作品

概要

作者Thinks
作品名鍵と長門
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2006-08-02 (水) 01:38:08

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

その夜。
 その、とは、鶴屋さんにお宝報告を受けた後にハルヒに弁当を食われ、
アミダくじ大会をやった後で朝比奈さんを八日ほど前に送り出し、
直後にまた受け入れたりした日の事だ。
 家に帰るなりオフクロに言われたので、面倒くさがりながらも律儀に、
制服のズボンを洗濯機に叩き込もうとしたのだが、
何かがこぼれ落ちて、「チャリーン」と音を上げた。
 なんだこりゃ、と思いながら拾って見てみると、一本の鍵である。
 身に覚えがある様な無いような、、、、。
 ここしばらく、手紙やら新たな未来人やら組織の人間やらに振り回されたおかげで、
俺の脳内にはミステリー小説の初っ端以上に登場人物が現れて来る。
 俺の中では真犯人に確定である、あの胡散臭い未来人の顔を思い出してしまい、
思考停止しようと思ったときに限って思い出したりするものだ、こういうものは。
 
 長門のマンションの鍵だ。朝比奈さんに預かってそのまま持ってた。
 朝比奈さんが言うには合鍵だと言っていたから、長門が部屋に入ることが出来ないことは無かろうが、
いやいや、やはり非常に一般的な高校生の一人としては、一人暮らしの同級生でしかも異性、
さらに宇宙人である長門の部屋の鍵を持ち続けていると言うのはプレッシャーである。
 すでに一週間持ちっぱなしだったわけだが。後で電話をかけて、謝っておこうか。
 


 
 電話。ナンバーを確認。彼と認識。3コール以内で出るのがわたしのルール。成功。
 
「俺だ」
「………」 解かっていた。あなただから出た。
「いや、その謝りたい事があって、だな、、」
「………」 謝りたいこと、あなたが、わたしに。該当事項は二件あると思われる。
「朝比奈さんに、おまえの部屋の鍵を預かってたんだ、忘れてたんだよ、すまん」
「………」 合鍵。該当事項の一件。私的に重要事項のほうではない。
「……長門?」
「…なに?」 
「悪かった、鍵は明日学校で渡す、って事で良いか?」
「…いい」 
「本当にすまんな。落としたりしない様に大事に持っていく」
「………」 要点はそこでは無い。
 
 ガチャ。
 
 切ってしまった。彼はこういう事にわりと傷つくタイプ。やりすぎた。少し。
落ち着くためにお茶を淹れよう。セイロンティー。………間違えた。砂糖と塩を。だいなし。
 
 私的に重要事項だった。しかし、彼は朝比奈みくると共に現れた。
 データベースサーチで彼の事情を理解した。彼の行動は必然。
 図書館で一緒にいたかった。読ませたい本も、あった。
 もったいないから飲んでしまおう。……辛い。
……しかし、彼からの謝罪を受けた認識は無い。あれは朝比奈みくるの思索。
 彼の感受性の欠如具合は天然。致命的。行動が必要なのか。わたしからの。
 
 またバグが。正体は解からない。現れたバグを自己に展開して実行。制限時間三十秒で。
 
…………
 
 炬燵の崩壊を確認。凶悪なものと認識。隔離。炬燵の再構成を実施。
 空腹を覚えた。再構成をしたから。茹でておいた卵を食べよう。………間違えた。塩と砂糖を。
……案外、美味しい。
 
情報統合思念体に自己表現の拡大を申請。
………一部了承。自己に展開。実行は明日。彼の反応を、見る。
 


 
 翌日。
 昼休みに部室に行って渡すものを渡そうと、俺は弁当と忘れちゃいけないし
忘れてもいない鍵を持って部室に走っていた。
 忘れる訳がねぇ。抱いて寝ようかと思ったくらいだ。約束を破るわけにはいかないのだ。
 
 
 翌日。
 昼休みは部室で待機。これは普遍的な事象。彼が、近い。
 プログラム起動。積極性の比較的増大を確認。アプローチ・スタート。
 
 
 俺はノックもせずに部室のドアを開けた。。
「お、いてくれたか、長門。良かったぜ、今日渡せない事には、、、な?」
「………」
 長門がいきなり俺に抱きついてきた。なんだ、訳がわからない。
「な、、長門、、、?」
「………」
 あたたかい。やわらかい。いいにおい。そんな娘が俺の胸に顔を埋めている。
 正直たまらん。
 手を回そう、えっと、思い切って腰に、いや遠慮して肩に、いやそうでなくて。
 
 
 アプローチ・サクセス。
 映画のロケで学んだ方法。色仕掛けと言うらしい。彼に有効。
 暖かい。想定内。強固な体躯。想定外。いい匂い。匂い自体、想定外。
 この全ての感覚を、データ変換して保存実行。DiskError.何故。
 容量オーバー、、、。了解。
 
………しまった。これからどういう行動及び発言を行って良いのか解らない。
 
 
 頭が麻痺する前にドアを閉めよう。誰かに、特にハルヒなんぞに見られた暁には!
 とりあえずドアを閉めよう。誰も通らないとは限らない。
 
バタン。 
 
「弁当、喰うか」
「了解した」
 


 そんな訳で部室で弁当喰ってるわけだが。
 何だったんださっきの長門は。いきなり抱きついて来たりして。
 悪い気はせん。確かに。むしろ気持ちが良かった。至福の時だったと言えよう。
 メシの味なんか解ったもんじゃない。目の前の娘だけで満腹とでも言おうか。
 
 
 お弁当を食べる。一緒に。
 結果。彼の心拍数と発汗、精神の高揚を確認。十分。
……彼のお弁当よりわたしのお弁当のほうが容積が大きい。
……恥ずかしい。これでも足りない。どうしよう。
 
 
「………」
「どうした、むぐ。箸が止まってるぞ」
「………これ」
「お、ゆで卵くれるのか。んじゃこのシューマイやるわ。ほれ」
……むぐむぐ
「美味そうに喰うなぁ、んじゃこれいっただき、っと。、、、うわ、甘!!」
「……案外、美味しい」
「………あ、これ。遅くなったな」
「返さなくて、いい」
「いや、おまえの部屋の鍵だし。マンションの入り方も解らんしだな」
「教える。遊びに、来て」
「………あ、ああ。解った。じゃあ、都合の良いときに電話、くれよ」
「了解した」
「ところで、長門よ」
「なに?」
「右の頬に、だな。ご飯粒ついてるぞ、、ははは」
 
 
………迂闊。
 
                                 きーんこーんかーんこーん。

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:03:56 (2714d)