作品

概要

作者見守るヒト
作品名帰り道
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2008-01-29 (火) 22:56:10

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

ある日の帰り道のことだ。
その日は珍しく長門と二人きりだった。
長門と二人きりの時間というのは、昔の俺なら息苦しさこの上なかっただろうが、最近の俺にとっては数少ない、朝比奈さんのお茶を飲むことの次に、いや、同じかそれ以上の安らぎの時間だ。
だから俺は今現在とても穏やかな気分でいるのだが…
チラリと隣を見る。
いつもなら数歩後ろを歩いてとことことついてくる長門であるが、
今日はどういう風の吹き回しか俺の隣を触れるか触れないか距離で歩いている。
星を映す夜の湖面のような瞳を真っ直ぐに前へと向け、俺とまったく同じペースで歩を進める長門。
気分は穏やかなものの、その行動に疑問を抱いていまう。
そんなとき、多分俺が見つめすぎていたせいだろう、長門が瞳をこちらに向けて無言で「何?」と聞いてくる。
それに俺は軽く首を振って「なんでもない」と答えた。
長門もそんな気分になることもあるだろうさ。
そんな風に自分に言い聞かせて長門から視線を外して前を向く。
そこに飛び込んで来たのはもうすぐ沈もうとしている夕日。
それは夕方と夜の境目。
俺はそれに少しだけ目を奪われた。
(逢う魔が時、ってやつか)
魔が横行するだの異界の門が開きやすいだのというのを聞いたことがあるきがする。
そんな時分だったせいかね、多分魔がさしたんだろう。
先程よりもいくらか目線を下げて再び長門のほうを見たときに見えた長門の空いた左手。
気付けば俺は自分の右手をその手に重ねていた。
流石の長門も今度は顔ごとこっちを向いて立ち止まった。それにつられて俺も足を止める。
俺自信も自分の行動に驚いているが不思議と心は落ち着いている。
「すまん、嫌だったら言ってくれ。すぐ離すから」
長門はそういった俺をしばらく見つめていたが、特に何も言わずに再び歩きだした。繋いだ手に少しだけ力をこめて。
答えはそれで十分だった。
俺も長門に合わせて歩き出す。
それまでよりも若干速度を落としたように感じられるのは気のせいということにしておこう。
俺も長門も何もしゃべることもなく帰路を辿っていく。
やがていつもの別れる場所に差し掛かる。が、何となく名残惜しく、手を離しがたい。
そう思った時には既に俺の口は言葉を発していた。
「長門、家まで送るよ」
「…あなたに迷惑がかかる」
「気にするな。全然迷惑なんかじゃない。それに…本当は俺が送りたいだけだし、な。だめか?」
「……わかった」
そうして俺達は今度は長門の家に向かって歩いて行く。
世界が闇へと染まっていく中、お互いの体温を感じながら。

 

それは何気ない日常の、ある日の帰り道の話し。

 

(終)

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:04:09 (2730d)