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作者 | miha |
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作品名 | まとめサイト1周年記念SS |
カテゴリー | その他 |
保管日 | 2007-07-11 (水) 20:16:37 |
キョン | 不登場 |
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キョンの妹 | 不登場 |
ハルヒ | 不登場 |
みくる | 不登場 |
古泉一樹 | 不登場 |
鶴屋さん | 不登場 |
朝倉涼子 | 不登場 |
喜緑江美里 | 不登場 |
周防九曜 | 不登場 |
思念体 | 不登場 |
天蓋領域 | 不登場 |
阪中 | 不登場 |
谷口 | 不登場 |
ミヨキチ | 不登場 |
佐々木 | 不登場 |
橘京子 | 不登場 |
主「おい急進派、俺のノートを見なかったか?」
急「知らねえよ。何のノートだ。どうせ、しょうもないモンだろうがな」
主「失礼な! 俺が有希ちゃんについてまとめた大事なノートだ。
困ったなあ、あのノートには1年分の記録がつけてあるってのに」
急「大事なら失くさねえだろ常考。その辺に落ちてないかもう一度捜すんだな」
※ここから視点人物が変わります
団活を終え、俺はいつもの如く坂を下っていた。
相変わらず急な坂である。毎日上り下りしているのだから、下りる時に失うエネルギーを翌朝上る時に使えないものかと思ったりもするのだが…………そんなハイブリッドカー的な真似は人間ごときの俺には当然無理であって、ただただエネルギーを消耗するばかりだ。
もしかしたら、長門になら可能かも知れん。いやきっと可能だろう。時には世の物理法則を超越した動きすら見せる彼女には、単なるエネルギー保存則など何でもあるまい。
……そんな馬鹿げた事を考えながら歩いていた俺は、ふと目をやった先に落ちていたノートの表紙に、思わず仰天した。道端に無造作に置かれたそれには、たった今俺の思考に登場した、長門の名前が書かれていたからだ。
「有希ちゃんまとめノート」……?
何だこれは。
長門の落とし物か?
いや、それはない。持ち物には綺麗な明朝体で「長門有希」と書くのが長門だ。
そもそも、長門が物を落としたり忘れたりする筈が無い。
長門以外の「有希ちゃん」だろうか?
確かに、可能性は無くは無い。しかしこのノートの表紙に書かれた文字は、
自らを 「ちゃん」付けで呼ぶ女の子のものとは到底思えない、シンプル
な字体をしている。 飾りつけも特になされていない。どちらかといえば、
男性のノートに見える。
もしや、長門にファンが居て、そいつが……
大いに有り得る。長門、ああ見えて人気そうだしな。しかしこんなノート
をつける など、行き過ぎじゃあないか? ファンを通り越して、ストーカー
の域に達している。
暫く考えた俺は、このノートについて、早急に長門に伝える事にした。
一番困るのは、ストーカー的な人物の存在である。長門は構わんと言うかも知れんが、俺は嫌だ。許さん。お断りだ。今すぐこのノートを開いて中身を確認してもいいが、拾ったノートを道端でまじまじと見るのは、気恥ずかしい。とりあえず鞄に入れて、長門の所まで持って行こう。
そこから長門のマンションまでは、十分と掛からなかった。到着するや、すぐさま入り口のインターフォンに部屋番号を入力する。呼び鈴が数度鳴り、
「………………」
無言の長門が応える。先に帰っていたらしい。
「俺だ。ちょっと用事があってな」
「………入って」
エレベータで7階まで昇り、708号室へ。部屋で待っていた長門は一見いつもの無表情であったが、俺には少々の驚きを内包しているようにも見えた。そりゃそうだろう、ついさっき思い立ったばかりなんだからな。
相変わらず何もない部屋で俺は簡単に事情を説明し、例のノートを鞄から取り出した。
……そういや、俺もまだ中身を読んでいないんだった。長門も、表紙に自分の名が書かれたこのノートに割と興味があるらしく、顔を寄せてしげしげと眺めている。これが古泉だったら例のセリフを言う所だろうな。「古泉、顔が近い」と。
恐る恐るノートを開き、パラパラめくってみる。
中身は……
長門に関する様々の事で埋め尽くされていた。用語集あり、長門をかたどった顔文字(?)あり、ちょっとした小説のようなお話あり……長門について、かなり詳しく書かれている。
どう見てもストーカーです。本当にありがとうございました。
おいおい、誰だ、こんなモノを書いたヤツは。これは由々しき事態でありぞっとしない。
今すぐにでも犯人を引っ張り出して来て、もそもそと苦言を呈してやる。なあ、長門……
あれ?
長門はいつもの無表情で――俺の見間違いではない。絶対にだ――そのノートを閉じると、そのままこちらを見た。長門、このノートの事、知ってたのか?
「このノートの存在は、今初めて認識した。
ただ、このノートの書き手なら、知っている」
な、何だってー!
知っていたのか。驚いたぜ。それで誰だ、長門。こんなモノを書いたのは。
やっぱストーカーか。困っていたなら何時でも頼ってくれれば良かったんだぞ。
「情報統合思念体主流派」
情報なんちゃら……主流派……って、お前の親玉じゃあねえか。とりあえず変なヤツの仕業ではないようだから安心したが、何でまた……?
「わたしには理解不能。わたしについて考えることで喜びを得ていると推測される」
なるほど、その情報何トカ主流派にも、親心ってものがあるのかも知れんな。どうみても親バカだが……それで、おまえは構わないのか?
「……構わない」
そうか、本人がそう言うなら、親子の関係に俺が介入する必要はないな。
長門、このノートはどうする? ここに置いておいたら主流派が取りに来るか? それとも俺が元あった場所に返して来ようか?
「……わたしが元の場所に返して来る」
いや、長門、あの場所へは坂道を登らにゃいかんし、疲れるだろう。俺が行って来るぞ。
「……いい。帰りの下り坂でエネルギーを回復する」