作品

概要

作者見守るヒト
作品名思い出
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2007-12-21 (金) 16:28:59

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

 誰しも覚えがあると思うが、人は時として不意に昔のことを思い出して思い出にひたるものだ。
 当然俺も例外ではなくその範疇であり、その日たまたま昔のことを思い出して少々センチな気分に浸っていたのだが
 ふと視界に入った長門の顔に、こいつにも浸っていたくなる様な思い出なんてもんはあるんだろうか、と思ったわけで。
「長門、お前にとって良い思い出っていったらなんだ?」
 なんて言葉が口をついてでた。んで、当の長門といえば
「……思い出、とは?」
 意外な反応である。こいつといえばまるで頭ん中に広辞苑がまるまる一冊入ってんじゃないかと思うぐらい博識なはずなんだが。
 知っていてあえて聞いてきている可能性もあったが、それはそれで長門なりの考えがあるのだろう。
 だから俺もとりあえず思いついたままに答えた。
「そうだな…例えば前に自分に起こったこととか、強く頭に残っていること、かな。」
 こんな時、学の無い自分が恨めしい。もっと良い言いようが無いもんかよ俺。
「…わたしが生まれてから今までに見聞きしたことは全て記録している。今すぐに呼び出すことも可能。」
「まてまて、そうじゃなくてだな…」
 案の定というべきか、やはり長門はうまく理解できてないようだった。
 ミリ単位でくびをかしげ、いつもの氷のような双眸で言葉を遮った俺を見つめてくる。
「あー…さっきのは俺の説明が悪かった。俺が言いたいのはそういうんじゃなくてだな…」
 頭の中にある、言葉の棚を空けてひっくり返し、その中にある二重底やら隠し扉なんかも全部を開けてなんとか言葉を続ける。
「思い出って言うのは…なんていうか、その起きたことと、それに対する自分の思いというか、感想というか、
 そういった自分が感じたことを全部ひっくるめて初めて思い出と言えるというか…」
 俺にはそれが限界だったらしい。それ以上の言葉をひねりだそうにも頭の中はすでにスッカンピンである。
 俺は口ごもったまま黙ってしまい、長門も口を開かなかった。

 
 
 

 思い出。
 過去にあったこと等が心に浮かんでくること。前にあった出来事や体験を心に浮かべること。
 それがわたしが知っている「思い出」の意味。
 彼の言う「思い出」の意味も私が知っているものとそう差異がなかったため、わたしの「思い出」を話そうとした。
 だが彼はそれは「思い出」ではないという。
 ではいったい何を持ってして「思い出」とするのだというのか。
 彼が言うには、その事柄に対して自分が思ったことなどを含めたものだという。
 わたしはこの星に生まれたそのときから涼宮ハルヒを観察し、記録し、それを情報思念体へと報告してきた。
 そこに「わたし」の思いが入る余地などないし、思う意味も無く、何も思っていなかった。
 だがわたしは考える

 

 「わたし」は本当に何も思わず、そして感じていなっかたか?

 

 わたしは 記録/記憶 を呼び起こす。
 彼との出会い、SOS団の結成、春、夏、秋、冬。
 そこで私は気づく。それぞれの記憶に付随する「何か」に
 それはかつて私を蝕み、暴走させた、わたしがエラーと検知する「何か」。
 そして理解する。
 彼が言う感じたことがその「何か」だということに。
 それを彼に伝えるために私は言葉を紡ぐ。
「大丈夫」

 
 
 

「大丈夫」
 言いようの無い沈黙の中、俺を見つめていた長門がいきなりそう言った。
 なにが大丈夫なのだろうか。俺が言ったことが理解できたから大丈夫だといっているのだろうか。
 けれど俺は何となしに思うのだ。たぶん長門は本質的なところはまだ理解できていないと。
 思い返せば、こいつには思い出を語るための最も大切なものが欠けていたのだ。
 だが、長門の答えは、きっとそれを理解しようとしている現われだと思ったのだ。
 それを嬉しく思い、だから俺はみじかく
「そうか」
 と答えた。

 
 
 

 わたしはまだこの「何か」を理解することができない。

 

 お前はまだその「感情」とよばれるものは理解できんだろう。

 
 

 けれどもしその「何か」を理解し、受け入れられるそのときがくるのなら

 

 だがその「感情」を理解して、それを表せるようになったとき

 
 

 わたしは

 

 俺は

 
 

 こんな何気ない日々も お前と/あなたと 思い出として語り合える日が来ればいい

 
 

 そう、思った。

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:04:03 (2710d)