをご存知ですか?」
 あれか、小学生の時、誕生会かなんかの折り紙か何かで作る飾りでもって作ってしまったら教師に怒られるやつだな。
「そう、あれです。あの輪をずっと辿るとします。見た目は一つの面をひたすらたどっているかのように見えます。しかし、実は表と裏を繰り返し辿ることになります。そしてまた最初に戻る」
 そうすると、二回に一度同じ時間を繰り返すということか?そうだったのか?
「いえ。時間は辿り方とその位置などにより細かく変異すると思われるので、僕たちが全く同じ生活をしていたとは思えません。問題は同じ場所を何度も辿ることにあります」
 やはり意味が解らん。が、おまえらが時々言う時空の歪みとか言うのとかか。
「はい、捻られて、輪になっているんですから歪みの一種です。紙で作って同じ面を辿り続けていればそのうち綻びが出来るでしょう、最悪、切れてしまう事だってありえます」
「そうですそうです。そうなるとですね」
 朝比奈さんが取って代わる。そんなに伝えたいのですか。受けて立ってみたいですが聞くだけですよ?
「いろんなバランスが崩れちゃって大変なことになるんです。生き物のだけじゃなくて〜あの〜戦争とか〜」
 どうやら政治均衡とか食物連鎖とかそういうものが崩れるらしい。
「ループする範囲と切れた場所に因りますがね。場合によっては宇宙規模に崩れるものもあるでしょうから。その時はかなりスペクタクルですよ。個人的には一度見てみたくはあります。戻れるのなら、ですが」
 自分で話を盛り上げてといて何を暢気に。その比例分俺と朝比奈さんのテンションが馬鹿下がりだ。
 
 話は聞くだけ聞いたが、例のごとく俺がどうにかできるものではないらしい。はいはい、巻き込まれたら良いんでしょーよ。巻き込まれるのはもう慣れた。

 
 とりあえず、だ。
 まぁ、お祭りなんですから。今は楽しく行きましょう。そろそろ長門がいろいろ打ち落としているころなんじゃないですか?
「ですね、涼宮さんの機嫌を損ねることにもなりかねませんし」
 そこまで怖がらんでも。「そうですね♪」と、見た目は笑顔を取り戻した朝比奈さんを引き連れ射的場に行ってみると、
 突如黄色の物体が俺の顔面に向けて飛んできた!おもいっきり額に当たった!!てめえなにしやがるっハルヒ!!
「遅いのよあんたたちは。それ、二人の分だから」
 何故か朝比奈さんの手中に納まっていたその黄色い物体はエンジェルマークの箱キャラメルだった。俺らが打つ標的はすでに無く。どう言うことなのか古泉はその場に居たことになっていた様子である。
 テキ屋のおっちゃんが茫然自失な内にさっさとその場を立ち去ることにし、軽く話し合った結果、とりあえず長門が持って帰るということで落ち着いた。
 ってなわけで帰り道である、いやあ今日はなかなか楽しかった。

 ってちがうっ!! 朝比奈さん、ここは少しお願いします。
「ほへ?ひゃぁっ!?」
 長門が無言で朝比奈さんの簪を引き抜いた。当然、上に纏めていた長い髪が引力に遵って降りてくる。うなじが隠れてはまたチラッと見えて、ああ、今の映像をスローモーションリプレイ頼む。
「あー、あ。なにやってんのよみくるちゃん。しょうがないわね、軽くまとめてあげるからこっちに…来るのよーっ!」
 朝比奈さんがハルヒに追い掛けられるまでもなく捕まって歩きながらヘアメイクされている間、長門と古泉と俺でしばし話し合いを持ったわけだ。朝比奈さん、少し耐えてください。リプレイは諦めますから。
 
「さて、前回では宿題がキーイベントだったわけですが。残念ながら今回はもうすでに済ませてありますから、これは当て嵌まりません」
 そうだな、念のためということでさっさと終わらせちまったからな。しかし、計画を立てて宿題を終わらせるということが引っかかっているのかも知れんぞ?
「その可能性はない」
 長門が断言した。
「涼宮ハルヒにおける今回の兆候は夏休み以前から始まっており、宿題を終えた後から始まったものではない」
「と、なると何時から兆候が見られたか、がポイントになりそうですね。長門さん、教えてください」
 話の流れに沿って古泉が願うと、それに長門は不吉な日付けで応答した。
「七月七日」
 なんだって?七夕だと?
「そう。七夕と呼ばれる日から、」
 長門が俺と古泉の間を指差した。
「毎日、決まって二十一時にあの行動を起こす」
 
「ど…どうしたんですかぁ、涼宮さん」
 ハルヒは朝比奈さんの髪を両手で握って立ち尽くしたまま夜空を見つめている。見つめると言うかこりゃ睨み付けてるって感じだ。朝比奈さんの言葉にも反応しない。
「涼宮ハルヒの超意識下の何かが起こさせている行動だと思われる」
 全く俺らのことが見えていないし声も聞こえていない様子のハルヒを長門も観察しているようだ。
 しかし、兆候とやらはそれだけで、ハルヒはそのうちふっと気がついたようにまた、朝比奈さんの髪をいじり始めた。
「今回も三十秒」
 長門が俺らに聞こえる程度の声で告げる。
 これは不気味な「兆候」だ。場所に法則性が無いため、今のところ意味不明だと言う。
 この街は俺らの住む街から十キロほど離れている街だ。ここの所、毎日違う場所に連れ回されてはいる。しかし俺から言わせりゃハルヒの思いつきで行ったとしか思えないから法則性も無いんだろう。

 このままじゃ巻き戻してループが発生して俺らにゃ何も実感がなくて長門だけはそれを理解していてひたすら観察をしていて…前のそれは三万一千週間くらいだったからそりゃま飽きるだろう。
 
 ぱりぱりぱりぱり…
 どーってことなかったけどなにか?みたいな顔をして、大丈夫だったソフトクリームのコーンを齧っている長門だったが、さすがに解っていて監視役を押し付けるのは気が引ける。
 ぱりぱり、もそもそ。ごっくん。
 さらにその間にスペクタクルとやらが発生するということならば。なおさら知らぬ振りはしたくない。ループに陥る前にキーイベントをクリアすれば良いんだよな、長門。
 ぷす、ひょいぱくっ。はふはふ。もぐもぐ。……こくこく。
  
 長門。ソフトクリームに続いてたこ焼きは腹を壊すぞ。気を付けようじゃないか。
「………?」 
 
 夜九時に、毎日違った場所で天空を仰ぐハルヒ。これは出来るなら止めさせたほうが良さそうだ。少し検討しようか、長門。俺にもたこ焼きくれ。
 
   
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 見事に頭の上に盛られた髪型の完成と共に終わった、たこ焼きを摘まみながらの会議で決まったことは、キーイベントさえクリアしてしまえばいい。それっぽいイベントを探してハルヒを誘おう。だった。
 しかし、決まってから七日も経っちまった。この間、ハルヒからの誘いがぱったりと途切れた。どうやら一人で行動していたらしい。そして一週間ぶりに呼び出された場所が部室だったと。
 そんなわけだ、解って貰えただろうか。前置きが長くなるのはいつものことだ。気にしないでくれ。
 
 


 
  
 で、ここは部室である。
 みんな!インターネットで面白そうなイベントを探すのよー!こうなったら個人でパーティーしてる場所でもいいわ! ってことなんだが、至って本気だから困る。
 まぁたまにはこういうのも良かろう。コンピ研からぶん取ったPC5台をフル活用したのは久しぶりだしな。
 そんなわけで全員でウェブサーフィンである。
 ちなみに、今年は本物のサーフィンもやりに行った。何故、内海の海水浴場に三メートルの波が押し寄せる事態になったのかは言わずもがなだ。ああ、そういえばあの日の夜に花火してたときにも、ハルヒのやつ硬直していたかも知れん。
 ハルヒは夜空を睨みつけるのを止めてはおらず、その結果「ポイントが七箇所追加された。追加数は想定どおり」だそうである。報告をした長門はPCを広げ、今回はマウスで何かをしている様子だが。使えたんだ。マウス。
 
「いよいよネタが尽きてきたわねー」 
 ハルヒが部室のPCのマウスをカチカチ言わせながら言う。俺は精も根も財布の中身も尽きかけてきてる。
「今日からは近場にしようかしら?」
 あえて遠くに行こうとしてたのか今までは? 迷惑な話である。
「せっかくだし、遠くがいいんじゃないの?」
 
 ハルヒは頬杖を突き、PCの画面を睨み倒している。古泉がハルヒの後ろに付き、これなんかどうでしょう?とお勧めイベントを紹介したりしているのだが、特にお気に召すものは無いらしい。
 朝比奈さんもなんだか真剣な顔をしてラップトップと対面状態だったが、「趣味の手芸コンクールってどうでしょうかぁ?」なぞにハルヒが興味を示すわけも無く。
 
 そんなこんなで午後になったがまだ何も決まっていない。
 
 昼飯ごなしに中庭で昼寝ってのは無いのかねと思っていると、
「何かいいアイデアはありませんか」
 とは、却下を連発され流石に凹み気味の古泉である。
 しょうがねえな、ここは一つ、単純に考えてみよう。夏、星、睨む、イベント…。
「プラネタリウム」
 連想ゲームで浮かんできた言葉を思わず口に出した。夏になれば特別上映なんかをするからな。
「ふうん?でもわざわざ見に行かなくてもほら」
 ハルヒが何かのソフトを立ち上げている。
「パソコンで見ることも出来るわよ」
「ほほう」
 古泉が興味を持ったようだ。俺もデスクトップの画面が見られる場所に移動した。
 画面には星空が表示されていて、ハルヒがマウスをカチカチさせる度に星が結びつき星座になって、さらにはその星座の名前に沿った画像が重ね合わされたりもした。
 説明文は全部英語だ。海外物のフリーソフトらしい。なんでこんなもんインストールしてるんだ?
「何よ。星なんか良く見えないから、せめてシミュレーションで見たいと思っただけよ」
 割と乙女チックな回答っ!
「なるほど、星だけではなく星座のイメージ画像を重ね合わせられるのがいいですね。ギリシア神話の教材にもなるのではないでしょうか」
 個人的にも興味があるのか、古泉がしげしげと画面を見ながら言った。
 長門はこれには興味ないのか、ラップトップで…なんだかまたカタカタとやっている。
「まあね、夜空にこんなマッチョな人が浮いてたら…それはそれで面白いかも。夏の夜には赤くてでっかいサソリが浮かぶってのは一見の価値があるかもね」
「アホかおまえは。蛇座ってのもあるだろうが。夜空に蛇はかなわんぞ。髪の毛座とかどうなるんだ。というか星同士がどれだけ離れてると思ってんだ」 
「あんたじゃあるまいし夜空が平面だとか思ってないわよ!昔の人はそういう健康的な妄想をしていた、って事よ。あんたとちがってっ!!ねー、有希〜」
 呼びかけられた長門はじっと俺を見ていた。心なしか肯いた気もする。きっと長門に話しかけたのは特に意味を持たなかったのだろうハルヒは、
「あ、蛇座ってのはあと二つあるんだからね、海蛇座と水蛇座♪」
 得意げにそう続けた。どうせそのパソコンプラネタリウムで知ったんだろうが。大体、ギリシアに限らないが神話って健康的な妄想か? 十分不健康だと思うぞ。
 良い。ここは黙っていよう。あのままじゃ明日の夜にはでけえサソリが浮いているのを見ることになっても不思議はなかったんだからな。
 俺は負けたっぽい溜息を付きながら自分の席に戻ろうとしたら、
「………これ」 
 長門がハルヒに何かを見せていた。
「プラネタリウム? へえ。案外近くにあるのね」
「………どう?」
「どう、って。見に行きたいの?」
 こくり。
「有希が見に行きたいって言うなら。それよりこっちが面白そうだけど。みんなはどおっ!?」
 どう、と訊いているが「嫌だ」と言ったら…愚問だ。長門の「どう?」に比べると強制的な意味合いが強すぎるぞ。
 
 反論が無かったため全員賛成とみなされ即時出発となった。一応学校に来てるから制服を着てるんだがなあ。この制服の出来の悪さは相変わらずなんだ。着いた頃には汗だくだぜ。
「………」
 愚痴で糸を紡いでいたら長門が俺の隣に来ていた。なんだ。プラネタリウムは余計だったか?
「話がある」
 そう行って古泉には目配せをくれると、長門はラップトップを手に取ってそのまま部室を出て行く。
「みくるちゃん、お出かけよー、おめかししましょー?ふふふふふふ〜」
 鶴屋さんかおまえは。これも長門の入れ知恵なのだろうか。何の問題もなく俺も古泉も長門の後に続けた。黄色い悲鳴には後ろ髪引かれるものがあったけどな。
 
 
 長門は非常階段の踊り場で俺らを待っていた。
 ハルヒには「星とメイド」をテーマにした装飾を希望したと言う話をさらっと流した後、長門がラップトップを使って解説を始める。
「涼宮ハルヒがこのソフトウェアを使用し、調査した天体はベガとアルタイル。およびシルキーウェイ、天の川と呼ばれる存在」
 説明しながら軽やかな手つきでキーボードを叩いていく。画面の最下段に黒い窓が開いては閉じ、を繰り返しているからまた何か操作をしているのだろう。
 ハルヒがソフトを立ち上げてさっきのやり取りがあって今まで、十分も経っていないが、もう既にここまで調べをつけているあたりが長門である。
「彼女は過去に、情報統合思念体のような地球外知的体に向けてのメッセージを描いた」
 あの象形文字の親戚みたいなやつか。
「そう。そして」
 PCの画面が切り替わり、地図のようなものが表示された。
「これは…この街の地図ですか」
「この街も含む広域映像に相当。しかし、もっと広域を見る必要がある。半径十キロメートルに設定」
 古泉の意見が微妙に否定された時、浮かび上がった立体映像はズームアウトし、それが終わるとあちらこちらに光点がぽつんぽつんと点き始めた。
「そしてこれが、七月七日から毎日、二十一時に涼宮ハルヒが上空を眺めた場所」
 その光点は次第に増えて行く。良くぞこれだけ彼方此方行ったもんだ。
「もし、四十七箇所目が今から向かう科学館の北北西方向百五十六メートル地点に当たった場合」
 独特の形状をした人工島の一点が他と同じく輝く。と同時に、プラネタリウムソフトの画面が上にかぶさるように表示された。

 今回は、これか。
「そう」
「これは…」
 古泉がそれっぽく絶句する。どうやら左右が逆転されているらしいが表示されている七月七日の星の位置と、ハルヒが天を仰いだ場所、つまりは俺らが遊びに行った場所が一致している。今から行く科学館はちょうど彦星、アルタイルの位置にあるようだ。
 ふう、夕暮れの涼しい風が心地よい。ああ、また何か面倒なことが面倒なことが面倒なことが。
 しかし、星はそれこそ星の数ほどあるのだ。偶然の一致ってことは無いのか? 
「ない」
「偶然だとすれば、まさに天文学的な確率でしょうね。縮小スケールのようですがこの一致具合はありえません」
 きっぱり言われた。そうですか。
「銀河の片鱗、いわゆる天の川を構成する中でも視認できるとされる恒星の位置とほぼ一致する。しかし、この天球の一部には、ベガと呼ばれる恒星が無い」
「確かに。アルタイルを科学館であると仮定すると、ベガのある位置は、……ここですか」
 古泉が指差した先には、北高がある。よな、…やっぱあるし。光点が無いって事は、学校ではまだ睨み付けてないらしい。
「解ったことは、以上」
 長門はラップトップを閉じてすたすたと部室に向けて歩き出す。続こうとする古泉に声をかけてみると、
「僕にもさっぱり解りません。これが何を意味するのか。起きるべくして起きてからではないと」
 倒置法ってのかそれ。
「これは癖です」
 
 朝比奈さんはメイド服姿のまま全身をLEDでデコレーションされていた。光るメイドさん。わぁ、斬新。へびつかい座はあったと思うが、めしつかい座は無いよなぁ?
 時折ハルヒがスイッチを入れると朝比奈さんが輝く。やめてくださいいい〜と言う声が谷あいに響くと消える。それを何回か繰り返すうちに坂を下りきっていた。
 で、乗った電車の空調がぜんぜん効いていなかった。故に、人工島にある目的地の科学館に着いた時には全身汗だくになってて予想通りだったよまったく。
 
 
 科学館の別館にあるプラネタリウムは、思っていたよりもエンターテイメント性が強いモノを上映しており、汗まみれで眺めたバーチャル天球は、それはもう見事なものだった。
 空気が汚い、周りが明るい、そもそも目が慣れていないなどの条件で、見ることのできる星の数って言う物は大きく変化する物だそうだ。
 ハルヒも言っていたが、七夕なんかでも実際に星を見ようったってそう見えるもんじゃない。天の川なんてのも名前で聞いたことがあるだけだ。
 流石に天井があるのが解るのでよく言うところの吸い込まれそうってな感覚にはならないがな。
 吸い込まれそうな星空ってのは、…もしかしたらあの無人島あたり、星を眺めていたらこうだったのかも知れんが、生憎夜は花火やらなんやらでどんちゃか騒ぎだ。見てる時間がなかった。
 よく考えたら七夕ってのも、儀式だけはきーっちり行う俺らSOS団も星を眺めることはしなかったように思う。提案しても「それは天文部のすることよ!!」ってなもんだっただろう。
 スクリーンに写った星たちに次々とラインが引かれ、星座を現した。続いて星座に関するエピソードが流れていく。サソリから逃げるオリオンの気持ちはなんとなく理解できる気がした。
 
 朝比奈さんは何時自分が光るか解らないからだろう、しばしびくびくしていた。
 エピソードに沿い、時折スクリーンに映される映像がなかなかのもので、長門もしげしげと眺めていた。…って、メガネ?その銀縁メガネ、何時かけたんだ。
「おそらく、映像の記録をしているのか、と」
 常ならば私どもの中央に鎮座ましますハルヒ様は、本日は確保できた席の都合にて右にずれて居りますために古泉が俺の隣に居るのでございますからして、囁きかけるな気持ちの悪い。
「聞こえてしまっては元も子もないでしょう。で、涼宮さんですが」
 ああ、解ってる。こいつ本当に七夕のエピソードが嫌いらしい。スクリーンには今、大熊座と小熊座の話が流れているが、まぁその話を少しするとだな。
 七夕のエピソードってのは有名なあの話だ。働き者の二人を結婚させたら遊び呆けて仕事をしないんで別れさせ、それでも今度は泣き喚いて仕事をしないので一年に一度だけ会うことを許したと言うそれだ。
 あまりにも定番のお話なわけだが、この話が始まった途端にハルヒは、
「やっぱり納得できないわ、何で別れなきゃなんないのよ」
 と、膨れっ面をし始めた。どーしたもんだか。ハルヒと言えばこんな話に共感することなんかなく、したとしても「働かざるもの食うべからずよね!」ってなもんだと思ってたから、このタイミングで膨れる意味が解らなかった。
「あれは説話」
「そうです。本当にあった話ではないですよ」
「解ってるわよ。でもねえ、残酷な話よ。一年に一度でしかも雨が降ったら会えないのよ?」
 女性陣の総ツッコミにこれまた話の通り反論するハルヒ。言ってることが小学生の子供だ。はいはい、はるひちゃん。来年からてるてる坊主さんにお祈りしましょうね。そう言ったら黙って続きを見始めた。顔は膨れ面のままだったが。
 
 程なくして上映は終了した。
 だがハルヒの膨れ面は直ることがなく、外に出てもぷりぷり怒っていた。想定どおり北北西の方向に歩いて行きつつ、
「あー、もう腹が立つ!天の川なんか自力で渡っちゃえば良いのよ。月の船なんかに頼らないの!」
 なんてなことをほざき散らしている
 ハルヒ。織姫と彦星が幸せじゃないのがそんなに気に食わないのか?
「幸せであって欲しいわ。まだまだ時間がかかるのよ」
 ん?何にだ?
「わたしたちの願いが届いた頃に、あの子たちが幸せじゃ無かったら叶う願いも叶わないわ!!」
 あー、あの方たちはおまえより一億年は年上だと思うんだが、あの子ってのはどうだろう?
「わたしたちの願いを叶えるためにも幸せであってもらわなくちゃいけないの!何で今年は雨が降っちゃったのよ!?」
 知らん。そもそもあの星はおまえも言っていた通り、アルタイルは十六光年、ベガは二十五光年ほど離れているらしいんだが。
「あーもう。一つの星だったら良かったのよ。そうすれば……」

「二十一時」
 長門がそう告げるのと同時にハルヒがまた天を見上げた。
「……ベガを見つめている」
 メガネをひょいと直しつつ解説する長門。さっきみたいな天の川は見えないが、ハルヒはその川の辺に居るのであろう辛うじて白く見える星を睨み付けていた。
 長門曰く、これは情報噴出の一つらしいから注目すべき現象なのだろう。
 
「…あんた、そんな川ぐらい渡っちゃいなさい」
 ハルヒが確かにそう言った。無意識下だか超意識下じゃなかったのか!?
「超意識下での行動。わたし達の会話が認識できる精神状態ではない。……もう終わる」
 
 ハルヒははっとした様に肩を震わせた後、無言で駅のほうに歩き出した。朝比奈さんと古泉が後を追う。
 長門は俺の隣で三人が喧々諤々しているのを聞いていた様子で。メガネを外し無造作にスカートのポケットに突っ込むと、
「想定外に説話の影響を受けている。調査が必要」
 そう言ってそのままぼーっと突っ立っていた。しょうがないから背中を押して駅に誘導する。
 
 
 ハルヒに睨みつけられた織姫様は、何も変わらず瞬いていた。光の速さで伝わるんだっけか?伝わったら思い切って渡っちまうかも知れんな。…二十五年後に。
 
  


 
 
 だがしかし。どうやら二十五年も待てずに渡っちまう感じだと言うのを長門から聞いたのは翌日のことだった。
 
「あ、あっはっはっは!さすが涼宮さんですねえ」
 爆笑してる場合か。
 俺の正面に居る古泉は一つ咳払いを入れてから、
「失礼しました。しかし距離が離れすぎていますから地球に直接の影響は出ないでしょう。目視できるようになってから騒ぎになるくらいで。ふふっ」
 クスクスと笑いながら話す。口を押さえるな、軽く咽るな、我慢できずに吹き出すな。
 長門に呼び出されたハルヒを除くSOS団団員四人は、ファーストフード店で長門の報告を受けていた。いつもの喫茶店だと出くわすかも知れんからな。
「もう一つ解ったことがある」 
 そう言うと制服の長門は例のラップトップを鞄から取り出した。ちなみに、この長門のラップトップは長門専用機であり、他の部員には扱うことが出来ない。OSから作っちまってるそうだからある意味究極のセキュリティ体制じゃないだろうか。
「涼宮ハルヒが各地点に行き着くまでに辿った経路を調べた」
 ラップトップの画面に例の地図が映り、そして緑色の線がある一点から次々引かれていく。待ち合わせ場所が北口駅だからだろう。まぁ、蜘蛛の巣状に広がる線が何か模様のようなものを描いているのに気がつくまでにはそう時間はかからなかった。
 もしかして、これにも意味があるのか。
 こくり。と長門は頷いて、言った。
 
「かいしょーなし」
 うっ。
「かいしょーなし、かいしょーなしなんですかぁ?」
「甲斐性無し。そう、書いてある」
 なんちゅーことを。男に一番言ってはならないその台詞を、しかも宇宙に向けてでかでかと書いたと言うのか。ってか長門。二回も言わんでくれ。朝比奈さんもです。そのワードを連呼しないでいただきたい。
「そう、これもある意味情報噴出。興味深い」
「ふむ、このメッセージは、アルタイルに向けたものと?」
「だと考えられる」
 
 それ以外の何処へ言おうとしたってんだ。思わぬところで妙なダメージを受けたわけだが。
 今、織姫様と彦星様がどうなっているのか。長門の台詞を借りると、
 
「ベガがアルタイルに向け移動し始めている。今はそれほどの速度は出ていないが、推定される最高速度は秒速二十万キロメートル。過減速を考慮すると約二十三年後、ベガとアルタイルは二重恒星となる」
 二重恒星ってのはなんだ。
「お互いの引力によって、踊るようにお互いが公転する天体のことを言います」
「この星と、月と呼ばれる天体の関係に近い。しかし、この場合の月に該当するアルタイルの質量がベガに対して大きすぎるため共通重心が宇宙空間におかれる。この場合」
 お互いを振り回して二つとも同じ場所で回る、と言うことか。解るような解らないような。
「そう」
 まぁ大体解った。で、そうなることで何か問題は出るのか?
「この星への直接的影響はごく僅かと思われる」
「でも、ですねえ」
 朝比奈さんが真剣に泣きそうな顔をしている。この後の話に予測が付くような気はする。
「あたしの居る未来では、ベガもアルタイルもこの時代のほとんど同じ位置にあるんです」
 はいその通り。
「未来が変わることは朝比奈さんの上司が許さない。しかし、もう始まってしまっていると」
 星が一つ移動してしまうこと自体が非常識だからな。皆に見えるようになったらそりゃ大騒ぎだぞ。
「ふええぇぇ〜、困ります〜」
「もう一つ」
 もう一つ、何だ、長門。
「涼宮ハルヒは、この場所から半径十キロメートル範囲に天球図を再現しようとし、主な恒星の位置に該当する場所から情報噴出を起こし続けている」
 そうだな、二回ほど見たし。おまえらにとってはかなりの収穫じゃないのか?
 長門は俺の質問には答えず、話を続ける。
「地上に天の川を構成する作業。この作業が終わるまでには、約一万二千日を要する。」
 解った。皆まで言うな。
 要はあいつ、今度は自分に都合の良い天の川を完成させるべくループを起こすわけだ。前よりはかなり短いようだが。
 星座は季節により見えるヤツが変わるもんだ。それが変わらないように狭い範囲でループを起こして、完成させちまうつもりだ。下手すりゃループ範囲は…七月七日から始まるのか。
「約三十九年ですか。それはちょうど目視で確認できる時、ですね」
 ああ、多分、アルタイルの隣にベガを作って終わりなんだろう。ハルヒのヤツ、超意識も俺らを振り回すように出来てるらしいな。 

 もう方法は一つしかない。
「ハルヒにベガを戻させよう」
 正面二人はきょとんとし、長門はバーガーに手を出した。いいか、星を移動させるパワーだ。対抗できると思うか。俺は思わんぞ。どういう理屈でも、あの二人は別れても幸せだとハルヒに思い込ませりゃそれで良いんだ。
 この俺の意見に解りやすーく、ぽんと手を打って古泉が言った。
「では、演劇でもしますか。涼宮さんに内緒で」
 齧ってた氷を吹きかけた。どうして具体案がそうなるんだ。俺に解るように説明しろ。ほら、朝比奈さんも全力で頷いているぞ。朝比奈さんに解るようにも頼む。
「一年に一度出会う、そして出会えた時、二人がどれだけ幸せなのかを見ていただけたらいいのでしょう? 織女牽牛伝説ならそれほど準備も要りませんよ。どうです。僕に任せていただけませんか」
 やたらと自分の発言に乗り気な古泉である。文化祭のでも乗り気のようだったが、そんなに好きなのか、演劇。
 よし任せた。おまえが一人三役くらいで頼む。
「そうは行きませんよ。大体、登場人物は三人しか居ないでしょう」
 だからおまえが。
「あなたにも、参加していただきます。では、演劇の力で星をも動かして見せましょうか」
 その台詞と共に立ち上がった古泉が凍りつく。朝比奈さんが小さく「ひっ」と声を上げ、長門は普通にアイスティーを飲んでいた。
 
「古泉くん、えらく乗り気のようだけど。あたしを差し置いていったい何をやってるわけ?これは重大な規律違反よ?」
 速攻バレたし。
「ちょっとキョン。どういうこと?説明しなさいよ」
 通路を思いっきり塞いでいるハルヒに、俺は言い訳を考えつつ話し始めた。
「あー、つまりだな。昨日、だ。おまえがあんまり織姫様が可哀想だと言うもんだから、ハッピーエンドになる話を俺らで考えて、おまえに披露しようと思ったんだよ。内緒にして驚かそうと思ったんだが、ばれちまったなあ」
 序盤の二文で五秒稼いでその間に考えたにしてはなかなかの言い訳じゃないか、これ。
「ふうん?」
 ハルヒが右に左に目を動かせて四人の顔を見ている。
 
 問題は、ハルヒが俺らの話を何時から聞いていたのか、である。
 俺の言った「戻させよう」の辺り以前だったらアウト。古泉の「演劇でもしますか」辺りからならセーフだ。
 沈黙が過ぎる。
 
「古泉くん、ワクドで立ち上がったら目立ってしょうがないわよ。んじゃ、聞かなかったことにしてあげるから〜。店員さーん、ビッグワックセットLL、コーラで大至急ねー!」
 ハルヒが店員を呼んでいるときに、四人で小さくセーフサインしてしまった。長門がのってくるとは想定外ではあったが。
 
 
 かくして、演劇で星を動かそう計画は実行に移されたのである。
 何で俺の分は自腹なんだよ、古泉!!
 
 


 
 
 かつて。
 天空には天を統べる帝が居た。名を一樹と言う。人は彼を天帝と呼んだ。
 古泉には一人の娘が居た。機織りが得意である、彼女の名はみくると言う。機織りの腕が見込まれ、人は彼女を織姫と呼んだ。
 天帝の屋敷の川向かい。そこには、働き者の牛飼いが居た。名をキョンと言う。牛飼いの腕が見込まれ、人は彼を牽牛と呼んだ。
 
 織姫の織る布は見事な物。五色に光り輝き、季節によって彩が変わる不思議な錦。
 牽牛の飼う牛は乳をよく出し、肉も美味しいと評判であった。このため牽牛の名は天帝にも知られることとなる。
 
 化粧一つせず機を織り続ける織姫に、川の向かい側から想いを潜める牽牛。
 天帝は娘の働きに感心していた。また、年頃の娘であるのに相手が居ないのを不憫にも思っていた。
 ある日、屋敷に牛を納めにきた牽牛の面構えを見て、天帝は彼を織姫の婿に選んだ。
 
 こうして。
 織姫と牽牛の二人は新たな営みを始めることとなる。
 
 結婚してからの二人は遊びに夢中になり、織姫は機織りを止め、牽牛は牛の世話を止めてしまった。
 天帝は、我が婚姻したときも同じだったと。そう仰りしばらくは様子を見ていた。
 
 そのうち。
 機織りの音は絶えてしばし。織機にも埃が積もってしまい、世話をされない牛は倒れてしまった。
 
「織姫よ!牽牛よ!己の天職を忘れたか!?」
「申し訳ありません。あまりにも牽牛様のお話が楽しかったものですから。明日よりまた、機織りに勤しみます」
「申し訳御座いません。我もまた、牛飼いに精を出すことといたします」
 
 そう言った二人だったが、翌日、翌々日、さらに日が経つも二人は仕事をする様子が無く。
 互いに役目を忘れてしまった二人を一緒にしておく所以<<いわれ>>はない。
 
 かくして。
 天帝の怒りに触れた二人は、再び川を挟んだその対岸に別れさせられることとなった。
 
 織姫は牽牛と離れて暮らすことをとても悲しく思った。しかし親である天帝に歯向かう事も出来ず。天帝の屋敷に帰ってきた織姫は、日々、涙に暮れた。
 牽牛もまた日々、川の辺に立ち、織姫の居る庵を見つめていた。
 
 織姫が泣いて暮らす様を見ては居られなくなっていた天帝は、二人に条件を出した。
 昔のように織姫は機を織り、牽牛は牛を育て、今まで以上に一生懸命に励むのであれば、一年に一度、七月七日にお互いが会う機会を許そうぞ、と。厳しい条件だった。
 
 織姫、牽牛はお互いに反省し、仕事に励んだ。七月七日の再開を想い、今いっそうに働いた。
 指折り数えるその日々。長くも短いその月日の果て。
  
 ついに。
 迎えた七月七日の夜。雨が降り、水かさが増した川を渡れず困惑していた娘の元に、鵲<<カササギ>>の群れがやって来る。その翼を繋いで築いた橋を渡り、織姫は牽牛の元に舞い降りた。
 一晩中、時の許す限り。夜が明けるまで二人は語り合った。
 
 やがて。
 天空も朝を迎える。別れは惜しかったが、二人はまた、対岸に別れた。
 
 
 次に、会い見える<<あいまみえる>>。その日を励みに。
 

 


 

 おーっ。
 
 歓声が上がる。
「これはかなりいいんでないかいっ!少し感動しちゃったにょろよっ!」 
 最前列での観劇、有難うございます。鶴屋さん。
「アレンジ具合が絶妙だね」
「おまえがカッコよすぎるんじゃねーか?」
 谷口に国木田。おまえらはいつもいつも何処から話を聞きつけてこういった場に居るのか。まあ緊急で集めた観客だからしょうがないのではあるが。
 
 プラネタリウムに映像を重ね合わせる演出を参考に、星の前で演劇をして見ませんか、と言う朝比奈さんの提案をそのまま採用し、背景は夜空にした。
 シナリオそのものは古泉が構成した。織女牽牛伝説には数々のパターンが存在しますが、その中でもハッピーエンドなストーリーを若干アレンジしてみました。とのこと。
 長門のナレーションが相まって、そこそこの出来になったとは思う。しかしまあ、この牽牛の衣装。暑いぞ。古泉よりマシか。あんな長い付け髭なんざ付けたくも無い。
「あのおぉぉ、もう着替えても良いですかああああぁぁ!?」
 織姫は天女である。そういうことだからして、少々露出の高い着物にうすっぺらーい羽衣を着てもらっているのだが。ハルヒのセンスが移ってしまっているのか、俺ら。
 出来上がった衣装を見たときから、「やっぱりこうなるんですか…」と言っていたから演劇の話が出たときから予感はしていたんだろうが。
 これらの衣装は森さんのお手製だとのこと。しばらく顔を見ていないですが、感謝しますよ森さん。
 
 さて、この寸劇に裏の天帝、ハルヒ様はどう思ったんだろうか。
 
「ふうん、そうか、二人で居るとそれだけでダメになってしまうカップルもあるってことね、距離感って大切なのかも」
 概ね理解していただけたご様子である。やれやれ。
  
 演者三名、観客四名の寸劇は、「なかなか面白かったわよ!」と言う評価を戴いて幕を閉じることとなり、
…そのまま第二幕に突入した。
 
「あたしに天帝をさせなさい!!」
 その一言で。
 
 やっぱり裏の天帝だったのか。

 
 


 
 
  
 かつて。
 天空には天を統べる女帝が居た。天空で一番えらい。名をハルヒ様と言う。が、人は彼女を天帝と呼んだ。…そのまま。
 ハルヒ様には一人の娘が居た。…ちなみに天帝の配偶者に当たる存在は不明。彼女は機織りが得意。名はみくると言う。が、機織りの腕が見込まれ、人は彼女を織姫と呼んだ。
 天帝の屋敷の川向かい。そこには、働き者の牛飼いが居た。名をキョンと言う。…名前がシチュエーションに対して微妙。なのと、牛飼いの腕が見込まれ、人は彼を牽牛と呼んだ。
 
 織姫の織る布は見事な物。五色に光り輝き、季節によって彩が変わる不思議な錦。素材の精密分析を希望する。
 牽牛の飼う牛は乳をよく出し、肉も美味しかった。いわゆるハイブリッド。非常に評判が良かった。このため牽牛の名は天帝にも知られることとなる。…逆玉フラグGet。
 
 化粧一つせず機を織り続ける織姫に、川の向かい側から想いを潜める牽牛。覗きではない。ストーカーでもない。
 天帝は娘の働きに感心していた。また、年頃の娘であるのに相手が居ないのを不憫にも思っていた。
 ある日、屋敷に牛を納めにきた牽牛の面構えを見て、天帝は彼を織姫の婿に選んでしまった。よく考えよう、娘は大事だよ。
 
 こうして。
 織姫と牽牛の二人は新婚生活に突入した。ここが人生のターニングポイント。
 
 結婚してからの二人はお互いの魅力に負けっぱなし。織姫は機織りを止め、牽牛は牛の世話を止めてしまった。
 天帝にも身に覚えがある。新婚さんは楽しくやってりゃ良いんじゃね?そんなことでしばらくは様子を見ていた。
 
 そのうち。
 機織りの音は絶えてしばし。織機にも埃が積もっている有様。世話をされない牛は野生化してしまった。
 
「織姫!牽牛!あんたたち仕事しないんだったらこっちにも考えがあるわよ!?」
「あの〜、この人と居ると、それだけでとっても楽しいんです〜」
「まぁそういう事だ。牛の世話は明日からやるし。あさひなさ…織姫も明日からは機を織るから」
 
 そう言った二人だったが、翌日、翌々日、さらに日が経つも二人は仕事をする様子が無く。
 役目を忘れてしまった二人を一緒にしておくほど天帝は大人ではなかった。
 
 かくして。
 天帝の怒りに触れた二人は、再び川の対岸に別れさせられることとなった。これぞ正しく自業自得。

 織姫は牽牛と離れて暮らすことをとても悲しく思った。しかし、とてもえらい天帝に歯向かう事も出来ず。天帝の屋敷に帰ってきた織姫は、日々、涙に暮れた。
 牽牛は完全にやる気をなくし、酒に溺れる生活を送っていた。いわゆる廃人。
 
 天帝は、ニートと化した牽牛はともかく、織姫が泣いて暮らす様を見ては居られなくなっていた。親バカ。英語ではこれを何と言うのだろうか。ドーターコンプレックス、だろうか。
 略してドタコンの天帝は二人に条件を出した。
 昔のように織姫は機を織り、牽牛は牛を育て、今まで以上に一生懸命に励むのであれば、一年に一度、七月七日にお互いが会う機会を許そうぞ、と。ニートには厳しい条件だった。
 
 織姫、牽牛はお互いに反省し、仕事に励んだ。七月七日の再開を想い、今いっそうに働いた。愛の力、ってやつ?
 指折り数えるその日々。長くも短いその月日の果て。
  
 ついに。
 迎えた七月七日の夜。誰の陰謀か雨が降り、水かさが増した川を渡れず困惑していた娘の元に、何処からともなく飛んできた鵲の群れが、翼を繋いで築いた橋を渡り、織姫は牽牛の元に舞い降りた。
 一晩中、時の許す限り。夜が明けるまで二人は傍から訊いていたらつまらないことなんかを語り合った。見詰め合う二人。それを見つめる野生の牛。…シュール。
 
 やがて。
 天空も朝を迎える。別れは惜しかったが、二人はまた、対岸に別れた。
 
 
 次に、会い見える。その日を励みに。
 

 


 
 
 って、何だこりゃ!長門にボケ倒させてどうする、ってか俺、噛んだし!!

「真面目にやったんじゃ内容的に悲壮感が漂うのよね。じゃあいっその事、喜劇っぽくしてみようって思って。でも、話の大筋を変えたのでは納得がいかないのよね。特に最後のはそのまま採用したわ!」
 
 漂う悲壮感を牽牛に集中させただけだろうが。いつの間にかシナリオスーパーバイザー兼、一番えらい役兼、監督になってるし。
 演技にも注文をつけてきたしな。何が「分かれるシーンはもっと悲しそうに、こう、右手で、そう!星を掴むようにやるのよ!」 だ。
 あと最後はっていうがなぁ、本っ当に最後だけじゃねえか!
 
 しかし、残念なことにこれが受けてしまったからしょうがない。
 鶴屋さんに至っては天帝の格好をしたハルヒと共に未だに爆笑中である。何にって、牛の役になってしまった古泉の姿にであるが。
 最終シーンはCGにされた俺と朝比奈さん、つまりは牽牛と織姫がベガとアルタイルに変化していく映像を用意していたのだが。牛がアルデバランとか言う星になる演出が追加されてしまった。 
 
「即興のアレンジにしては、…あんまりじゃないですか、これ。おうし座は冬の星座ですし」
 そのまんまじゃねえか。なぁ、古泉。献上されて野生化して最後は星になる牛ならまだ良くないか。
「おまえは覗きでもストーカーでもなく、廃人でニートで酒浸りだもんな」
「いやあ、本当にそれっぽく見えちゃったよ」
「覗きの常習でストーカーでニートで酒浸りの廃人でも良くねえか」
「あ、それいいねぇ。って言うかそれ、廃人で纏まるんじゃない?」
 廃人廃人言うな。おまえらもう帰れ。
「いやっはっはっは、はっはっはっはっは!すごいシナリオだっ!これは売れるにょろよ!」
 売れなくて良いです。そんなことを言うと本当に売ろうとしますから勘弁してください。
「あのーっ!やっぱり着替えて良いですかあっ!!」
「着替えなくて良いにょろよ!さあさあみくるー♪記念撮影〜えいっと!」
 ぴろりーん、とシャッター音が鳴り、
「ふえええええええぇぇぇ!?」
 蛍光イエローくらいの悲鳴も響く部室。
 
 そういや…周りを見渡してみるが、居ない。長門は何処行ったんだ?
 
 
「待っていた」
 部室の喧騒から逃げてきたのか、長門は誰も居ない教室の真ん中の席でラップトップを弄りながらそう言った。
 俺は長門の横の席に座る事とする。夕焼けの教室にはあまり良い覚えが無いんだが。
「涼宮ハルヒは演劇に満足し、星を移動させることを止めた。今晩からは情報噴出も無くなると思われる。計画は成功」
 そうか……。思わず溜息を吐く。
 烏帽子を被っていたのを思い出し、取った。和服ってのは割と涼しいもんだな。ウチの制服よりよっぽどマシだ。
 夏休みはあと二日。何とかリミットに間に合ったわけだ。で、動かしちまった星はどうなった。
「ベガは元々、この星に近づいていた天体。相当の距離を移動したが、現在の動きは緩やか。この世界の天文学上では観測上の誤差のうちに入る程度。二十五年後に多少、光量が増す様が観測できるはず」
 そう言うと長門は、エンターキーをぽん、と押し、
「これを」
 と、告げる。画面を見れば良いのか?
 
 画面にはえらく詳細な星空が映っていた。その星空が大きくなって画面からはみ出してきた。サイズ無視かよ。
 長門。こりゃなんだ?
「プラネタリウム…ただし、三次元」
 長門がぽそっと告げた頃には、二人とも星空の中に居た。だから夕焼けの教室でこう言う展開はトラウマだってのに。
 三百六十度の星空になった教室には、俺らが座っている二脚の椅子だけが残っていた。
 長門がそこにあるであろうキーボードを叩くと、星空が近づいてくる。二つの星が目の前にやってきた。
「あのままベガとアルタイルが接近した場合を想定した映像。演劇で使用したものの続き」

 さっきの演劇の背景の星空は実はCGである。織姫が牽牛に会いに行くシーンで、ベガがアルタイルの元に向かうイメージ映像を流した。
 短く言えば天の川を一筋の光が渡り、一つの星になるCGムービーだったんだが、これは当然、長門謹製の品だ。
 ハルヒにその映像を見せて、ハルヒの深層心理に納得させる。そう言った意味も持たせた演出だったわけだ。
 これはそれの三次元版なのか。
 
 目の前に下りてきた大小それぞれの星。小さな星が大きな星の周りを回っているが、大きなヤツも小さなヤツに合わせて小さな円を描いて回っている。なんと言うか、ハンマー投げを想像してしまう動きだ。
「わたしは、今まで説話に影響されると言う事が無かった」
 その二つの球体、でかい方がベガで小さいのがアルタイルなのだろう。
 それらから雲のような物が伸び、長い尾を引いてから互いが描く円の中心に渦を巻き始めた。
「双方の構成物質が引力に引かれ起こる現象。二重恒星にはよくあること。しかし、別れに結びつかないため使用しなかった」
 正解だ。
「お互いが手を取り合い踊っているように見える」
 そうだな。
 
 言葉が少なくなってくるのを自分で意識できる。星に包まれ、その灯だけの空間の中に居ると、酔うほどの浮遊感がある。いくつかの星が俺を通って消えていく。
「わたしは、説話や伝説に影響される事は無いと思っていた」
 長門が、くるくる回るベガとアルタイルを見つめながら続ける。
「…再開を喜んでいるようにも見える。この結果が出たことを、嬉しく感じた」
 胸元にきた二つの星を両手で支えるようにし、優しげな目つきでそれを見つめていた。
 
 
 俺は思った。…おまえにもやはり、感じる事があるんだな、と。
 
 


 
 
 ラップトップが電池切れを起こし、宇宙空間から突然教室に引き戻された俺は少し身体感覚の狂いを覚えたが、それほど大したことは無かった。
 ぱたん、とラップトップを閉じ胸の前に抱えると、長門はとことこと歩き始め、
「そろそろ戻るべき」
 と言うので俺もその後に続いて歩き出した。
 
 部室の前に牛が居る。まぁ古泉なんだが。
「お二人は今着替え中です。帰って来ても覗かないでよね!…とのことです」
 覗かねえよ。
 観客の谷口と国木田、鶴屋さんは先に帰ってしまったようだ。鶴屋さんが二人を引きずって帰ったって言うところが真相らしいが。あいつらには本望だろうよ。
「さて、僕らは空き部室でも借りますか」 
 
 
 着替えが終わる頃にはすっかり日が暮れていた。いやしかし少し早い気もするが。街灯が点り始めた坂道を下りていると、
「暗くなっちゃったわねえ。あ、今日は星がすごいわ。ほら、天の川」
 空を眺めながらハルヒが言う。俺も見てみると、控えめではあったが天の川が見えていてその両岸には織姫と彦星も輝いていた。
 いや何ぼなんでも天の川が見えるわけ無いだろ。ハルヒがまたやっちまったんじゃないだろうな?と思ったら、古泉が、長門が後ろ手に持つ鞄を指差していて、どうやらラップトップが入っているらしく膨らんだその鞄が紫色に輝いている。 
 気が付きましたか?と言った風に古泉は、前のほうに進み出る。
 俺と長門は最後尾になって、隣同士でしばらく歩いた。

「さっきのか、これ」
「そう。出力を落として実行中。ベガとアルタイルには元の位置に戻してある」 
「きれいだな」
「そう」
 少し間が空いた。長門がその間を埋めるように話を続ける。
「わたしたちには星座や星を擬人化し眺める風習は当然、ない。伝承、説話、神話などと星を結びつけ、後世に伝承するその方法にも、非効率性を感じざるを得ない」
「非効率で不確定だからこそ、そのうちいろんな話が生まれるんだ。古泉も言ってただろう。織女牽牛伝説…ってのか知らんが、あの話にもいろんなパターンがあるんだ。その方が面白いんじゃねえか」
 ハルヒみたいなことを言ってしまったなと思っていたら、長門が左手を差し出してきた。俺は自然を装いつつその手を取る。…冷たくてやわらかい。
 
「…少し、このままで」
「歩こうか」
 古泉バリアーでこっちは見えてないようだし、な。
 
 
 時は今。
 俺らには俺らを統べる団長が居た。名をハルヒと言う。人は彼女を団長と呼んだ。
 団には一人の娘が居た。観測が得意である。ただその部屋に居た、それだけなのに気に入られ、団長さんは彼女を有希と呼んだ。
 また、団には一人の男が強制加入された。決して微妙な名前ではないぞ。何故か気に入られたらしい。団長さんは彼をキョンと呼んだ。

「なんてのはどうだ」
 
「…団長の発生させる現象は特異なもの。情報を噴出し、校庭にメッセージを描き、季節を無視し花を咲かせた等。
キョンはその団の中で、団長が起こす現象すべてに巻き込まれ、…その都度彼はその状況から脱出してきた」 
 
 化粧一つせずに団長を観測し続ける有希に、机の向かい側から心配そうに見つめるキョン。
 団長は娘の働きに感心していた。また、メガネを外したその姿を見て、なおさら気に入った様子である。
 常に雑用に励む男の面構えを見て、団長は彼を…一生やっとけ、と思ったに違いない。
 
「こうして。
 有希とキョン二人は団の活動に励むこととなる」
 
 次は何だっけかと台本を取り出そうとした俺を他所に長門が続ける。 
 
「…団での活動に夢中になった有希は観測を止めてしまった。情報統合思念体はそれを快くは思わなかったが、
しばらくは様子を見ようと考えた。 
 そのうち。
 来るはずの情報は有希に蓄積されるばかり。定期連絡すら滞るようになった」
 
「おまえは自分の存在意義を忘れたか」
「そうではない。次回より通信を再開する」
 
「そう言った有希だったが、次回、次々回、さらに日が経つも有希は通信をする様子が無く。
 使命を忘れてしまい、さらには自らの情報改変までを行った端末を観測に使用するにはリスクが高すぎる」
 
「かくして。
 情報統合思念体は彼女を消去してしまった……」
 
 何言ってんだこいつ?
 長門は俺に向かって、どうぞ、とばかりに俺を見ている。
 ここから続けろ、と?俺は台本をポケットに片付けてから続けてみた。
 
 …あー、キョンは、有希が居なくなってしまった世界に違和感を持った。居るはずのその娘が居ない部室を寂しく思った。
 有希もまた、遥か離れた場所からその光景を見つめていた。

 情報統合思念体とやらには有希のその姿を可哀想に思うような心は無かったが、自分自身で解決するならそれも良かろうと。
 昔に戻り、そこにやってくる者に的確な対応をするのならば、再度任務に就けようと。厳しい条件だった。
 
 有希はただひたすらに待った。
 指折り数えるその日々。長くも短いその月日の果て。
  
 ついに。
 
「迎えた七月七日の夜。彼はやってきた。彼が切望するように、有希は行動し。…結果として自らを消去することで、条件を満たせた。
 やがて。
 また二人は、あの部室で会い見える」
 
 ふうむ、なんだかえらくリアルになっちまったなあ。…客観的にリアルだとは到底思えないが。
 まあいいか。七月七日というと、俺らが想像するものはこういう話になるもんな。
 
「再び離れることの無いように、自分を律して」

 …長門。 
「…これからも」
 よろしく、な。

 前を歩いていたはずだった三人が見えなくなっていた。
 いつもの帰り道であるその坂を、俺らは手を繋いだまま、少し急ぎ足で、下りた。

 他人よりは相当、夏休みを経験している俺なのだが、今、それが終わるのをいつもよりも惜しく感じる。
 俺が例の能力を持っていたら、この一日をリフレインさせるかもしれないな。
 
 
                                                       −おわり。−

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:04:27 (2005d)