作品

概要

作者109
作品名リクSS その4
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2007-08-26 (日) 23:54:00

登場キャラ

キョン不登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

《リクエスト スレ85冊目》


233 名前: 電波 [sage] 投稿日: 2007/04/09(月) 19:57:50 ID:AFuwIp1Q
キョン、みくる、有希たんの3人しかいない文芸室で、
キョンがみくると自分の使っているシャンプーの話をしていた。
そこで、キョンがみくるちゃんの髪がいいにおいで綺麗ですねと言って2人で
少し甘い会話をしていた。次の日キョンは有希たんに呼び出され、
有希たんはみくるちゃんと同じシャンプーを使ってみた。どう?
とか聞いてきて、やたらキョンに近づこうとする。それに困りながらも、
まんざらでもないキョン。。。

口数: 4
感受性:5
感情の露出:4
長門のキョンLOVE:6
キョンの長門LOVE: 3

くらいかな??こんな電波でもSSにしてくれる職人さんがいたら嬉しいです。


   
   
 いつもと変わらぬ放課後のSOS団部屋――もとい文芸部室に、俺と朝比奈さん、長門の三人が残っていた。ハルヒの奴が珍しく家の用事とかで真っ先に帰宅し、ついで古泉が件のバイトとは別のヤボ用と称して部屋を抜けた。
 この時点で解散しても何ら支障はないが、読書に耽る長門が立ち上がる気配がまったくないので、なんとなく俺と朝比奈さんもそのまま残った。

 取り立ててすることが無かった俺は古泉所有のオセロを引っ張り出し、朝比奈さんと対戦を始めた。黒が俺、白が朝比奈さんである。相手が古泉だと盤一面をまっ黒けにしても何ら痛痒を感じないが、朝比奈さん相手だと自ら剣を収め、無条件で勝利を進呈したい気持ちになってくる。
 しかしながらこのお方、こちらがいくら手加減しても手加減し過ぎということはなく、手持ちの駒と裏腹に黒星と白星が逆転状態である。なかなか負けさせてくれないという意味では、古泉以上の難敵だ。

「キ、キョンくん……あの〜、ちょっと考えさせてもらってもいいですか?」
 どうぞどうぞ。貴女の御声がかかるまで、渋谷のハチ公より長ぁ〜くお待ちしますよ。おとがいに人差し指を当てて悩む可憐な仕種をこんな間近で鑑賞出来る時間が延びるなら、延長料金を払ってもいいくらいだ。
小首を傾げる度に錦糸のような髪が揺れ、甘い香りが漂ってきて……ん?
「朝比奈さん、ひょっとしてシャンプー替えました?」
「…あ、分かります?いつも使ってたのを切らしちゃって。お店いったら新製品が出てたから試してみたの。よく気がつきましたね」
 分かりますよ。朝比奈さんが居るだけで、殺風景なこの部室が花万博の会場かと疑うほど芳しい空間になりますからね。
「もう、お世辞ばっかり」
「いや、俺には心にもない美辞麗句を並べられるような能力は備わってませんよ。相手が朝比奈さんだからです」
 俺がそう言うと朝比奈さんは頬を朱に染めて長い髪を指先に絡めた。愛らしいねぇ。眼福過ぎてそのうちバチが当たるんじゃないだろうか。
   
 ふと目線をずらすと、何時からそこに居たのか、朝比奈さんの背後に長門が影のごとくつっ立っていた。
「ひゃっ!わ、ぁわ、長門さんっ?」
 長門の存在に気付いた朝比奈さんが、文字通り座ったままの姿勢で飛び上がった。妙なところで器用なお人だ。
「本はもう読み終わったのか?」
 俺の問いに目だけで頷き返した長門は再び視線を朝比奈さんに戻し、朝比奈さんの手元を覗き込むように顔を近づいていく。
「なんだ?朝比奈さんがどうかしたか」
「…いい。解った」
 長門は顔を元に戻すと、そう言って踵を返した。何を理解したのかさっぱり分からん。
因みに朝比奈さんはといえば、三年前に亡くなったお婆ちゃんが背後に立っているかのように決して振り返るまいとガクブルしている。相変わらず長門が苦手らしい。
「先に帰る」
 ポツリと呟くと長門は部室を出て行った。珍しいこともあるもんだ。
「……あ、あのぅ〜〜。どうかしたんでしょうか、長門さん?」
「さあ?」
   
******
   
 翌日の放課後、掃除当番のハルヒを置いて、いの二番に部室についた。勿論一番は長門である。こいつが俺より後に来たためしがない。
「よう」
 短い俺の挨拶に0.5インチ顎を引いたのを目の隅に留め、俺はパイプ椅子へ座った。普段ならそのまま読書へ戻る長門が、音もなく椅子を引いて俺の傍まで来た。
「なにか用か?」
「別に」
 こいつがこんな答えをするのは珍しい。無駄な動作や無意味なことは一ミクロンも行わないやつだと思ってたが。
「ハルヒ絡みでなんかあったか?」
「何も」
 何もない、と言うわりに俺の傍から離れようとしない。むしろ、何も持たない俺の手元を覗き込むように顔を近づけてきた。
「どう?」
「なにがだ?」
「…髪」
 お前の髪か?別段おかしなところは無いし、髪型も三年前からずっと変わってないように見えるが。
「見た目ではない」
 なんの連想クイズだ?ふと、俺の手元を覗き込むような長門の動作に既視感を覚えた。
「そういえば昨日、朝比奈さんにも同じ動作をしてたな。一体……」
 長門がコクリと首を傾けたとき、どこかで嗅いだことがある甘い匂いが漂ってきた。
「……あれ……この匂い……朝比奈さんと同じ……?」
「シャンプーを替えてみた」
 表情を変えずに、長門。
「ひょっとして、朝比奈さんが買ってみたというヤツか?」
「そう。同じもの」
 またなんでわざわざ……と思ったが長門だって女の子だ、気分転換したくなっても不思議ではない。
「そりゃ気がつかなくて悪かったな。ひょっとして、昨日買いに行ったのか?」
「匂いの成分さえ分かれば、この時期の新商品は店頭に並んである。検索は容易」
「そっか、いい匂いだな」
 俺が誉めると長門は微かに顎を引いたが、覗き込むような体勢はそのまま維持している。
 まだ何かあるのだろうか?
「それだけ…?」
「え?」
 ここ最近の俺は長門の表情を読み取るスキルをメキメキ上げてきたと自負していたが、瞬きしない瞳がどんな真意を湛えているのか、今度ばかりは測りかねた。
「わたしがこの部室で、常日頃観測してきたデータから導き出した事実を言うと、あなたの朝比奈みくるに対する態度は、他者へのそれと明確に異なる」
「はぁ?」
「彼女に対する賛辞の言葉が、わたしや涼宮ハルヒへ向けられたことはない」
 予想外の長台詞と思いがけない方向からの追求に、完全に不意打ちを喰らった。
   
 …突然なんなんだ、俺が悪いのか?
だって、朝比奈さんは朝比奈さんで、長門は長門だろ?ハルヒに到ってはあいつのどこを賛辞すればいいのやか、箇条書きに纏めて提出して欲しいくらいだ。
「俺って、そんなあからさまに態度を分けているか?」
「……」
 いや、そこで黙り込まないでくれ。それじゃ肯定してるのと同じだ。歯の浮くような台詞を口に出した憶えはないんだがな。内心はともかく。
「その内心での言葉。あなたは時々、声に出さずに独り言をいう癖がある」
 …そ、そうかい。そんな気色悪い癖を持ってたとは、うっかりしていた。
「微妙な唇の動きで読み取れる」
 読唇術かよ。マンガでどっかの国王がそんな特技を持ってたな。ハルヒみたいな性格の。
……ま、それは置いとくとしてだ。要するに、朝比奈さんと同じ態度を取れということか?
「差別は良くない」
 差別しているつもりはないぞ。昨日朝比奈さんにも行ったとおり、俺は思っても無い美辞麗句を並べるのは苦手だし、思ったとしても声に出さないのは、その…照れというか、云うに言えないお年頃という事でひとつ勘弁してくれ。
「了解した。朝比奈みくると違い、賛辞するべき美点が無いという結論に到った」
 いやいやそーじゃなくてだな……わかった、ちょっと待ってくれ。

「あー、長門よ……」
 まず、お前に美点が無いという前提が誤りだ。今まで面と向かって云った事はないが、お前の美人度も相当な部類に入る。…まあ、俺のTOP5以内は確実だな。肌はヒマラヤ山頂の雪もかくやと思うほど白いし、淡い色合いの髪が肌の白さと実にマッチしている。瞳はそれこそ漆黒の大宇宙を凝縮したかのような神秘的な輝きを帯び、これで白い翼でも生やしていようものなら確実に天使が降臨なされたと信じるね。
 お前の必要最低限の言葉は、何時だって千斤の重みがある。どんな難事を前にしても揺るがない平坦な声にどれだけ安心してきたことか。そして、お前の性格の良さにはホトホト頭が下がる。俺がどんな無茶なことを頼んでも文句一つ言わず引き受けてくれるもんな。
いや本当、感謝してもしきれない。うちの団長に、お前の爪の垢の千分の一でいいから煎じずそのまま飲み下して欲しいくらいだ。お前のように優秀で万能な部員が居ることをあいつも日々感謝すべきだな――。
――えーと…。
   
「……いや、その、なんだ……このくらいで分かってくれたかな?」
 魔法の鏡のように磨かれた長門の瞳にかなりプレッシャーを感じたが、やがてゆっくりと、長門は頷いた。
「大体の意図は伝わった」
「そ、そうか…。そりゃ良かった」
 納得してくれたのか俺の鼻先まで近づいてた長門の髪がすっと離れ、定位置のパイプ椅子へと戻った。
歩く動作に合わせてわずかに揺れるさらさら髪が心なしか嬉しそうに見えたのは、きっと俺の考えすぎだろう。にしても…。
「やれやれ、長門にこんな一面があったとは……」
 机に肩ひじを突いた俺は、長門から見えないよう口元を隠しながら小声で呟いた。さっき長門を女の子だと言ったが、正直、宇宙人も女の子も同じくらい謎だ。
 しかし疲れた。朝比奈さんに対し普段思ってるようなことを伝えてみたつもりだが、本当にあんなんで良かったのかね?なかなか出てこない言葉をひねり出すのに苦労したぜ。
 いつものようにすっかり読書の虫になっている長門を、ちらりと横目で盗み見た。
やっぱり言葉なんて、無理に取り繕うもんじゃないな。ぱっと思いついた台詞をシンプルに云うのが一番だ。
   
だから、長門……今日のおまえ、可愛いぞ。
   
   

END

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:03:57 (1744d)