作品

概要

作者某担当者
作品名名前を呼んで
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2007-10-02 (火) 01:27:56

登場キャラ

キョン不登場
キョンの妹不登場
ハルヒ登場
みくる登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

 わたしの名前は長門有希。冬に降る『雪』から名付けた。
 彼女の名前は涼宮ハルヒ。『春の日差し』から名付けられたのだろう。

 

「有希って、ほんと、肌が白いわね。まるで『雪』みたい。」
 あなたの存在は、降り積もった雪を溶かす春の日差しのよう。彼に言わせると『真夏の太陽』らしいけれど。
「? どういう意味よ?」
 春の日差しで雪は解け、消えてしまう。誰もが雪解けを、春の到来を待ちわびている。
「まあ、確かに、春が来るのが嫌って話は、昔は聞かなかったわね。今は『花粉症』なんてものがあるから、一概には言えないけど。」
 春の日が否定的に捉えられることはないのに、雪が解けずに残ることは否定的に捉えられる。
「そりゃあ、色々とあるからじゃない? 主に農業とか。」
 ……雪は解けて消えることが喜ばれる。春は到来が待ち望まれる。
「ちょっと、何そんな死亡フラグみたいなこと言ってんのよ! あんたが『雪』で、消えてほしいと思われてるとでも言いたいわけ?」

 

 彼女は知らないが、わたしの任務が終わった時、わたしがどうなるかは分からない。やはり雪のように春の日差しに照らされて、儚く消えるのかもしれない。
 死亡フラグ。言い得て妙かもしれない。

 

「あんたの認識は間違ってるわ、根本的なところで。」
 彼女はわたしの肩を掴んで顔を寄せた。
「いい? 雪は解けて消えるんじゃないの! 川になって流れて行くのよ!」
 彼女はわたしの瞳を覗き込んでいる。
「それで、また恵みの雨になって戻ってくるの。だから、決して『目の前から消えて嬉しい』んじゃないわ。雨のおかげで手に入るものを喜んでるのよ。」
 彼女はそう言うと、
「それは……『未来』!」
 力強く朝比奈みくる――未来人――を指差した。
「ほえっ!? あ、あああ、あたし、ですか!?」
「みくるちゃんの名前は、多分『未来』から付けられたんでしょ。」
「あわわ!? なぜそれを!?」
「ふっふっふ、簡単な推理だよ、ワトソン君……」
 思いがけず正体を言い当てられた彼女は、ひたすら驚愕していた。
 おろおろするみくるを見て楽しんでいたハルヒは、わたしを強く抱き締めた。
「……あんたが何言われたか知らないけどさ。もし目の前から消えることが避けられないとしても、それならそれで、姿を変えてでも帰ってきてほしいとあたしは思ってるのよ。」
 ……彼女はわたし達の正体は知らないはず。それにもかかわらず、ここまで正確にわたし達の将来を予見した発言ができるとは。人間の言葉で言えば、驚きを禁じ得ない。
 彼女の鋭い感覚が、明確には捉えないまでも、何らかの形でわたし達の正体を感じ取っているのかもしれない。
「もっとも、あんたが勝手に消えるなんて、あたしがさせないけどね!」
 そう言って笑う彼女を見て、わたしの中にエラーが一つ発生した。そのエラーは多分エラーではなく、一つの答え。

 

 色々と予想が出来そうでできない未来、それでも一つだけ分かることがある。
 厚い雲の上からでも地上を照らす星、太陽が希望をくれると。

 

 『希(のぞみ)が有る』。それがわたしの名前。

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:04:00 (3092d)