作品

概要

作者ちの たりない人
作品名守ってあげたい 第三話〜メグルメグル〜
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2008-07-06 (日) 09:50:30

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ登場
みくる登場
古泉一樹登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

七月五日 土曜日

 

いつもの喫茶店、そして、いつもマイナス一名のSOS団の面々。
一人欠けているだけ、と言うようなモノとは違う、妙な溝のようなものを感じる。
とは言ってもだ。
俺はやれやれと溜息をこぼし、ハルヒに対し口を開いた。
「少しは落ち着いたか?」
「……」
射抜くような目で睨まれる。
「あんた、よく落ちついてられるわね」
テーブルと言う防壁がなければ、いきなり掴みかかって来ている様な、まぁ、昨日は実際そうされたわけだが。
「落ち着いているように見えるのか、お前には」
言ってから、きつ過ぎたなんて思ったが、それを謝る気にもなれない。

 

しかし、相手は一体何が目的なんだ?
九曜や橘なら、ハルヒや長門が邪魔だってのは解る。
しかし、今回の件にはどっちも関わっていない。
断定は出来ないが。

 

朝比奈さんが、昨日ハルヒから聞いたのを総合すると、こう言う事らしい。
昨日の朝、登校直後、長門の携帯からの電話があり、長門を誘拐したと言われたそうだ。
ちなみに、機械か何かのようなものを通した声だったらしい。
俗に言うマシンボイスか。
ただ、それ以上相手から何も連絡などはなく、ハルヒ一人で長門の足取りを追ってたそうだ。
「で、今度はハルヒがさらわれかけた、か」
「ええ、そうよ」
「何で俺たちに言わなかったんだよ!?」
「まあまあ、あなたももう少し落ち着いてください」
「そんな事……」
ぶつぶつと何かを呟いたハルヒに、朝比奈さんが
「涼宮さんがさらわれかけた時の事、もう一度お願いできますか?」
と、その場の"棘"を取るような声で告げた。

 

「有希のマンションに向かっていた時よ」
ハルヒの話によると、いきなり路地に引っ張り込まれた。
「引っ張り込まれたって、そう言う事をされた記憶は無いのよね。気がついたら路地裏だったのよ」
相手は二人。
ただ、おり良く現れた橘と九曜、それと警官二人(後で聞いた所、古泉の機関員だそうだ)に助けられた。
「顔は見て無いわ、二人とも雨でもないのに雨合羽で、フード深く被っていたし」

 

橘の組織の奴らの自演とかじゃないのか?
と古泉に聞いたが、小声でこう言い返された。
「その可能性は捨て切れません、が、彼女曰く、九曜さんが居なかったら助けられなかった……と」
つまり、まっとうな人間ではないらしい。

 

手詰まり、とは正にこういうのを言うのかもしれない。
こういう場合に最も頼りになる人材が、そもそも捕らわれているのだ。
あいつに頼りっぱなしだと駄目だって言う典型じゃないか、くそっ。
俺達に出来る事なんて、祈るだけしかないってのか……。
「僕達だけ、では情報が少なすぎます」
まずはそこから…か。

 
 

終始、何かを呟いていたハルヒを朝比奈さんに任せ、俺と古泉だけで、情報収集をすることになった。
しかし、ハルヒは何をぶつぶつ言ってたんだ?
「あなたと、ほぼ同じような事だと思いますが」
おれはそんなに独り言を言ってた記憶はないんだがな。
「そう言う事にしておきましょう。おっと、来られたようです」
そう言って古泉が視線を向けた先、いけ好かない奴が立っていた。

 

「藤……原…」
「僕は別に、何か君達と話をしたいわけじゃない。嫌なら帰らしてもらう」
「待ってくれ……」
今の俺は藁にもすがりたい気持ちだ。
しかし、なんでこいつを古泉が呼んだんだ?
いや、そもそも、こいつの連絡先を良く知ってたな。
「蛇の道は蛇、ですよ。僕達の中で未来からの情報を『話せる』人物は居ませんから」
朝比奈さんは……あの部室に住まう妖精様は、確かに未来の事を話せたりはしないか…。
朝比奈さん(大)なら可能かもしれないが、連絡手段なんぞ俺は知る由もない。

 

「率直に聞きます、あなたの見解をお話いただけませんか?」
「この件に関してか? はっきり言っておくが僕は何も知らない。かかわっていないとかじゃない、知らないんだ」
未来人が……知らない?
「ああ。多分、あの朝比奈みくるとお前達が呼んでる女も、何も知らないだろうな」
まあ、朝比奈さんが知らないって率は高いだろうが、どう言う事だ?
と言うか、古泉……怖い顔してどうした?
「ああ、すみません。ただ、あなたはお気づきになっていない?」
何をだ?
藤原は溜息交じりに、とんでもない事を説明した。
「つまりだ、今回のコレは僕らの、僕やそっちの未来人の女なんかの未来には、繋がっちゃいないんだ」

 

その言葉に機能を停止しかけた俺に
「別に、驚くに値しないと思いますよ……現実、このまま行けば、世界そのものが終わる、その可能性があるんですからね」
と、スマイルに冷や汗を乗せて告げてきた。
絶賛拡大中だったか、ハルヒの生み出す閉鎖空間が……
「僕から言えるのは、お前達が朝比奈みくると呼ぶ女、あいつの事をお前らは覚えておけって事位だ」
「どう言う事だ?」
俺にとっては当たり前の事をと、藤原を睨むが、奴はそんな俺を見下すようにこう言った。
「言える事はそれだけだ。僕より九曜とか言うお人形の方が、詳細が解っているんじゃないのか?」

 

そんな言葉を捨て台詞に歩き去る藤原。
その背中を睨みつつ、あいつの言葉の意味、朝比奈さんを忘れない事と言う、その言葉の真意を考えていた俺に、古泉がこう告げた。
「この時点で世界が終わったとしてです、朝比奈さんが来る未来が存在しない事になります。いえ、簡単に言いましょう、朝比奈さんが"存在していなかった"事になる、そう言うことですね」
と。

 
 
 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:04:24 (3090d)