作品

概要

作者しめじ
作品名あなたが望んだ
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2007-12-24 (月) 02:04:34

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

 いつ
ものようにいつもの部室に入ると、これまたいつものように長門が読書をしていた。
「おっす」
「……」
 俺に気がついた長門が、ちらりとこちらを見て、また本に目を戻す。まあ、挨拶みたいなもんだ。
「あれから一年経つな」
 コクリ、と長門 「いやなに、ひょんなことから手に入れたんだが」
 俺はたたんだ紙切れを一つ、ポケットから出し、広げた。
「まあ、この際だから、記入して出しても良いかと」
「……そう」
 長門は、本を開いたままこちらを向き、手を伸ばして来た。
 紙切れってのは、あのときを思い出してググったら、たまたま見付けた北高文芸部の入部届けさ。しばらくしてもう一度見たら消えちまってたけど、キャッシュからプリントしてみた。で、なんとなく書いてみたわけだ。出す相手も、いるにはいるしな。
「……ありがとう。手続きをする」
 一度それに目を落とし、静かに受け取ってくれた。
「ところで、ずっと聞きたかったんだが」
 ほんの数ミリ顔が傾くのが分かった。
「あのこと、どれだけ覚えているんだ?」
「全て」
 はあ、やはりな。一万五千回も繰り返された夏休みすら、全部覚えてるくらいだ。
「朝倉とおでん喰ったり、あれだ、笑ってくれたこともか」
 コクリ。俺にはその顔が、どこか寂しげに見えた。
「……返されたとき、わたしは泣いた」
「すまない」
「いい。あなたが望んだこと」
 そうだ。俺が自分で考えて、エンターキーを押した。後悔はしていないつもりだ。いや、少しは……。
「ひょっとして、なんだが。いや、駄目ならいい。また笑ったり、泣いたりできたら、なんて思うことがあるんだ」
「それは、できない」
 あまりにもあっさり答えが返ってきた。それは、仕方ないのだろう。
 そう思っていたら、言葉は続けられた。
「あなたが、望んだこと」
 俺は、正直なんて言っていいか分からなかった。
「あなたは、改変前のわたしが好きだと言った。だから、こうしている」
「俺が? じゃあ……」
「そう。あなたが、望むなら」

……ぱたん。
 本が閉じられる。
 その顔には、小さく、だがはっきりと微笑みが浮かべられていた。

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:04:05 (2708d)