作品

概要

作者達磨
作品名Personal Name
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2007-03-19 (月) 22:05:46

登場キャラ

キョン不登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

私は情報統合思念体によって造られた
対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェイス。
名前はまだ無い。

 

私が造られた理由、それは涼宮ハルヒの観察。
情報統合思念体は自立進化の可能性を彼女に期待している。
そして彼女に接近するための存在。
それが私。

 

あるマンションの一室を与えられ、
そこで3年間の待機を命じられた。
本格的な観察は3年後から始めるそうだ。
どうやら彼女が高校生になってから接触するとのことだ。
何故今から観察を始めないのか疑問だ。

 

情報統合思念体は私に一冊の本を渡した。
本とは文字というツールを使った情報伝達の手段であると聞いている。
だから思念体の行動が理解できない。
伝えたい事があるならわざわざ本にせずとも、
直接話してくれれば済む事。
しかし思念体は私にこの本を読む事を義務づけた。
仕方なくその本を読むことを始めた。
だが読み進めていくうち、その本に引き込まれている私がいた。

 

どうやらこの本はある女子高校生の物語のようだ。
その子はクラスの中でも孤立しており、
毎日学校の休み時間では本を読んでいる。
学校内で唯一の文芸部員だが、放課後に文芸部の活動を
したりはせずに、ずっと文芸部室で本を読む。
下校時間になったら帰宅する。
そんな毎日を送っている子だ。

 

彼女は本をよく読むが、それはほとんど自分で買うので、
図書館を利用したりはしなかった。
だが最近は読書スピードがかなり速くなったため、
本に使う金が膨大なものになって行くので、
これからは図書館も利用しようと思い立つ。
そして図書館に来たものの、
生来の恥ずかしがり屋なので中々「図書カードを作ってください」と
言えずにそこら辺をうろうろする。
そんな時、近くの青年が彼女のカードを代わりに作ってくれた。
彼女は精一杯の勇気を振り絞ってお礼を言う。
青年はすぐ去っていったが、彼女の心の中では彼は去っていなかった。

 

そして学校で、その彼が自分と同じ学校、学年であることを知る。
彼女は何か話しかけて仲良くなりたいと思っていたが
なかなか実践は出来ず。
しかし意外なことに彼から話しかけてくれ、
またわざわざ文芸部室にまで来て彼女と話す仲になった。

 

ある日彼女は彼がある人を好きな事を知ってしまう。
そしてそれが彼女でないことも。
家に帰ったと同時に、彼女はうっすらと涙を流した。
そしてある時から彼は文芸部室に来なくなり
彼と彼女の接点は途絶えた。
彼女の生活は再び彼と会う以前に戻ってしまった。

 

本は単なる情報伝達の手段だと思っていた私だが、
そんな単純なものではなかった。
これを読んでいる最中、私の胸の体温は上昇し、
体の内部を鎖で締め付けられたような感覚を味わった。
そして・・・これは何故だか分からないのだが・・・
本の中の「彼女」と「私」に近さがあるように思えた。
同一化できるくらいの近さがある。
いや、むしろほぼ同じと言ってもいい。
それほどまでに私と彼女は近しい存在。
ただ、一つ違うのは彼女には名前があり、私には無いこと。
私にあるのは固体識別名のみ。
この本を読むまではそれで十分だと思っていた。

 

だけど――
今は、名前が欲しい。
しかし・・・私には名前を付ける力は無い。
ならば、本の中の「彼女」と同じ名前にしよう。
そして限りなく近い「彼女」と一つになろう。

 

そう、私の名前は――

 

「長門有希」

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:03:22 (2732d)