作品

概要

作者書き込めない人
作品名長門さんと九曜さん
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2007-04-03 (火) 20:48:21

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

肌寒さもなくなりそろそろ半袖シャツの出番だな、
と感じるようになったある日のこと、
俺は所用で図書館に向かっていた。
と言っても俺が司書になったわけでも、はたまた文学に目覚めたわけでもなく、
単に妹が借りていた本を返しに行くだけである。

 

小学校の最高学年となったわが妹は、
遊びに行くからと言って、兄である俺に図書の返却を命じてきた。
この命令が口頭による物なら反論も出来るが、
昼前まで惰眠をむさぼっていた俺が目にしたのは、
机の上に置かれた妹名義の命令書だけだ。

 

まぁ久しぶりにゆっくり寝かせてもらったわけだし、
言うことを聞いてやっても良いが、
やはり面と向って頼んでもらいたかったぞ。

 
 
 

とにかくそういうわけで、
俺はのんびりと図書館に向っている。

 

そういえば、図書館なら長門がいるかもしれない。
何となくイメージだが、イメージ通りのことをしそうなあの無口娘なら……

 

「なに?」

 

「うわ!?」

 

背後から唐突に声をかけられて、
俺は口から心臓を吐き出しそうになった。

 

「な、なんだ長門か……」

 

「……」

 

16ビートを打つ身体と精神を何とか落ち着かせながら、
俺は音もなく背後から近寄ってきた少女の方を向いた。
ったく……佐々木といいこいつといい、
正面から声をかけることが出来ないのか?

 

「お前も図書館に行くのか?」

 

「そう」

 

空気を振動させない程度に頷きながら長門は答えた。

 

「なら一緒に行くか?俺も図書館に本を返すところなんだ」

 

「行く」

 

またも短く答えると、
長門は俺の横に並んできた。

 

まぁ、たまにはこういうのもいいだろ。
そう思って俺はゆっくりと歩を進めていった……

 
 
 

歩き始めて10分くらいした頃、
お勧めの本などを話し合いながら歩いていると、
不意に長門の足が止まった。

 

「……?どうしたんだ長門?」

 

「……」

 

返事もせず一心不乱に遠くを眺める長門。
だが、そっちに何があるってんだ?

 

俺に見えるのはカラスの群れと何か黒っぽい…………

 
 
 

そこで俺は初めて「見た」

 
 
 

長門の視線の先には、
確かに一人の少女が佇んでいた。

 
 
 

「―――」

 
 
 

その少女は影に溶け込むようにただこちらを眺めていた……

 
 
 
 

「周防……九曜……」

 
 
 
 

掠れる様に俺はつぶやいた。

 

どうしてこいつがこんな所にいるんだ。
まさかまた長門や俺達に危害を加えるつもりか?

 

「そんな所で何をやっている」

 

「――今日は――良い天気ね――」

 

「……」

 

相変わらず話がかみ合わない。
というか俺の言葉が聞こえているのかも疑わしい。
今すぐJAFを呼んだ方がいいかもしれない。

 

どうしたらいいか迷う俺を尻目に、
二人の宇宙人はにらみ合いを始めていた。

 

「……(あなたはここで何をやっているの)」

 

「――(彼を見に来た)」

 

おそらく二人の間に何かしらの意思疎通があるのだろうが、
俺にはまったく分からん。

 

「……(どういう意味?)」

 

「――(あぁ……相変わらず綺麗な瞳)」

 

何だか俺の方を向いているような気がする。
くそ、あの未来人や超能力娘なら何とかなりそうだが、
こいつ相手なら軽く物理的に3ひねりくらいされそうだ。

 

「……(話を聞け、このカラス女)」

 

「――(邪魔をしないで、まな板娘)」

 
 

ビキビキッ……

 
 

何となく地面に亀裂が入るような音がしたんだが、
気のせいだろうか。
もしかしたら水面下でこの二人は激しいバトルを繰り広げているのかもしれない。
というかマジで空気が怖いんだが……

 

「……(あなたには言われたくない無口女)」

 

「――(それこそあなたに言われたくはない)」

 

お互い一言も喋らないから、
何がどうなっているか分からないが、
きっと俺の想像できない様な過酷な争いをしているのだろう。

 

「――(そもそも私のどこがカラスだというのか)」

 

「……(その得体の知れない黒髪のどこがカラスじゃないと言うつもり?)」

 

「――(失礼な。美容院でカットしているのに……待ち時間4時間もかけて)」

 

「……(それは単にあなたが4時間も認識されなかっただけ。髪に比べて陰は薄いのね)」

 

「――(あなたの胸には負ける)」

 

「……(それはこちらのセリフ)」

 

「――(私は着痩せするタイプ。あなたのように胸だけ部分痩せはしていない)」

 

「……(嘘をつけ)」

 

壮絶なにらみ合いが繰り広げられているが、
俺としては真剣にこの場から逃げ出したい。
だが、ここに長門を置いていくわけにも行かないし……

 

そんな俺にハルヒではない神様が、
救いの天使を遣わしてくれた。

 
 

「あっ、キョン君に長門さん。
こんな所で何やってるんですかぁ?」

 

「朝比奈さん」

 

おぉ、これぞ戦場に舞い降りた女神。
この凍てつく空気を柔らかく溶かしてくれるあなたは、
例え戦神アテナでも敵いません。
まぁ、実用性は皆無ですが。

 
 

「こんにちは。あっ、え〜とそちらの人は確か……」

 

「周防――九曜――」

 

みくるオーラに毒気を抜かれたのか、
長門以上の無愛想宇宙人は自分の名を口にした。

 

「長門の親玉の敵のイントルーダーとか何とかです」

 

「へぇ〜この人が……」

 

何だか、いま一つ二つ緊張感が足りないが、
我が麗しの天女はにこやかに周防の顔をのぞいていた。

 

「――(これは……何?)」

 

「……(未来から来た有機生命体)」

 

「――(私が知っているものとは違う)」

 

「……(おそらく牛の遺伝子が交じっていると思われる)」

 

「――(なるほど……だからこの異常な乳に)」

 

「……(いまだそのサイズになるメカニズムは解明できていない)」

 

なにやらまた無口少女同士でにらみ合いを始めたようだが、
いい加減解放してくれないか……

 

そんな俺の気持ちを知らずに、
朝比奈さんはのんきにこう言った。

 
 

「何だか二人とも似てますね〜」

 
 

ぐるんッ

 
 

物凄い勢いで視線を朝比奈さんに向ける二人。

 

「どこが……」

 

「似てる――」

 

「え!?いや、その……」

 

見つめられて照れてる場合ですか。
というか二人とも目が怖えよ。

 
 

「も、物静かな所とか……」

 
 

しどろもどろになりながら、
無難なことを答える朝比奈さん。

 
 

しかし、次の瞬間彼女はふたりの胸の辺りを見ながら、
プルトニウムを大量に積んだ地雷を三角飛びで踏んづけてしまった……

 
 
 

「その、控えめな所、とか……」

 
 
 

プチッ……

 
 

何かが切れる音がしたかと思うと、
周防が駅前喫茶店で喜緑さんにしたより早く、
二人は朝比奈さんの両手首を掴んでいた。

 
 

「えっ!?あ、あの!?」

 

「ちょっと――」

 

「来て……」

 

「ふぇ?一体どこへ……」

 
 

訳も分からないまま物陰に連れ込まれる朝比奈さん。

 

「お、おいお前ら……」

 

思わず止めようとする俺。

 

「大丈夫――」

 

ロングヘアーの無口少女がそれを制し、

 

「あなたに危害はない……」

 

ショートボブの無口少女が俺を止めた。

 
 

「そ、それってあたしには〜〜〜」

 
 

引きずられていく朝比奈さんを見送りながら、
俺は二人の意外な仲の良さに少し嬉しくも思っていたりした……

 
 
 

……って朝比奈さんッ!?

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:03:28 (3085d)