作品

概要

作者G.F
作品名キョンと一樹が「父親」になる日 前編
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2007-02-23 (金) 16:11:08

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ登場
みくる登場
古泉一樹登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子登場
喜緑江美里登場
周防九曜不登場
思念体登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

設定参照
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城崎の温泉旅館で一泊して帰ってきた…その翌日のこと。
いつものように夫のお弁当を作ろうとして台所に立ち、そして炊飯ジャーに近づいたところ…吐き気が急に私を襲ってきた。
「どうしたの?有希…」
いつもと違う私の様子に、ハルヒが横で心配している。
「病院へ行くか?有希…」
そして私は夫の父、つまり義父の運転する車に乗せられて…夫とともに病院へ行った。

 
 

「おめでとうございます」
産婦人科の医者に…開口一番に言われた台詞がこれだった。
「奥様のお腹には…まだ性別は特定できないが…お子様がいらっしゃいます」
「やった!」
「よかった…よかったね、キョン…」
俺とハルヒはハイタッチを交わした。
俺はそのあと学校と副担任の喜緑さんに連絡を入れた。
「じゃ…そういうことで…」
喜緑さんが俺に代わって朝の時間のホームルームをやってくれた。
おかげで、俺は遅刻だったが…たまたまその日は1時間目の授業がない日だったからどうにかなった。

 
 

「有希…」
気が付くと…私は病室のベッドの上に横たわっていた。
「ハルヒ…」
ハルヒが涙ぐんでしきりに頷いている。
「良かったね…有希のお腹に赤ちゃんが…キョンの子供がいる…って」
ハルヒは…まるで自分のことのように喜んでいた。

 
 

「キョン…」
放課後、俺が再び病院に向かうと…ハルヒが言った。
「有希が…キョンに…何か話したいことがあるみたい」
ハルヒはそういうと俺と場所を交代する形で病室から外へ出て行った。

 

「…私…あなたの子供を宿すことが出来て…本当に良かった」
有希は涙を流していた。
「…私の身体は…普通の人間の身体ではないから」
ん…確か8年前にも聞いたような覚えがある台詞だが…?
「…情報統合思念体によって生み出された私の身体は…脳髄以外の99パーセントが機械の身体だから」
ああ…有希…それがお前のコンプレックスだったんだよな。
「…だから…人間の子供を宿すことなんか…到底不可能だと思っていたから」
「何言ってるんだよ、有希…お前はもう…立派な人間じゃないか」
「え?」
「…俺の子供を宿すことが出来たというのが…その何よりの証拠だぞ、有希」
「…」
有希はコクッと頷いた。

 

そこへ…病室のドアをノックする音が聞こえた。
「喜緑さんが来たけど…いい?」
ハルヒが聞いた。
「いいよ」
喜緑さんが入ってきて…俺に驚くべきことを告げた。
「大変だったわよ、今日は…涼子と有希、二人揃って妊娠が発覚したから」
「涼子さんまで…妊娠?」
俺と有希ばかりかハルヒまでもが驚いた顔をしている。
「そう。ちなみに涼子はこの隣の部屋にいるからね」
俺は喜緑さんと交代する形で病室から出て隣の病室に入った。
「古泉…あくまでも偶然だとは思うが、まさかそっちまでもがおめでたとはな」
「キョンさん…お互いに良かったですね」
俺と古泉は手と手を取り合った。
「何を…二人で…ホモみたいなことやってるのよ」
涼子さんがベッドの上でその様子に苦笑していた。
その後の医者の説明によると…有希と涼子さんは…ともに妊娠1ヶ月、とのことだった。

 

「そういえば…聞いたことがありますよ」
病院の外。古泉が俺に話しかけてきた。
「有希さんと涼子さん…誕生日こそ4ヶ月違いでしかも容姿も違いますが、実はあの二人は双子みたいなものだ、って…」
言われて思い出したことがある。それは…
「…涼子さんは…もともと有希のバックアップだったよな」
もともと…涼子さんは有希に万が一のことがあった時のために作られた存在。
だからこそ…有希と涼子さんはお互いに記憶などを共有しやすいように作られているんだった。
「そうです。だからこそ…二人はほぼ同時に妊娠したのではないでしょうか」
古泉が頷く。
「ああ…お互いの子供の誕生日や性別までもが同じだったら…それこそ大笑いだな」

 
 

俺は家に帰って…親父とお袋と妹に有希が妊娠していることを報告した。
ハルヒと喜緑さんは今夜は有希と涼子さんのために病院に泊まるつもりでいるらしい。
二人とも一週間以内には退院できるとのことだった。
親父とお袋は喜んでいたが…妹は…「10代」で早くも「叔母さん(オバサン)」と呼ばれる身になってしまうことがちょっと不満げな顔つきだった。
妹よ…すまん。23歳と22歳で結婚した兄と義姉を許せ。

 

それから俺は…古泉と公園で待ち合わせして、有希と涼子さんの親父さん(=情報統合思念体)に対し、こう語りかけた。
「親父さん…よかったですね。あと9ヶ月も経てば…元気な孫の顔を見れますよ」
それに答えるかのように…一つの流れ星が宙を滑り落ちた。
「キョン君…一樹君…ありがとう」
俺には…二人の親父さんがそういっているように思えた。

 
 

「再入院するのは…9ヶ月目か10ヶ月目でいいだろう、と…医者もいっていたからな」
退院後初の保健室。
夫が…「母子手帳」を読みつつ、私に声を掛けてくれた。
私は日に日に大きくなっていくお腹をさする。
私と涼子のお腹に…夫と古泉君のそれぞれから託された新しい命。
それは…「有機生命体」と「対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド=インターフェース」の混血児、ということになる。
「だから…頑張れよ、涼子さんもそれまでは頑張るようなことを言っていたし」
私は頷く。

 
 

※後編は SS集/549 です

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:03:12 (3090d)