作品

概要

作者ありがとう
作品名『有希の一日団長』
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2007-04-13 (金) 20:29:30

登場キャラ

キョン不登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

「さあ有希!ビシっとキメなさいっ!」
「無茶言うな。長門はそんなキャラじゃないだろ」
今は放課後、場所はもちろん文芸部室。
真面目な読書娘の人権を守るべく、傲慢なワガママ娘に宣戦布告をしたところなのだが、
機関銃のように繰り出されるハルヒのヘリクツを華麗にスルーしつつ、
シングルアクション程度の火力で立ち向かう俺に限界が近づいてきた頃、
「わかった。問題無い」
左腕に腕章を装着した長門は力強く頷き、丁寧に上履きを脱いでからイスの上に立ち上がると、
「……私が団長の長門有希。よろしく」
なんとも先行き不安な団長襲名式ではあったが…これでハルヒのご機嫌も直るだろう。
よくがんばったぞ長門。長門?
「みんな一丸となって…がんばっていきまっしょーぃ」
「………………」

 

野球部の掛け声がやけに大きく聞こえる。今日は気合いが入ってるじゃないか。我々も負けてはいられないな。
目をゆっくりと閉じて熱心な野球部にエールを送り、もう一度辺りを見回す。
「ちょ、ちょっとキョン。なんか言ってあげなさいよ」
どうした?おまえが小声とは珍しいな。…やれやれ。限界だな。現実を受け入れよう。
そこには、左手を腰にあて、宇宙に向けて右手を突き上げ、耳を真っ赤に染めた長門団長が固まっていた。
「長門。とりあえず座ろう。それから汗を拭こうか」

 

そもそも長門が、
「………」ショボーン
と落ち込む原因を作ったのはハルヒの思いつきだ。
どうせニュースか何かで見たんだろ。『一日署長』ってやつを。
まぁそれ自体に文句は無い。誰がなったとしてもハルヒよりはマシだろうからな。だがよりによって…
「だって有希が一番意外でしょ?それに思ったとおり…あっ」
ゴン。
今日の指定席である団長机に頭突きをかまし、そのままの姿勢で独り言を言いだした。
「……モウヤダ…オウチカエリタイ」
「馬鹿ハルヒ!せっかく忘れかけてたんだぞ」
長門なりに気を遣ったんだよな。普段はおとなしい自分。そんな私が何を言うのか皆が期待している。
どうしよう、何か面白いことを言わなきゃ。でも冗談は苦手だし…そうだ!モノマネ!
ってなところだろう。アレがモノマネと言えるかは別として、間違った判断ではなかったと思う。
「みんな少しビックリしただけさ。お、俺は面白かったぞ」
するとゆっくり顔を上げ、楽しみにしていた遊園地を直前でキャンセルされた子供のような表情で、
「………うそつき」
ついでにデコも赤かった。

 

出だしからつまずいた長門の為かはわからんが、ハルヒがこんなことを言いだした。
「何かやりたいこと無い?今日はワガママし放題よ!」
「そうですね、僕も興味があります」
「何でも言ってください!あ、あの…バニー以外なら…」
いっそこのまま団長職を続けては?なんてことを考えるほどみんな協力的だ。
もちろん俺も例外ではなく、
「どうだ?長門」
まだ若干デコの赤いイジケ面は古泉を2秒、ハルヒを5秒、なぜか朝比奈さんだけは0.5秒見つめ、
その瞳を俺に合わせて2分ほど経過した後、ささやかな団長命令を告げた。
「………酒池肉林」

 

「ところで長門さん。なぜ僕だけスクワットなのでしょうか?」
「…思いつかなかった。いいから続けて」
部室の片隅で筋トレをする古泉はともかく、長門にこんな欲望があったとは驚きだ。
ハルヒが購買で買ってきたメロンパンを食べつつ、さすがに酒は無理なので朝比奈さんのお茶を飲み、
俺に肩を揉ませる長門はずいぶん嬉しそうだ。
「……もっとやさしく」
「こりゃ失礼」
たまにはいいよな。SOS団の影の功労者である長門様にも休息が必要だ。
いつもありがとう、長門。
「…しあわせ」

 

「じゃあこれで解散ね。有希、またやりたくなったら言いなさいっ」
世話好きな近所のおばちゃんみたいな笑顔を残して消えていった。
長門感謝デーもこれで終わり。少々名残惜しい気分ではあるものの、また次もあるしな。
次の機会までには肩揉みテクニックを身につけておこうかね。
そんな事を決意しつつ部室を出ようとした俺は足を止める。いや止められた。
「…………」
俺の袖をつかむ懐かしい感触。振り向いた俺の耳にくちびるを寄せ、
「……私の体はまだほぐれていない」
「あーすまんな。今度はもっと…」
言いおわる前に左腕の腕章を見せつけ、
「…正確には今日の0時まで私は団長のはず。家に来て。これは命令」
それはかまわんが…なぜ?
「衣服の上からでは効果が薄い。……直に揉んで」
「つまり?」
ドキっとした。俺を見上げた長門の顔は、
好きな男性を射止めるために、悪いことだと知りつつも酔ったふりをしてしまう清楚なお嬢様のような、
そんな色気を感じさせた。
「……さっきの…つづき」

 

その後のことは割愛させていただく。
言えるとすればあの夜の出来事は、
扇情的かつ情熱的、もしくはそれに準じる何かであり、長門の背中は白く柔らかく、
腰を触られるのに弱いという事だけさ。これ以上は言いたくない。

 

あぁそれから、
「…あなたの揉み方は上手。……きもちいい」
もちろん変な意味じゃないぞ。…たぶんな。

 
 

END

 
 


トップ   編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:03:33 (3088d)