作品

概要

作者なにかよからぬもの
作品名Knight Save the Prince 第一話 『エンカウンター アンド ビギニング』 
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2007-05-04 (金) 19:23:44

登場キャラ

キョン不登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

―――物語の始まりは新たな出会いを予感させる涼やかな風の吹く春の日だった―――

 
 
 
                『エンカウンター アンド ビギニング』
 
 
 

「―――ン君、キョン君起きてー!」

 

…ん、なんだ我が妹よ。
昨日もさんざんあいつに振り回されて俺はまだ眠いんだ。
そっとしといてくれ…

 

「今日はキョン君に護衛の騎士さんが来るんでしょー?
だから早く起きなきゃダメなんだよー。
早く起きてー!」

 

…ああ、そういえばそんな話があったな。
んん…本当はもっと寝ていたがせっかく俺のために来てくれる騎士との初対面が寝起き姿とはさすがに失礼だろう。
仕方ない、起きるか…

 

…ああ、初めまして俺の名前はキョン。
本名は………いや何でもない。
まことに不本意だが今やあだ名が本名かと思われている次第だ。
これでも一応この国の王子という立場になってる。
まあ、王子といってもあいつのトコとかと違ってかなりの小国だけどな。

 

…え?
あいつって誰だって?
ああ、ハルヒのことか。
涼宮ハルヒ、さっき言ったとなりの大国の王女だ。
隣の国の王子と王女という関係もあってか、小さい頃からの知り合いで、今でもよくあいつの起こす迷惑騒動に巻き込まれている。
あいつは世間一般の王女のイメージからは地球から海王星ほどかけ離れている。
容姿、頭脳、身体能力等は申し分がないのだが、最後の性格がぶっ飛んでいるとしか言いようがない。
お忍びで城下を散歩なんてかわいいもんだ。
夜中に城を抜け出して城の中庭に謎の落書きはするは、
盗賊とガチンコ勝負しに行ったり(俺も無理矢理連れて行かれた。あの時はマジで死ぬかと思った…)、珍しい動物を捕まえに行くと行って1ヶ月ジャングルに行って国中を大騒ぎさせたり(この間やはり俺も無理矢理ハルヒに連れられて1ヶ月ジャングルにいたが、俺のところは誰も心配していなかった…)等、マンボウの卵の数ほどのハルヒ伝説があるのだ。
そのおかげでハルヒの名はとにかくスゴイ王女だと言うことが遠くの国まで知れ渡っている。
…無論不名誉な意味でだが。

 

んで、その王女様が突然

 

「あんたねぇ、護衛の騎士ぐらい居なくてどうすんの!
あんたみたいのでも仮にも一国の王子なんだからね!
………それにあんたに何かあったらどうすんのよ………」

 

などと抜かしてくれたのである。
最後のほうはゴニョゴニョ言ってたのでよく聞き取れなかったが。
あのハルヒが俺の心配を?!
明日は大地震が起こって大陸ごと沈んで後世には幻の大陸があったなどと語りつがれてしまうかもしれない。

 

「ちょっと何その態度は!
このあたしが心配してやってんのに!
とにかくあんたにはあたしのトコからとびっきりの護衛を送ってあげるから感謝しなさい!」

 

とびっきりってなんだよ。
もし緑色のタコ人間が来てみろ。
俺はその場でショック死してしまう自信があるぞ。
ああ、果てしなく不安だ…
というわけで今日その護衛の騎士さんとやらが来る日なのだ。

 

…本当に大丈夫だろうな。
ハルヒの言うことは大概俺の予想の斜め上をぶっちぎっていくのだ。
ああ、何か緊張してきた…
たぶん今の俺は蛇ににらまれた蛙のごとく何か嫌な汗をだらだらとかいていることだろう。

 

「キョンくーん、ゴエーの騎士さんが来たよーっ!」

 

何ー!?
ちょっと早すぎやしないか!?
読者の皆さんには分からなかったと思うが今俺は着替えを終えたばっかなんだぞ。
俺にも心の準備ってモノが―――

 

「失礼します、王子…」

 

キター!!
もしこれで緑色のタコ人間だったら…

 

…前にも言ったと思うがハルヒの言うことは大概俺の予想の斜め上をぶっちぎっていくのだ。
そして今回もその法則は守られた。
おいおいマジかよ…
普通騎士とか護衛と聞いたら筋骨隆々の汗くさそうな体育会系の熱血漢を思い浮かべるもんだろう。
しかし今俺の目の前にいる人物は―――

 

「長門有希、今後はあなたの警護及び護衛を担当することになる」

 

淡い藤色の髪は短く切られており、まるで銅像のようにどこまでも無表情だが整った顔立ちをしている。
眼鏡をかけているがその奥にある瞳は夜空のようにどこまでも深く澄んでいて吸い込まれそうになる。
女子の中でも小柄な方にはいるのではないのだろうか。
細く抱きしめたら折れてしまいそうな華奢な体。
とても護衛兵など務まりもなさそうなこの小さな騎士に俺は一瞬目を奪われていた。

 

…いかん、何をぼーっとしているんだ俺は。
挨拶をしなくては。

 

「あー、そのよろしく長門さん。
…でも本当に君みたいな女の子が俺の護衛なんて―――」

 

続けて言おうとした言葉は俺の口から出ることはなかった。
何故なら長門有希が突然目に見えないほどの速度で剣を抜き俺の顔すれすれに振るったからだ。
………アノナガトサン、イッタイナニヲ?

 

「…蠅が王子の顔にとまろうとしていたので。
失礼」

 

………ソウデスカ。
やっとこの状況を把握し足元を見ると見事に一刀両断された蠅の死骸があった…

 

「―――光栄だよ。
ハルヒに感謝しなきゃな。
こんなとびっきりの騎士を送ってくれて。
ハハッはハハッ派は………」

 

俺が少し壊れ気味になっているのを見て不審に思ったのか、ミリ単位で首をかしげてくる長門さん。
…こうなったのはあなたのおかげですよ。
長門も気を取り直したのか小さなかわいらしい手を差し出してきた。

 

「…以後よろしく」
「ああ、よろしく。長門さん…」

 

柔らかい手を握り返しながら俺はハルヒにこの長門有希という人物について尋問する必要性があると判断し、とりあえずこれから超特急でハルヒに怒鳴り込むことを遠い目をしながら心に決めた。

 
 
 

―――これは昔々のある王子と騎士のお話。二人の物語はまだ始まったばかり―――

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


トップ   編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:03:41 (3084d)