作品

概要

作者一万二千年
作品名長門スキーは長門有希の弁当の夢を見るか?
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2007-03-24 (土) 22:41:17

登場キャラ

キョン不登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

 三時間目の休み時間。
 俺を廊下で待っていたのは長門だった。
 長門はいつも通りの顔で、俺の目をまっすぐに見つめながら言ってきた。
「今日、あなたにお弁当を作ってきた。食べて欲しい」
 といわれたら断るやつはいまい。
 居たらそいつは人非人だ。外道だ。

 

 四時間目が終了したと同時に文芸部室にダッシュする。
 ドアを開けるとそこにはもう長門が待っていた。
 ていうか、お前テレポートでも使えるのか?
「使えない」
 そうですか。

 

 長門は二つのお弁当の包みを机の上に広げている。
 大きなのは俺のだろう。小さなのはコイツのだな。

 

 いただきます、と挨拶をして弁当のふたを開ける。
 お。これは。

 

 豚の生姜焼き。揚げギョウザ。ほうれん草のソテー。ポテトサラダ。
 俺の好きなメニューベスト5のうち四つがノミネートされているではないか。
 なんでこんなおかずを?
「あなたの妹に聞いた」
「……」
「……駄目?」
 小首を0.5度ほど傾げながら尋ねてくる美少女宇宙人にNOだなんて言えるわけがない。
「い、いや、駄目じゃないぞ! むしろグッジョブというか、その、なんだ、ありがとう」
 そう言ってコイツの目に浮かんだ不安の色を消すのに必死になってる俺はなんなんだろうね。
 長門が少しでも不安そうだったり、困っていたりすると俺はなぜだかその何倍も不安や困った
感覚にとらわれてしまう。
 ものすごく世話になってたり、生命の危機を救ってくれたから、ってだけじゃない。
 コイツのことが気になって仕方が無いだけだ。

 

 長門の不安そうな目の色は、俺の言葉で氷解する。
 いつもの真っ黒な瞳の色に戻る。
 それはなんだか嬉しくて、俺はそれだけで心のどこかが暖かくなるのを感じる。

 

 長門は自分の弁当箱から、豚の生姜焼きを箸で摘む。
 そしてその肉片を俺の眼前に突きつける。
「……」
 長門は三点リーダを量産しながら俺の顔を見つめている。
「……」
 真っ直ぐな、曲がらない瞳が俺の目を貫いている。
 俺の頭を後頭部まで貫通して部室の壁も破壊して衛星軌道まで
達するのではないか、というほどの強い視線。
 そんな視線に耐えられずに、俺は尋ねた。

 

「その……なんだ。俺に、食って欲しいと、そう言うわけか」
「そう」
 おずおずと口を開くと、長門の箸の先端が俺の唇に押し込まれる。

 

 生姜焼きのスパイシーでありなおかつジューシーな肉感が伝わってくる。
 塗れた箸の感触も感じる。
 それと同時に、これって間接キスなんじゃ?という疑惑も。

 

「……」
「……」
 もぐもぐと咀嚼しながら、俺の顔を見ている長門に視線をやる。
 その深海の底を思わせる真っ黒い瞳の中心に、なにかの色が見える。
 コイツが、宇宙人のアンドロイドが何を思っているのか、ほんの少しだけ判った俺は
そんな長門に素直な感想をぶつける。
「美味いぞ」
「……そう」
 答えている長門の頬がほんの少しだけ、血色がよくなったように見えるのは
俺の気のせいだけじゃないはずだ。

 
 

「ごちそうさま」
 そんな感じに美味しくお弁当を頂いたあとで。
 長門はまた、数ミリだけ首を曲げながら俺の目をみて言ってきた。
「また弁当を作ってきたら、あなたは食べてくれる?」

 
 

そんなの、答えはYES以外にないだろう?

 
 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:03:24 (3084d)