作品

概要

作者KANKO
作品名貴方を
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2008-08-11 (月) 21:40:57

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹登場
ハルヒ登場
みくる登場
古泉一樹登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

「あなたを殺して涼宮ハルヒの出方を見る」

 

 さて、この台詞を聞くのはいつ以来だろうか?
 まさかもう一度聞くことになるとは、正直勘弁して欲しい。
 しかもだ、あの時と同じ場所で夕方だと言うのだから、
いったい何を考えているんだろうかと。 もしかして、この
シチュエーションはお前たちにとっては重要な事なんだろう
か?
 ああ、こんな事を考えても俺の今の状況がよくならない事
は分っている。 
 だがな、よりにもよって長門の口から殺すと言われたんだ、
現実逃避もしたくなるってもんだ。

 

「あなたが死ねば涼宮ハルヒは、必ず何らかのアクションを起
こす。
 現状を打開するために情報統合思念体は、この結論を出し
た」

 

「長門、本気で言っているのか?」

 

「本気」

 

 現状とはどういうことだ? ハルヒに刺激を与えないよう
にする事がお前たちの意見だったんじゃないのか?
 いや、しかしだ。
 思い出せ、確か俺を殺そうとした朝倉涼子は何と言った?
 長門の操り主、つまり情報統合思念体…あいつらの意見が
変わる事もあるって言っていなかったか? 
つまりだ、これはそういう事か?

 

「どうしようないのか?」

 

「どうしようもない。 これは決まった事」

 

 実に長門らしい答えだ。 俺と違い余計な事を言わずに
ズバっと言ってくれる。 長門の力を良く知っている
俺としてはだ、この状況がどうしようもないと言う事だけは
良く分っているつもりだ。
 あの時、俺の命を救ってくれた長門が、俺の命を奪うと言
う事は俺を助けてくれる奴は皆無だろう。
 たとえ、この場に古泉や朝比奈さんがいようと、どうにも
ならん筈だ。 むしろ巻き添えを食うかもしれん。 
 それだけは勘弁してほしい。
 だが、俺はどうしても信じられないと言う気持ちが強い。
 長門は初めて会った頃は、何を考えているか分らん奴だっ
た。
 だが、俺やハルヒ、朝比奈さんや古泉、すなわちSOS団で
共に活動してからは徐々にだが、人間に近づいていっている
様だった。
 なあ長門、お前はこれでいいのか? 普通の人間は知り合
いを簡単に殺す事はしないんだぞ、今のお前なら分るだろ?
 
 あの世界はお前の願望じゃなかったのか? 
 俺では駄目だったのか?
 正直に言おう、俺は死にたくない。 だからこそ長門相手
でもなんとか回避は出来ないものかと、会話を続けているの
だが。

 

「私という個体はこの様な事態は望んではいなかった。
でも、情報統合思念体の決定には逆らえない」

 

「そうか…」

 

 長門は望んでいなった。 それを聞いただけで自分の命が
危険に晒されていると言うのに、安心している俺がいる。
 まったく俺という奴は、お人よしというべきだろうか?
 考えてみれば長門に命乞いをしていないのも変な話だ。 
そんな俺の口からはこんな事を言ってしまった。

 

「長門、頼みがある」

 

「何?」

 

「妹の事を頼む」

 

 ああ、俺はお人よしじゃない。 
 ただの大馬鹿野郎だと自分でも思ったもんだ。

 
 
 

「WAWAWA忘れ物〜って…キョンに有希じゃない? なにやっ
てんの?」

 

 俺と長門の一方的な命のやり取りが、今まさに起きようと
していたその時、ハルヒが教室に入ってきた。 
 …その歌は何だ、お前の中学の頃流行っていた歌なのか?

 

「とてもユニーク」

 

「同感だ」

 

「何よ、別に良いじゃない。 んで、あんたたち、二人っき
りで何をしていたわけ?」

 

 まさか、俺が今から長門に命を奪われますなんて言える訳
がない。
 長門も同じ意見なのだろう、ハルヒの質問に答える事が出
来なかった。

 

「まさか、人に言えない様な事をしていたわけじゃないで
しょうね? 」

 

 確かに人に言える様な事じゃない。 だが、今の俺とし
ては、おそらくハルヒが考えているだろう、人様に言えない
様な事が行なわれて欲しいとこの時ほど願った事はない。

 

「任せて」

 

「任せてって、長門?」

 

「この状況を打開する方法がある」

 

 はて、この状況とはハルヒが笑顔を向けながら、俺に近づ
いてくる事か?
 それとも、お前が俺の命を奪う事をか?

 

「何二人で喋っているのよ! あーもう信じられない。
 キョン、あんたにはとことん呆れたわ。 まさか、有希を
こんな人気の無い教室に呼び出す何て!」

 

「あなたは先に出てて。 私が説明する」

 

 ハルヒの一方的な勘違いに、普段の俺なら抗議の一つもし
たいもんだが今の状況を考えると、それは好ましいといえる
かも知れん。
 しかも、俺の身の危険が回避されようとしているじゃない
か。
 ここは長門に任せて、俺は教室を退散する事にした。
 ふと、ハルヒの命を狙うんじゃないだろうかと思ったのだ
が、長門がそれを強く否定したので、今の俺は廊下で一人佇
むのであった。

 

「…キョン」

 

「よ、よお。ハルヒ…」

 

 5分ぐらいしてからだろうか、ハルヒが先に教室から姿を
現した。
 なんと言うべきなのだろうか? 今のハルヒには困惑して
いるような表情を浮かべていた。 
 長門よ、何を言ったのだ?

 

「あんたは死刑! それと次の探索では全額おごりだからね
!」

 

 そう言いながら走り去る姿は、いつものハルヒを知る俺に
とっては中々シュールな物だった。

 

「終わった」

 

「何言ったんだ?」

 

「涼宮ハルヒが教室に入ってきた時点で行動を起こすべきだ
った。 
しかし、わたしはあなたの命を奪わずに彼女を刺激する方法
を思いついた。
 情報統合思念体もこの案に賛成した」

 

「その結果、俺はハルヒに死刑といわれたんだが…」

 

「あなたとわたしは付き合っていると言う事にした。 
それによって大きな情報爆発も観測できた。 わたしという
個体も情報統合思念体も満足している」

 

 これはあれだ。 昔から言う開いた口がふさがらないとい
う奴だ。
 まさか、長門がそんな事を言うとは。
 いやいや、お前と付き合うのが嫌という事じゃないんだぞ
 しかしだ、自分の命が助かるのと同時に宇宙人の彼女が出
来るというのは聞いたことが無いぞ? 
それに情報爆発といったか? それが出たということは古泉
が苦労するんじゃないのか?

 

「大丈夫、情報操作は得意」

 

「は?」

 

「わたしとあなたが付き合っていたことを知らなかったのは
涼宮ハルヒだけという事にした」

 

 そう言いながら、俺の手を握ってきた長門を見てると
喜ぶべきかどうか悩んでしまったが、ここは素直に喜んでお
くとしよう。
 こいつの恥ずかしそうに下をうつむいている姿を見てしま
ったんだからな。
 まあ、なんだ、これが一石二鳥という奴か?

 
 

 その日は短い時間ながらも、密度の濃い時間を過ごした俺
は大人しく帰ることにした。 もっとも長門が俺に寄り添う
ようにくっ付いて歩いたのには困ったもんだが。
 いや、別に嫌な訳じゃないんだが、何と言うべきか教室で
のやりとりを考えると、アレは長門なりの告白だったのでは
ないかと。
 そう考えると少しばかり恥ずかしくなったんだ。
 そこ、気付くのが遅いとか言うなよ? 殺されそうになっ
たんだからな。
 
「おかえりー。 あれーキョンくん、おねえちゃんはー?」

 

「はい?」

 

 妹よ、お前に兄はいても姉はいないはずだぞ? いきなり
何を言い出すんだ。

 

「えー有希おねえちゃん、今日は泊まりに来ないのー?つま
んなーい」

 

 そうですか長門さん、貴方の情報操作は我が家にまで浸透
しているんですね。
 と言うかだ、何で家に泊まるのが普通になっているんだ。
 しつこく食い下がる妹を何とか引き剥がし、俺は自分の部
屋へと逃げ込んだ。正直疲れた。 
 この調子だと、学校でもただでは済まないだろう。
 願わくは平穏な日々であります様に、と思った俺
ではあったがその願いは一つの着信音でかき消された。

 

『どうも、今よろしいですか?』

 

「何の様だ、古泉」

 

『夕方頃、発生した閉鎖空間についてです』

 

「それか…何と言うか、俺が原因とは言い切れんのだが」

 

 俺の原因と言うよりも、長門が原因なんだが正直に話すべ
きなんだろうか?

 

『今回の閉鎖空間は、おきるべくしておきたと言う事です。
その原因が貴方と長門さんだと言う事も。 
まあ、とりあえずはおめでとうございますと言っておきまし
ょうか』

 
 

 えーと、これはどういう事だ? もしや古泉も情報操作さ
れているのか?って長門よ、どこまで情報操作をしているん
だ!

 

『我々としては、いつ涼宮さんにお話しするのか気になって
いたのですが、それもようやく終わって、肩の荷が下りたと
言うべきでしょうか』

 

「…知っていたのか?」

 

『どうしたんですか?、最近の涼宮さんの状態を考えると、
これほど大きな閉鎖空間を生み出す原因は、貴方達しか考え
られませんが。
何よりも、涼宮さんは貴方の事を…おっと、これは言わない
約束でしたね』

 

 はい、これはもうなんかやばい。 何がやばいって、これ
は情報操作と言うレベルじゃないぞ。 と言うか、これは世
界を作り変えると言うか、あれか。
 長門よ、お前がしたのは本当に情報操作なのか?
 世界は変わっていないんだよな?

 

「あーすまん、今日は俺の方も色々あって混乱しているよう
だ。すまんが明日でいいか?」

 

『わかりました。 僕も久し振りの大規模な閉鎖空間で
疲れていますので詳しい報告は明日にでも。 
僕としてはどうやって涼宮さんを説得したのか興味が
ありますので、それは明日の楽しみに取っておきましょう』

 

 古泉の言葉に、俺は何ともう言いようの無い不安感に襲わ
れた。 長門は確かに俺に、情報操作をしたと言った。
 だが、今の古泉とのして会話からして、情報操作の域を超
えている。
 朝倉涼子がいなくなった時は、転校したと言う事後報告だ
けだった。
 しかし、今回のはどう考えても…いかん、考えれば
 考えるほど、あの時の世界を変えちまった長門の事を思い
出してしまう。
 本来なら、すぐにでも長門に問いただすべきなんだろうが、
素直に長門が言うとも思えない。 俺は頭を休めるべく、明
日に備えて寝る事にした。

 
 

 翌朝、いつもよりも早い時間に目を覚ました俺は、いつも
のように学校へ向かうわけだが、日が昇るにつれて俺の考え
は、間違っていなったのではないかと思ったわけだ。 
谷口や国木田からは、俺と長門の関係がどこまで進んでいる
のか、根掘り葉掘り聞かれたりもしたもんだ。

 

 だが俺が知っている世界では、これはありえない。
何より、俺と長門はそんな関係になっていない。 
 いや、長門とこの様な関係になることを嫌っているわけで
はないんだが…残念ながら俺には記憶が無い。

 

 それにしてもだ、あの時ハルヒは長門に何と言われたのか
気になっていた俺としては、問いただしてみようと思ってい
たのだが当のハルヒは朝から不機嫌モード。 
この状態のハルヒには話しかけない方がいいと言うのは、
SOS団に所属している者ならば、良くわかることだ。
 ここは無理にでも聞き出すべきなのだろうが、俺がハルヒ
の方へと顔を向ければ明後日の方向へと顔を向けて、会話さ
えも拒否しているようだ。
 いやもうね、誰か何とかしてくれ、この状況。

 

 そんなこんなで、ハルヒのきついプレッシャーにさらされ
ながらも何とか放課後まで過ごした俺は急いで、部室へと向
かったわけだ。

 

「キョンくん、おめでとうございます」

 

「僕としては複雑な心境とも言うべきですが、友人として祝
福しますよ」

 

 部室のドアを開けたとたん、これだ。 
 朝比奈さんもが、こんな事を言うとはな…
 いや、古泉がこうなのだからもしやとは思っていたんだが

 

「世界が変わらなくて、本当に良かったです。 本当に良か
ったぁ」

 

「えっと…すいません、ちょっと長門に話があるんで!」

 

 俺としては良くない事ばかりだ。 部室の奥で本を読んで
いた長門の手をつかんで部室を後にした。 
正直、今の朝比奈さんたちにどう接したら良いのか良くわか
らん。 もしわかる奴がいたらすぐにご連絡して欲しい。

 

「長門、お前に聞きたいことがあるんだが」

 

「なに?」

 

「お前がした事は本当に情報操作なのか? これは情報操作
の域を超えているようだが」

 

「情報操作。 貴方が考えているような事はしていない。 
何より貴方がそれを望んでいない。 よって情報操作以上の
事はわたしはしない」

 

 そうなのか? 確かに長門は必要以上の事はしない気がす
る。 野球大会の時も天候を変える事を良しとしなかったし
 だが、天候を変えるよりも、ある意味、今回の事は厄介な
気もするんだが。

 

「ここまで大規模な情報操作はわたしも初めて。 でも、こ
こまでしないと涼宮ハルヒに大きな情報爆発を起こさせる事
は出来なかった」

 

「えーと、そこまで大きな事か? 俺と長門が付き合ってい
るって言う事って?」

 

 よく考えてみれば、ハルヒにそこまで大きなショックを与
えるなら長門の正体を明かしても良いだろう。 
むしろ朝比奈さんや古泉もセットで。
 だが、長門はそれをしなかった。 俺が誰かと付き合って
いる方がショックがでかかったのか? まさかなぁ…俺はそ
こまで自惚れてはいないぞ。

 

「貴方は涼宮ハルヒにとって、とても重要な存在。 彼女は
貴方に好意を寄せている、それは間違いない。 だからこそ
情報爆発が起こった」

 

 はい、まさか長門の口から、ハルヒの告白が聞けるとは。
 正直驚きを隠せない…いやいや、ここは正直になろう。
 どこかしらで、俺もハルヒの気持ちに気付いていたんでは
ないか?
 あの閉鎖空間での出来事があってから。 まてまて、あれ
は夢だったと言う事にしていたじゃないか、俺は。 
 まったく、なに考えているんだ。
 今は、この状況を何とかしないといけないんじゃないのか
 ハルヒの事はその後でいい。 そうしないと余計に疲れる

 

「長門、俺が死なずにすんだのには感謝している。 でもな
他に方法があったんじゃないのか? ほら、お前の正体を明
かすとか」

 

「駄目、それでは涼宮ハルヒが力を自覚して、どのような影
響を与えるかわからない。 でも今回の情報操作ならば、力
を自覚させる事は無い」

 

「いや…それはそうだけど、お前は嫌じゃないのか? 俺と
付き合うことになるなんて」

 

 俺が気にしているのは、この事だ。 俺を殺さない様にす
るためにとは言え付き合っていると言う事になったんだ。 
それも気になっていたんだ。
 長門がそういう事を理解しているのか、どうかもわからん
のだが。

 

「嫌じゃない…わたしは貴方と付き合うことに対して、不快
感を感じる事はない。むしろ、今の状況は改善されている」

 

「な、何が改善されているんだ?」

 

「エラー。 あなたの事を考えるとエラーが発生する。 
でも、今の状況ではエラーが発生しない。 
前にも言ったように、私と言う個体は満足している」

 

 さてと、部室に戻ろうか…いやいや、まてまて!
 どういうことだ? 俺の事を考えるとエラーが発生するだ
と? それが今の状況ならおこらないだと? 
それは…長門は俺のことが好きなのか…

 

「おまえ、俺のことが好き…って事なのか?」

 

「そう言ってさしつかえない、貴方は迷惑?」

 

 まさか、宇宙人であり万能な存在である長門が、何の特徴
も無い一般人である俺のことが好きになっただと!?
 これは…ハルヒが俺を好きだと言う事よりも驚きだ。 
 俺のどこがいいんだ?

 

「…なんて言っていいかわからん」

 

「上手く言語化できない…でも、信じて」

 

 信じてか。 長門の口からそれが聞けると言う事は、嘘じ
ゃないって事だな。 いやと言うわけじゃないんだが…あれ
は危機を回避する為の方便だと思っていたんだ。 
 俺のどこが好きかは分からんと言う事だが、俺は長門のど
こが好きだろうか?
 傍から見れば、無表情の無愛想に見える長門。 
 でもだ、ここぞと言う時は他の誰よりも頼りになる奴だ。 
まあ、ハルヒの言う事には素直に従ってしまうんだが、ここ
にいる理由がハルヒを観測する為なのだから仕方ない。
 だが、意外と気が効く奴なんだぞ。 俺が家に行けば必ず
お茶を出してくれる。
 
 これが、朝比奈さんが入れたお茶とは違った美味さがある
 そうだなぁ、しいて言えばハルヒは元気、朝比奈さんは癒
し、長門は安心で、古泉は顔が近い。
 長門が傍にいると安心している俺がいるな、うん。
 安心感…考えてみれば、SOS団に入ってからは安心する事
と言えば、お茶をすすりながら古泉とゲームをしたり、朝比
奈さんのコスプレ姿を見たり…
 そうだな、長門が静かに読書をしている姿を見たりする事
もか。

 

 長門が静かにしていると、ああ、今日も平和なんだなぁと
思ったりするもんだ。
 まあ、ハルヒの言う事に反対しないんだから、いつも静か
なんだろうと思うんだがな。 でも、一人で読書をしていた
りすると、安心するな。
 長門から話しかけないって事はだ、大きな事件がないとい
うことだしな。
 なんだ、俺は長門の事をよく見ているじゃないか。

 

 ただ、あまり意思表示しないから、何考えているかわから
んだけだ。
 でもだ、これからこいつと付き合っていけば、それもわか
るんじゃないだろうか?
 宇宙人と付き合う…いや、意外と普通の女の子より女の子
らしいかも知れんぞ?ただ、何も言わないだけだ。 
でもだ、心の奥底では、いろんな事をしたいんじゃないんだ
ろうか。
 もしそうなら、俺が手伝ってやる。 
 いや、SOS団、総出で手伝ってやるさ。

 

「わかった、信じてやる。 でも、本当に俺でいいのか?」

 

 「貴方以外には考えられない」
 
 そう言いながら俺に近寄って手を握ってきた長門。
 あの時、俺と付き合っていると事にしたと言って、俯きな
がら何処か恥ずかしそうにする姿と同じだった。
 こいつでも恥ずかしそうにするんだよな。 あの時は、意
外な姿を見れたことに驚きと喜びがあったんだが、今の俺に
はそれにプラスで安心感があった。

 

 こいつ、俺を殺そうとしたんだよな…でも、本心は違った
 朝倉涼子と違って良しとしなかったんだ。
 もし、俺を殺したんならどう思ったんだろうか?
 どういう気持ちで、それから過ごすつもりだったんだろう
か? 俺だったら…そうだな、谷口や国木田が事故で死んだ
だけでも、かなり落ち込むはずだ。 
 それが自分の手で好きなの人を殺したとなると…きついな。

 

 長門には人間らしく楽しくおかしく生きて欲しい、今思いつ
いたんだがな。
 これは嘘じゃない。
 万能の様に見えて、実は不器用なんだよな、お前は。
 そういや、朝倉涼子が消える直前に言っていたな。

 
 

 『長門さんとお幸せに、じゃあね』

 

 
ああ、俺が幸せにしてやるさ。 俺だけじゃ力不足かもしれん
が、SOS団があればきっと幸せになるさ。 

 
 

「わかったよ、お前が嫌って言うまで付き合ってやる」

 

「そう」

 

「それにしても、お前の情報操作とやらは凄いもんだな、俺も
気付かないうちに記憶を変えられたりしてたりしてな。 まあ
それはないだろうがな」

 

「…………そう………」

 

「なんだかんだあったが、これからよろしくな、長門」

 

「よろしく」

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:04:27 (1984d)