作品

概要

作者書き込めない人
作品名長門さんと椅子
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2007-03-23 (金) 20:19:40

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

それはいつものようにどうでもいいことが原因だったと思う。

 

俺がSOS団一無口な少女に近づきすぎているとか、
色目を使っているとか、襲おうとしているとか……

 

ともかくそんな濡れ衣も真っ青な理由で、
我らが横暴団長様は俺に蹴りを入れてきやがった。

 
 

「このエロキョン!!」

 
 

それは言いがかりにも程があるぞ。
そもそもお前の主観によって捏造された
有りもしない罪で裁こうとするんじゃない。
それにそんな風に勢いよく飛べば、
必然的に腰に巻いてる布切れの中身が見えるわけで、
まぁそれが見えるより先に俺の視界は上履きの裏がw……

 
 

「……んがッ」

 
 

骨が折れたかと思うような痛みを顔面に感じながら、
よくもまぁあの飛び蹴りの短い時間にいろいろ考えれたもんだと、
自分を少し褒めてやりたい気分になったのも束の間、
今度は小柄な文学少女の姿が目に映った。

 

……まずい。
今俺はハルヒのカンガルーのチャンピオンも真っ青な蹴りを受けて、
倒れこもうとしてるのに、その先にいられると……

 

カタッ……

 

俺の心配を悟ったのかあっさりと席を立つ長門。
とりあえずこれでお前への二次被害は防げそうだ。
ただ、その椅子もついでに除けてくれればよかt……

 
 

「んごッ……」

 
 

わずか数秒であれだけのことを考えながら、
俺はものの見事に宇宙人ご愛用のパイプ椅子にダイブした……

 
 
 
 

「あ〜あ、壊しちゃった」

 

他人事のように言うな。
どうみてもお前が原因だろ。

 

「なによ〜元はといえばあんたが有希に変な事しようとするからでしょ!」

 

完全に事実無根の冤罪だ。
第一お前には俺がそんなことをするような人間に……

 
 

「見えるわよ」

 
 

あまりにも自信満々にはっきりと宣言された俺は、
結局何も言い返すことが出来なかった……

 
 
 
 

「……」

 

「あぁ〜長門、スマンな」

 

「……」

 

まずい。
長門表情鑑定士1級の俺の目に狂いがなければ、
今長門さんは非常に怒ってらっしゃる。

 

「いや、本当に悪かった」

 

「……」

 

こ、これはあの文学部廃止騒動の時並に怒って……
とにかく誰か助けてくれ。
このままだと俺はこの冷たい視線に射抜かれて凍死してしまう。

 

「どうやらバイトが入ったようです。
ちょっと行ってきますね」

 

「あっ、わ、わたしもちょっとやかんのお水を汲みに……」

 

そう言ってそそくさと部屋を出る二人。
どうみても逃亡です。本当にありg(ry

 

「……」

 

あ、あの〜長門さん?
そんなコキュートスより冷たい目で見られると、
俺としては生きた心地がしないんだが……
むしろ地獄の1丁目の方がまだぬるい気がする。

 

徐々に体の感覚がなくなってきたような俺に、
意外な人物が救いの手を差し伸べてくれた。

 
 

「ほら、有希。キョンも謝ってるし許してあげたら?」

 
 

おぉ、ハルヒ……
いつも俺に迷惑ばかりかけてるお前が
今度ばかりはまるで神様のようだ。
この際原因はお前だろうなどと野暮なつっ込みはしないで置く。

 

とりあえずそのハルヒの救いの言葉に、
渋々といった感じで長門は口を開いた。

 
 

「わかった。でも……」

 
 

そう言って俺の方を向く長門。
心なしか視線に温かみが出たような気がする。
具体的に絶対零度から水銀の融点くらいまで。

 

そんなことを考えていた俺に、
長門は最後まで言葉を続けた。

 
 

「……代わりの椅子が必要」

 
 
 
 
 

「代わりの椅子?」

 

聞き返す俺に対して、
目の前の宇宙一物静かな少女は、
更に難解なことを言ってきた。

 
 

「……四つん這いになって」

 
 

「へ!?」

 

「早く……」

 

突然の命令に唖然とする俺に、
長門はいつもの調子で催促をした。

 

「有希にも何か考えがあるんじゃない?
とにかくやってみなさいよ」

 

「ん、あぁ……」

 

かなり釈然としないが、
長門の頼み……命令ということもあって、
俺は素直に従った。

 
 

「……こんな感じでいいか?」

 
 

両膝と両手を突いた状態で、
首だけを長門の方に向けて俺は尋ねた。
俺の名誉の為に一応言っておくが、
この角度から見上げても視界には何も見えていない。
何もだ。

 
 

「いい」

 
 

「そうかい、それでこれでどうしr……」

 
 

その時、背中にかすかな感触を感じた。
一体なんだと首を曲げたくても、
人間の構造上背面は見えない。
ただ口をあんぐり開けて驚いてるハルヒが見えるだけだ。

 

「え〜と、長門さん?」

 

「なに?」

 

「それはこっちのセリフなんだが……人の背中で何やってんだ?」

 

「読書」

 

あっさりと答える長門。
いや、そうじゃなくて……

 

「何で俺の背中に座ってるんだ?」

 

「あなたが私の椅子を壊した。
だからその責任を取ってこれからはあなたが私の椅子」

 

いや、そんな無茶苦茶な……

 

四つん這いのまま心中で文句を言う俺に対して、
頭上……ならぬ背上で無口宇宙人娘はこう宣言した……

 
 
 

「大丈夫……痛くしない」

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:03:23 (2625d)