作品

概要

作者142-984
作品名長門有希の切札
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2008-07-28 (月) 19:26:14

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

「よお」
 放課後、いつものように文芸部室に行くと、
「…………」
 いつものように長門が定位置に座っていた。
 ただし、いつもならハードカバーを広げて読書にふけっているところだが、今回はそれをしていない。
 代わりに、小さな直方体状の何かを持っていた。
「…………」
 長門は無言で、俺の方にそれを差し出した。
 そこには、「涼宮ハルヒの憂鬱 PARAPARA TRUMP」と書かれている。
 俺たちSOS団のメンバーを描いたカードをトランプにしたものらしい。
 どこで手に入れたというのだろうか。
「通信販売。興味があった」
「そうか……もしかして、今からやるのか?」
「そう」
「みんなでやるのか? まだ俺しか来ていないが」
「2人で」
「俺とお前でか?」
「そう」
「それは別に構わんが、何をするんだ? ババ抜きでいいか?」
「問題ない」
 かくして、俺と長門とのババ抜き対決が始まった。

 
 

 俺が13枚、長門が14枚の状態でゲームスタート。
 よし、俺のターン!
 と、意気込んではみたが……。
「…………」
 この3点リーダは俺のものだ。
 これはどうにもやりにくいな……。
 何故なら、長門の方に目をやると、15人の長門に見つめられるわけで。
 いや、本人を除けばただのイラストだ。解っている。
 解ってはいるのだが、それでも気恥ずかしく感じるのは何故だろう。
 しかも、カードを引くときに長門の頭を潰しちまう気がして、なかなか引けないのだ。
「わたしは構わない。引いて」
 俺の心中を察したのか、長門が言った。
 そうだよな、ただのカードだよな。引いちまっていいんだよな?
 ええい、引いちまえ!
「…………」
 その瞬間、長門が困惑の表情を浮かべたような気がした。パッと見は無表情だが。
 何だ何だ? 引けといったのは長門のはずだ。
 それなのに、引かれると困るのか?
 まさか、ジョーカーが手元に残るからじゃないよな?
 まだ始まったばかりだから、それはないと思うのだが。
「…………」
 俺が引いたカードは……スペードのAか。
 Aは……っと、あった。ハートだ。
 俺は何のためらいもなく、ハートのAとペアにして捨てる。
「…………」
 長門は一瞬だけ残念そうな表情を作ったが、すぐにいつもの無表情に戻る。
「長門、お前のターンだぞ」
 そういってカードを差し出すと、長門はダイヤのQを引いた。
「…………」
 カードを引いた長門は、またもや不思議な表情を見せた。
 そして、悔しそうにダイヤとスペードのQのペアを捨てる。
 何なんだろうね、一体。

 
 

 こうして、ターンが切り替わるたびに長門が表情を変えたり変えなかったりという奇妙なことが続いたのち、俺が1枚、長門が2枚というところまで来た。
 そして、俺のターンだ。
 ジョーカーではない方、すなわち、ダイヤのKを引けば俺の勝利だ。
「引くぞ、長門」
「どうぞ」
 そして、俺が引いたカードは……ジョーカーだった。
 ふと長門を見ると、
「…………」
 心なしか安堵しているような気がした。
 ジョーカーを手放せたことがそんなに嬉しかったのだろうか。
「……お前の番だぞ」
「…………」
 そして、長門は俺のカードの片方を引いた。
 長門が引いたカードは、ジョーカー……ではなく、クラブのKだった。
「…………」
 長門は満足げに、クラブとダイヤのKのペアを捨てる。

 
 

 こうして、長門の勝ちが決まった。

 
 

「…………」
 長門はまだ、満足げな表情を浮かべている。
 勝ったのがそんなに嬉しかったのか?
「違う」
 俺が持っているカードを見ながら、長門は言った。
「わたしは、あなたのもの」

 
 

-Fin.-

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:04:26 (1867d)