作品

概要

作者江戸小僧
作品名休日の過ごし方
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2007-05-01 (火) 00:57:47

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

 陽だまりであくびをする猫のようにお気楽な春休みを満喫していられるのもあと数日という日。珍しく、今日は秘密結社の如く掟に厳しいSOS団の拘束がない。こんな日こそ、普段はできない人間らしいことをしなくてはいかん。
 朝飯を食い終わった俺は、財布の中身を確かめた。よし、足りる。今日こそ己の創造力を掻き立てるべく、新しき情熱の源を手に入れるぞ。最近、谷口に借りてばかりでちょっと嫌な顔をされてるからな。たまには俺からも提供しないとマズイ。ハルヒあたりは知らないだろうが、凡人の世界は相互依存することで良好な関係が築けるのだ。
「あー、キョン君。起きたばっかりなのに、どこ行くの」
 こいつにヘタな事を言って、一緒に連れて行くハメに陥る訳には行かない。今日は長門の笑顔のようにこの上なく貴重な、我侭魔王に邪魔されずに過ごせる一日なんだ。
「クラブ活動の準備だ」
「ふーん」
 頼むぞ。これ以上追求するな、一緒に行っていいかなんてオフクロに聞いたりするなよ。
「で、どこ行くの?」
「電車に乗らないといけない、遠い場所だ」
 妹はここで、にへらと笑った。
「キョン君1人で?」
「そうだ。他人を巻き込めない、とっても退屈な用事だからな」
 これ以上はボロが出る可能性がある。俺は素早く靴を履いた。後ろを振り返ると、妹は既に俺への興味を失ったのか、電話を手にしていた。
 愛機が爽やかな風を切る。なんでもない日の、なんでもない風景。そうそう、世はなべてこともなし。頼むから、今日1日位はトンデモ事件とは無縁でいさせてくれ。
 自転車に鍵をかけ、駅に入るところの俺をあだ名ではなく本名で呼ぶ声があった。
 誰だ?
 「あの……」
 おい俺。いつの間にこんな美人と知り合いやがった。俺にも紹介しろ。
 すらりとした体つき、はっきりした目鼻立ちが目立つ女の子だった。明るいミントグリーンのニットと斜めにかけたポシェットが、あどけなさを残した顔に似合っている。
 「私……その」
 ん? その声――まさか、ミヨキチか?
「……は、はい」
 ミヨキチは真っ赤になって俯いてしまった。いかん、お下げをおろしたその顔立ちがあまりにも大人っぽくなっていたのでじっと見つめてしまった。すぐに名前が出てこなかったので怒っちまったか。
「久しぶりだな。いや、ちょっと見ないうちにこんな美人になってるもんで、見違えたぜ」
 およそフォローになってない言葉が、焦る俺の口から零れてゆく。
 ミヨキチは俯けた顔を上げようともしない。
 うーん、マズイ。こんなところを誰かに見られたら、いじめてると間違われちまう。
「今日は買物かい?」
「はい。あの……お1人、ですか?」
「ああ。珍しくな」
「私……中学受験用の参考書を買いに行くんです。その……もし同じ方向に行くなら、途中までご一緒してもよろしいでしょうか?」
 とてもダメと言える顔じゃない。というか、こんなに可愛くなったミヨキチを街中で1人にしておくのは危険すぎる。そんなこと、俺が許さん。
 ま、いいさ、本屋まで案内してやろう。彼女には本屋にいてもらって、俺はその間に自分の買物を済ませればいい。ついでに、どうやったら妹が俺を「お兄様」と呼ぶようになるか、相談してみよう。
 ホームの陽だまりに2人で立っていると、ミヨキチが遠慮がちに小学校の話をしてくれた。女の子だからだろうか、時代が違うからだろうか、俺の時代とは日々の話題が違うようだ。俺の頃には、遠い地の都知事の事なんて誰も話題にしなかったのにな。
 と、俺は自分の横に立つもう1つの影に気が付いた。やけに見慣れたこの影は……。
 「あなたの今日の行動は特異」
 長門、そりゃお互い様だ。お前が1人で外出とは意外だぜ。制服姿は相変わらずだが。
「……」
 あー、どうした。
「今日はSOS団の活動はない」
 だから今日のうちにどうしてもやりたい事があるんだ。頼む、見逃してくれ、長門。ハルヒ達には内緒ってことで。今日だけは無事に俺の用を済ませたいんだ。
 絶対零度の瞳が反対側にいるミヨキチを捉えているようだった。
「私も用事がある」
 そうか。宇宙規模の用事じゃ俺は役に立ちそうにないな。ま、頑張ってくれ。
 俺の右袖が引っ張られた。
「この交通機関を利用して繁華街と呼ばれる地域に行く必要がある。あなたのナビゲートを要請したい」
 いつもは金属質の黒い瞳が、春の気まぐれなのか、陽を映す川面のように輝いている。
 いつもお世話になってるコイツの頼みを断るのは論外だ。しかし、1人にしたら5分に1回はけしからん奴が寄ってきそうなミヨキチの事も守らねばならん。今更俺の心に燃え上がった情熱の炎を消すことも決してできはしない。
「本屋とかに寄ってもいいか」
「問題ない」
 長門はいつものように顕微鏡的スケールで頷いた。
 さて、俺は高校生になってから何度も複数の女性と一緒に行動した。これまでは常に臨界点ギリギリの奴がそこにいたり、やたらと無口少女を怖がるお方がいたりして常に気が休まる時がなかったが、今日は俺的評価ではどちらも一番のしっかり小学生と冷静沈着高校生(実は宇宙人)との3人だ。穏やかな1日になると思ったんだが……なんだろね、この雰囲気は。
 俺の気のせいかもしれないが、空気が少々固い。
 長門は無言。これはいつもの事だ。
 ミヨキチも無言。なんか、長門の事を気にしているように見える。といっても、怖がっているようではない。アルカイックスマイルを浮かべるわけでもなくただ黙ったままの姿がデフォルトの、サモトラスのニケ像に匹敵する凛とした風情の長門に対して我が妹のように遠慮なく抱きつくのは上品なミヨキチには無理だろう。しかし、それにしても何となく長門に向ける視線が固いような。知らない相手なんで緊張するのか?
 おまけに、周りの視線が痛い。空いている車内で3人並んで座ってる訳だが、片方には時が止まったようにじっと動かない制服を着た女子高校生。もう片方には俯き加減で時々口を開きながら一言も発しない見た目中学生か高校生の私服の女の子。この3人を兄弟と間違える奴はいないだろう。しかもこんな風に黙りこくっている。他人からは一体どんな関係に見えるのか、チラチラと来る視線が妙に痛い。
 目的地に着くまでにすっかり気疲れしてしまった。
 さすがに春休み期間だけあって、駅の周辺は同じような年代の奴らがごった返していた。こんな時に意味なく唐突に現れる奴の事を思い出し、何も起こらないうちにさっさと本来の目的地の比較的近くにある本屋へ向かう。
「わー、すごいですね」
「……」
 長門は早くも帰巣本能に導かれるかのように奥へ向かっていく。
「長門、暫くここに居てくれ」
 返事はないが、あいつのことだから大丈夫だろう。
 一方、ミヨキチは俺の袖を引っ張るようにして参考書のコーナーを目指す。うん、このいかにもおそるおそるという感じのつかまり具合がいいね。妹なんざ今だに思い切り引っ張って駆けていこうとするからな。
「こんなにあるんですか、迷っちゃいます。あの、良か――」
「ゆっくり選んでてくれよ。俺はちょっとだけ寄るところがある」
 ミヨキチ、頼むからそんな哀しそうな顔しないでくれ。できればこのままお前の兄のように親鳥が雛を守るようにずっと付き添っていたいんだが、ほんの少しだけやることがあるんだ。
 何を考えているのか良くわからない表情を浮かべていたミヨキチは、突然笑顔になった。
「わかりました。私、ここにいます。あの……待ってます」
 なんで頬が赤くなるのか知らんが、ま、ゆっくり選んでてくれ。ここならナンパしようなんていうけしからん奴も寄ってはこないだろう。
 俺は念のために店を出てから振り返った。よし、どちらも俺を尾行なんてしてないな。これで本来の目的を果たせそうだ。

 

 俺が戻った時、一体なにが起こったのか参考書のコーナーには2人が揃っていた。
「お、お帰りなさい」
 ああ。ひょっとして2人で何か盛り上がってたのか? なんか顔が赤いけど。
「い、いえ。別に」
 長門の方は僅かに髪を揺らし――気のせいか? 今、一瞬目を逸らしたような。
「で、良い参考書はあったかい」
「はい。今買ってきます」
 本屋を出た俺は、ミヨキチを見た。
「どこか、行きたい場所なんてあるかい」
「いいんですか?」
 俺は長門の顔を確かめてから頷いた。
「えー、嬉しいです! それじゃ……」
 ミヨキチが張り切って提案した場所へと行く。うーん、男同士だと入れないんだよな。
「これ、かわいくていいですよ」
 慣れているのか、ミヨキチは1つの台を選んだ。請われるままにミヨキチと中に入る。プリクラなんて、俺にとっちゃ妹につき合わされる位だ。
「フレーム、何がいいですか」
「まかせるよ」
 さすがにミヨキチ、マンガキャラクターのフレームなんて選ばないんだな。
 俺の左腕に触れるか触れないか位にミヨキチが体を寄せる。
「笑っててくださいね」
 ああ。言われなくても頬が緩むよ。このままミヨキチが俺の妹になってくれたら俺の毎日は光り輝くものになるだろうな。
 白光に包まれ、写真が撮られる。
 どうやら納得のいく出来上がりらしく、ミヨキチは嬉しそうに台でボタンを押す。出てきたシールを胸に抱く姿は、そりゃかわいいものだった。
「私、大事にしますから」
 ミヨキチは丁寧に2つに分けたシールを俺に渡しながら微笑む。ま、友達にからかわれないようにな。俺が原因でからかわれたり誤解されたりしたんじゃ申し訳が立たない。
 さ、それじゃ飯でも――
 厚いカーテンを潜り抜けた俺を、溶鉱炉の中の鋼みたいに輝く瞳が見つめていた。
 長門は黙って俺を再びカーテンの内側に引っ張り込む。おい、使い方わかるか?
「大丈夫」
 長門は台に硬貨をいれ、俺の隣に立つ。
「……」
 頬を何かサラサラしたものがくすぐる。何だ?
 そう思ったときにはシャッターが下りていた。
 とてとて、という感じで台に向かったかと思うと、微かに不満げな顔で戻ってくる。
「もう一度」
 なんだ。目でも瞑っちまったのか?
 またも、左頬をくすぐる感触。今度は何か暖かいものがすぐそこにある感覚。
「動かないで」
 ……あのー、動きたくても動けないんですけど。何かされたんでしょうか? 長門さん。
 白光が俺達を包む。と思うと、動けるようになっていた。
 今度の結果はご希望に沿っていたでしょうか?
 長門はフレームを使わず、その代わり手書きとは思えない筆捌きで装飾をしてみせた。なんで身長差がある俺と長門の顔が並んで写ってるんだ? いや、言わなくていい。
「これは、大事なものに貼ることが一般的な使用方法と聞いた」
 まあそうだ。しかしな、長門。部室の備品や本にはそいつを貼らないでくれよ。余計な誤解を受けるから。
「……了解した」
 それより昼時だ、良かったら昼飯を食べないか?
 ミヨキチは嬉しいような困ったような顔をしたが、もう1人はいつも通り無言ながら態度で明確に意見を表した。よし、たまにはファミレスやハンバーガーショップとは違う店に行こう。
 1人だったら入らないような、壁に掛かった黒板に手書きでランチメニューを書いてある洋食屋に入る。俺はミックスフライにした。長門は200gを誇るというハンバーグ。ミヨキチはサワラの香草焼き、相変わらず小食らしい。
 ランチに付いてきたコーヒーをミヨキチは俺の真似をするようにブラックで飲んでいたが、かなり苦そうにしている。ミヨキチも年上の真似をしたがる歳になったのか? なんか、そういう感覚って懐かしいな。
 さて、ミヨキチが席を立っているうちに長門に聞いておこう。
 なあ、お前の用事はどんなものなんだ。
「問題ない。順調」
 ん? まさか、もう終わったのか?
「行きたい場所がある」
 まだ時間は随分あるしな。良ければつきあうぜ。
「了解した。あなたは――」
 なんだ?
「ああいう服が好き?」
 ああいう服? なんだ、ミヨキチの服か。うーん、彼女には似合ってると思うぞ。服ってのはTPOもあるが、人によって似合う似合わないがあるからな。俺なんか、古泉みたいな格好したらきっと服だけ浮いちまうぜ。
 そこにミヨキチが帰ってきた。
「あの、今日はありがとうございました」
 構わないさ。
「それより、これからまたご用事ですか?」
 思わず俺はカバーオールの膨らんだ右ポケットを押さえていた。大きなポケットなので中味は見えない。この辺、抜かりはないぜ。
「俺の用も終わったよ。後は長門の用事だな」
 ミヨキチは一瞬顔を俯けたと思うと、ちょっと怒ったような顔を上げた。
「私もご一緒していいですか」
 長門はミヨキチの言葉に何の反応も示さない。
 んー、いいんじゃないかな。
「ありがとうございます」
 長門が俺達の先に立って向かった先に、俺は完全に意表をつかれた。
「えー、ここって結構高いんじゃ……」
 都市部にあるマンションの家賃に匹敵するような服はあまりないだろうが、今日の俺なら手が出ない値段ばかりみたいだ。
 ミヨキチはここの服の値段に驚いてるようだが、俺は我が読書型宇宙人がこのテのショップを知ってることに、織田信長が茶道に傾倒していたと聞いた位に驚きだ。朝比奈さんにでも教えてもらったのか?
 長門は一度だけ俺に振り向くと、おもむろに服を選び始める。長門って、自分自身でどんな服選ぶんだ? 想像がつかん。
 自信ありげな足取りで選び取ったのは、白いジャケットと藤色のカットソー。
 あれ? つい最近見たような気がするのは何故だ。誰が着てたんだっけ?
 嬉しそうに寄ってきた店員に連れられ、試着室へ向かう。暫くしてカーテンが揺れたかと思うと、店員が笑顔で薄い色のニットスカートとパンプスを運んでいった。
 やがて、試着室から長門が目で訴えてくる。
「あの、呼んでるんじゃないですか」
 ああ。そうらしいな。
「いいんですか?」
 俺にあそこまで入ってけって言うのか? 勘弁してく……はい、行きます。だから体に穴を開けるような目つきで睨まないでください、長門さん。
 デスバレーから飛び降りる覚悟でミヨキチを連れて試着室まで突入を図る。カップルだって殆どいないこのショップの中に男の俺が入っていくのは、なかなかの羞恥プレーだぜ。
「かっこいい……」
 うん。似合ってる。いつも制服着てるとは思えない。
 それにしても、誰のファッションを参考にしたんだ? 絶対に見た覚えがあるんだが、まだ思い出せない。
 長門は禁断の理論を実験中の科学者の目で俺を見つめていたが、やがてカーテンを閉めた。中で衣擦れの音がする。
 さすがと言っていいのか、カードで買ったようだ。ところで、そのカード黒いように見えたんだが、どうなんだ?

 

 駅に着き、この奇妙な3人組の解散の時となった。
 ミヨキチは真っ直ぐ俺に体を向けた。
「今日はありがとうございました」
 深々と頭を下げる。
 よせよ、他人行儀だな。どうする? 多分妹もいるだろうし、家に寄ってくか?
「いいえ、今日は失礼します」
 小学生に見えない大人びた顔をした少女は、胸を膨らませて深呼吸をした。
「私、負けませんから。まだ、大きくなるし」
 え?
「それじゃ、また。さようなら」
 それだけ言うと、ミヨキチは本を胸に抱くようにして駆けていった。
 やれやれ。せめて家まで送っていったのに。
 長門はブランド名が書かれた紙袋を肩にかけた制服姿でまっすぐ俺を見つめた。
「今日のあなたはずっと楽しそうだった」
 ああ。久しぶりに休みを満喫したぜ。
「最後にもう1つ、調査に協力して欲しい」
 ああ。できることなら何でも協力するさ。
「あなたは……将来、娘を望む?」
 うーん。いつも俺の時間を邪魔する妹そっくりの天衣無縫な娘。ミヨキチみたいな素直でよくできた娘、長門のように物静かで絶対の信頼がおける娘、朝比奈さんの如く天使のような輝きを周りに与える娘、ハルヒを引き継ぐような周囲を巻き込んで世界を攪乱する娘。うん、娘なら何人いてもいいかもしれねえ。
「そうだな。将来の事だが、娘がいたらきっと毎日が楽しいだろうな」
「そう」
 短髪の宇宙人は、その黒い瞳に暖かい輝きを灯した。
「今日は調査が進んだ。感謝する」
 そう言って、なぜか俺のカバーオールの裾を左手でそっと掴む。
 どういたしまして。お前のためならいつでも最大の努力を惜しまないよ。
 長門は1つ頷き、マンションの方角へと歩いていった。
 家に帰ると妹がやたらと今日の事を聞いてくる。何を買ったかなんて、言えるか。お前の兄は誰にも言えない男のロマンを持っているのだ。追求は諦めろ。
 その夜。俺は妹の部屋の電気が消えたのを確認してからゲーム機を取り出した。念のために携帯の電源も切る。
 情熱をぶつけるには、あらゆる邪魔を排除しなくてはいけない。
 さて、いよいよ今日のメインイベントの始まりだ。
 カバーオールに入れたままにしてあった薄いブツを、そのポケットから取り出す。中味が見えないように配慮した黒いビニール袋の口を閉じたセロテープを剥がすと、その中味が電灯の下に輝いた。
 長かった。実に長かった。新しいネタなんて、一体どれだけ振りだろう。一生懸命選んだぞ。妥協せず、じっくりと。
 慌てずに取り出す。
 あれ? この写真……白いジャケットの下で隆起ギリギリまで捲り上げられたカットソーが写っているこの服装。つい最近どっかで見たような。
 一体なんだろう。そう思いながらも、包装を破りとり、中のDVDを……
 長門よ。お前が器用なのは知ってる。だから、こういう事ができることには驚かないさ。しかし、これは何かの警告のつもりか? それとも、皆には黙ってるから心配するなって意味か?
 俺の情熱を受け止めるはずの家族には見せられないDVDのレーベル面には、昼間に長門と一緒に撮った写真のシールが貼り付けてあった。
 そして、滑り落ちる栞。
 まさか――
『胸の大きさに執着するのはこの弓状列島の住人にとって適切ではない。よって、この媒体の鑑賞は1週間に1回に限定することを強く推奨する』
 ……勘弁してください。俺、情熱を持て余してるんです。

 

 情熱に突き動かされて3回見た次の日、いつの間にか俺の背中に例のシールが貼られていてハルヒに見つかったのはまた別の話だ。

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:03:40 (2731d)