作品

概要

作者ちの たりない人
作品名
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2008-05-15 (木) 08:39:11

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ登場
みくる登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

俺は今、校舎の屋上にぼんやり立っていた。
はっきり言えば他意はない……と言うのは嘘か。
大した理由ではないが、なんだか部室に居づらくってな。

 

事の発端は、俺達にしては日常的過ぎる。
どっかの巣から落っこちた雀の雛を長門、と言うよりも朝比奈さんが見つけたんだろうが、ひろったのは長門だった。
まぁ、雀の雛は弱い。
要はそう言う事だ。

 

と、屋上の扉が開く。
「涼宮ハルヒに連れ戻すように言われた」
「朝比奈さんは?」
「少なくとも、初期の状況よりは落ち着いてはいる」
「そうか」
そう言ってみたものの、俺は動こうとはしなかった。
そして不思議な事に、ハルヒに言われたにもかかわらず俺を部室に連行しようとしなかった。

 

夕日を一緒になって眺める事数分、横に居たそいつが俺をじっと見つめている事に気がつく。
俺が視線を向けると、俺や、おそらくSOS団の面々以外からしてみれば、無感情な瞳で問いかけられた。
「あなたは、泣く事はある?」
問われて俺は、そう言えばまともに泣いたなんて何年前だろうな、なんて事を思った。
「どう、なんだろうな……」
そう告げた俺を見上げる瞳に対し、自嘲気味な笑みで答える。
「何かで感動しても、泣くってのは俺は無いと思う。んで、まぁ、親とかが死んじまった時はどうかって思ったんだが……妹の手前俺は泣けないだろうな、と」
SOS団で何かあったとしても、俺や古泉は泣く側にはなれんだろうし……そんな事起こってほしくも無いが。
多分、俺は妹が出来た辺りからか、泣くってのをまともにしなくなったのは。

 

「そう」
とだけ言うと、また遠くの夕日に目を向ける。
俺は、その頭に手を置き、がしがしとばかりに撫で、
「表面切って泣く役は朝比奈さんに任せとけばいいさ」
それにな、長門……。
「正直俺は、お前が泣いてる所なんざ見たくは無いしな」
その言葉に振り向く、一見すると無感情な瞳に対し、俺は付け加えた。
「だから、そう言う顔の事を俺は言ってるんだが…」
「そう」
と視線をまた、夕日に向ける長門は不意にこう告げた。
「あの雀を別の有機生命体に置き換えて、シミュレートした…有機生命体の死の概念を認識する、良い機会になったと思う事にする」
「そうか……」
それから、ハルヒがすごい形相でこの場に現れるまで、俺達は夕日をただ眺めていた。

 

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:04:16 (2734d)