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作者 | G.F |
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作品名 | 改造と解剖 |
カテゴリー | 長門SS(一般) |
保管日 | 2007-03-19 (月) 20:19:03 |
キョン | 登場 |
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キョンの妹 | 不登場 |
ハルヒ | 登場 |
みくる | 不登場 |
古泉一樹 | 不登場 |
鶴屋さん | 不登場 |
朝倉涼子 | 不登場 |
喜緑江美里 | 不登場 |
周防九曜 | 不登場 |
思念体 | 不登場 |
天蓋領域 | 不登場 |
阪中 | 不登場 |
谷口 | 不登場 |
ミヨキチ | 不登場 |
佐々木 | 不登場 |
橘京子 | 不登場 |
※SS集/600 の続きです。
「昼休み、文芸部の部室にて待つ」
昨日、長門から渡された本の栞に…そう書かれていた。
長門、来たぞ。
「…入って」
長門は俺が文芸部室に入ったのを確認して部室のドアに駆け寄り、鍵を掛けた。
鍵を掛けなければいけないということは…よほど他人に聞かれたらまずい話なのか?
「…ハルヒのことで…話がある」
ハルヒのことで…?
「実は…ハルヒの身体は…もはや…普通の人間と同じではない」
長門が俺に言った。
…ん…前にも同じようなことを話していたような気がするが…違っていたかな?
「その時は…ハルヒと私は普通の人間ではないという話をしただけ」
そうそう、今から3年前、情報フレアが観測されたとか、情報の奔流があいつからどうとかこうとか…っていう話だったな。
「あなたにだけは隠していられないと思ったから…この際、正直に告白する」
長門はそういうと…深呼吸した後こう言った。
「…私は…一週間前…つまりハルヒが閉鎖空間に侵入してきたあの日…ハルヒの身体に改造手術を施した」
「一週間前というと…あの日か?」
…つまり…俺とお前が閉鎖空間で「お医者さんごっこ」をしていたらハルヒが乱入してきた…あの日…だよな?
俺がそう聞くと長門はこっくりと頷く。
「…従って…彼女の身体は…サイボーグになっている」
何だって?
それじゃ…あいつの今の身体は…?
「…そう…彼女の今の身体の内部機構の構造は…私の身体の内部機構の構造と全く同じ」
長門の話によると…長門はどうやら自分の身体の内部機構を元にしてハルヒを改造したらしい。
長門の身体は脳髄以外が全て機械…つまりアンドロイドでありながら脳髄だけは生身なので「宇宙人」の面目は立っているのだが…ハルヒも…脳髄以外は機械になってしまったのか。
「…そう…彼女の脳髄以外の内臓及び骨格は…全て標本化され、思念体の手に渡った」
そこから先は…長門に聞かなくても大体の予想は付いた。
恐らく…情報統合思念体は…「特別な進化を遂げた有機生命体」として注目しているハルヒの身体を調査したかったのだろう。
そこで長門に「ハルヒの身体を解剖して内臓や骨格を送ってくれ」と命令した。
ところが…長門は例え情報統合思念体の命令だといってもハルヒを殺すのだけは嫌だったため…殺さずにそれを行う方法として考えた妙案…それが…「ハルヒをサイボーグ化する」ということだった。
そしてそれを情報統合思念体への条件として出し、認めさせたのだ。
そして…ハルヒの内臓や筋肉や骨格などを全て自分のものと同じタイプでハルヒサイズにした機械と入れ替えつつ…標本化…というわけだろうな、と思う。
念のために…長門に聞いてみたら「…その通り」と頷いていた。
つまり…今の「ハルヒの身体」で「ハルヒの原形」を保っているのは…「外観」と「脳髄」だけ…ということになる。
まあ…命令を受けたのが長門だったからハルヒも命拾いできたようなもので…もし朝倉あたりだったら…と思うとさすがにぞっとする。
喜緑さんならともかくとして朝倉だったら…「チャンス」とばかりにハルヒを生体解剖して…そのまま閉鎖空間内で放置…ということもやりかねないからだ。
それで古泉たち「機関」の連中が慌てる羽目になる可能性がないでもないが…まあ、それはこっちの知ったことではない。
「でも…長門…もしかすると俺がハルヒに喋ってしまうかもしれないぞ」
「その点は大丈夫」
と…いうと…?
「あの女はあなたづての情報を重要視しない。だからこそ…あなたにだけ話した」
ああ…いつかそう言ってたな。
「…それに…これは彼女が望んでいたことでもあるから」
ハルヒが…望んだこと?
「…そう…彼女は…サイボーグになることを望んでいた」
そういわれて…思い出したことがある。
「あたし…サイボーグになりたいなぁ」
ハルヒは…この間の団活のとき…冗談とも本気ともつかない口調で確かにそう言っていた。
まさか手術後に「身体の違和感」を訴える羽目になろうとは本人も思ってはいなかっただろう。
まあ…あいつにしてみれば…「口は災いの元」という奴だろうな。
どうせあいつに話したとしても…「改造手術なんか有希に出来るわけないじゃん」で片付けるだろうことは目に見えているし…。
…というわけで…ハルヒの身体がサイボーグになっているのは長門と俺の秘密、ってことにすることにした。
つまり…朝比奈さんと古泉はこのことを知らない…はずだ。
その夜…発生した閉鎖空間で…俺と長門はハルヒも呼び出して…3人で「お医者さんごっこ」を愉しむことにした。
医師役は終始俺が、看護士役と患者役は長門とハルヒが交代交代で勤め…かれこれ4時間は愉しんだだろうか。
翌日…ハルヒが異常なまでに元気になっていたのは…いうまでもない。
やっぱり…これに関しては長門も言っていたが…ハルヒの「環境適応能力」は人一倍強いのだろうか。
※「続き(みたいなもの)」は SS集/609 です