作品

概要

作者ギルモア博士
作品名空、碧く、彼方にて
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2007-08-16 (木) 23:21:30

登場キャラ

キョン不登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

「明日は9時集合!みんな遅れちゃダメよ!」
いつものように我らが団長、涼宮ハルヒががなり立てる。
週末ぐらいゆっくり過ごさせてくれないかね。
「ちょっとキョン!聞いてるの!?」
はいはい。
何やら視線を感じるが無視しておこう。

―――
俺たち通称「SOS団」は、5人肩を並べ下校していた。
「あまり涼宮さんを刺激しないように。今はかなり安定期なのですから」
顔が近いんだよ気持ち悪い。
「それは失礼」
そんな事よりな、ハルヒの玩具になってる朝比奈さんを助けてやってくれないか。
あまりにも・・・・・まあそそるものはあるんだが、可哀相だ。
「朝比奈さんはあれで涼宮さんの精神を保つ重要な規定事項です。
現状維持が得策かと」
そうかよ。

はたと読書好き宇宙人製のアンドロイドに目を向ける。
半端なシャギーを揺らしながら、とてとてと歩いていた。

こうしてみるとこの三人娘も上級なんだよな。
ハルヒは相変わらず満点の星空みたいな笑顔だし、朝比奈さんも相変わらず愛くるしい。
長門はすっかり新しい長門らしさを習得していた。

三人のうち選べって言われたら均等に別れるかもしれない。

そんな事を考えてるうち、4人と別れて我が家に着いていた。
その夜は、明日に備えて早めに風呂入って湯冷めしないうちに寝た。

――――
「あれれ〜?キョン君がわたしより早くおきてる〜?」

妹よ、少し傷ついた。
まあ昨日は早く寝たからな。
それだけ目覚めスッキリってもんだろ。
朝飯朝飯、っと。
「パンそこにあるよ。今日は?ハルにゃんは?みくるちゃんは?有希は?」

こいつは・・・・先輩を崇拝する事をいつになれば覚えるのだろう。
教育の必要があるな。
「もう行くぞ。留守番頼んだ」
「ばいば〜い」
うむ、挨拶ができていてよろしい。
じゃあな妹よ。
―――
「こっらキョン!おっそい!罰金!」

もうどんだけ早く出ても無理かもな。
こいつらを出し抜くのは不可能だと言っていい。
何せ宇宙人、未来人、超能力者と神様だ。
天地がひっくり返っても無理だろうな。

俺はハルヒから散々罵られた後、喫茶店へ向かう。
ああ、コーヒーだけにしてくれ・・・・これ以上債務を増やすな。胃が痛い。
朝比奈さんは俺に申し訳なさそうにペコリと頭を下げていた。
彼女のためなら宝くじ一等3億円を譲渡する事を考えてもいいかもしれない。

長門はアプリコットの入ったコップを両手で持ち、こくこくと飲んでいた。
願わくば遠慮してほしいもんだ。

ハルヒがトマトサンドを頬張りながら爪楊枝を差し出してきた。
「今日はあんたから引かせてあげるわ。感謝しなさいよねっ!」
何だ?やけに優しいじゃないか。
「ううううるさいわよっ!早く引きなさい!」
視線を合わさず怒鳴った後、ハルヒ、古泉、長門、朝比奈さんと引いていった。

―――
俺は印無しだった。
ハルヒ、朝比奈さん、古泉が印ありだ。
ってことは長門とペアだな。

ちらりと長門を見ると、爪楊枝の先端を無感動に見つめている長門であった。
「この組み合わせね・・・・・・」
ハルヒが俺に視線で釘を刺してくる。
わかってますよ団長様。

―――
ハルヒは散々ジト目で俺を見つめていたが、ペアで別れる時になってやっとやめた。
あの目は非常に苦手だ。
まあ、そんなことより、だ。
「長門、どこか行きたいところはあるか?」
このセリフも何回言っただろう。
そして長門が首を横に・・・・・・ってあれ?

目の錯覚ではない。
長門が首を縦に、2ミリほど頷いていた。
俺は多少面食らった。
「どこか、行きたいところあんのか?」
数秒考えるような表情を見せ、歩き出した。
「こっち」
そう言って俺は長門のあとをついていく。
いつもと逆だな。

ん?
心なしか長門の歩幅が不安定な気がするな。
そんな事を考えていた。

―――
そんな長門の揺れるショートカットを見ながら歩いていると、長門が立ち止まった。
その視線の先には、公園があった。
「ここか?」

俺は長門の顔を見て確認を取る。
「ここ」
そう言って公園の中へと歩を進める長門。
お、誰もいないな。

長門が歩きついた先は、青いベンチだった。
「どうぞ」
まるでどこかのセバスチャンのように手を差し出して俺をベンチへとエスコートする長門。
なんか今日の長門は妙だな。ぎこちない。

それから俺たちはベンチに腰掛け、降り注ぐ太陽をぬくぬくと浴びていた。
日向ぼっこがしたかったのか?
かわいいところもあるじゃないか。
実に微笑ましい。

当の本人は、妙な前傾姿勢で、セーラーのスカートに両手を置いて行儀良く座っていた。
もうちょっと楽にしたらどうだ、と言おうとしたがやめた。
いつも世話になってるんだ、今日ぐらい長門のわがままに付き合ってやりたいしな。
―――
俺は、そんな長門の横顔を眺めていた。
綺麗で、整った白い顔。
やっぱりこうしてみると・・・・・・。

イカンイカン。
俺は両手で頬をバッチンとやった。

そんな俺を、長門は不思議そうな目で見つめている。
まずい、ニヤついてた?
何か言われるかなとか思ったが、何も言われなかった。
代わりに、華奢な腕をすーっと上げて、空を指した。
釣られて空を見る。
「空、綺麗だな」
今まで気付かなかったが、とてもその通りだった。
青空が映えるぐらいに雲が出て、爽やかな風が頬を撫でる。
視界の端に捉えた長門はこくりと頷いていた。
空を見せたかったのか。
嬉しいね。正直一生瞼に焼き付けておきたい景色かもしれない。

こうやって長門とゆっくり過ごすのが月何回かあってもいいかもな。

俺が睡魔に襲われて、赴くままにうたた寝に入ろうとした時だった。

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:03:53 (2732d)