作品

概要

作者ちの たりない人
作品名守ってあげたい 第六話 〜ハシッテキタキョリ〜
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2008-07-06 (日) 09:55:25

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ登場
みくる登場
古泉一樹登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子登場
喜緑江美里登場
周防九曜登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子登場

SS

 

で、俺はずるずるずるずる引き摺られてきたわけだが、古泉、役交代してもらえんか?
「いえいえ、やはりそう言った役目は、あなたでないと映えません」
てめえは……と古泉を睨んでいたが、九曜が口に人差し指を当てるポーズ。
「静かにしろ?」
多分肯定。
そもそも、声とかどうとか相手には関係ないんじゃなかったか?
「――雰囲気……大事」
おいおい。
まぁ、後で聞いた所、声とかも大きいと漏れるとか何とか……本当かは知らん。
ただ、九曜が言いたかったのは別の事だったらしく
「少し前からですが、通常空間ではなくなってますしね」
と言う事だがソレってつまり、相手にはもう、気付かれているって事じゃないのか?
「そうなりますね」
と、古泉が言ったかどうだかってタイミングで
「――行く……」
と九曜が多分言ったんだろうな。
頼む、誰か何がどうなったか説明してくれ。
「それこそ、あなたの大事な役ではありませんか?」

 

瞬間移動でも、まぁ十中八九したんだろうな、何処か、ビルの中のような場所だった。
俺と古泉そして九曜と、橘と喜緑さんが並んで立ち、その3メートルほど先でハルヒが雨合羽を着た奴に連れられていた。
そして、それよりさらに5.6メートル先、コピーしたんじゃないかと思える雨合羽野郎の足元に、制服姿の小柄なあいつが倒れていた。
「長門!」
考えるより先に声が出た。
「ちょっと離しなさいよ……ってキョン? ……有希!?」
俺の声に一度振り返ったハルヒも、前方に倒れている長門に気がつく。
って、…………
長門の傍に立つ雨合羽野郎が、倒れている長門に対して何かを向け……あれって
「ちょっと、有希に何するつもりよ!?」
長門の方へと向かおうとするハルヒだが、どう言う原理か…おそらく宇宙的反則技だろうが、ハルヒは雨合羽野郎の片手でだけで、押さえ込まれていた。
「有希に何かしたら、あんた達ただじゃおかないんだから!」
声だけは威勢良く、は無いな……しかし、俺達の所からじゃ……
しかし、ピタっと音がするように、雨合羽野郎共の動きが止まる。
微妙にぶれてはいるが……コレは。
「――……制御……」
「九曜さんがもって、おそらく十秒程度です」
そう告げて、俺を見る喜緑さん。

 
 

「くそったれっ」
「………さん!」
古泉が俺を呼んだようだが、気にしている余裕はない。
たった、十メートルほどがやけに長かった。
後方で誰かが誰かにぶつかったような音だとか
「古泉君?」
と言うハルヒの声だとかが、バックグラウンドに流れていた。

 

「長門!」
俺は……間に合ったのかどうかは、その瞬間は解らなかったが、取り合えず長門と雨合羽野郎の間に飛び込めた。
と、ほぼ同時に何か、乾いた、火薬のような音がした。

 

長門はうっすらと目を開けて俺の顔を覗き込む。
「よぉ、遅れてすまなかったな」
「……」
しかし、まいった。
飛び込んできたはいいが、この先どうしたら良いか? 等というのはさっぱり抜け落ちていた。
いや、そもそも、撃ち抜かれた足が、痛くて身動きが取れそうになかった。
「キョン! ……っ!!?」
ハルヒが俺を呼んだと思ったら、……倒れた?
ハルヒの後方に立っていた喜緑さんは……えーっと、喜緑さん、その手は……何をなさったんですか?
「ここから先は」
「――『禁則事項』……」

 

「情報連結解除、開始します」
と喜緑さんが呟くと同時に、二人いた雨合羽野郎が砂とも塵ともつかないものになっていく。
「……やった、のか?」
「いえ」
あっさりと否定し、虚空を見つめる喜緑さんと九曜。
「あなた達は、長門さんと涼宮さんのガードを、お願いしますね」
ガードって……
一瞬だけ、"何か"が見えた。
そして、思いっきりソレに殴られた。
「ってぇ!?」

 

「物質に対しての攻撃時は、その瞬間的にでも物質化する以外、手がないようです。見えたら、避けてください」
いや、さすがに無茶です。
古泉と橘は、連携して何とかしのいでいる様子だった。
完全ではないにせよ、ここも閉鎖空間と同じ仕様だとか、そんな所なんだろう。
手のひらサイズの赤い光球で、襲ってきている"何か"を弾いているようだった。

 

喜緑さんと九曜はと言えば、虚空を見据え、あの高速詠唱を行っている、のは解る。
しかし、完全に避け切れないのか、避ける労力を詠唱に回しているためか、"何か"に幾度か殴られていた。
「あなた達…人間とは違う……大丈夫……」
疲弊した声で長門が呟く。
「……っ……お前は…大丈夫なのか?」
「……平気。今現在、わたしの回復に回す余裕が、情報統合思念体にないだけ。わたしの現状は、人間の空腹時のそれと大差ない……」
ほとんどの情報誌念体の力が、喜緑さんの行動に回されている…ってか。
「とっ……」
「……」
「ああ、すまないな、服…汚しちまってるか……」
さっきから、即死じゃないだけ情けがあるのか無いのかは知らないが、さんざんっぱら殴られて、血が、長門の制服にも飛んじまっていた。
だからと言って、俺にどうにか出来るわけもなく、何とか俺自身の体で長門を覆ってやる、そんな事位しか思いついていなかった。
「我ながら情け無いな」
九曜や喜緑さんがこれ、破滅存在とやらをどうにかする時間稼ぎ、それすら出来そうにはない。
勢い込んで、駆け出した始末がコレかよ。
笑うに笑えない位、情けなかった。

 

―そうね、情け無いキョン君はそのまま、長門さんにしがみついててね―
「え?」
金属と金属がぶつかる、そんな音が響く。
俺に向かってきていただろう"何か"、それが無理やりに進行方向を捻じ曲げられ、あちらこちらの壁に激突して行っている、そんな感じだった。

 
 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:04:25 (3093d)