作品

概要

作者見守るヒト
作品名長門の寝床と抱き枕
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2008-01-29 (火) 22:46:47

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

「……んあ?」
なんだか温かいモノに体を拘束される感覚に目を覚ます。
重いシャッターを開けるようにして瞼を持ち上げるが、まるて錆び付いているように途中で開かなくなるのは、まあいつものことである。
寝ぼけているはずなのに変な所で頭が回るのは、それが既に条件反射の域に達しているからだろうか等とくだらないことを考えるのは、やはり寝ぼけているからだろう。
正しく寝ぼけていることを寝ぼけている頭で認識したところで、俺は焦点の合わないピンボケカメラのような視界を首から上と共にぐるりと巡らしてみればなんと、俺の顔の真横にはしらすの山が…失敬、我ながらくどいようであるが、やはり俺は寝ぼけているようである。
言い直そう。そこには少し前までは見慣れない、けれど最近ではすっかり見慣れてしまった藤色の毬藻が…そこまでにしておけ俺。ほら、少しだけ 顎を引いてみろ。
自分の声の言う通りに顎を引いてみると、そこで二つの黒真珠を発見する。そのクリッとしてパチッとして濁りのない宝石は明らかに俺の方を向いていた。
同時にまるで俺の考えるている事を見透かしているような雰囲気を感じ取れる
ここまで来れば流石に今の状態の俺でも、この体に感じられる温かみと顔の横の物体の正体はわかる。
「…おはよう、長門」
「…おはよう」
そう、長門有希、その人である。
ちなみに、俺は先程おはようと言ったがまだ外は薄暗く、おはようには少々早い時間だ。
さて、何で俺がこんな状況でありながらこれほど冷静でいられるのか疑問に思う奴もいるかもしれないが、答えは簡単だ。
「…何でそんな残念そうな顔をするんだ。
俺を脅かそうと思ったんなら生憎だがいい加減慣れたぞ」
二日に一回のペースで潜り込まれれば流石に耐性もつく。
「…そう」
つまりはそういうことである。
何が目的で何の為にやったのかは分からないが、ある朝起きてみたら何故か隣で長門が寝ていた。
幸いにもその日はたまたま起きたのが朝早く、妹その他家族には見つかっていなかったので、長門には早々にお帰り願ったのだが、それ以来何が気に入ったのか度々俺の寝床に侵入してくるようになった。
始めのうちはいくらか長門に対し、男の寝床に入る危険性を刻々と説明していたのだが、その度に「大丈夫」だの「構わない」だの「あなたの傍は安心できる」だのと言われては折れるしかなかった。
慣れないうちはそれはそれは気付いた瞬間に眠気が吹き飛び、寝不足になることもままあったが、慣れてしまった今では外の気温が低いこともあり調度いい湯たんぽがある程度の認識になってしまった。
「…最近はやたらと俺に抱き着いてることが多いな。そんなに抱き心地いいか?」
「いい。あなたはとても優秀。最高の抱き心地。是非家へと持ち帰りたい」
流石にそれは勘弁願いたい。というよりそれは色々とまずいだろう、長門よ。
「残念」
心底残念そうな顔してるな。そんなに抱き枕が欲しいなら今度機会があればプレゼントしてやるのも良いかもしれん。
「…鈍感」
何か言ったか?
「何も」
そうかい。
不意に会話が止まる。それと同時に引っ込みかけてた眠気が再び顔をだした。
朝まではまだ時間がある。しかも今日は本当に何もない休日だ。
少なくとも妹による強制目覚ましが実行されるまでは惰眠を貪れる。日曜日万歳。
確実に夢の世界へと向かう頭でそんなことを考えていると胸の辺りで服を引っ張られる感覚が。
糸になりかけた目でそこを見れば何か物言いたげな長門がこっちを向いている。これは長門のおねだり信号だ。
ん〜、ああそうかりょうかいりょうかい。
長門の体に手を回してギュッと抱きしめる。
「んぅ」と少しだけ苦しそうな声を漏らすがそのまま顔を擦り寄せてくる。
この時の長門はもうなんというか…かわいくてしかたがない。
ああ、ねむたい。ねむい。
先程までよりしっかりと伝わってくる温もりがさらに眠気を促進する。
いいだきごこちだなー。おまえのことすきになっちまいそうだー。
あまりの眠たさに自分で何を言っているのかもよくわからない。
「わたしはあなたのことが、好き」
おー、オレだっておまえのことすきだぞー。
もう…だめ、だ……おや、す…み。ながと……
そこで眠ってしまった俺は微かな呟きと共に唇に触れる、小さな感触に気付くことはなかった。

 

「大好き」

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:04:09 (2704d)