作品

概要

作者電波の人
作品名お帰り
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2007-08-23 (木) 12:55:23

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ登場
みくる登場
古泉一樹登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

いつもと変わらない日常、私は何時もどおり読書に勤しんでいる。
最近は地球上にある専門書はあらかた読破してしまったため人の想像上で
起きた事件や恋愛小説を読んだりしている。
文章の表現自体は簡単で内容も咲き読みできてしまう場合が有るが、
参考になる部分も多くなかなか興味深い。
いつか自分もこういう体験をするかもしれない・・・。
さて、今日も皆自分達の思い思いの過ごし方で時間を潰し楽しんでいる。
このSOS団の団活は私にとってとても心地よい。
ふと彼のほうへ目をやると古泉一樹と将棋をやっている。
どうやら今回は彼が思いのほか苦戦しているようである。
彼が塾考して指した一手もなんだかいつもと比較してきれがない。
頭が痛いのだろうか?
少しふわっと貧血のような症状を見せながら彼が頭を一瞬押さえているのが目に入った。
それは古泉一樹も同じくだったらしく彼のことを心配して体調のことを質問する。
彼は大丈夫だ。心配しなくいい。と何回もいいそのまま将棋を続行し、
また新たな一手を指そうとしていた。
その刹那、彼は壊れた人形のように急に動きを止め、地面へ倒れる。
倒れて顔が真っ青になっている彼を見て、
古泉一樹が急に焦った顔になり彼に近づき口と咽喉に手をやり、心肺の確認をする。
・・・彼の心肺は停止しているようだ。

 

その事実が皆に伝わる。
涼宮ハルヒは青ざめた顔をしてキョンに近づき必死に彼の体を揺らそうとして
彼を起こそうとする。が、古泉一樹に力ずくで止められる。
朝比奈みくるはその場で気絶する。
皆彼の突然の出来事に少なからず動揺しているようだ。
私も例外ではない。こういう事態が発生したとき何をすればいいか、
どういう処置を施せばいいかは頭の中ではすでに具現化は出来ている。
が、それがすぐに行動に移せなかった。
一番初めに動いたのは古泉一樹であった。
青ざめた顔のまま彼は携帯で119に電話をし、今の状況を説明する。
電波が上手く届かないためか一旦教室を出る。
私もただ突っ立ているだけじゃ駄目だ。
体が再起動を果たしたかのように動き始め、
急いで彼の元へ行き、上半身の服を脱がして心肺蘇生法を施す。
情報操作は涼宮ハルヒがいる手前、今は使えない。
なんとしても現代の今行える措置で彼を延命させなければいけない。
私は必死に彼の起動を確保し、心臓めがけて一定のショックを与え、
口から空気を与える。
彼との初めてのキスとか考えている暇はないし、
そんな感情に一瞬でもなった自分を呪いたくなった。
とにかく今は彼を助けることそれが最優先。
私の行動を見て涼宮ハルヒも自我を取り戻したかのように体が動き始め、
彼の延命措置に加わる。
心臓マッサージのほうが技術がいるため、
私は心臓マッサージ、彼女は人工呼吸をすることにした。
私が15回彼の心臓にショックを与える、その後に彼女が二回彼に空気を送り込む。
それを何回も何回も繰り返す。
・・・彼の意識は戻らない。
少し私の目にも涼宮ハルヒの目にも焦りの色が見え始める。
「長門さん。これを使ってください」
汗だくになって戻ってきた古泉一樹の手にはAEDが握られていた。
どうやら保健室から取ってきたようである。
私はこれを使用したことがないので説明書を見ながら、
自動音声を聞きながら、正しい操作方法を一つずつ行っていく。
彼の胸部2箇所に電気ショックの装置をつけ、スイッチを押す。
“患者から離れてください”
無機質な自動音声が発せられ、皆彼から離れる。
“ショックを与えます”
その瞬間、彼からまるで鈍器で殴られたかのような鈍い声が発せられ、彼の体中が一瞬収縮する。
“ショック完了。患者の心肺を確認をします。患者に触れないでください”
私達は機械の結果を待つ。
時間にすればたった10秒かそこらなのにとても長く感じる。
“患者の心肺はまだ停止しています。心臓マッサージを再開してください”
無常の結果が突きつけられる。
私と涼宮ハルヒは先ほどの措置の続きをやる。何回も何回も。
彼が目覚める様子はない。
・・・彼が死ね?これは夢?私のところから消えてなくなる?彼と図書館に行けなくなる?
何で?そんなの絶対嫌!・・・情報操作を敢行。涼宮ハルヒに見られようが関係ない。
私は彼を助けたい!また彼と一緒に図書館に行きたい!!
私は心臓マッサージをやめ、高速で情報操作を行うため詠唱を開始した。
涼宮ハルヒは怪訝そうにこちらを見ているが関係ない。
情報統合思念体からも今すぐ辞めるように命令が来ているが全て無視。
とにかく今は彼を助けることが優先。
詠唱はもうすぐ完了する。これで彼を助けられる。

 

・・・??
詠唱が続けられない。口が動かない?どうして?何故?体も動かない?
・・・・・・どうやら情報統合思念体から強制ロックがかけられたようだ。
もう一回詠唱を始めようとしても、途中で口が動かなくなる。
詠唱をやめると体も口も動くようだ。
涼宮ハルヒは私が発狂したのかと勘違いし、
彼を古泉一樹に任せ、私に抱きついて
「キョンは大丈夫だから。キョンは大丈夫だから・・・」
と何回も言ってくれていた。
私はもう大丈夫という旨を彼女に伝える。
私達は古泉一樹と交代しながら心肺蘇生法を施す。
・・・彼は目覚めない。

 

救急隊員が到着し、もっと強力なAEDに装備を変え、
腕から筋弛緩剤を注射で投与し、口から強制的に酸素を送り込まれながら、
彼は救急車で病院に運ばれた。
救急車の同乗は古泉一樹がすることになり、
その救急車の後ろに機関が用意した車に私達三人と森さんを乗せ、後を追いかける。
車の中で意識を取り戻した朝比奈みくるに今の現状を説明する。
説明の途中、涼宮ハルヒが急に泣き出し始め、
朝比奈みくるが泣きながらも彼女の抱きついてキョン君を信じてと
何回も何回も先ほど涼宮ハルヒが私にしてくれたように優しい声で言ってくれていた。
車の中の空気は物凄く重く、早く彼がよくなって欲しいと願うばかりであった。

 

総合病院に到着。
彼は凄いスピードでICUに運ばれる。
流石に機関の息のかかった病院であるとは言え、私達が手術室の中に入り、
彼を見守るということは叶わなかった。
家族も血相を変えて到着。古泉一樹が彼の様態を説明する。
妹も母親も泣き出し、父親が二人を慰めている。
彼の手術中、私達が待っている控え室にはすすり泣く声しか聞こえず、
その時間が何日にも何年にも感じた。
誰も何も発言しようとせず、ただ自分の手を重ね祈るばかりである。

 

何時間か経過した後、担当医師が控え室に入ってきて私達に詳細な説明をしてくれた。
とりあえず命は助かるという医師の説明で皆少し安堵の顔をする。
が、医師の説明に入ると皆また先ほどの顔が嘘のように青ざめ、
絶望感が辺りを漂い始めた。
まず、原因は急性で難治性の不整脈が発生し、心臓が一定のペースで動かなくなったこと。
それに伴い、心肺が停止したと考えられる。
また、ここに搬送されるまでの50分間、彼の心肺は停止していたため、
彼の脳内のダメージは不明。
そのため、彼を低体温にし、脳の活動を抑えて、そこからCTで彼の脳を測定し、
判断を下すものらしい。
低体温中は人工心肺をつけ、それは低体温終了後1週間はつける模様。
低体温は72時間継続され、その間は親族でさえ面会は謝絶される。
また、意識を取り戻すのは脳のダメージ次第、つまり彼次第ということになる。

 

面会謝絶ということなので一旦病院で解散ということになった。
が、涼宮ハルヒがすぐに皆を呼んで、私の家に集合し、
皆でキョンのために千羽鶴を折ろうと提案した。
彼女は出来るだけ、明るく振舞い、落ち込んでいる皆を励ましている。
彼女が無理しているのはありありとわかる。皆も気がついている。
でも、誰も何も言わず、彼女の意見に従う。
涼宮ハルヒは私達SOS団だけでなく、名誉顧問の鶴屋さんや
阪中という苗字の彼女の友達、
谷口と国木田や佐々木と言った彼の親友にも声をかけたらしく
私の広い家は人で一杯になった。
でも、皆集合しているのにも関わらず、誰一人としてしゃべろうとせず、
皆少し青ざめた顔をしながらも黙々と鶴を折っていく。
SOS団の皆は学校を休んで一日中、他の皆も学校が終わってから夜遅くまで
私の家で彼の意識が戻るよう願いをこめて必死に鶴を折っていく。
3日間で私達は5000羽の鶴を折った。

 

今日は彼の脳の結果が報告される日。皆控え室で彼の容態を待つ。
医師の報告の結果、脈、呼吸が安定したため、人工心肺が取れICUではなく
一般の入院室にいけることになった。
意識はいつ取り戻してもおかしくない状態であるという。
脳の後遺症も見られず、意識を取り戻した後は一般的な生活が出来るらしい。
皆、安堵して抱き合い涙を流した。
私も体が勝手に動き、涼宮ハルヒ、朝比奈みくるに抱きつきにいって、
皆に見せたことの無い泣き顔を見せた。
涼宮ハルヒと朝比奈みくるは私の急な行動を見て少し動揺したが、
二人とも私の頭を撫でて泣きながらよかったねと呟いてくれた。

 

彼が一般病棟に移されたから私達SOS団はいつ彼が目覚めてもいいように
皆付きっ切りで彼の傍にいることにした。
初めはシフトを決めて最低一人はいる状態にすればいいという提案になっていたが、
皆、キョンの傍にいたいということで皆で彼が目覚めるのを待とうということになった。
流石に全員徹夜で看病するわけにもいかず、夜はシフトを決めて一人が看病することになった。

 

彼が一般病棟に移動してから2日目の夜、今日は私が徹夜で彼の看病をすることになった。
皆は寝袋で彼の足元で寝ている。
私は彼のすぐ隣で、彼の顔に手を優しく沿える。
今なら情報操作が行える。が、今は行わない。
私が推測でものを語るのは可笑しい気がするが、
なんだかもうすぐ彼が目覚めそうな気がする。
だから、私は情報操作はせず、彼が自然に目覚めるのをそっと待つ。
私の能力は彼が病院に運ばれた後に元に戻った。
また、今回のケースは情報統合思念体も想定しておらず、
特別に私のお咎めは無しの方向になった。
今回の事態は調査の結果、誰の仕業でもなく彼自身が自然になることであったらしい。
彼が目覚めたらまず何を言うか。私の中ではもうすでに決まっている。
そしてその後、涼宮ハルヒを通して彼に皆をここまで心配させた罰ゲームを与えてもらおう。
その罰ゲームの内容に2人きりで図書館に行くことも追加してもらおう。
私は彼の唇にそっと自分の唇を重ねる。
その瞬間、彼が一瞬動いたので私は慌てて、
顔を上げて、彼の顔を見る。
彼の閉じきった瞳が少しずつ開いていく。
彼が目を開け、ゆっくりと顔を上げる。
当たりを見渡し彼は不思議そうな顔をしている。まだ、情報の整理がついていないらしい。
私の顔が彼の近くにあったことが彼にとって驚いたらしく、
彼は少し体をビクッと震わせた。
今の喜びに我慢できず私は彼に抱きつく。
彼が何か言おうとする前に彼の口を指で閉じた。
そして、彼に今までの状況を説明した。

 
 

俺が目を覚ました瞬間、長門の顔が近くにあってビックリしたぜ。
なんかここは病院っぽいけど、俺の身に何かあったのか?
起きたばかりでまだ完全に起動していない頭を使いながらあれやこれやと考えていると
胸に柔らかい感触が・・・。
長門が俺に抱きついているのだ。何故?
俺は離れるように声を発しようとした。
が、長門に指で止められる。
皆が寝ているから静かにして欲しいとのこと。
辺りを見渡すと皆が俺の足元で寝袋で寝ているのが俺の目に入った。
今の現状を含めて長門は俺に今までの出来事を小さな声で詳細に語ってくれた。
俺が急に倒れたこと、ハルヒが真っ青な顔をして泣き出したこと、
情報統合思念体から一時的に能力を封じられたこと、
AEDを使っても俺の心肺が停止したままのこと、
家族が来て皆泣いて大変だったということ、
皆で5000羽鶴を折ったこと、
などなど・・・聞いている途中、俺は自然に顔を涙で湿らせていた。
皆こんなに俺のことを心配してくれていたのか、や皆に心配かけて申し訳ないこと
で頭が一杯になった。
内容を頭の中で整理していると
「貴方が起きてから私が貴方を迎えると決めていたことがある。許可を」
長門がこう言った。
俺が断る理由はない。と承諾すると
長門は俺にまた抱きつき、俺の口に自分の口を添えた後、

 

「お帰り」

 

と言い頬を緩め今まで見せたことの無い穏やかな微笑を浮かべる。
俺は長門の表情に見惚れながらも、決まり文句のように
「あぁ、ただいま」
と笑顔で答えた。
この出来事は俺と長門の二人だけの秘密となった。

 

その後、キョンが目覚めたと長門が皆を起こしにかかり、
皆泣きながら俺に抱きつく。
あの古泉までもが泣くとは俺の想定外だったが、悪い気分ではなかった。
数日後、俺は見事退院を果たし、普段と変わらない日常生活に戻りつつある。
因みに、皆が折ってくれた鶴はおれの部屋の片隅に大切に保管されている。
よく見ると皆のメッセージが書いてあり、それに俺はまた涙したものだ。
難治性の不整脈は長門の情報改竄により二度とかからないようにしてくれたらしい。
あいつにはもう顔が上がらないな。
さて、今日は不思議探索の日であるが、俺の退院パーティのため長門の家に集合である。
妹はすでに準備のため先に長門の家に行っている。
俺は自転車に乗り、ゆっくり長門の家に向かう。
皆に感謝の気持ちをこめながら

 
 

END

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:03:55 (3088d)