作品

概要

作者達磨
作品名長門さんとぬこ
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2007-04-02 (月) 15:22:16

登場キャラ

キョン不登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

いつもの帰り道。
何の寄り道もせずに私は帰る。
表情に変化をきたすことはない。
それはこの風景が見慣れたものだからではなく、
単に私が無表情なように造られたからであろう。
その日は雨で、黒一色の傘をさしながら歩いていた。

 

「にゃー・・・」
鳴き声、いや泣き声と言ってもいい。
動物のそれが、十字路を右に曲がった途端に
私の右耳から左耳を通り抜けた。
ふと立ち止まり、顔を右に向けてみると、
薄汚れたダンボールに一匹の子猫が住んでいるのが視認できた。
昨日ここを通ったときにはこんなものはなかったから、
今日誰かが捨てに来たのだろう。
「・・・・」
特にアクションを起こそうとは思わなかった。
私には関係のないこと。
外に捨てるという選択肢を持っている、この子猫の親が悪い。
猫というのもなかなか適応力が強いというか、
野良猫なんてそこかしこにいっぱいいる。
私が助けないとしても強かに生きていくだろう。
そう考えて再び道を歩き始める。

 

「にゃ・・・ー・・・」

 

途切れ途切れな子猫の声が私の歩幅を縮める。
やがて歩幅は0となり、私はその場に立ちつくす。
何かが私を子猫の方へ突き動かす。
それは私の言うところエラー。
インターフェースとして見た場合全くの無駄な行為。
気づいたときには子猫の入ったダンボールを
抱えている自分がそこにいる。
少し歩幅が大きくなっている自分にも気づきながら、
私は家へと歩く。

 

家に着き、まず始めに子猫の体を洗うことにする。
長い間雨に打たれたからか、少し弱っているような気がする。
いきなり熱いシャワーでは驚いてしまうかも、と思い
人肌程度にとどめておく。
肉の感触を手に感じながら子猫を洗っていった。

 

子猫をタオルで拭いて、更に大きめなタオルの上に
子猫を置いておく。
そんなにあちらこちら動こうとしないので、こちらも助かる。
その隙に猫用の餌を近くで買ってくる。

 

餌を食べさせてやると、子猫が元気になっていくのが
明らかに見てとれた。
始めはゆっくりと食べ始めていたが、進むにつれて
食べるペースは速くなっていった。
私は大体3食分くらいを買ってきたのだが、
その子猫は2食分をペロリと平らげた。
余程お腹を空かせていたのだと分かる。

 

「にゃーにゃー」
先ほど雨に打たれていたときと違い、
今は元気そうに鳴いている。
まだ餌が欲しいかのように聞こえるのは私の気のせいだろう。
それを見て思う。
私は何故こんなことをしたのか、と。
分からない。
しかし無駄に大きいタオルの上でくつろぐ子猫を見ると、
些細な問題に思えてくる。
私はその子猫の背中を何となく撫でる。
温かみを持つふわふわとした感触が心地よい。
子猫も気持ちよさそうにもぞもぞ動く。

 

一応今日だけは子猫の側で眠ることにする。
回復したとはいえ、ほんの少し前は弱っていた子猫だ。
明日一番に子猫の体調を確認し、どうするかを決めよう。
そう思いながら布団に入り、
ゆったりと枕に頭を置き瞼を閉じる・・・・

 

数秒後、何かが布団の中に入ってくる気配がした。
それは私の足が向いている方から入ってきて、
私の体の線をなぞりながら近づいてくる。
それはついに私の首の辺りで止まった。
体温が存在感を私にアピールする。
少し間を置いて、それのある方へ顔を向けると
温かい、ふわふわとしたそれは気持ちよさそうに寝ていた。
私はその子猫の方へ体も向けて、再び瞼を閉じた。

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:03:28 (3093d)