作品

概要

作者輪舞の人
作品名思春期の過ち
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2007-04-09 (月) 18:45:12

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 
 

「武士の情けって言葉の意味、わかるか?」
「解析できない」
「ぜひ解析できるように努力するべきだ」
「必要であるなら。でもこれは返却しない」

 

―ある男子高校生と、ある情報端末の会話―

 
 

放課後、いつものように部室に顔を出す。ルーチンワーク。
少しきしみの音がする扉を開けると部室にはまだ1人しか来ていない。長門有希だ。
いつもの窓際の定位置にお決まりのバイプ椅子。いつもの姿勢のまま座っており、これまたいつものように読書にふけっているごく当たり前の日常の光景。
俺はこの時、昨日何の用があったのかうやむやのままに自宅に押しかけてきた、この宇宙人製アンドロイドにその真意を問いただそうと思っていた。

 

いったい何をしにきたのか、いつもの無感情な声で「今日、あなたの家に訪問したい」とだけ告げたあの時の情景が思い出される。
部屋に通すだけは通したが終始無言。間が持たなくなった俺が仕方なく茶菓子でも出そうと一度下に下りて台所から出る頃には、当の来訪者である長門はすでに玄関で靴を履いている途中だった。
「帰るのか。何しに来たんだよ、おまえ」
「訪問調査。目的は達成」
「なんだそりゃ」
俺の質門にはそれ以上答えることなく、緑茶と茶菓子を載せた盆を持ったままの俺を無視してさっさと家から出て行ってしまう。 俺は呆然としてその後ろ姿を見送るしかなかった。
それが昨日のことだった。

 

「なぁ、長門」
「なに」
いつもの無感動な声。視線はひざの上の本に釘付けのまま。
「昨日のありゃ、いったいなんだったんだよ」
「言ったとおり」
ページを1枚めくる。
「訪問調査」
「何を調べにきたって?」
要領の得ない返答に俺はほとほと困り果てていた。
するとさらに返答が戻る。
「対象の嗜好傾向。思春期の男性に特有の行動パターンの解析。いろいろとユニーク」
「なんのことだ? 嗜好? パターン? 俺にはさっぱり……」
「金髪」
ページをめくる音。
……なに?
「平均値を上回る胸囲。臀部への執着」
ページをめくる音。
……おい。
「この国家においては違法とされる物品の所有。違法と知りつつもそれを犯すほどの熱意。情熱」
ページをめくる音。
……待て、待て。

 

「ちょっと待て!」
俺は長門のひざの上に載っていた本を急いでとりあげる。
「……これは」
これは、国木田の野郎が親戚の土産とか抜かして、袋に入れたまま無理やり渡したブツじゃないか!
確かにベッドの下に隠しておいたと思ったのに!
「……無修正。スウェーデン。直輸入」
その無慈悲な単語を並べる長門の視線は、これまで見てきたどんな時よりも冷たく、鋭かった。
「あ、あのな、長門よ。それは……」

 

「……えっち」

 

 カウンター。音声による、それは打撃だった。
すさまじい破壊力を秘めたその言葉と同時に、俺は両膝をがっくりと落とし、無言のまま俺を見下ろしている(はずの)長門の前に屈していた。

 

……以来、長門は、3日間俺との会話を拒否している。

 
 

―終―

 
 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:03:32 (3094d)