作品

概要

作者書き込めない人
作品名長門さんの寒空の帰り道
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2007-10-14 (日) 00:21:26

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ登場
みくる登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

※ヤンデレ注意

 
 
 
 
 

ほんの少し前まであれほど太陽を鬱陶しく思っていたのに、
今では朝からその熱意を分けていただきたいほど、
寒くなってきた秋のある日の放課後。
俺はいつものように怪しげな部活……いや、団活をするため、
一人で廊下を歩いていた。
ちなみに今週は掃除当番なので、
普段より遅い時間に向かっていることになる。

 

そういえば、今日は古泉が所用で欠席する、とか言ってたな。
例の機関絡みではない、とは言ってたが、
機関の関与がまったくないということはないのだろう。
毎度毎度ご苦労なことだ。

 

そんなことをぼんやり考えながら歩いていると、
突然背後から声をかけられた。

 
 
 

「今日は休み……」

 
 
 

「うわっ!?……っと、長門か。
いきなり声をかけるから驚いたぜ」

 

「ごめんなさい」

 

いや、別に怒ってるわけじゃないぞ。
だからそんな申し訳なさそうな顔をするな。

 

「ところで休み、ってのはSOS団のことか?」

 

「そう」

 

何でまたそんな臨時休業をしてるんだ?
確か掃除当番の俺を放り出したハルヒは、
元気いっぱい団室に走っていったはずだが……

 

「何かあったのか?」

 

「特にはない。ただ、今日はお休み」

 

「そうか……」

 

とりあえず大した事じゃなさそうだ。
どうせハルヒがまた気まぐれを起こしただけだろう。
それに長門の言うことを疑っても仕方あるまい。

 

しかし未だに何をするか分からない活動とはいえ、
急に休みになると、やることがなくなって暇だな……
とはいえこのまま居残ってもやることは無い。

 

「仕方がない……今日はもう帰るか。
長門はどうするんだ?」

 

「……私ももう帰る」

 

「それなら一緒に帰るか」

 

そう提案する俺に対し、静かにうなづく長門。
お互いカバンを持って帰る用意はできていたので、
俺は目の前の無口少女を伴ってその場を後にした……

 
 
 
 
 

「キョンったらいつまで掃除してんのかしら?」

 

「長門さんもまだ来ませんね……
どうしたんでしょう?」

 

「さぁ?そういえば今日は古泉君もお休みだっけ。
というかキョンが来ないと暇だわ〜
あ、みくるちゃんお茶お願い」

 

「あ、はい、ただいま」

 
 
 
 
 

「ふぅ、ずいぶん寒くなってきたな」

 

校門を出たとたん、山から吹き降ろしてくる風に吹かれた彼は、
そんなことを小さく呟いた。

 

それをきいた私は、彼のために助言をする。

 

「天候次第では今の服装ではあなたの身体に影響を及ぼす。
もう少し厚着すべき」

 

私の忠告に少し微笑みながら謝辞を述べる彼は、
さらに話を続けてくれた。

 

「そろそろ冬服に変えてもらいたいもんだな」

 

「そう」

 

確かに、そろそろ彼の冬服姿を見たい。
今の合服も素敵には違いないけど。

 

そんな風に頭の中で彼を着せ替えていた私に、
これから来るであろう季節を、
一気に飛び越したような暖かい声が聞こえてきた……

 
 
 

「まぁ、こうしてお前と話しながら歩いているうちに、
体は温かくなってくるだろ」

 
 
 

私と……話しながら歩く?
それは……今やっていること?
つまり彼はこの状況に満足してくれている?
幸せを感じてくれている?

 

やはり先ほど私が取った行動は正しかった。
あんなメス犬どもが闊歩するような部屋に、
無理やり一緒に閉じ込められるより、
こうして私と二人でいる方が彼には幸せなのだ。

 

明日からも部室は『休み』にして、
彼と一緒に帰ってあげよう。
いや、休みにするのではなく、
いっそのこと無くしてしまえば……

 
 

そうだ、そうするべきだ。
私と彼の幸せの邪魔をするようなものは排除せねば。
いや、排除では生ぬるい。
アレは害虫だから見かけたら駆除しなければならない。
そう……駆除。徹底的に跡形も残さず。
早くしないと……彼のために……二人の幸せのために……

 

「あ、そうだ、お前は寒くないか?」

 

ほら、彼だって二人の幸せのために応援してくれている。
私のことを気にかけてくれている。
だから私はそんな優しい彼に返事を返した……

 
 

「大丈夫……」

 
 

邪魔者は駆逐してあげる……

 
 
 
 
 

「キョン……遅いわね……」

 

「そ、そうですね……見てきましょうか?」

 

「遅い……遅い……」

 

「す、涼宮さん?」

 

「遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い
遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い
遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い
遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い……」

 

「ど、どうしたんですか、涼宮さ……」

 

「ねぇ、みくるちゃん?どうしてキョンは遅いの?
もしかしてあなたキョンをどこかに隠してるの?
だからキョンは来ないのね?そうなのね?」

 

「え、そんな……」

 

「……ほら、出して」

 

「隠しただなんて……そんな……」

 

「怒らないから出しなさい。
どこに隠したの?カバンの中?
スカートの中?胸の中?どこ?
ねぇ、出しなさいよ。ほら、早く。
出しなさいよ。出さないの?何してるの?」

 

「あ、あたしは知らな……」

 
 

「 出 せ 」

 
 
 
 
 

いつものSOS団5人での下校もにぎやかで良いが、
こうして二人きりで静かに帰るってのも悪くないな。
長門が提供してくれる静寂は心地いいものだし、
それ以上に美少女と並んで歩くってことが心地よい。
おそらく谷口が今の俺たちの姿を見れば、
即行で近所の神社の境内に行き、
丑三つ時まで釘を打ち続けそうだ。

 

などとどうでもいいことを考えていると、
長門のマンションに通じる交差路が見えてきた。
あそこから先はお互いのゴール地点の関係上、
違う方向となるから、お別れということになる。

 

寂しい気持ちは山々だが、
いくらなんでも長門の部屋にお邪魔するわけにも行かないし、
この文学少女を家にお招きするわけにも行かない。
そんなことをすれば、こいつの帰りが遅くなるからな。
いくら万能宇宙人とはいえ、
夜道を歩かせるわけには行かないだろう。

 

そう思った俺は、交差路が近づいた頃に、
長門に『また、明日』と言って帰路を取ろうとした……

 
 
 
 

二人で仲睦まじく歩いていたのに、
彼が突然私の部屋とは別の方向に行くと言い出した。
どうして?彼の家?何を言ってるの?
あなたの家はこっち。私の部屋と同じはず。
だからあなたが歩くべき方向はそっちではない。

 

「じゃ、また明日な」

 

また明日?今日は?もう終わり?
もう一緒には歩いてくれないの?

 

徐々に遠ざかっていく彼の背中を見ていた私の体が、
とつぜん小刻みに震えだした……

 
 

「寒い……」

 
 

寒い?私が?なぜ?
彼がいないから?彼が離れているから?
彼が一緒にいないから?寒い?どうして?

 
 

寒い……あなたがいない……寒い……

 
 

彼が遠く……寒い……一緒にいてくれない……

 
 

寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い
寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い
寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い
寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い
寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い
寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い
寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い
寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い
寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い
寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い
寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い
寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い
寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い……

 
 

……そうだ……

 

寒いなら温まればいい……

 

彼が言っていたではにか……
一緒に話しながら歩けば体も温かくなる……
まだ帰り道は途中……まだ歩ける……
帰り道がなくなれば増やせばいい……
そうだ……彼だって一人で歩いていては寒いはずだ……

 
 

いつの間にか嬉しそうな表情で少年の背中を見つめていた少女は、
自分の考えを実行するために何事かを呟いた……

 
 
 
 

「なっ!?」

 

俺は突然自分の目の前の状況に、
思わず声を上げてしまった。

 

「これは一体……」

 

改めて眼前の様子を確認する。
さっきまで家に向かって歩いていたはずなのに……

 

「ここは……校門前、か?」

 

瞬間移動でもしたってのか?
それも迷惑な方向に。
せっかくあとちょっとで家だったというのに……

 

そんな風にあせる心を押さえつけようとする俺に、
背後から先ほどまで聞いていた静かな声が聞こえてきた……

 
 
 
 

「これでもう寒くない……」

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:04:01 (2624d)