作品

概要

作者ちの たりない人
作品名餅巾着
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2008-01-14 (月) 09:36:00

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

冬。コンビニのレジ前で湯気を立てているソレを見る。
不意に記憶の端に追いやっていた事柄が、ソレの湯気とともにわいて出る。
コレを人間は感傷と呼ぶのだろうか。わたしは今、どんな顔をしているのだろうか。

『有機生命体の死の概念は解らない』
それはわたしもそうだった。……だった?今のわたしは解るのだろうか?
今の感覚がそう言う事なのかどうかも、解るはずは無いが、それは人間達も同様だと言われている。
彼女、朝倉涼子の存在を私は2度消した。
1度目は彼女…廻り廻ってそれは、情報統合思念体の意識のひとつの暴挙を止める為。
2度目はわたし自身の暴走の犠牲。
今一度思う、一度目のあの時。朝倉涼子は本心から彼を殺そうとしていたのか。
情報の封鎖の甘さ、そして不可解なのはナイフという直接的過ぎる武器。
まるで、わたしが侵入するのを期待していたのでは?と、今はそうとすら思ってしまう。
それを知りたくとも朝倉涼子はもはや、いない。

これを人間の感覚で置き換えるならば、故人を思い出し懐かしんでいるという事なのだろうか。
今、わたしはどんな顔をしているのだろう。
わたし自身が居なくなる事、涼宮ハルヒが朝比奈みくるが古泉一樹が、そして、彼が。

『コンビニのはダメよ。汁は継ぎ足しだから見た目より濃くなってて』
そんな言葉を聞いた記憶は、無い。ただ、彼女なら言いそうだとは思う。

目の前に浮いていたはずの餅巾着が、視界から消えていた。
意識を自分自身に、今という時間に引き戻す。
「で、次はどれを取ればいいんだ?長門」
どういう顔を私はしていただろう。驚く、と言うのが本当なんだと思う。
私自身、驚きはあった。それが顔や動作に現れてくれたかは別にして。
「あんまりじっと見てるから、店員さんも困ってたぞ」
彼の顔は笑顔、微笑んでいると言う形容が正しいように思える。ただ優しく、どこか悲しげな。
聞けば答えてくれるかもしれないとは思えた。私が今、どんな顔をしていたのか。

ただ、わたしは何故だか安堵した、そう思う。
彼はまだここに、今と言う時間に存在しているのだと。

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:04:08 (2710d)