作品

概要

作者見守るヒト
作品名長門さんの相談と私の懸念
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2007-12-21 (金) 16:57:28

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

奇跡が起きた。

 

「相談がある」

 

長門さんが私にそう話しかけてきたのはクリスマスも差し迫ったある日のことだった。
あの長門さんが!
最初は話しかけてもまともに取り合ってもくれなかった長門さんが!
私に話しかけて、しかも相談があるって!
確かに最近では細々と会話が続くようにもなってた。
彼女から話しかけてはこないけど、私が話しかければ答えてくれるようにはなっていた。
これも今まで頑張った成果かと思っていた矢先の出来事だったので、私はつい浮かれてしまった。
しかたないでしょ。それ位に珍しくて嬉しいことだったんだから。
その証拠に今私の周りにいる女の子たちも目を丸くしてる。
私は何とか浮かれた気分を押し隠して答えた。

 

「えっと、何かな?」
「クリスマスのこと」

 

たったそれだけの言葉で私は大体のことを予想できた。
伊達にここ毎日長門さんと接してきたわけじゃない。
おそらく彼絡み、いつも彼女を昼休みに誘いに来る彼だ。
実は彼の本名を私は知らない。
彼が周りからキョンと呼ばれてるのは知ってるけど、いまだに自己紹介の類は一切受けてない。
毎日顔を合わすのに不思議よね。
そういえば私も彼にその手のことはしてないけど彼はどう思ってるのかな。
いけない、考えが脇にそれちゃった。

 

「クリスマスがどうかしたの?」

 

まさかクリスマスって何?とか言わないよね。
流石にそれはないと思うんだけど、長門さんなら聞いてきてもおかしくないなんて思ってしまう私はかなり失礼だと思う。

 

「それは心配ない。先日、彼からどのようなものかは聞いている」

 

それってやっぱり知らなかったってことなんじゃ?
話の腰を折るのもなんだから口には出さないけど。

 

「…彼からクリスマスを一緒に過ごさないかと誘われた」

 

長門さんがそこまで言ったところで、さっきまで目を丸くしてた周りの女の子達が「キャーッvv」と声を上げた。
いきなりのことで私は心臓が飛び出るかと思った。長門さんは平気そうだ。
まぁ、彼女達が騒ぐのも分からなくないけど。
女の子にとって他人の恋愛ごとっていうのはある意味最上級の娯楽だし。
しかもそういうことからかけ離れてそうな長門さんならなおのことだろうし。
私からすれば、もし彼が何のリアクションも起こさないものならそれこそ彼の教室まで乗り込みかねないけど。
とにかくこのままじゃ話が進みそうもないので彼女達をなだめて「それで?」と先を促す。

 

「彼はその際に「プレゼントも用意しとくから楽しみにしててくれよ」と言っていた。彼はプレゼントは必ずしも用意しなくてもいいとも言っていたが、彼がくれる以上わたしもプレゼントを用意したい」

 

だんだん話が読めてきた。

 

「しかし、わたしはそういう経験がないためどのような物をプレゼントすれば彼が喜んでくれるかわからない」
「だから私にアドバイスをもらおうって?」
「そう」
「同じ部の子には聞かなかったの?」

 

たしか、涼宮さんと朝比奈先輩だっけ。

 

「彼女等に相談を持ちかけた場合、彼のこれからの行動に障害が発生すると判断したため対象から除外した」

 

…なかなか彼の周りも大変そうだ。
しかしこれは困ったことになったなぁ。
自慢じゃないけど私はこれまで一度として男の子とそういった関係になったことはない。
せいぜい友達として大勢で遊びに行ったことがあるくらいだ。
つまるところ、私にもいまいちよく分からないんだよね。
今だってクリスマスに予定のない寂しい女勢でその日をどう乗り切るか話していたところだし。
しばらく考えて、もしかしたら周りの女子の中にはそういう経験が豊富な子がいるかもしれない、そう思って周りに目をやった私はびっくりした。
いつの間にかこのクラスのほとんどの女子がここに集まってきてる。
どうやら長門さんが話しているのを珍しがった皆が、光に吸い寄せられる虫のごとく集まっちゃったみたい。
しかも耳を澄ましてみれば「それだったら…」とか「それじゃあこんのは…」なんて好き勝手言っているのが聞こえてくる。
長門さんは私に相談してくれたのにどうしてこうなっちゃうかな。
そう思っている私にそのうちの一人がこんなのはどう?って話しかけてきた。
その子の案に、えっ、それはちょっと、と言いかけた私だったけど少しだけ思いとどまる。
そして最近の彼の様子を思い出す。
どうも最近の彼は調子に乗ってはいないだろうか。
最初はちゃんとお礼を言ってくれていたのにここのところは
まるでそれが当たり前といわんばかりに何も言わずに行ってしまう。
私は長門さんのスポークスマンでもなんでもないんだよ。
彼女を呼びに行くのは嫌じゃないけど、それを当たり前と思われるのは気に入らない。
これは彼に釘を刺すいいチャンスかもしれない。
純粋な長門さんを騙すようで悪いけど、これくらいの悪戯なら神様も許してくれると思う。
彼が喜びそうなものっていうのもあながち間違ってないし、ね。
そう思った私は、その子の案を採用して長門さんに告げた。

 
 
 

アレから数日過ぎてクリスマスの翌日。今日は終業式。
終業式が始まるので体育館へと足を進めていた私を呼び止める声がする。
この声はたぶん…
振り返ったそこには想像通り彼がいた。

 

「おはよう」
「長門に変なことを吹き込んだのはお前だな?」
「はて、なんこと?」

 

彼が何を言うかなんてだいたい判っていたので、そのままとぼけて見せた。

 

「ハルヒや朝比奈さんがあんなことを言うわけがないし、消去法でいけばもうお前しか考えられん」
「あらそう?私には身に覚えはないけど、変なことってどんなこと?」
「そ、それは…と、とにかくとぼけても無駄だ。もう一度言うぞ。長門にあんなことを吹き込んだのはお前だな?」
「そんなに嫌だった?長門さんのプ・レ・ゼ・ン・ト」

 

そう言った私の顔は彼にどんな風に見えてたんだろうか。
まるで苦虫をつぶしたような顔をして黙り込む彼をみて私は少しスッキリした気持ちになった。

 

「頼むからこんな悪戯はもう勘弁してくれ…心臓に悪い…」
「それはこれからの貴方の態度しだいかな。じゃあもう終業式始まっちゃうし、またね」

 

「ちょ、ちょっと待て!」、という彼の制止を無視して私は体育館へと駆け出した。
さてさて、年明けの彼は一体どうなってるかな。

 
 
 
 

「そんなの簡単よ、長門さん。自分にリボンを巻いて「プレゼントは私」っていえばいいよ。好きな子からそう言われて喜ばない男なんていないんだから」

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:04:04 (2732d)