作品

概要

作者電波の人
作品名紙飛行機
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2007-06-26 (火) 20:19:37

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹登場
ハルヒ不登場
みくる登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

「わー、キョン君うま―い。キョン君、次これ作ってー」
妹の言われるがまま俺はせっせと折り紙を折っている。
どうも妹の図工の宿題で何らかの動物を折ってこなきゃいけないみたいだ。
もちろんそんな器用なことが出来ない妹の代わりに俺が折ってあげているわけ。
俺も妹には甘いな・・・。
親戚の子供にも時々やってあげているからこれくらいは朝飯前だしな。
こらっ、お前もそんなはしゃいでないで何か折りなさい!
と少し渇を妹に入れながらも久しぶりのこの作業に俺は不覚にも少しはまってしまった。
次の日には学校に行く途中で折り紙を購入し、
ハルヒがいない間を見計らって折り紙をせっせと折っているくらいだ。
因みに今俺は文芸室にいる。
ハルヒは今度の不思議探査で金属探知機を導入するとか何とか意味不明なことを言って
そそくさと帰宅あそばれた。
古泉を何があってもいいようにと言って色々準備のため帰っていった。
つまり、今この文芸室には俺、朝比奈さん、長門と
誰が見ても羨ましがるようなジャンルの違う女神に囲まれながら幸せなひと時を過ごしている。
今なら気兼ねなく折り紙が折れるな・・・。
俺は鞄から折り紙を出し、鶴、飛行機、ライオン、タンスやDNAといった高度なものまでジャンルに問わず色々折っている。
「わ〜、キョン君、上手ですね〜。これなんてどうやって折るんですか??」
俺の耳に天使のささやきが聞こえる。朝比奈さんは俺が作った作品をきらきらした目で凝視している。
長門も本から目を放し、こちらを不思議そうな瞳で見ている。
もしかして朝比奈さんと長門は折り紙を折ったことが無いんですか?
「ふみゅ〜、ありません」
「・・・ない」
じゃ、俺が色々折り方を教えますから二人とも一緒に折らないか?
「え、いいんですか?じゃぁ、お願いします」
「是非お願い」
よし、解った。じゃぁ、最初は簡単な紙飛行機から折りましょう。

 

紙飛行機はこういう風に半分に折り目をつけ、
次にこの折り目にそうように小さな三角形を作ります。
それが出来たらさらに先端を45度に折り機体を折ります。
これで完成です。
あと、これは個人的な感覚だが、
ウイングレットのようなものをつけると安定性が増すかな?
俺の説明に朝比奈さん、長門は瞬きもほとんどせずに俺の手を
マジシャンのマジックを見ているような瞳で不思議そうに凝視していた。
これで説明は終わりですから、二人とも早速作ってみましょう。
「はい。頑張ります」
「わかった」
しばらくして、朝比奈さんはなかなか上手くいかず少しよれよれな紙飛行機を、
長門はまるで機械が作ったようなぴっちりとした紙飛行機を作り上げていた。
じゃ、完成したことだし飛ばしてみましょうか?
と言い、早速俺の紙飛行機を飛ばしてみる。
文芸室の端から端まで失速することなく俺の紙飛行機は空を切る。
長門の飛行機は俺のよりさらにシャープで戦闘機みたいな飛び方をした。
朝比奈さんのは少し空中でよれよれ思ながらもゆっくりと空を浮遊し床に着地する。
紙飛行機はそれぞれの個性が現れるから面白い。
あ、二人はこの話を知っていますか?
大分前に国木田から聞いた話ですが、
この文芸室からあの校庭の端に見える学校で一番大きな桜の木に
紙飛行機で自分の願いを書き、
それをあの桜の木まで飛ばすことが出来たら願いが叶うという
なんとも都合のいい迷信を。
「初めて聞きました。なんだかロマンチックですね」
と朝比奈さんはセリフで長門は俺に解る程度に首を傾げ俺の言うことに反応した。
どうせ迷信ですが、せっかく紙飛行機があるのですからやってみません?
「いいですね」
「いい」
そう答え、皆自分の書いた願いを他の人に見られないようにし、
紙飛行機を桜めがけて思いっきり飛ばした。

 

幸運なことに三人ともあの大きな桜の木に紙飛行機が引っかかった。
あ、当たっちゃいましたね。なんか嬉しいですよね。
朝比奈さん、長門は何の願いを紙に書いたのですか?
「え、私ですか?う〜ん、禁則事項です」
「私は現状維持」
朝比奈さんは禁則事項ですか・・・。長門は随分リアルな願いを書いたんだな。
「貴方は?」
ん?俺の願いか?俺はSOS団の皆がいつまでも仲良く今のような状態を保てるようにとお願いしたな。
長門と少し似ているかな?
あ、もう下校時間ですね。キョン君・・・「わかってます。外に出ますから着替えてください」
「あ、はい」
着替えが終わり、朝比奈さんが出てくる。
あれ?長門は帰らないのか?
「私は少し用事がある。鍵は私が閉めるから先に帰っていい」
長門がそういうので俺と朝比奈さんは先に帰宅することにした。

 
 

私は彼と朝比奈みくるの帰宅を確認したのち、
私しかいない文芸室でもう一枚願いを添えた紙飛行機を作成する。
これは彼の言うとおりただの迷信・・・科学的根拠なんてまるでない。
なのに紙飛行機を作っている自分がいる。
この紙飛行機は先程彼に教えた願いとは違い自分の本当の願いを綴ったもの。自信作。
それをあの夕暮れに染まった大きな桜の木めがけて飛ばす。
真っ直ぐシャープに進む。さすが私が作成した紙飛行機。
このままあの桜の木に届くのは明らか。
あっ、旋風。紙飛行機にそれが襲い掛かる。
結局、紙飛行機は無常にも空中で形を崩し、
桜の木に届くことはなかった。
何故?
今のこの下らない迷信でさえ、私の気持ちを叶えてはくれないの?
私の思う願いは決して叶わないのだろうか?
私の願いの主人公である彼はやはり人間界で言う神の物なの?
無残に校庭の真ん中で息絶えた紙飛行機を見つめながら私はそう思った。
私は鞄を取り、無意識に床に落とした一粒の水滴を残して帰宅した。

 
 
 

END

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:03:49 (2704d)