作品

概要

作者ちの たりない人
作品名
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2008-05-15 (木) 08:37:35

登場キャラ

キョン不登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

珍しい事、と言うのは起こる。
放課後の部室には現在、わたしと朝比奈みくるだけになっていた。
涼宮ハルヒが彼と古泉一樹を引き連れ、なにやら買い物に出かけたからだ。
ものとしての量や重さがそれなりのものを買う、そう涼宮ハルヒは告げていたが。
わたしや朝比奈みくるを外した理由から、なんらかの衣服ではないかと思われる。
朝比奈みくるがそれを着る事を拒むような。
わたしもそれに該当するのかは不明だが、彼が望むなら着ては見たいとも思う。

 

メイド服を着込み、本を読んでいたわたしの前に湯飲みを置く。
互いに静かに時を過ごすのはこの場合、単純に、話す事柄を持たないからだろう。
共通の話題として出せるものは、SOS団の中やその関係の事柄、特に涼宮ハルヒに関する事項。
これらの理由はすべて形骸でもある。
もっと単純にして確かな事。互いに互いを警戒してしまう。
これは古泉一樹も含めてだが、警戒心を持たずに話す事が出来るのはSOS団内においては"彼"以外に居ない。
利害関係が一致しなくなったとしても、互いを仲間として見れるかは、それぞれの思考に委ねられている。

 

それ以前に、目の前に居る彼女は警戒ではなく、わたしに対して苦手意識を持っているからなのだが。
わたしは時間を潰す術と言うと弊害はあるが、本を読む事で時間の流れを無視は出来るが、彼女はそうではなかったらしい。
「あの……」
わたしは顔を上げずに「なに」と話を促す。
「……」
この三点リーダーは朝比奈みくるのもの。話す事柄を頭で整理している所なのだろうか、わたしは彼女へと視線を向けた。
溜息……この場合は話し出す為の準備動作。
「長門さんって、怖いもの無さそうでいいなぁって」
自分自身は怖いものだらけで、と言う呟きをつけて、話す。
「怖いもの?」
予測出来うる答えが幾つか返される。
虫や暗がり、そういった類のものがそれにあたるが、確かに、私はそう言う類に対しての恐怖心は沸かない。
そう答えると彼女はこう呟いた。
「長門さんは強いから」

 
 

「強いのは朝比奈みくる、あなたの方。弱いのはわたし」
即答したわたしに、それと解る位目を丸くする。
「わたしにも怖いものはある。そして、あなたはそれを受け入れている。だから強いのは、あなた」
わたしの告げた言葉、その意図をある程度は汲み取ってくれたのだろう、彼女は少しばかりまじめな表情をする。
「聞いてもいいですか?」
硬くしたつもりだろう、その表情すら優しく感じれるのは彼女の人徳だろうか。
…………それを感じ取れるわたし自身に少し安堵する。

 

朝比奈みくるにした話、それは、さしたる事柄ではない。
ここ、この場所、この時間。
この場所はいずれ、わたし達は去る事になる。
この時間はいずれにせよ過去になる。
まだ、その過去を共に話す事が出来るなら救われる。
朝比奈みくるは、それからすらも外れるのだ。
「わたしは、そうなる事が一番怖い」
告げたわたしに微笑を返す。
「元からその事が解っているから、怖いとは感じないだけですよ」

 

わたしたちの会話はそこで途切れた。
元より、互いに話をする方ではないせいもある。
時間の流れが先ほどよりは穏やかなのは、気のせいではないだろう。
涼宮ハルヒ達が帰還する前に、彼女にも明言しておこうと思う。
「だから」
わたしは朝比奈みくるを見つめ、告げた。
「それを壊そうとするものに対して、わたしは恐れない」

 
 

 
 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:04:16 (3088d)